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15の扉 神の領域
ほんとうのこと
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♫
🎶
♪
♩ ♩ 🎵
「 しかし。 なにしろ。 「スピードが速い」な 。」
暗闇で 鼻歌を歌いながら
ふとそう思って立ち止まり
ぐるりと「徐々に変化してきた いろ」を確かめて息を吐く。
薄い 闇
波のある 灰黒
「ゆらぎの洞窟」の様にも見える屋根裏の闇は
今日も静かに私を包み込んで
この 詳細が見えてきた眼を歓迎している様に 思う。
一定に 見えていたものが ゆらぎあること
穴から漏れる光の色 だけでなく
強さも変化して見えること
そう、その「穴の光の強さ」
それは
「今 その光がどちらに向かっているのか」を
如実に表していて。
「拡大して強く光る穴」
「減少し ぼんやりとしている穴」
程度の差はあれど そのどちらかに明らかに傾き始めた屋根裏の景色は
私に「覚悟を決めよ」と せかいが提示しているものでも ある。
そう
「実際に 起こる」
それが「何故なのか」
「始まりと終わりまでの 顛末が視えていても」。
実際 きっと
私は少し揺れるのだろうし
それを加味して 整えておくのだ。
「 うん。 よし。 行こう 。」
そうして「ポン」と切り替えて くるりと辺りを見渡し
「目的の色」を探し始める。
そう 今日は
久しぶりに「お茶会」に呼ばれて。
「 いや ? 「お茶会」じゃ ないかもだけど。 」
そんな 雰囲気を感じ取りながら
ふわりとした闇をルンルンと歩き 「その気配」を御旗の先に揺らし 歩く。
今 私が向かっているのは フリジアの魔女部屋で
「この間、君の話になって。もし良かったら久しぶりに顔を見せに行っておいで?」
そう今朝の食堂でイストリアに言われたのだ。
「あの 抹茶色の瞳が呼んでいる」
「なんだか楽しそうな薄茶の瞳」
それを観て。
特に 断る理由のない私は こっくりと頷いて
「じゃあ 金の蜜少し持っていこうかな」なんて
脳内では早速「行く支度」を始めていたんだ。
確かに 最近
全然会っていなかったから。
違う角度からの話を聞けるのが
とても楽しみだったからで ある。
そうして
「ウキウキ」から
「しっとり」へと
ステップを変えた後 「そろそろかな?」と
具体的に「穴の色」を検分し始める。
その「穴から漏れている光」は
私が認識している人ならば 「私が相手に対して持つイメージの色」が見えるし
認識していない人は「その人の「状態」」が ぼんやりと反映している。
だからフリジアの魔女部屋は
「抹茶に紫が絶妙に配分されている独特の色」で
とてもわかりやすいのだ。
「 ん?」
しかし
すこし離れたところにあった「ピンク色の穴」が パッと「メルリナイトの色だ」とわかって。
あれ? 今日は
一緒じゃないんだ
そんなことを思いながら ファンキーな色の穴に
「スポン」と落ちていったんだ。
「 こんにちは あれ?」
「久しぶりだね。元気だったかい?…まあ、元気じゃなければここはこうなっちゃいないか。」
「確かにそうさね。…ああ、ありがとう。また持ってきてくれたのかい?」
くるりと瞳を回した 私を見つめる目は。
「抹茶色」と
「黄緑色」があって
なんでかそこには とても久しぶりのメディナが共に座って いる。
? ? ?
だけど
その二人の醸し出す色と 微妙な雰囲気の違いが
「私が区画を持った所為だ」
それが なんとなくわかって。
とりあえずフリジアが示した椅子に座りながら
お茶を淹れてくれるメディナの手付きを
眺めて いた。
「なにしろおまえさんには。一度、お礼を言っとかなくちゃと思っていたんだ。」
「皆に、希望を、ありがとう。実際にこれまでならばあり得ないことが起きて。特に、若い者達が顔を上げ始めている。結局みんな、このままでは駄目な事も分かってはいるが、どうしていいかは分からないからね。その糸口になる場所の提供と、後はレシフェかい?あの子はなかなかやるね。」
「そうそう、………ああ、いや私達が開く会合にこの間来たんだよ。一応、アリスが主催になってはいるが、あれはウイントフークの提案だろう?」
「多分ね。実際何かをやるには、ここの若者は経験値が少ないからね。型通りならいいんだが。新しいものだと、やはり力を借りるのが妥当だろう。」
「あの子達の関係性が中々見ていると面白いんだ。」
「まあ油断すると足を掬われるとでも、思ってるんじゃないかい?向こうさんは、そんな事考えてもないだろうけどね。」
「育ってきた環境だね………だがあのくらい強烈な男が来たんだ。良い起爆剤になるだろうよ。」
「違いない。」
ケラケラと 明るく話す 二人を 観て。
レシフェの「相変わらずの様子」がわかり
面白いし なんだか楽しそうで。
私も ワクワクしてくるけれど
「その関係性が楽しく弾け合う」のを観照する楽しみに留め
差し出されたカップへ お礼を言い 手を伸ばす。
「そう、まさか。そんな事が起こるとは。誰も思っていなかったに、違いないよ。」
「そうさね。「別の扉」、そして「外界からの者」。まあ、若い者達は「外は穢れている」なんて、どこまで信じてたか分からないけどね。疑いはあったろうよ。だけど、実際に人が現れて。」
「明らかに毛色が違うからね、あの男は。実際力が強いのも、いい。そしてそこからまた風穴が開いて。「これからの話」に、パッと光が差したんだ。」
「そうだね。明るくなって、開いて、吹き込んだんだ。具体的な「変化の風」が。」
「これまでにない、形だからね。見えない変化は誰しも感じていたろうが、その具体的な形がしっかりと現れたんだ。やはり、実感しないと重い腰が上がらないし、それも、想像もしなかった方法と方向だ。そこが、良いのだけどね。」
「変わりたくなくとも、変わらざるを得ない風さ。未だついていけない者もいるが、それが真実だ。」
「でもね変わりたくない者は、それはそれでいいんだ。」
「そうだね。そのままの方が幸せな者も多いだろう、特にここは。」
「まぁね………本当の事は知らずに。死んだ方が、幸せだと、思わなくもないよ。」
「ああ。」
ん ?
ああ
そう か
「 そう言えば前に。 言ってましたよね、「みんな本当の事なんて知りたくないんだ」って。」
「そうさね。」
「………まあ。そうだろうね。いや、「そうだった」、か?今は、変化も少しずつだけどしてきてるからね。」
黙って聞いていようと 思っていたけれど。
なんとなく「ピンとくるワード」が降りてきて
無意識のうちに言葉が 口からスルリと出ていた。
だけど
「何が見たいか」なんて 本当に「個々の自由」で。
それに 私が口を挟むことでもないし
「それぞれがやり切って」、また次の道を選ぶのだ。
私が そんな「再納得」をくるくると押印しているうちに
二人はその「本当のこと」について 話し始めている。
「結局「何が見たいか」、なんだろうがね?本当の「真実」の中身が、この世界の仕組みなのか、自身が信じていた金の家や長の事なのか。それは勿論、人によって違うし、なんだ?その「本当」の中身だろうね。ポイントは。」
「そうだねぇ。この子の家の男達だって、最初は隠したり、守ることばかり考えていただろう?成る程確かに、そう思えば、それじゃあ本当の事なんて見えないさね。…私も自分があの時なんで反対したのか、はっきりとは解っていなかったけど。そういうことだね。」
「そう、物事の本質を見たいのか、それとも世界の仕組みが見たいのか。しかし先ずは足元を見ることから、始めないと。…それを思えば、やはりこの子は始めっから全く違っていたのさ。」
「目的地が…場所、や物ではないからね。それはここの者達には無い考えで、全く違う価値観だ。ここではまだ「自分」すら希薄で。そもそも「行き先を持ってる女」が希少だからね。」
「そうだね。価値観の矛先、か…。先ずは自分からだからね。興味の矛先がそこへ向くには、大分時間はかかるだろうが。灯が見えた事だけでも、幸いさ。」
確かに
あたまをぐるりと見渡すと。
いろんな 「瞬間のこと」が
くるくると舞っていて
「過去の私が思っていた点」
それらのカケラが キラキラと光って いる。
それをじっと 眺めながら。
私は
ここに来たばかりの時のこと
仮面を脱ぎ捨てて暫く
ラピスに戻ったり
不老不死について探したり
グレースクァッドに行ったり
自分の内側を随分旅して
「ぐるりと廻って 今ここ」
それを表す すべてのカケラが愛おしくて
有り難くて。
しかし その「なかにある」、「今の私のカケラではない いろ」
それにも感謝を送りながら。
「これまでに在ったすべて」
「今ある すべて」
「これから成る すべて」に。
静かに 敬意と感謝を
送っていたので ある。
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