透明の「扉」を開けて

美黎

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15の扉 神の領域

鈴の音

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 ただ 
  ただ静かに。


 こうして

 「シャンシャン」と

 清らかな鈴音を鳴らしながら

 暗い屋根裏を 歩いて いると

 みんなの 「こえ」が
 聴こえて くるし
 みんなの 「色」も
  ようく 観える。

 
 そこに 提示されているものは
  やはり
    "今の 状況の真実" で

  それを観ながら。


 また 私は「自身が ほんとうは なにであるのか」
     「せかいがなにを 言いたいのか」
        そして「せかいは私になにを させたいのか」
 その 「必要」を
   知ることに なる。

 だからそれを 明確に映す為に。

 ただ 己の光を指して
    粛々と 存在していた。









「足元の小さなことを ひとつひとつ より丁寧に行うこと」
 それ即ち 瞬間気付いて 在ること

「頭の中を「くう」にしておくこと」
  せかいの創造を 邪魔しないこと
  創りたくないもの古いものは 浮かべないこと

なかみはエネルギー的に 自分の目的地光の創世神話
 それが自身を引っ張る 光の引力になること

待ち時間成る為のチカラを 有効に使うこと」
  それ即ち 「世界も」味方につけること 。


 そうして
 何度も「光の軌跡自分の歩く道」を なぞりながら。

 一日 一日
 一瞬 一瞬
  瞬間の中を流れ
 その

      「静」と「動」

  その「バランス」を最高の位置で眺め
  「中央中庸を保って」
               流れる。


 そう
  「大きな 大きな せかいのなかの」

  「流れ」「集中点」「起点であり 支点」

   「基点であり 始点」。


 その 位置を保った静けさの 流れの中
 では今日も 
 仄暗い屋根裏をシャリシャリと 杖を鳴らしながら歩く。


 静かに
 祈りを常態にしながら
 敬意と 感謝を込めて。


 勿論、それは「一部の隙なく そうか」と問われれば 
 揺れる部分はあるけれど 
 それが「常態」に近くなってきたのは最近の成果で ある。

 そして その「本来の位置」を 自ら観照しながら。

 テクテク シャリシャリと 進んでいると
 どこからともなく聴こえてくる「おとこえ」が あった。





 
   ん?  ぅむむ ?

  「あれ」は  なんだ ろう ? ?


 そんな風に「気になる光」と「音」を見つけた私は 
 なんだか それが実際、見たくなって
その「主」の 出している音質に惹かれ「ポン」と降り立ってみる。

するとそこは 
 白の区画の一角にある 小さなサロンで。


   ふむ ?

くるりと回り 観える景色は
  全体が 真っ白な美しい部屋
  中程度の規模の調度が整えられたサロン
しかしきっと白の区画の中では小さな規模だと思われるそこは
 私の表現で言えば「婦人達のお茶会会場」で
 その為の設備と空気が 整えられている。

 だけど その「空気」が なんだか「澱んで」視えて。

 それ澱みが「最近あまり使われないからだ」とわかった読んだ私は
そこへ一人でポツンと座っている老女を じっと眺めていた。

 多分 さっき 気になった「音」を出していたのは。
 
 きっとこの人で それに惹かれた呼ばれた私は
 きっと「ここでやることがある」筈だからだ。



  ふぅむ?  して?

   これは 一緒にお茶を飲めば ??

  いい 感じ ?


 そんなことをつらつらと考えながらも、髪色を紺に変え
 瞳も目立たない茶に変えて「そういや最近 見た目気にしてなかった」と、久しぶりの色合いに満足しながら 「今の最適解」をくるくるする。

 そう、エローラの店やラピスにいる時は
 「なんとなく濃いめの青」
 その程度を意識していて あまり細かくは
  自分に指定していないのだ。

 幸い 誰にも見咎められた事がないから。

それは正解なのだろうし 「私が何色に見えるのか」、それは人によっても違うのだろう。


   して ?

 とりあえず 座って みる?


 脳内スペースで 相変わらずの「展開図」を拡げながら
 「自分のやるべき位置」をくるくると回し
 ピタリとくるカケラ、それを少し待つ。

 そうして待ってみても「とりあえず座る」に 反するいろが来なかったから。

 ゆっくりと気配を窺いながら近づいて
先ずは彼女から見える位置に しっとりと 座ったのである。




「   こんにちは。」
「あら、こんにちは。珍しいわね、ここにこんな若い人が来るのは。ユリナスの所の娘さんかしら?とっても美しい青ね、その髪色は。今はそんなに綺麗な青もあるのね…  」

「 ありがとうございます。」

 目が 合った瞬間。

条件反射で挨拶をした私だが
 「それが今の最善」と視えている「眼」がある為
そのまま成り行きに身を任せておばあちゃんの話を 聞く。

 その 彼女の言う、「ユリナスさん」は
  知らない人だけれど。

 私はとりあえず なにも「否定」する気はなく
そのまま一人でおしゃべりを始めたおばあちゃんの話をじっと 聞いていた。

 そう その「品の良い老女」は。

「老女」や「お婆さん」と 言うよりは
「おばあちゃん」が似合う可愛らしい雰囲気を纏った人で
 直ぐに親しみ共通色を覚えた私は 彼女が話し易い様に。
すぐ向かい側の席へ移動して その話に耳を傾け
 頷いていたので ある。



「最近、うちは孫も連れて行って。…そう、貴女も行った事があるの?良かったわね、やっぱり直接手で触れられるのは良いわよね。」
「  はい。」
「そんな感じでしょう、みんな。長老達はまだ頑固に突っ張ってるみたいだけど。困ったわよね、あの人達は。それで良くなるならいいのだけど。」
「 はい。」

「だけどね、最近私もお手伝いに行ってて。もっと歳が上の、おばあさんなんだけど。」
「  うん」
「最初は何度も繰り返して。…で、ほら時間を稼ぐために、色々やるのよ。それで気が済んだら、また戻るから。それをね、ずっと続けたの。」
「 うんうん 」
「否定は一切しないで。気の済むまで話を聞いて、そのうち解ったの。………やっぱり、なにかしら、その「尊敬」?それだけしっかりと生きてきた「これまで」が、あるわけじゃない?」
「  そうですね。 わかります。」
「でね、そうやっているうちに関係も変わってきて、本人もそうだし、家族も。ほら、家族って近過ぎて出来ない事があるでしょう?」
「  はい。」
「それもまた変わってきて、言わないけどね、それが嬉しくて。」
「  うんうん」

 始めは、そう「世間話」
そんな感じで始まった彼女の話は 私の相槌に連れて緩まってきた様で
なんだか話は「私が聞きたかった話」
 その方向へ動き出しているのが わかる。

 そして それと同時に
 「自分が話を」も
 観照している私は
 「自分が」も 観てとっていて。

 「理解を示す」「必要」「同調」
 「随分年下だけれど わかっていますよ」の色
  それと同時に存在している
 「一種の優越感」それが読めて。

  "今 それはもう" 
 
そう感じた自分を読み取り「自分が理解を示す為に話そうとするのを止めて」
 「相槌だけ」
 「頷くだけ」
 「その 話を聞いて「有り難いな」と 思うだけ」に
   留めて いた。

そう
「そのアピール」は
 「以前の私」ならば そのまま続けていたろうが
 「今の私」には 必要ないもので。

その 理由わけ
 「彼女が 私にその存在にその話をしている」のが わかった落ちたからで ある。



「…………これからそうなっていくといいわね。私達にできることをやるしかないものね。」
「  はい。」
「なんか、私ばかり長々と話してしまったわね。ごめんなさいね。」
「いえいえ、有り難いお話が聞けて嬉しかったです。」
「じゃあ、お先に。」
「 はい、ありがとうございます。」

 そうやって。

 彼女が 席を立ってからも
じっとその場で「暖かなそのいろ」を沁み込ませる為
静かに深く 息を吐く。


その「会話」と「波長」
 この「場の雰囲気」
   「今し方 」。

 それが私に齎すものを 余すことなく
  受け取る 為に。
 静かにしていると くるくると自然にカケラ達が 舞い始める。



   ほんとうに 「いい話」を聞けた

 やはり光は
        繋がって

    そう
  「相手を変える」で なく

  「敬意を持って」「接することの大切さ」


  観えてきた ひかり
 
    波及   波紋  ふるえ伝わること


それが「ここまで届いた 事実」。


 そして「それに、今の私」
    「せかいの采配」

 「以前よりも 自分が高い視点で観れているのがわかる認識できること」
 「観照しながら 実際行動を変えられること」
 「示さなくとも 
 「理解のいろを 私が」。

そう それは。

私が おばあちゃんと話をしている時
 「そのいろを出している放射しているから」
 「そうなった」もので
そこで以前の様に「分かってますよの色」をチラつかせていたならば。

 きっと「出てこなかった話開示されなかった道」に
  違いないのだ。

 
 「私の 「選択により」開示された道」
 「次のステップ」
 「開かれた扉」
 「流れればいい 方向」

それは なにで。

どういう、道なのだろうか。

 私はそれを 沁み込ませ飲み込んで
一等高い視点から俯瞰する必要が ある。

 それが わかっていたから
一旦 「すべてを飲み込んで」。

 なにしろ 真っ白な空間を 

  後にしたので ある。






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