透明の「扉」を開けて

美黎

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13の扉 創造

本物と偽物

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「ていうか、訊いちゃうけど。ヨルは、どう思う?」
「   それについて?」

「そう、それについて。」


   ふぅ む 。


その時
 レナと エローラが 話していたのは。

 「新しい 石の話」や
 「新しい 商売の話」で
凡そ「耳だけ」で ふんふんと聴いていた私は。

「    う~ん?  でもなぁ。  「どっちでもいい」んじゃ ない?」

 そう
 「自分の本音」を スルリと漏らして いた。


そうなんだ 
 それは。

 いつかに イストリアとも話していた
 「基準の話」でもあり
 「石の話」
 「価値の話」でも あり

「まるっとぜんぶが ひとつ」の位置にある
 私からすれば。


 「それ真偽」は
 で あるからして

 「どちらでもいい」「どっちも 同じ」

その「結論に達してしまう」、シンプルな 話だったからで ある。






「えっ、でもさあ?偽物が出回っちゃうと、そもそもみんなが困るじゃない?」
「まあね。でも、買う人がいるから売る人もいるのよ。」
「………でも、買う方が悪いわけじゃないしねぇ。」
「それもある。かと言って、その偽物を売る店も辞めさせてもイタチごっこなのよ。」
「そうよね。………どこからともなく湧いてくるわよね、ああいうのって。」
「まあ、真似して売って、稼げれば。単純に楽だものね?」
「でもそれを本当にやるかどうかって。…ラピスも前はそこまで無かったじゃない?」
「私は以前のラピスには詳しくないけど。あの、青の像?だっけ?あれがあるからみんな悪さしなかったんじゃなかった?」
「………そうなのよ。でも、そうなっちゃうくらい、切羽詰まってる状況が確かに無いとは言い切れない。」
「今はどこも大変だものね。」
「それでさ、向こうの店が「あっちが偽物だ」「こっちが偽物だ」とか。あちこちでそれぞれが言い分を話すものだから、みんな余計に混乱してるのよ。」
「まあ、どこも「自分の所が本物だ」って。そりゃ、言うわよね。」
「まぁね。それだけ自信があるのはいいんだけど。なんかとりあえず、大変。」
「そうねぇ………神殿でも「石がどう」とかで、みんな鑑定?してもらいたがってるし。」
「それって誰がやるの?」
「銀の家?それか、ウイントフークさんの所らしいわよ?詳しくは知らないけど。」

 そんな
   「いろんな話」を。
 
途中 差し込まれる「仕事」「恋愛」「噂話」を交えながら 心地良く聴いていて。

 
「  ふむ。」

 最終的に 質問されたのだけど
基本的に二人が話す内容は どれも「ベースが明るく」「笑い飛ばせる空気を含んでいる」から 私も「カフェで流れる 音楽を聴く様に」、聴いていられるし
嫌な空気が流れることは 滅多に ない。


 そりゃ 以前は
深刻な話題もあったけれど。

 今は 公私共に落ち着いた二人の周りに 不穏な空気は無いし
なによりエローラは 今ラピスで一番の人気店の店主であるし
レナの守りはレシフェのお陰で万全だ。

だからこそ
 「音楽を聴く」くらいの感覚で 「その話題」を聴き流していたのだけど。

 
 その「質問の先」が 「ポン」と
  私に向いた時点で

くるりと切り替わった「あたまスペース」君は 
 カラカラと「そのカケラ関連性のいろ」を 弾き始めて。

 
   「まるっとぜんぶが ひとつ」


  「表」  「裏」

     「物質」   「光」

 「

      「

   「全体の 部分」

     「一部」


 「位置の違い」

       「質の違い」


    「


   「


 その「結論真理」を弾き出して
私の目の前に 「ポン」と 提示したのだ。

 だから。

それを 素直に「そう 表現してみた」のだけど。



「    ちょっと ?「ことば」が ?? 足りなかった かしら?」

「ちょっとどころじゃないかもね。」
「まあ、なんとなくヨルの言いたい事は分かるけど。」

「 う~ん、まあ 厳密に言えば。 確かに、「どっちでもいい」訳じゃないもんね? でも、それは「真偽がどっちでもいい」のであって、「手に入れるもの」については 「意図したものと違う」のは、良くないな。」

「それよ、それ。」
「そうね。どうしたって、分からないと買っちゃうもの。」

「      う~~~    ん 。」

「相変わらず長いわ。」
「長いわね。」

 そんな 「唸り始めた 私」を 見て。

二人は 笑っているけれど
 私は「その理由」をぐるぐるさせながら
自分もぐるぐるしていた。


 だけど それも やはり「長いこと」ではなくて。

新しく変化した私で あれば
それは「容易くわかること」で あり

 「私は 私の最善の道をゆく」それでしかないのだ。

 そう
 「わかってもらえるかどうか」、それは「相手の自由」で
 「選択は委ねられている」。


だから とりあえず。

 その ぐるぐると回していた 「理由」を
 述べて みたのだけど。


「  なんか。 とりあえず。 「やるかどうか」とか「それを買うかどうか」って、やっぱり「本人の自由」で、もしそれで騙されちゃう?とか、そうなってもそれは「学び」で「必要だから起こる」事であって。  「それ物事」が「なに」であれ、「そうじゃなきゃ越えられないからそれが来る」のは なんでも変わりなくて、ある意味「避け続けてきたから そうなってる」んだよ。 「ずっと水たまりを避けて通ってたら、落ちてみなきゃわからない」じゃない? それと、おんなじなんだよね。」

「……………まあ。言ってる事は、わかる。」
「まぁね。でもさ 」

「   う~   ん。 」

 二人の 言いたいことも ようく、わかる。

 まあ。
 でも。

私は 「二人を説得したい」、わけでは ないのだ。


「 まあ、それもどれも。「立ち位置問題」なんだけど。 どうしても「失敗したくない」とか「責められたくない」とかになっちゃうと、何にもできないんだよね。 「迷惑かけられない」とか言い始めると、最終的に絶対「死んだ方がいい」になるもん。 だから、じゃなくて「自分がどうなりたいか」でしかなくて 「変わりたい」とか「前進したい」なら、やればいいんだよ。 そこからしか、学ぶものはないし いつまでも他人に訊いてたとしてもから。「見様見真似」じゃ、超えられない時が必ず来るんだよ。  だから 結局 「いつ やるのか」でしか ないんだよなぁ 。」

「……………確かに。」
「まあ、そう言われれば、それでしかないわね。」

「だって二人はさ。  「自分だったら」、やるでしょう? 結局だよ。 他人の事考えちゃうと「どうしてあげればいいのか」って なるけど、どうもしてあげられないもん。 結局いつか、自分の責任は自分で取るんだから。 だから、とりあえず二人はいつものままで。 いいって、ことか。 あれ?解決した??」

「…………まあ。」
「……………そうとも、言うわね。」


「勿論、進んで。 穴に堕ちろとは言わないけどさ。 自分で自分のリスク管理をしていかない限りは、おんなじことの繰り返しだもんなぁ。 う~ん。 貼っとく?  いや、それもそれで「増殖」「拡大」?しても困るし  。やっぱり 何もしないのが、そして 「そう 在る」のが ベストだよなぁ  。」


 そうやって 
   ぐるぐる  くるくる と。

私が ひとり
 ぶちぶちと呟いていると
いつの間にか 暖かな視線が 集中していることに 気付く。


「………なぁんか。ヨルも、変わったわね。」

「そうそう。前だったら。こんなにキッパリ、言わなかったもの。なに、直ぐ「私がなんとかする」、みたいな感じあったものね。」

「そうねぇ。」
「なんだろう、「何もしない」って、一見冷たくなった様にも見えるんだけど。………なんか、この子見てるともっとあったかくなった?気がするわよね。」

「うん、相変わらず「暑苦しい」のは変わってないのよ。ある意味だから、ヨルは私達の事を「いい意味で信じてる」のよ。それは前からそうじゃない?その「信じてる」の、内容が広がったのかな?…だからそれが「濃くなって」、余計に暑苦しいのかも。」

「  ぇ エローラさん  ?」


 そう 笑いながら
  言ってくれる 二人を観て。


   "沁み込み 在る

          光の基盤"


それが しっかりと伝わっていること
 それにまた 改めて気付いて。


    有り難い な 。


そう 思うと共に

 ほんのりと 存在していた
 「わかって くれるかな?」という 私の思いは
再び注がれた 温かなおかわりと共に。

 「ゆっくりと」「喉から」「胃へ」
  「そこから 更に先へ」
  濾過され 光に変わって。


 しっかりと 身の内へ
   自分の 糧として 溜められていたので ある。



    










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