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13の扉 創造
息抜きの女子会
しおりを挟む「 ♫ 」
ある日の 午後。
私が テクテクと歩いているのは
古い神殿から続く 橋への道で
今日は久しぶりにレナの店へ招待されて。
「 てか。 ホント、お店は久しぶりだな?」
そんなことを呟きながら
アーチ橋を渡り 店への細い道をキョロキョロしながら進んでゆく。
しかし レナの店は神殿と貴石の間にあるので意外と直ぐで
白い壁と共に貴石の屋根まで見えてきたから。
「エルバは 元気かな」
そんなことをくるくると回しながら ポケットに入っている手紙を「カサリ」と撫で
イストリアから受け取った時の事を 思い出していた。
「久しぶりに顔を見せておいで?」
そう 言われて。
先日、食堂で差し出された手紙は なんと
意外にもエローラからの筆で
「なんで???」と顔に貼り付けたまま、薄茶の瞳を見た私に。
「最近、貴石にも服を卸しているんだよ。中々の評判だよ?」
そんな驚きの新情報を齎した瞳は、最近私が変化し続けている事にも気付いているのだろう。
「無理にとは、言わないが。しかし、たまにはいいのではないかい?」
そう「気遣いの一言」を添え
白黒のコントラストがらしい、エローラからの手紙をくれたのだ。
とりあえず 私は
「なにが書いてあるんだろう」と 思って。
「指輪の件以来だな」
そうも思いながら、そのメッセージに目を通してみたのだけど
案の定 そこには
"ビッグニュース"
絶対 聞かないと後悔する!
それだけ 書かれていて。
「 てか。 エローラさん 」
そう言いながらも早々に、イストリアへ日時を伝えてもらい 今に至るのだ。
「 てか 、人のこと言えないけど。 エローラいつ来るとか なんも書いてないって 」
そうして一人、クスクスと笑っていると
もう店の前だ。
あの時は チラチラと這っていただけの蔦も
いい感じに壁を緑に飾り、灰色だった景色もこの緑があるだけで 随分と印象を変える。
青と 白灰
まだ 雲の方が多い 空
灰色の道と 白壁
そこへ「生きている 緑」
向こうにチラリ見えるは
紫色の 天辺だけれど
なんだか「生気」の少ない
「形だけを造られた様な」
この「天空の島」に。
この 店と そして「見えないけれど 向こうにある畑」は
きっとかなりの「癒し効果」を発して
島全体の空気を綺麗に塗り替えているに違いない。
「 呼吸 ね 呼吸 。」
そう
「生きて」、いるものが増えるだけで 「その場の空気」は全く違うものへ変わるのだ。
「空気」「雰囲気」「気配」
そんな「以前は省みられなかった 見えないもの」
その「自分の感じていたこと」
その「辻褄」が ここでまたピタリと合って。
「 ふむ。 成る程? やっぱり、こうして「観ると」。 違い は歴然とするからして ? ぜんぶ「こうなれば」いいんだけど ? うーん? あ~、見えないから「効果があるない」って話になるのか。 えっ 」
でも 「今も」?
「そう」なんだろう か ??
「………て、言うかまだ入って来ないの?」
「 あ 」
そうして ひとり
ぐーっと首を傾げていた私に。
ツッコミを入れたのは
やはり「いつもの呆れた目」をした レナで あった。
「久しぶり。なに、最近忙しいの?」
「 て いうわけじゃない? けど 」
「まあヨルの事だから何かにまたハマってたんじゃないの?」
「 そうなのかも??」
「記憶にないみたいよ。」
「本人は自覚ないんじゃない?「物」だろうが「事」だろうが、なんだか色々突っ込んでるんでしょう。」
「…そうね。まあ心配はしてないんだけど、最近あっちの方がよく見るから。」
「ああ~。でも全然違うから、私、見るとつい笑っちゃうんだけど。」
「わかる。なんだろう、「変」とかじゃないんだけど、「ヨルの為に」?「ヨルの所為で」?変わったから、面白いのかな?」
「そうじゃない?………だって、あの頃から比べちゃうと………。」
「そうよね~。笑うとこじゃないんだけど、なんか、面白い。」
「うん。」
「本日 お休み」の札を
扉へカランと掛けてから
白く
清潔感のある 部屋に招き入れられて。
開口一番、エローラの弾丸トークから始まったお茶会は
勿論留まるところを知らず
お茶の支度をするレナ
私に椅子を勧め 自分の椅子を奥から持ってくるエローラ
手土産の「マシロお手製 おやつ」を出す私と
いろんな事が同時進行されている間にも
お互いの近況報告が為され 一旦一息吐くまでの相互確認が繰り広げられる。
ふうむ。 成る程 ?
確かに 面白いな 。
そう
確かに
私は「この私」になってから。
あまり「他人付き合い」は
するつもりがなかったし
だからきっとイストリアは私に「断ってもいいんだよ?」という札を投げかけてくれていたのだ。
だけど
「私は「私であること」を辞めるつもりはないからして なんでもアリ」
だからして、「行きたい」と思ったならば「行けばいい」のだ。
それが「なに」だか
「どこ」だかは 関係なくて
「私が」「私の位置にいて」「行きたい」と
思えば。
それ 即ち「私の正解」だからして
「行ってみればいい」し、きっと「行けばわかる」。
そう
その「わかること」が「なに」であれ
私はきっと「新しいいろ」を得るし、そもそも「新視点」だからして「何を見ても面白い」それは真理だ。
だから 難しいことは丸投げして。
"感じた まま"
"こころの ままに"
進めば いいので ある。
「 て 言うか?」
そして
「きっとなにかを考えている私」を放っておいてくれる二人を 眺めながら
そこまで「想像が帰結した」私は ふと
「ビッグニュース」の事を思い出して。
「お互いの お尻を嗅ぎ合う 犬」
「出会いの 挨拶」
「それに似てる」
「近況報告と 確認」
その「今観た 新しい視点」を楽しみながら
ピタリと話を止めた二人の瞳を 交互に 見た。
そう 多分 きっと。
「エローラが 手紙を寄越した訳」
「それにレナが関わっていること」
「二人の間の暗黙の了解」と
「私のタイミング」
それが 今 ピタリと合って。
「とうとう」
「きました」という 色
「ワクワク」と「照れ」の二人
その「エローラの特徴的な 輝き」を観れば「ビッグニュースの内容」は ある意味ひとつしか ない。
あ これ まさか
だよ ね ??
「 えっ けっ こん? は 、まだ早いか。 いや、早くてもいいんだけど。 ん?どっちから言ったの??」
「えっ。」
「なに、ヨル聞いたの?イストリアさんが言ったの??え~、内緒にしてって言っておいたのに。」
「 いや ? 聞いてないけど まあ わかるよ、流石に。そうか。しかし、 うーんやっとレナの魅力に気付いたか。」
「普通は分かんないのよ。」
「まあ、ヨルはねぇ。あなた達二人と近いから。」
「それは………あるかもだけど。」
「 えっ てか なに?早く言って?大丈夫、なんにも言わないから。」
口を抑えて 身を乗り出して。
説得力のない、私の姿勢に
照れて そっぽを向いてしまった レナ
対してエローラの目の輝きが爛々と増していて、つい吹き出してしまう。
「 っ、てか。エローラの方が可笑しい フフフ」
「でも、聞いて!なにか、決定的な言葉はないらしいんだけど。」
「えっ、 そうなの??」
「それがさあ、聞いてよ。」
「聞いてる聞いてる ふふ」
「なんかね、レナに取り次げって言ってたそっちの?何処の家とかは知らないけど。デヴァイの人がさ、いたらしくて。…………それに」
「それに??」
「「レナは俺の女だ」って、言ったらしくて~~」
「え ~ ~ 」
「ね~~~~。」
「えぇ ~ ぇ~」
「ねぇ~~~。」
「五月蝿いわよ。あんた達。」
「「はいはい 」」
「えー、なに、もう 私 無理。感無量。」
「なんなのよ、もう。」
「その、エルバがさ。なんかそれから凄くてさ。」
「なに、心配はしてないでしょ?」
「うん、そこは大丈夫なんだけど、レシフェがさぁ。」
「?? 」
「………ほら、エルバはヨルの事知ってるから。」
「 ??」
「ほら、そっちに出入りする様になったでしょう?レシフェも力は強いから、そこら辺じゃない?エルバの心配事は。」
「あー、そうかも。…ううん、大丈夫。それはもう解決したから。」
ん?
なにが どう? なって??
最近の「巷事情」に疎い、私に頷きながらも
二人が話している問題点は きっと「デヴァイの軸」や「力関係」、「貴石の女性の子供」関係なのは わかる。
だがしかし
「私の心配」は もう チラリと顔を出すことも なくて。
ただ ただ
その「可愛らしく赤くなって お茶を入れ替えに立つレナ」を。
なにしろずっと
ニコニコしながら 眺めていたんだ。
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