透明の「扉」を開けて

美黎

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13の扉 創造

私の思う「奉仕」

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「……………ふうん?」

 あ
    これ

   絶対  「信じてない」顔 だわ。


ある日の朝、食堂にて。

「自分の新しい存在方法」、その「奉仕」について
イストリアと話していた所
 薄茶の瞳が奥のテーブルを見て 笑ったから。

 私も 「やっぱり?」と思って。

「くるり」と振り返ったのだけど
「渋顔」の眼鏡の奥は「なんだか信用できない」という色をした瞳だ。

 
「    ちょっと。」

  なんとか 言ってよ?

 その向かい側に座って静かに笑っている極彩色は
口を出す気がないらしくて。

 「ポン」と 狐姿になって
そのまま食堂から出て行ってしまった。


  えっ
   なんか

 「話し合ってた」とか じゃなくて ??


「思わぬ矛先」が自分に向きそうで
 やや警戒し 
カップに隠れた私に イストリアは楽しそうにこう話す。

「………いや、解っているんだよ。多分ね、多分。」

そう言ってクスクスと息子を笑う姿が 可愛かったから。

「  ま、そうですよね。 ていうか 」

 そう言って
私は「きっと本部長と私の思う「奉仕」のなかみの違い」を 説明し始めた。



「  て いうか、多分「軸的なものになる」っぽい色してると思うんですけど。「奉仕」って。 確かに「ただ祈り」「チカラを廻す」的な事は、ある意味合ってるんでしょうけど。」

「うん。」

「でも、私の思う「奉仕」って  「私が私であるだけ」で  「自由」? 勿論、縛りはないし なんか「やるべきだからやる」とかでもなくて。 「性質」が、「それ奉仕」みたいな。」

「…ふむ。と、言うかそれを言うならば、君は元からだと思うけどね?」

「       。 かも 知れませんね?」


 確かに。


   ある意味
 「いつでもどこでも」
  「自由で」
  「好きなことを 好きな様に やり」

 「当たり前を 当たり前にやり」

  「せかいと 調和してある」

 その「スタイル」
   「生き方」
   「在り方」

 「本来あるべきところに」
   「あるべきように」「ある」

 「すべてにとっての 最善最高」。



「     ふむ?」

 確かにそれは。

「自分が思っていたよりも」「そもそもが奉仕で」
 「私は わたしせかいのために 」
 「ただ すべてが心地よく在れば良くて」。


「    ふうむ。」

 ずっと前に
シャットの授業で。

  「みんなの笑顔」しか 見たいものがないな?

そう思っていた 様に。

 私は ずっと変わっていないし
  進化はしたけれども
 どう頑張っても 根っこは同じで。  


 やはり「そういう性質だということ」

それに納得しようとしていた時
 「フワリと重なってきた色」が ある。


「成る程、自分の事は見え辛いと言うが。やはり君もそうで、しかしその言葉の捉え方なんだろうね。これまでのここデヴァイならば、やはりあの子の様に心配になるのはやむを得ないしね。」

「   確かに。」

 そう 言いながらもチラリと奥に視線を飛ばすと
とっくに白衣は見えなくなっていて。

 正面の 瞳は細まっているから
きっと私がぐるぐるしている間に「大丈夫」とサインを送っていたに違いない。

 そのまた「仲良し度」に
 ニヤニヤしながら。

「じゃ、また後でね。」

「 はい 。」

そう言って先に出て行った 水色髪を観て
 私はまだカップのお茶をちびちびと啜って いた。









   白く 美しい後ろ姿

      キビキビと動く黒い服

  くるくると楽しそうに立ち働くイリスが
   その景色に色を添えていて

   リトリは外の用事をしているのか
  もう一色の姿は見えない。



 ふむ。


その みんなの「働く姿」
 それを観て 。

   思う「私は何を しようか」という思い

 それは屋根裏の穴を観ている時も 思うけれど。


「    「そう」じゃ ないんだよね。」

 薄茶の瞳を思い出しながら
  そうポツリと呟く。


 この頃 大分「自分を俯瞰すること」が上手くなった私は

 「景色を観ることにより 浮かんでくるもの」
   「思い出」
      「場面」

  「繰り返される パターン」

その分析をしていて。


 そう 「何度も出て来るそれ」は
既に自分の中で 終わった出来事
 それでしかないのだけど
 、気付かずに 眺めていると。

 「さぁて 私はなにをしようか」なんて
  「考え」始めちゃったりして
 いつの間にか「以前のパターン」へ戻っているのだ。


「  えっと そう ふむ? だから。 やっぱり 「私のやること」はある意味なんにもなくて。「奉仕」なんだけど そのことばの定義から違ってて 。」

 それは 

    "ただ わたし真実で在ること"

 それに他ならない。



最近 私の中へ浮かんでいるのは
 「走馬灯の様な これまでの世界の景色」で

 こうして実際「目の前にある景色」以外にも

 「ラピスの街のみんなの様子」とか
  「造船所の子ども達の仕事中」
    「神殿で祈る人々」
  「試行錯誤しながらも 新しい道を模索する銀の二人」

それは様々 「いろんな場面」なのだけど
 「それを観て あると」。

  つい つられて 「じゃあ私は」なんて
  すぐにんだ。


  「なにかを

 「

    「対価を得て 生活する」

そんな様な ある意味「当たり前のこと」
 それが「これからの私」には「当たり前ではない」。


「    なんて。 言ったら いいんだろうか 。」

 そう それは
 「目的地の違い」そこでもあるが
 それだけでもなくて
 「私というもの」その立ち位置の話でもあり
 「本来 すべての人が そうである」ことでもある。



  ふぅむ。



   くるくると  スペースを廻る

        景色の なか


 ふと「目の前」を観ると しかし。


 そこには
   「見慣れた いろ」

 「柔らかで」     
           「無限」


        「独特の 気配」


  「慣れ親しんだ いろ」


    「光の虚空の パール」


 「変幻自在」

     「なにをも 含む いろ」


 それが 「充満していて」。



「     あ~  でも。  それ かも。」

 そんな私の独り言を 
聴いているだろうけど 放っておいてくれる   
 マシロへ チラリと視点を移す。


 そう
   スピリット達に 似てるんだ


「チラリ」と思った瞬間、美しく煌めく白が振り返って。

 私を真っ直ぐ 見て こう言ったんだ。


「ヨルは。元から、そうですよ。」


   ん?  

    ???


だがしかし 「パッ」と 直ぐに

  私の頭の中を 巡り始める 

        マシロの ビジョン


  それはある意味「私と同じ」で あるからして
    わかる

   その 「意味」「意図」


 「私がスピリットと同じ位置にあること」


   その「世界では ない場所」の いろ。



「    なるほど 。  ありがとう。」

「いいえ。」

 ニッコリと微笑んで。

また、仕事へ戻った後ろ姿を 観て気付く。


  成る程   確かに。


   みんなスピリット達

  「どこに誰がいても 関係なくて」。


 「このせかいの中で 自分の役割必要をやり」

  "せかいと共に 存在している"。



 ふぅむ。


そうなんだ
  きっと その「違い」は

  スピリットは「せかいという存在の 一部」で。

 だから 「対価」という概念はなく
 「ただ 当たり前に 役割自分の場所をこなし」
 「一部が全体で」「全体がひとつ」

 そのかたちの「奉仕」なんだ。


「   て言うか 多分。 そもそも「奉仕」って だよね? だけどきっと、時代や慣習の色々で 時と共にずれて。   なるほど、でも。だからまだ、私が外の景色を観てると ずれたり こんがらがったりするってことだ。」

 そう 「この意識」を定着させなければ
相変わらず私は混乱するのだろうし
 きっと「その場いざという時」になれば「最善は採れる」のだろうけど。


  その「精度」が
  その「質」が

 その「間を構築する 無限の質」を落とすことで
 「気持ち悪い」、きっとそれだ。


なんだか 私の中にある 「違和感」は。

 自分が「ねばならない」に
  それに 警鐘を鳴らしている

 そういうことなんだろう。



   だよね?

そっと
 みんな光達に訊いてみるけれど
やはり異論は聞こえてこないからして
 それは そうで

 そして ここまで自分の糸を手繰り寄せたから わかるけれど
「私はこれ要点が視えていなかったから すっきりしなかった」のだ。


「   そうね。 そもそも「私が充満」で「間」だからして その「間の質」を 落とすなと。  みんなは 言いたかったんだ。」

 そう それは
「見えないけれど」「私の一部で主要部分」

マシロが「ヨルはこちら側スピリット側」だと。
 言ってくれる 所以だ。


 きっと それは
「私の中での見えない部分」

 「思考」

  「呼吸」
        「意識」や「意図」

    「動き」や「視線」などの。

 「物質ではない部分」だが
 「私の一部」で「大切な要素」

 それは「私という人間」の雰囲気 空気
  気配や印象を決める、大切な部分だ。


だけど それは「見えるけれど物じゃない」から。
 捉え辛くて
 修正し難く
 しかも「直そう」とすると面倒くさくて
 挫折しがちなもの

でもそれは「自分ではないもの」へ 修正の矛先がずれているからで
 なにも「完璧でなくともいい」んだ。


 それは

 ただ ただ
     「私」で あればよくて

自分の場合はそれが「神域」と近いから。


 「かたちとして」、「浄め」や「清浄」
そうなるけれど その「かたち自体」は千差万別で
 人の数だけ 存在する。


「   成る程  なるほど 。」

 だから そのポイント
 忘れない様 「自分の網」へ 「ポン」と配置しておいて。


「 ありがとう、ごちそうさまでした。 」

すっきりとした私は

 そう言って
   元気よく 食堂を後にしたので ある。














    
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