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13の扉 創造
薪拾いの 冒険
しおりを挟む「今日も図書館?」
「うん。 そのつもり。」
「気を付けていってらっしゃい。…あまり独り言漏らし過ぎない様に。」
「 わかってる。」
その
私をチラリと見る 青い瞳が。
心配などは していない
その 色を醸し出しているのもわかり、しかし気にかけてくれているのも わかって。
「 大丈夫だよ。 だからイストリアさんに頼んで、二階にしてもらったんだし。」
「…………あんたにそれが関係あるのかしら。」
「 じゃ 行ってきまーす。」
「はいはい。」
とりあえず それは受け取っておけばいい。
きっと
朝は 朝なりに違う方向から私を心配していて
大丈夫なのは わかっているけれど
この頃「独り言と共に星屑が漏れる量が増えているから」。
「 ふうむ。 なにか そう「二階からも」降り注ぐとでも 思ってるのかも知れない。 」
ふむ。
そう呟きながらもスルリとフェアバンクスの区画を出て
この頃の定番「図書館」への道のりをテクテクと 歩いて行った。
黒い 壁紙から
茶の 木肌の温もりへ
足元と 肌で感じる 湿度と密度
変化する 瞬間
切り替わりの 境目
塗り替わる 空気
囁き始める 古きもの達
その
含まれるものの 量 質の違いを楽しみながら。
近づく「白」の気配と
「意図」の詰まった 空間への
ワクワクを刻む 白い靴の リズム。
ふぅ む。
そうして今日も 白く美しい扉が
目の前で開かれて。
「ありがとう 。」
図書館自体の 歓迎を受けながらも
「最近の定位置」、二階の隅っこスペースへと
静かに歩を進めてゆく。
あれから
そう「自分の真域」を 馴染ませ始めてから。
私の 「なかの景色」は速度を上げ
日々 目まぐるしく変化していたし
なんならそれは「起きたら変わっている」ではなく
「気付いたら変化している」、それに近くて
日に何度も塗り変わるものだから「大きなカケラ」はメモを取ることにしていた。
そうなんだ
意外とそれは「直ぐに薄れてゆく」から。
「薄れたならば もう今じゃない」
それもわかるのだけど
その「変化点」「通過したいろ」
それは自分にとって 中々に重要な「全体の中の要素」だ。
だから。
その「変化に惑わされなくともいい」
「変わるのは 当たり前」
「真ん中に在ればいい」
「落ち着くまで 自分の場所にいる」
「今はまだ 具体的には動くな」
そんな「みんなの声」が 聴こえていた 私は。
自分の生活をのんびりとしつつも その「変わりゆく景色」、それ自体にもやはり「意味があるな」そう思っていて。
その「変化」「工程」「順序」と「流れ」
それを「纏めておく必要」があると感じ、この頃図書館へ通い始めたのだ。
「 ふぅ。 やっぱり。 新鮮味 ?」
「私専用の梯子」を上り終わって振り返ってみるけれど
この時間はまだ 誰もいないところも、いい。
そう図書館は 所謂「自分の場所」では ない。
「空気」に煩い、私が 何故ここを選んだのかと言うと
始めは勿論 いつもの様に。
「魔女部屋」「白い礼拝室」「光の虚空」「まじないの畑」、色々な候補を上げて 想像を巡らせてみたのだけど
「なんだかしっくりこなかった」のだ。
でもそれも「ああ 私が変わったからだ」
そう 直ぐに気付いて。
「環境も 変える必要がある」、そう思って 図書館にした。
だけど 一応「場所」については
あの二人にきちんと相談して 「普通 人の来ない」、「二階」へ 拵えてもらったのだけど。
「 なんか。 そう 「あっちのスペース」だと 閉塞感があるからな 。」
ブツブツと言いながら
ずっと前に銀の二人と話した 個室を思い出しチラリと奥へ視線を飛ばす。
二階は 壁伝いにぐるり、造られあるので
あまり見渡すことはできないけれど
各家の専用スペースは私の場所からは遠くに見える。
勿論 この時間はまだ 誰もいないけれど
以前より出入りが自由になったここも 少しずつ人が増えて午後には気配でいっぱいだ。
見た目の「景色」で言えば
それは「空いている」うちに入るのだろうけど
「感覚」で存在している今の私にとって
「人の多い場所」はザワザワとして「気配が五月蝿い」。
「 この作業をしてる時でなければ。 いいんだけどね。」
そうして
本棚の間に挟んでおいた「自分メモ」を 取り出しながら。
手すりの前に 設置した「私の机」にパラリと広げ
思考を切り替え「プチリ」と現世へのコードを 切った。
白い 光
大きな 窓
せかいの ひかり
「シン」と静寂の広がる 「わたしの せかい」。
「 ふむ。」
集中するのは 昔から得意だ。
「周囲の 音を切って 自分の世界に入る」
それは 私の小さな頃からの十八番で
ここにきて「役に立つ」「これで良かったんだ」の中の一つでも ある。
「今 私が歩く 幽幻の せかい」
「無限の 森」
その「世界ではない場所」は
以前は「自分の頭の中」だったけれど
今 私が入るのは「わたしのせかい」で
この図書館で作業する内容は その広大な「森」の中を 自由自在に歩き回って。
「適切な火を起こすための」
「薪を調達し」
「石を組み火をつけて」
「新しく生まれる 焔を管理し育てる為の」
「場を創る」
その 大切な「始まり」
「書き起こし」の部分である。
「 ふむ?」
そして今 改めて「何故 自分の区画以外がいいのか」
その変化した理由をぐるり確かめてみるけれど
それは「具体的ななにか」がある訳ではなく
「感覚」の話だ。
そう それは
「ただ 単純にその方がやり易いから」で あり
敢えてそれを 言葉にして出すならば。
「自分の場所」よりも「他の場所」の方が
区分の線が引きやすく 「いろ」も見易くて
「空間の分類」が 容易にできるのだ。
「せかい」「世界」
「時代」「出来事」「現象」
「流れ」 「ふるえ」
「物」「こと」「人」「光」
そう 今
様々なジャンルで越境をしてある自分が 改めて「自分のなかみを整理する」には
やはり
「自分をしっかりと閉じた方が」作業は しやすい。
「境界を しっかり引く」
それにも近いこの行為は
「わたしはせかい」が曖昧であった時には わかり難かったこと
以前の私は、それをはっきりと認識してはいなかったのだ。
「全ては 同じ」、それは わかっていたのだけど。
「落ちて」、いなくて 上手く使えていなかったのだ。
だから 前は
「自分の場」の方が
なんでも やりやすかったけれど。
「 そう、でも それもまた 「上がって」。 「わたしがせかい」で それをちゃんとわかったからきちんと分けれるんだ。」
その 「違い」もまた
とても深く わかるのだ。
「 ふうむ。」
くるくると ペンを回しながら
メモに線を引き 区切ってゆく映
「他者との境界が曖昧」/
「まるっとぜんぶが せかい」
この 二つの言葉の意味するところも 人によって全く違うだろうけど
私にとっては
どちらも「世界に在らば 違っていて」
「せかいに在らば それは同じ」で ある。
私の場合 やはりそれは「立ち位置問題」で。
そこがはっきりと認識できなかったから 自分の中がごちゃごちゃしていて「わたしの視点」が発揮できていなかったのだ。
「まるっとぜんぶ」をほんとうに含んだから
わかる こと
そう
「全部自分だから区別できる」のだ。
なんだか 言葉にすれば「意味不明」だけど
「それがわかったから、できる」のである。
本当に「私とは なにであるのか」
「他者とは なにであるのか」
「世界とは
せかいとは なにで あるのか」。
言い換えれば「共感して入り込んでしまう」のは「まだ わかっていないから」で
「相手がある世界を 楽しんである」からだ。
「 ま。 その、「流れの違い」が わかって良かったって こと。」
そうなのだ
私は 今「自分の真域」へ きちんと乗っているから。
「世界の 流れ」と「私の流れ」が
きちんと区別できてきて
そして その「世界の流れ」も
それはそれでいいと尊重できて
「最善が起こってある」ことも知り
「そこを遠くから観照しながら」
「自分の流れを流れある」、その 「状態」なのだ。
勿論 まだ澱が顔を出し「揺れる」ことはあれど
「私達は 揺らぎ流れるもの」であるからして
「それは戻る」し「私の物語は どうしたってラスト ハッピーエンド」
それは もう「決まっているポイント」で
その「かたち」はせかいに任せておけば いい。
「 うん。」
その 「まだ空白の ゴール」には
なにも書かれていないけれど
それは「書くまでもなく」
「決まっている」
「知っている」
「わかっている」から そうで
そこにある色は私がこの旅を始めた時から
「ピンク」や「金」、所謂「幸せの色」だ。
これまでずっと 「知っていた」筈のそれ
しかし自分の中の澱が多過ぎ 靄がかかっていると「見えないこと」
問題が立ち塞がると 途端に「目の前に惑わされて」。
その ゴールを「ポイ」と放り出して
不安になっていたこと 。
「 ね。 」
しかし今は
そのヴェールが殆ど 上がり
「視える景色」が本当に はっきりとしてきたのだ。
「 ふぅむ。」
視点を離す様に 椅子に寄り掛かって。
腕組みをして 「メモ紙の奥」を じっと眺めてみるけれど
そこにあるのは「モヤモヤした 形になる前のエネルギー」で
「私が集めた薪を燃料として これから創られるもの」
それはきっと あの「私の目の前の奥にある景色」で
「これから成る 未来」
「今 創っているかたち」
あの時視えた「その奥」と同じだ。
そう それは「場所としても存在する」のだろうけど
「私の奥にあるほんとう」でもあって
「私の真理」とも イコールな筈だ。
「 さて 。 して 結局? ふむ?」
そうしてパラパラと メモを並べ直しながら。
そんな風に 自分の中へ浮かんでくる
「なかの景色」「世界の色」を静かに ゆっくり俯瞰して捉え
「拾った薪を どう 組み上げるか」
その「最善」を 自然に成らせる ように。
ただ ゆっくりと息を吸いながら
それを 眺めていたんだ。
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