透明の「扉」を開けて

美黎

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11の扉 神である ために

その 上の領域

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「なんというか、君は「元々開いている」んだよね。ここでまた改めて思ったのだけど。きっとこれは「感覚」の問題で、ずっと以前に私が君を「共感性が高い」と表現したのは、その所為だと今なら分かる。なんだろうか、「引きこもって姿は見えねど 閉じてはいない」。私から見れば、外に出ている者達の方が「閉じている」し、殻にこもって世界を拒んでいる様に見えるんだ。それは、持って生まれたものもあるだろうが………なにか。うーん、今、ここから見れば。それはきっと「距離」?「彼等との近さ」なんだろうね。」

「  「彼ら」?」

懐かしく 「いつかの中二階」を思い浮かべている私に
 優しく頷く 柔らかな瞳が ある。


「そう、「見えないもの達」とでも、言えばいいか。ここで言うなら「スピリット」だね。それはそもそも、本来であれば皆に見えるものなのだろうし、それをずっと奥にしまい込んでしまったのは、私達自身だけれど。君はずっと、その「距離が近く」て彼等との間の「膜が薄い」のだろうね。普通に認識しない様な「微細な存在」でも、君にとっては「隣に居る」、様な。なにか、「見られている感」はあるだろう?…だから、その不確定さ、知らぬもの、見えぬものへの恐怖も無いし寧ろ親和性が高い。そう、彼の様にね。」

 うん?

そう言って、チラリと私の隣を見た薄茶の瞳を 追って いくと。

  いつの 間にか くりくりの髪の少年が
 私の隣に 座って いる。


「   えっ。 もしかして ジュガ?」

 「ポン」と
自分の中に思い浮かんだそのいろを 確認しようと瞳を覗き込む。

 いつだったか 最後に私が見た時よりも。

確実に「大きくなっている 姿」
 それは「大きさ」と言うよりは「深み」が近くて
彼がこの空間にて「成熟してきている」のが わかる。

 
  目を 合わせる 茶色の美しい瞳
 その「人ではない」「独自の いろ」
  見ていると吸い込まれそうな その なかみ。


「     」

確かに でも。

 その 「深み」「未知の 奥にあるもの」
それに対して恐怖や不安はないし 「このいろ」がジュガだとわかるから
私の中に「疑い」は ない。

だから そのままじっと 見つめていた。

 少しだけ「時が止まった様な」
その「感覚」に包まれながらも みんなの動きが「把握できる」、不思議な食堂の 一角で だ。


 すると。

「そうだよ。 だから君は「世界に愛されてる」んだ。」

「ああ、それ朝君も言っていたよね。」

「  ぇっ  ああ、うん。 はい  えぇ  ?? ?」

 
 あっさりと そう「言い切った」ジュガの透る 声
 それに間髪入れず「朝の言葉」を付け加え
  深く頷いている イストリア。


 その くるくると廻る カケラの間

  薄茶と 茶の瞳の間で

    右往左往する 私の視線

 だがしかし二人が私を見る目は とんでもなく
  優しくて。

その「ことば」を 先ずは素直に受け取ろうと  そのまんま 胸に手を 当てた。



    「私の 場所」  「位置」

  「近い」      「どちらに」

       「狭間」


         「向こう側で あること」



   「より 高いひかり」

     「無限」    「不確定」


  「不安定」だが 「より 強い高い 光」。
  

そこまでカケラがくるくると回ると 空気が変わり
 自分の中での「境界線」を 超えて。

 カケラ達が また「新しい領域」で

  舞い始めたのが わかる。


そして。

 「そちら側の方が 居心地が いいこと」


   「変化 が 好き」


      「変わらないのは 落ち着かない」

  「変化」  「工夫」

    「効率」

  「すべてにとっての 最善を 観て」

     「常に昇りあること」

 「改訂」「改変」
          「改良」 「進歩」


   「拡大」   「成長」


 その 「本来の性質 そのもの」で あること。


それは 思えばずっと前からの「自分の自然な性質」で。

 あの白い魔法使いと話した時のいろが
  私の中で 「パラリ」と展開し始める。


   「変わること」

          「変わらないこと」

 「変わった方がいいこと」

     「継いでいった方がいいもの」


    「環境」   「染まる」

 「馴染む」

      「取り込まれる」


   「主体」

  
         「流れ」

   「流され」


   だがしかし  「今は見えねど」。

   「根底にある 」。



それ 確かに。

 「真ん中の ふるえ」で あり
       私達すべての 奥にあるもの


今 ここから 観ればそれは
 「形」「体」「固体」「液体」「気体」からの 「より 高い形」
 「光」「エネルギー」「第四形態見えないかたち」で あり

「変化した私」はきっと「より 光に近くなった」、それには違いない。


 それに 「その領域」は。

     私の好きな「不安定」

 自分の中の粒子が オールマイティーと結び付く事が可能な、より「高い可能性を現せる 場」だ。

  
   ピュンピュンと

  「不規則な」  「読めない動き」で

   「自由に」 「あちこち飛び回る」

  「私のひかり」と「オールマイティー」

 「なにいろとも 合う すべてを含んだ 透明」と 「それより純度の高い いろ輝き」。



それは「より 高い位置にある変幻自在な状態」のことで
 「高いからして 安定している不安定」「そう 在れる もの」
 「不安定だが 全体の調和を乱さないもの」それだ。


 言葉にすれば おかしな感じだけれど。

それは「そう」なのだから 仕方が ない。


「   あ。」


 そうだ
 それに
    そう 言えば。

すっかり 馴染んでいたから着替えたことも忘れ 
 そのまま出てきたけれど

私は「新しい体」を得て。
 いや「得たから」「なかみと 馴染んだから」、ここへ出てきた筈なんだ。


「   ふむ。」


 フワフワと 再び廻る なかみの景色

 側にある
   薄茶と 茶色のキラキラした瞳が相まって

 私に深く 暖かな感覚を齎し

   周囲をまるごと 包み込んで。


   「私達」「人間ひととは」

その自分の根底にある 大きなテーマの一つを掘り起こし
 また新しいカケラがくるくると廻り始める。



  「光」
      「形」

         「変化」

             「変容」

     「私が 視たい 景色」


   「その先」

       「可能性の 領域」。



 「それを忘れてしまった 私達」人間は
 「物質」「固体」で あるが
 「液体」をも 持ち
 「気体」を発することもできる「存在」で あるけれど
普段は「物質界で遊ぶ」ことを主としているから 「今その状態が最善」で 在るだけで
 みんなが気付けば「上がり 光に近くなる」
それは「同じ」の筈だ。


 それならば やはり。

  みんな 「上がれる」し
      「上がる」し

 確かに「上を見なければ」、いけないけれど
  今「世界」は どこまで?

 どんな 「状態」で

 結局「わたしという 神」は 

 「なに」を 「どう」?

 するんだっけ ? ? ?


「    ふぅむ?」

 久しぶりの 「世界」へ出て
「今の自分を把握」「調整」した方がいいのは わかる。

そう 確かに 「時の鉱山に入った時の私」と
「出てきた私」は 全く違う「存在の状態」なのだ。

 だから して。


  とりあえず 現状把握か ?

そう思って。


「    うん ?」

顔を あげると 
 いつの間にか また姿を消していたくるくるの茶髪

 水色髪はカウンターで なにやらマシロと話し込んで いて。


  ふむ。

その 空間の温かみを背景に
自分の胸の真ん中に もう一度手を当て
 ホンワリとした温かさを確認した 私は。


「  さて ?お腹もいっぱいな ことだしな?」

 そう 言って。

とりあえず「今の世界」へ 出てみることに したんだ。







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