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10の扉 わたしの せかい

その 違い

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「      ふぅむ。」


 ひたり ピタリと
フワリと感じる肉球のリズムに合わせながら
寄り添い歩く 黒の廊下

 流れる 変化の風

    動いてある 部分と
      
        揺れ留まりたがる 底部

その「世界の変化」を 表す様な 。

 豪奢な 檻の 隙間が見える 

   「扉の開いている 檻」。

それは この頃のデヴァイを私なりに表した 言葉で
 言い得て妙な「事実」でもある。

 実際問題 「鍵は開いていて」。

既に 出始めてある女性達もチラホラいるし
 実際 灰色の島の畑は潤ってあるからだ。



「   ほら、見て ここ。あと、こことかもじゃない?」

「…………まあ、確かに。言われてみれば、そうね?でも、よく見つけたわね?この暗い中で。」

「 うん まあ。 そうなんだけど  なんか。 光ってる? て言うか、私が「気になるところ」って これかなぁと思って。」

「まぁね。依子や糸も好きで集めてたもんねぇ。……確かにあんた達親子?一家は目利きなんでしょうね。」

「   う、うん。まあ お父さんはからっきしだけどね  。」

「………………そうね。」


 私が いや 私達が
ほぼ暗闇に近い廊下に屈んで なにを見ているのかと 言うと。

「……でもさ、これなんか本当に。飛んでるみたいだし、さっきのは猿じゃないの?やっぱりここにも、居たって事?」

「   う~ん。可能性としては 無くは ないもんね 。」

「……まあそうね。確かに、実際。「区画」?「区別」?「境界」、なんて あってない様なものだからね。」

「やっぱり、朝も。 そう思う?」

「そうね。本人次第?……「人次第」って、言うのかしら。」

「   そうだよね 。」


 今 私達が見ているのは「鳥」の彫刻で
さっき感動したのは「猿」の彫り物だ。

そして 珍しく何故 「廊下徘徊」に朝と共に来たのかと言うと
それを見て欲しかったからなのだ。


 そう 「家にある様な」「彫り物」や「彫刻」
 「細工」のもの

うちはある意味「和風」じゃないけれど おばあちゃんが好きで集めていて、そこからお母さんも嵌った「コレクション」が 沢山ある。

 それに 似ているものがあるのだ。

 何故か ここ 「黒の廊下」に。



「昔から、物でも人でも時や場所を越える事はあった。……でも。まあ、あんたも大体想像ついてるんだろうけど、ここ扉の中はある意味「あんたの空間」でしょう?じゃない?」

「    うん。 まあ   そうだよね。 」

「あー、でも「なんであるのか」、知りたいのか。いや、でもそれ私は分かんないやつじゃない。」

「うん  まあそうだね?」

「………。なんなのよ、もう。」

いつもの、「口程にものを言う 目」に。

 なんとなく 懐かしさを覚えながらも
次の目的に向けて 足を進めて いく。

この廊下には 見れば見るほど「私好みの「込もるもの」」があって
 それは以前から「知っていた」ことだけれど。

 ここに きて 「視える」その「込もるもの達」は
 以前とは違う様相を呈し始め
なんだか「迫ってくる」雰囲気を 感じていたのだ。


  この前 「入ってきた 変化の色」

  「吹いている 強い風」

     「波立ち」
           「揺らぎ」

  それに 後押しされる様に。

私にもやってきた「廊下に なにかある」という感覚
 それはきっと 光達からのヒントで
 「それもの」が呼んである で。


 きっと 私に「次」を 現す ものなのだ。


「はい これですよ」って
私が掘り下げる部分を知らせる「サインシンボル」なので ある。



「  う~ん、でもさ。 見て欲しかったのは それもあるんだけど。 朝って、いつから生きてるの? 改めて聞いたことないけど なんか、ほら、うちにあるものって江戸時代とか それより前とか、なんか「職人技」って言うか なんだろうか。  」


 そう
   そもそも の「在り方」が 違う人が
   魂を込めて 創った もの

 「命をかけてる」とか
 「それしか見えない」とか。

人間ひと」として どうか
と言えば 「世界にあれば不十分」な 人

 だがしかし「繋がってあった もの」


「   なんだろうな 。寝食忘れて みたいな 」

「ああ、でも、それは解る。昔はもっと「人と近かった」からね。」

「えっ  なにが?」

「?なに、って……は、あんたの方が詳しい?んじゃない?まあ、私の言葉で言えば「自然」とか「神様」?だけど。」

「  まあ   そうか。」

「そうよね。……時代が古いと、差別や偏見、なりたいものになれないとかいろんな事もあるけど。でも、だから余計な物がなかったのかもね。気を散らすもの?とか?「結局その中でなにをするか」だから、ピッタリ嵌れば。凄かったって事なんじゃない?」

「   ふぅむ。」

 確かに。

枠の中には 自由はない気がするけど
自由過ぎても惑ってあるのが 私達人間ひとだ。

「 でも。 その、「制限のあるなし」って 職人魂に関係あるかな?」

「多分、無いわね。」

「   」

 一人、ずっこけた私に目もくれず
朝はスタスタと歩いて次のターゲットに目を凝らして いる。

「………結局は。「時」と「人」、「場所とか物」の巡り合わせでしょ?……多分、それが揃わないと、その「職人魂」だけじゃ潰れる?、辿り着かないのよね。きっと。」

「    なる  ほど。」

 流石 朝。

私も しのぶの講義で聞いた事があるけれど。

 「天 地 人」それが揃わないと。

    「こと」は 起きない

正に 
  今 それがわかる。


「  成る程。それって諺かなんかだと 思ってたけど、今 考えればわ。 「天」は「その時」で、確かに「その人のその時」が来ないとなにも始まれないし 「地」は「場所 もの 環境」? 周りの人も、かな?で、「人」はその人の準備。 準備、かな ?まあ そうか。」

「そうね。だから、今迄は「稀に そうなった」人が。名を残す、とか物を残すとか。まあ、その「物と人」も真実なのかどうかちぐはくな所はあるんでしょうけど。」

「 だよね。」

 それも わかる。

「伝え聞いてある」「記してある」ものが
「真実」だとは 限らない

それはここまで来ればようく わかるし
 だからこそ 思う
「本当のこと」は「」には ないこと

 「形」は なんとでもできるけれど
 「なかみ」は。

 「偽れない」こと。


「うーん?でもさ、私。「表」が「体側」だと思ってたけど、「本当が 裏」ならホントはあっちが 「表」って事だよね?」

「………ややこしいのよ、あんた。まあどっちでもいいけど、形だけならいくらでも偽装?偽造?できるのは、間違いないわね。だからって、「本当の部分」が、無いとは。言わないけど。」

「    うん。」

「で?あんたはこれ見て、また何か作るの?」

「   そうだね。 なんか、こう。 エッジの効いた、と 言っても なんて言うか 「派手」とか「意表を突いた」とかでもない う~ん?」

 私は きっと。

 朝に 「この部分」を わかって欲しかったのだろう。

ここに来て、それが わかる。


「ほら、この「生きてる感」とかさ。なんか、なに、日本のやつって 本当に「生きてる」んだよ。  西洋とかさ、海外の美術品とか所謂「凄いもの」とか見ても、確かに凄いんだけど    なんか、なに?「キレ」が足りない?  なんて言ったらいいんだろうか。」

「あ~~~。でも、それは解る。「角がちゃんとある」、うーん、これも言葉が違うか。」

「あ、でもそんな感じ。多分、私の言いたいこと 朝は分かってると思う。」

「まぁね。伊達におしめ変えてないわよ。」

「   いや  流石におしめは  」

「そうねぇ。なんでしょうね。でも、やっぱり「近かったから」なんだろうけど。」

「    そうだよね 。」


 急に。

   しんみりとした 私達の空気

 「今は亡きもの」へ 対しての 望郷の様な
   感覚。


「   ふむ。 でも 。」

 そう シャットで
 あの「古いドレス達」や「セフィラの生地」にも
 思った「留めておきたい 感覚」

それが 「今は違う」と わかるし
だからこそ「旧い神殿」は 美しいのだ。


  その 「時の経過」を 現してある から

私はそれを。

 見本に したいと。

 
思ったのじゃ
 感じたのじゃ なかった か。


「    そう ね。 それに。 は 「それ以上のもの」を 創る。 し、「創れる」から。」

「えっ。」

「?「えっ」ってなに ?」

「……いやそれは「えっ」は「えっ」よ。」

「なんだそりゃ 。」


そうして 私達が
 すっくと立ち上がった 時に。

 また 
    一陣の 新しい風 が 吹いて


「 ああ 」って。

 思ったから
 落ちたから

その後は 魔女部屋で考えることにして。

 この 変化の風に乗りながら

 「黒だけじゃなくなった廊下」を。


 フワフワと 流れて 行ったんだ 。






















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