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10の扉 わたしの せかい
今日の予定
しおりを挟む「うん、サラダと。 いも? とお茶だけでいいよ。」
「はい。分かりました。」
にっこりと 微笑んだマシロの美しい色に
見惚れながらも 男達の話に 耳を澄ます。
「ラガシュは 」
「結局支度が済んでないのは 」
「子供達は後からシュレジエンが連れて来る 」
「アレは?」
「それは放っておいていい。あいつがなんとかするだろう。」
「まあ、そうだな。それで 」
てか 多分「アレ」って
その 失礼な音は 「私のこと」ですよね ??
どうやら 意外と私のぐるぐるは長かったらしい。
すっかりと 「目覚めた空気」の この空間
感じてみると、このフェアバンクスだけでなく
デヴァイ全体が 朝の目覚めを終えて。
粒子達が 活発に動き出してあるし
いつも通りの動きの場所と 結婚式の準備の色
その静かにわちゃわちゃしてある様子がなんだか 微笑ましくて。
つい ニヤニヤしながら サラダを頬張る。
「久しぶりだな。」
「 あっ」
その時 久しぶりに私の視界にキラリと光ったのは
本当に久しぶりの色、玉虫色だ。
「今日は礼拝堂には来ないんだろう?」
「 そう ですね?」
「疑問系?まあ、ヨルなら大丈夫だと思うがあまり無茶するなよ?」
「 はい。 フフ」
今日は「結婚式」なのに。
そんな 言葉をかけられている自分が面白くなって
クスクスと笑う。
「最近、どこ行ってたんですか?全然気配も感じなかったから、あの二人にこき使われてたんじゃないかって 心配だったんですけど。」
「いや、俺は今あいつと青へ行っててな…でも、まあ色々だ。確かに俺が一番動けるしな。」
「 確かに。 ベイルートさんは なんでもできる「公認の 虫」 ふむ。」
くるくると テーブルの上を
話しながら回る玉虫色を見てあると
銀の家の様子や 青 そして大きなここの礼拝堂の様子が 浮かんできて。
きっと 私の知らぬところで活躍していた彼の様子が 視え
お陰でみんなの意思の疎通がスムーズに進められていることも わかる。
「 ふむ。 流石。」
「それで?ヨルは?まあ聞かなくとも風の噂で聴こえてくるけどな。………おや、そんなの着けてたか?」
「あ これですか?いいでしょう。 創ったんですよ、最近。」
「素敵だな。………しかし、また………市場には出せないけどな。」
「 まあ はい。」
ベイルートが 言っているのは私の腕に嵌る石を繋げたブレスレットの事だ。
この頃 魔女部屋に篭って なにかを創っていることが 多かったから。
その「副産物」とも言える、「自分の石で創ったブレスレット」は
小さな玉を数珠繋ぎした簡単なもので
最近私が好きな「まる」を輪にして繋げたものだ。
私の「世界」では 所謂よく見る形
それはやはり「意味」のあるもので
「丸」「球体」を繋ぎ「円を作る」、その「かたち」が。
今の自分にしっくりきて この頃愛用しているのだ。
ピンク 薄紫 グリーン
透明 乳白色 濃い紫
その 一つ一つが表情の違う石達は
石独特の 持つ「ふるえ」「なかみ」「いろ」を私にいつも示してくれる、「仲間」なんだ。
「 うん、いいでしょう やはりこの色合いが 」
ん?
あれれ?
一頻り、ぐるぐると自分の中で 石を見直していたからか。
玉虫色は もうテーブルには見えず
奥の男達もいつの間にかいなくなっている。
「 ふむ。」
きっと今日は みんながそれぞれ忙しくて。
こうして のんびりしているのは私くらいなんだろう。
「 なら さて? どう するか。」
そう呟きながら。
「ご馳走様」、そう声を掛け 食器類を下げると自分も外へ向かう事にした。
とりあえず
外の空気を吸おう
そう 私の中の「みんな」が。
この後の準備の為に 誘っていたからで ある。
先ず 気の向くままここから出てみようと思い、青の通路を通ってデヴァイ本体へ繋がる廊下を 歩いてゆく。
うん
やっぱり なんか 「違う」な ? ?
そうして黒の廊下へ
一歩 踏み出して 目を瞑ると。
いつもと 違う 空気
特別な日
「世界」がそれを
認識してある 時間
普段 ピリリとする空間の粒子の質が「せかい」と混じり
「全体感」に 支配されてある 世界の 様子。
「 ふむ。」
やはり みんな知っているんだ。
深い ところで
見えない 部分で
「今日」が「その日」だと
「変わる」「節目」「変化」の とき
その時だと知ってある、空気
それは普段より「充満感」が強く
粒子も瑞々しく満ちて あって
せかいもそれに対して 準備をして。
「さあ 伝えるぞ」
「ふるえるぞ」
「受け取りたい者は 皆 こころせよ」
そう 示してあるのが わかる。
そして それと共に。
静寂の 深い湖に
融け込んだ様な 自分の周囲
頭の先から 少し 足先から 沢山
「見えない輪」が 体を囲み 通り抜け
「自分が更新されてゆく」のが わかる。
「 なんだ ろうか」この 感覚。
不思議な しかし心地良い 「密」感
深海のトンネルが 私の周りを拭い浄められてある 感覚。
「 ふむ。」
しかし 「浄化されている」のは わかる。
だから そのまま 真ん中の 惹かれる方に。
先ずは 歩いて行ってみることに したんだ。
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