透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
上 下
1,227 / 1,740
8の扉 デヴァイ 再々

静けさ

しおりを挟む

深く 暗く響く
 大地の おと

  地底の 響き

    大きな 大きな「いきもの」が 。


 「生きて」ある おとしるし

 鼓動の 呼吸の おと 。



「五月蝿過ぎるんだよな 。」


 高く 大きな煙突の天辺

 橙の空  燻り流れる 煙

その大きな筒から伝わるは 川底の振動
  それとも工場の働き か。

それはどちらもあるのだろうけど この純粋な「ものづくりの場」に あって。

なんだか「それ排気」は 必要な事だと思えたし
この世界シャットにおいてのその循環は 成立している様に見える。


「 なら。 そうなんだろう。 」

しかし、以前よりも格段に空気が澄んだこの橙の世界は 「煙」という「排気」も「浄め」の意図を含み出した気がして
何故だろうと その行方を見守っていた。

 以前は ただもくもくと吐き出されて いた 。

 その煙が ゆらり くるりと立ち上り 空へ
 消えて行ったからだ。



   「おと」

          「煙」

 「排出」

      「燃焼」
              「浄化」

  「深部から 伝わる揺れ」

     
     「奥底にあるもの」

  「繋がって あるもの」

  「せかい」

       「流れ」


    「見えないけれど ある 地面」


上の 表の 景色も美しいけれど。

私は下半身に伝わってくる この振動が好きで
音が好きで
地鳴りや地響きの様な この地の底からの「知らせ」が
何を意味しているのか
どうして自分がこちら地底へ 惹かれるのか

考えるでもなく
考えていて
しかしきっとそれがヒントカケラなのも 知っているから
高所の風に吹かれながら 橙の煙が散る様を眺め
そのまま身体には震えを感じている、この「瞬間」を 純粋に楽しむ。


 そうして 知るわかる

「世界」には この静けさを味わえる場所が極端に少ないこと
みんなと集まり いるのは 楽しいけれど
「私の場所」は「こちら裏側」なのだということ 。


「 ふむ。」

 見える「景色」と共に。

自分の裏側に展開される、「織物の場」「自分だけの時間が流れる場所」
それは「現実」で、いつでも「静かに 私の中にある」その 空間である。

時折「 ?!?」と、そこから離れ 景色に釘付けになる事も あるけれど。

この頃はそれも大分減って、少しズレても「いやいや、しかし 」 そうやって戻れる様になった。


 「せかい」と 呼吸を合わせる
それが上手く なってきて。

その 時々の「におい」を感じ 「かぜ」を取り込み
 「自然」と共に流れて 

人の多い場所や 自分が集まりに「参加」している時は少し難しいけれど、それでもきちんと「意識すれば」。

それは何処にいても繋がれるものだし
そうであるし 「世界」は「せかい」の

だから 私がきちんと ズレなければ。
 
 それは成る し そういうものなのだ。


「  ね。」


 ひとところの 風に吹かれ過ぎて
 飛ばされがちだった私は 少しは成長したのだろう。

この 誰もいない
   燃える荒廃した様な 景色

その中にあると とても落ち着くのだ。

 その ジワリ 自分の深部に沁み込む粒子を感じていると
 「ああ こちらが私の「ほんとう」なのだな」と。

心底 落ち着いて在れる、この場所で
暫しその感覚を沁み込ませていた。

何処にいても 「ここを使える様に」、留めておけば
いつでも自分の中から取り出せるからだ。



  「響き」  「おと」 「煙」

    「微細な もの」

 「その見えるもの 奥にあるもの」。


その「深み」「重なり」「奥」「裏」にあるもの

「なにか」が私に「次はこれだよ」って。

言っているのはわかるのだけど、その「すがた」はまだ見えない。

  見えない のか
  わからない のか

それはどちらもそうなのだけど、きっと私は「それ」を。

この「目」で見るのではなく 「心の目」で見るか
「わかる」か「知れる」か
そのどれかで 「これまでとは違う」のは はっきりとわかるんだ。

 だから その時が来るまでは。


「まあ。 遊ぶ、か。」

それが最善だと 知っているから
しっかりとチャージされたお尻を煙突から 離して。

 ポンポンと羽衣を 叩き
 また 大きく伸びをして
 すべてを吐き出し 深呼吸して くるりと回って。

   
    チラリと過ぎる あの色

  私の場所  暖かいところ
  
      この 橙に似た  焔

   それがなかに 「ポン」と 浮かんできて。


なんだか触れたくなった自分を認め

いつもの 場所へ 
     帰ることにしたので ある。

うむ。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

『 ゆりかご 』  ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。

設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。 最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。 古い作品ですが、有難いことです。😇       - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - " 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...