透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
上 下
1,216 / 1,751
8の扉 デヴァイ 再々

探求する者

しおりを挟む

「  ~ ♫  

    ふんふふん~  」

 ご機嫌な 私の鼻歌に

   一緒に揺れている 青縞の廊下の調度品達

  それは その「もの」が 揺れているのではなくて
 「なかみ」、その「粒子」が。

 そう 私の鼻歌のリズムに合わせ 踊り揺れているのが わかって。

なんだかとても 面白く 楽しい。


「そう、目が合うって こういうことだし。それに 。」

 そうなんだ

 自分が「光の網検索網」を 持っていると
 思ってから 。


「目が合う と言うか。 なんか、みんなが「扉」。」

そう それはきっと
 「私が 叩くと開く」、開けごまの様なもので
 「これはなんだろう」とか
 「何で出来てる」とか
 「綺麗だな」とか
 「感触は 手触りはどうか」 なんて。

その扉を叩く開くと、それ返事が返ってくるんだ。

 それは 受け取り手ひとによっても
 違うのだろうけど

でも「なにを見て」「なにを感じるか」、それと同じこの行為は 結局そういう事なんだろう。


「てか。 せかい、って やっぱり インターネットじゃん。」

そう思うんだ 最近は。


「 ふむふむ、成る程 そういうことなのね。」

そう呟きながら進む 青の中
 下ろした足から感じる絨毯の感触と 吐き出される空気
 そこからまた派生した粒子がフワリと空間に
  挨拶 して。

 その 「私が加わることで起こる 場の変化」
それが面白くて、全身で  進む。


  ん ?

そんな 私の前に。
「今 生まれました」とばかりに降って来たカケラが ある。


 「創造の 種」 「気付くこと」

   「自分の いろ」 「かたち」

  「自分だけの 解釈」「翻訳」

     「その 集まり」

  「ミクロと マクロ」


  ? ああ  なるほど ?


確かに そうか。

カケラ達が示しているのは きっと「気付きが」「カケラが」「自分のかたちが」
それ自体が 創造であること

 自分オリジナルの言葉で 粒子を読み翻訳して
 かたちを創る ならば。

 それ 即ち 「私達自身が 全体を創る創造のカケラ」でも あること 

それだ。

「そうなのよね、そこで 初めて。私達はそれぞれオリジナルの色で光り、反応して その全てが光の網の一部に なって。 きっと、そうして初めて、そこから。 本当にせかいを楽しむ事が、できる。」

そうなんだ
きっと みんながそれぞれ自分の「表現言語」「創造」で 
「形を現す」
そうしてそれが 発展性を生んで。

 また いろんな場所で
        新しい光が 生まれる。


「 成る程ねぇ   ふむ。」


この頃少し、休ませた頭でぐるり 世界を探検して。
溜まっていた澱を下ろし、新しい目で見える色も また少しずつ変わってきた。


 「考える」「迷う」「世界のカケラを回す」
 のじゃなくて
 「探求をすること」

自分が今 やっているのはそれだ。


 今は「世界中」で みんなが「自分を探求」していて。

世界を見ていると、それがよく分かるし
私も勉強になる事もあるし そもそも自分が持たぬ色を見るのは単純に面白い。

沢山の 提示されている方法を検討するのも面白いし
それぞれの色、考え方、組み合わせ方
そんなのを見ているだけでもとても興味深いのだ。
そうして、その中で。
思考の罠に嵌まりやすい人間私達に対して、「考えなくて良い」や「思考を止めて ただ見る」という方法を見つけた。

確かに私達は日々 考え過ぎていて
 悩んでこんがらがって 自ら罠の中に頭を突っ込んで行って それを楽しんで いる。
だから確かに、あまり「頭を使わない方がいい」のだけれど
私は自分のぐるぐるを、この頃見直し始めている。


 それは 「自分の中を検索する」
     「光達に 問い合わせる」
     「回すものは せかいのカケラ」
その「自分の頭の使い方」が 上手くなってきたからで

    そう 「かたちを創る」こと

それに関わる自分の思考の「使い方をマスターする」、それが重要なのだ。

 「自分を知ること」
 「「じぶん」という「かたち」を把握すること」
それは勿論、肉体的にもそうだけれど やはり精神的にもそうだ。

 「どう 在りたいか」
 「どう なりたいのか」
それは内と外、それぞれが相まって出来上がるものであり
完成形本当のかたち」は人によって それぞれなのだろうけど
私の場合は やはり。

 「内と 外の一致感」それは大切だ。

「見た目と中身の合致」、それは「名は体を表す」に似て
「清廉」に見えるならば そう在りたいもの

 うーん  でも ?

 「外から見ると黒」だけれど
 実は中身が「純粋な白」とかも いいな?


「ふむ?」

なにか 脱線してしまったけれど。


「 まあ、私は。 ぜんぶの色を含みたいし、その日によって違う自分も 好きだしな? うーむ、ホントに「世界」って 面白い。 」

そうなんだ
それも 眺めていて思うけれど。


 どこに いても  何をしていても

  みんなが   みんな

   本来 自分の色を 出してよくて

 だからこそ生まれる 沢山の「新しい 色」

 それを 「自由に選べる」こと


この、変化の始まりに あって。

それぞれが それぞれの思うままに進むこと
そうしてみんなが自分の道を辿り 最後には必ず 行き着くこと

「自分の選択を 越えてゆく」、その 道のりを。

どこまでも人は繰り返して、それが終わる。


「だから、私は。「考える」?「回す」?のを、止められないのよね。」

そう 私は「どこまでも探求したい」のだ。


 「楽しみたい」けど それだけじゃなく
 「改善」 それもあるけれど
 「今が悪い」 「足りない」訳でもなく
無数のカケラを持つからして ただ「待つ」のではなく
自分から駆け出して「自分のいろ」を 惹きつけ
吟味し 整理し 片付けて 効率よく纏めてゆく。

 しかし同時に「気付いていない」のもまた、事実で
私はわたしの「すべての窓」を まだ開けられてはいない。

「 そうなん、だよね 。」

  私は 「わたしのかたち」を
      隅々までぜんぶ 見たいんだ。


遠く 遠く
 何処までも続く 六角形が繋がる かたち
それはかなりの数開いてきているのはわかるけれど
なにしろ「そもそもの数分母」が多くて今 自分がどの程度 開けられているのか。

 実際問題 果ては 見えない。

以前はまだ「かなり開けられた」と 思えていたけれど
 「見えれば見えるほど」「開ければ開けるほど」。

その「かたち」はより大きくなり 微細になって深みも増して。
私に その「魅力的なかたち」を 晒しているのだ。

 その広大な「自分の敷地」 それを 見て
 出てくるのはワクワクの溜息と
 「私を待っている巨大な楽しみ」だ。

 「まだ まだいける」「探求できる」
それは 私にとって。
「積み上げられた タスク」ではなく
「自分の拡がる可能性」、そのものだからだ。


「  、ね。」

だからそうして その、「自分のかたち」の隠れている窓
それをぜんぶ、開けたなら。

 「本当のかたちひかり」が わかるし
 見えるし そうなり
 そう 在れるのだろう。


「ふむふむ。だから、こうして、すべてを ぜんぶを しっかり、見て。  しかし、結局どうして私は。「ぜんぶ含みたい」、「見たい」んだろうな ? ?そういうもの、だから? 」

ふと 思い浮かぶ疑問
 世界の中で「自分は何色なのか」探しているみんなを 見ていて。

そもそも自分は 欲張りなのか、
 くるくると回る カケラ達に問いかけてみるけれど
カケラ達が寄越してきたいろには
 見覚えのあるものが ある。


「ああ、成る程。そう だよね。 」

そう 私がまだ「楽しみたい者」ならば
 「素敵な色だけ」見てればいいのだけど
 「自分のかたち」だけを探せばいいのだけど

「本当のこと」を 探しているから。

 「せかいはわたし」「わたしはせかい」
 「すべてはまるっと マトリョーシカ」
それがわかった今 
結局「そういうことぜんぶを開ける」に なったのだ。

だから どこまでも 「 真実」を 見たいのだろう。



チラリ キラリと
  いつでも自分のなかを回る 小さなひかり

 「なんで」「どうしてだろうか」
 そんな 素朴で小さく
  単純な疑問から始まる 探索の旅
       ひかりを辿る道


 そこで起きている 「本当の かたち」を。

 元の素
       原始
  
   始まり    

 「存在している」という 事実 真実

    その本当のこと を 知りたいから
              わかりたいから。


 「どちらが」ではなくて
 「両側が 見える位置」で
 「すべてが俯瞰できる場所」で
その時の
 「一番高い私」で すべてにとって最善の 色を見つけたいのだ。

だって 私達は 元々は「ひとつ」で
「調和して 在り」、本来「辻褄が合わないこと」など。

 存在しない 筈だから。



   くるくる  くるくると

 何処からか また現れ

    回り始め  そして循環している

 「纏め」のいろ

  「楽しみ」の色

          「探求を始める」いろ

その それぞれが絡まり合い 追いかけっこを始めたのを じっと見つめていた。


いつの間にか 紺色の絨毯の真ん中で
 しっかり どっしりと立ち止まっている自分
 それを咎めるものは なし
 通りすがる人も いなく
くるくると煌めくカケラ達だけが 目の前に
美しく展開して。

  この「生というもの」
それが示す大きな地図が カケラの背後に重なり展開し始め
「自分が見えるところまで」の 道筋が
光になり私の元へ 晒されている。


「この、「途中までしか見えない」って 所が。私っぽい、ポイントよね。」

ずっと自分が「わかり切った既存の道を歩まない」と思っていた事を 思い出して。

 クスリと笑い その「未知への道」を
 遥か遠くまで 見渡す。

広大な その景色は私の中の想像ではあるのだけれど
なんでか昔から。

 その「未知」に対して「恐怖」を抱いた事がない事に 改めて気付き
 「ああ やっぱりそうなんだな含まれてるんだ」って。

 思うし わかるんだ。


「てか、やっぱり。 そういうこと、よね。」

 うん。


だから それを今日も胸に刻んで。

 ぐっと 視点を上げ
 天井の紋様も しっかりと美しいことを目に映して
 この空間全体の調和を思い、頷いて再び 歩き始める。


 なら 今日は あそこかな?

そうして、正面の白く清い扉と 目を合わせて微笑むと。

しっかり足を踏み出しながら
 緩り流れて ゆくので ある。




 








しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...