透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再々

いろんな私

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「これは何をやっているんだい?」

「ああ、それは石鹸です。こないだルシアさんに材料少し分けてもらったんですよ。」

「ほう、それはいいね。」

優しく細まる薄茶の瞳は、少しずつ外へ出る様になった私の行動を嬉しそうに見守ってくれている。


 ある日の 青のホール
  片隅に並べられている 石鹸の四角いかたち

 まあるく並んだ花達は新しく増えた仲間を
  不思議そうに眺めていて しかし
 歓迎ムードで 揺れても いる。

きっと その中に入れた香りが。
それまたルシアに貰ったラピスのハーブだから、それに反応して喜んでいるのだろう。

また違った香りのするそれは きっと「違う土の香り」がしてあの子達の良い刺激になる筈だ。

 なんとなくの その「発展形の想像」に
 微笑んで。

珍しく私の隣で上を眺めている、水色の髪を
私もじっと眺めてしまった。

いつも私が一人でボーッとしている時に。
誰かが通って、しかも 隣に座る事は意外と無いからである。


「最近は、他に何か作っているのかい?」

「そうです ねぇ  。」


質問 されると同時に
      色鮮やかに展開する

  私の 作業場   

    道具達   材料

  「集められた 必要」  「いろ」

  「カケラ」

     「インスピレーション」

 「組み合わせ」
       「反応」

    「思ってもみなかった 仕上がり」

   「より 高い ひかり物質」。


「ふむ?」

それはきっと。

 「必要私のカケラ」の 組み合わせだからできる
 「反応」

 「ひかり」と「物質」の 「一致」「融合」

それも、バラバラが ひとつになる 。

 「ジャンルを超えた」もの

 「囚われなく」「拘りなく」組み合わせられたもの

     "私流の 錬金術"だ。


「 そうなの かも。?」

「確かに。錬金術っぽいね。」
「あれ?漏れてました?」

「フフ、口に出てるからね君は。」

どうやら いつも通り。
普通に、口に出ていたらしい。

普段からいろんなものが漏れ出している自分にとって、口から言葉が漏れる事は そう驚く事ではない。
なにより このリラックス空間自分の場で。

 漏らすな という方が 無理なのである。


「 コホン」

 なんとなく 咳払いをして
 考え始めた 「この頃のカケラ」

今、私が「やっていること」と言えば

 「魔法の杖創り」「絵を描く」
 「部屋を整える」
 「新しい衣装を創る」「色んな装飾を創る」
 「石鹸作り」や 「金の蜜創り」
 「必要集め」「刺繍」
 「食べたいものを 食べること」「採りに行くこと」
 「動くこと」「せかいの観察」
自分の好きなこと全般を 満遍なくやっている
そんな感じで ある。


だけど そこから感じる「私の いろ」
それが徐々に拡がり展開し始めて。

それが「なにいろ」なのか、自分でも気になって
じっくりとその焦点を 探って いく。


「 ふぅむ。」

 それは。
 
  「もの」の組み合わせ と言うよりは きっと

   「わたし」が 多様であること

 
    「なに」と 囚われず
      あること  やること

   「なんでもいい」こと。


 そう それはきっと「本質」でもあって
 「なにもの」ではなく 「わたしひかり」が
 「多様である」「多彩である」、それそのもので在る ことだ。
 

「なんか。 だって。ぜんぶ、やりたいんですよね 。どんどんやりたい事とか、創りたい物とかが、出てきて。なんか 忙しくないけど、忙しいんですよ。」

「ハハッ。それは、いい。だから、君はそれでいいんだよ。なにもそれで困る事など、無いだろう?」

「確かに。 それはそうですね。」

そうなのだ
 忘れがちだけれど。

 私の「やりたいこと」は 「私の必要」でもあり
 私の「部分カケラ」でもあること
それは
 旅を共に進む 「仲間」を集めること


 それが「なに」で あっても。

 「必要」だから 集まること
         出てくること
         思い付くこと
         ので ある。


「なんか。 みんな光達が。後押ししてくれてるし、その場その場の持ち場で全員が 全力で為には。 、そうでなきゃ って事もあるし、そもそも 一番高い私が。「必要以外を寄越さない」、それはありますよね。」

楽しそうに私を待つ、薄茶の瞳は 
その言葉に少し 大きく開かれて。

しかし、ゆっくりと頷きながら 中身を整理してくれた様だ。

 そう 当たり前の様に 
 「通じている」と思って 話すけど。

私は意外と「自分語」を話している時が 多いのである。

この頃は金色や朝としか話していない時間が長かったから、余計にそうなのだ。

 しかし イストリアや本部長にとっては。
それが意外と 面白いらしいのだけど。


予想通り、ワクワクの色で話し始めた彼女の口からは 
やはり私に対する励ましの色が色濃く感じられる。

「なんだか君の「一番高い私」は、凄そうだね。しかし「そうなった」暁には、私も「その君」を拝めるんだろう。なにしろそれは、楽しみだ。」

「 フフフ 」


そう 言って 思って 
 共に楽しんでくれる人が いるだけで。

 どんなに 幸せか 。

その 有り難みを噛み締めながら 
大きく 息を吐く。


そうして
 ゆっくりと この大切な時間を沁み込ませ 
  仰ぎ見る あお

これまでの自分全てに感謝しながらも、なんとなく横を見て 目が合うタイミング
 その「合った」呼吸にクスリと笑い合って
 またぐっと 上を眺める。


 頭上には
 今日も 美しく優雅に舞うスピリット達
そして下には
  それに呼応する様に揺れる 花々が。

 これまでに無い「生命力」を感じさせ
 この「フワフワしていた空間」に「繋がりの糸」を齎しているのが わかる。


なんだか 「閉ざされていたデヴァイこの空間」に「生命の息吹」がプラスされたこと

 「地に足がついてきたこと」

 それを示す様に
  よりはっきりと見える天井の青 
   繊細だが 力強い線の運びと
 そこから下り見える 大きな窓から広がる
  より鮮やかに見える 青。


窓の外に広がる景色も 以前とは大分変わってきた。

 幾層にも 広がる雲

   多様なかたち  あつみ
 
      濃さ      速度

 幾重にも折り重なる「世界せかい」を
 模す様に。

 その 象徴的な 「かたち」を表す 姿

 それが 「示している もの」とは。


「 ふぅむ。」


 多様であること
 多彩で あること
 なににも 縛られぬこと
 流れてある こと。

ただ 目に入った「景色」だけれど
きっとそれにも意味は ある。
 私の場では 
なにも 「意味なく」「意図なく」。

「かたちになる」ことは、きっと ないからである。


「やはり。自然は せかいは。を 表す もの。」

そう改めて感じ、その変化を読み取って。
「変化すること」「見せてくれること」、その景色に有り難さを思う。


 そう きっと「それ窓の外」だって。

私の 一部で 
私が変化したから  もので
「起点」が「自分」であり 
「せかい」は繋がっている、それを知らせる
ものだとわかるからだ。


「ふむ。 連動、しているからしてやはり。それを、どう 創っていくのか。からこそ、見える、わかる 自分の中の せかい。」


さて 
今日もそのことを真ん中に 置き。

  なにを 創って 現して  ゆこうか

  想像を 始めようか 。


ブツブツと、呟き始めた私の横で 空気がスッと動いたのがわかる。

きっとまた 一人にしてくれるつもりなのだろう。
顔を上げると既に、一つに束ねられた水色が揺れて 扉に向かい歩いて行くのが 見える。

「 ふむ。」

 有り難き かな

フワリとその後ろ姿に感謝を送り、くるりと再び
自分の中に 視点を戻して。

 再び 舞い始めている 自分色のカケラ達
 その動きを 観察し始めたんだ。





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