透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再々

必要

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 そうして 改めて 魔女部屋の中を 
 見渡してみると。

 「必要」が 揃ってきているのが、わかる。


 整えられた 「魔法の杖」のコーナー
  
   長机は私好みの配置に並べ替えられ

 壁際の「材料スペース」は 素材別に
   
   文机は 「石たち」の場所

 寛ぐ スペース
  ものを創る 作業の場
    ただ のんびりするバーガンディー
      奥のスペース ミニキッチン横には。

 まだ フォーレストの寝床が ある。

なんとなくだけれど まだ。
片付ける気には、なれないからだ。


「会いに行こう」、と思ってから しかし
実際何処にいるのか 私の中に 還ってしまったのか。

「 ふむ。」

チラリと過った青緑
しかしこの間、大分あの島で喋り倒してから 私の中での「会いたい熱」は治っている。

 と いう事は やっぱり ?

 そう だよね ??

胸に手を当て、訊いてみるけれど やはりフォーレストはディーと共に私の中に いるのだろう。

「それなら。 うん。」



この頃、「目が合うもの」を見付けては吟味し
 ああでもない
 こうでもない と少しだけ検討して
「自分の場所」に 加えてきて。

「もの」が増え始めた魔女部屋だが、所謂「ごちゃごちゃ感」は ない。

 お気に入りだけ 集めてるからだろうけど

自分の神域が光の虚空になってから、「物質的なお気に入り」はここに集める事にしたのだ。
 多分 試してはいないけど。

 あそこ光の虚空に もの物質
 持ち込めないと わかるからだ。


「まあ、棲み分けって。 ことでしょうね。」

「別ける」という意図で言えば、自分の部屋のお気に入り棚はそのまま保存してある。

やはり「今の私」と「前の私」、その差が激しくて
並べるとなんだか違和感があるからだ。

今は部屋も使っていないし、あれは あれで。
そのまま、「記録」として残しておいてもいいだろう
そう思って そのままにしてある。

少しだけ「ウイントフーク色」を確かめる前に寄ってみたけれど、やはり自分の色の変化がわかって 面白かったのだ。
また、もっと変化してから 見てみてもきっと楽しいのだろう。


「そうね 。てか、「好きなもの」とか「お気に入り」と、「必要」って。違うのかな??」

ふと気になって、その色の違いを確かめながらも「今の私の色」の部屋の中をぐるりと見渡す。

「 ふむ。 なんだろうか。 ふるいにかけられてる?? 厳選度合いが違うかもね?」

 以前の お気に入り棚は
 「私のものではない お気に入り」も含まれている。

それは なんて言っていいのか わからないけれど
   「私の色じゃないけど 好きなもの」
それが含まれているのだ。

   
    「古いもの」
          「アンティーク」

  「手仕事」  「込もる もの」

     「息遣いの 感じられるもの」。


「あー。でも。 それだ。」

フワフワと舞う、カケラ達が教えてくれたのは
その「ものが持つ チカラ」「想い」「込もるもの」、私が好きな それだ。

だからそれは 「私の色」では ないけれど。

 「それそのものの 完成度が高い」もので
だからつい、手に取ってしまうのだ。

 「いろ」は 違えど 
 「粒子の質 高さ」は 等しい

言葉で言えば、それが近いだろう。


「あ~、なんかスッキリした。」

ふうっと息を吐いて、再びのクリアな目で部屋を見てみると
確かにその違いが わかる。

 「今の私」と 等しいもの
   若しくは そのパーツになり得るもの

 「いろ」「粒子の粒の大きさ」「質」
 「揃い 並ぶ 具合」「かたちの美しさ」
 「それぞれの互換性」「お互い囁き合う もの」。

今、ここには沢山の「もの」があるが
元々この部屋にあった「もの達」も なんだか私に合わせて変化している気がする。

 でも そうなんだろうけど

それに「新しく加えたもの達」も響き合っていて 丁度良い具合の空間が構成されているのである。

「なんだろう。 部屋に合わせてる、訳じゃないんだけど。 でも、「私基準」で選べば。 まあ、そうなるって ことか。」


 「新しく 惹かれたもの達」

 それは 「一目で」わかるものも あれば
 少しだけ「検討する」、その場合もある。

勿論、すぐにわかるのは「一目惚れ」「目が合ったもの」だ。

 「あ これ

そう すぐにわかる「いろ」、それはずっと
この扉の中に入るまでもで、慣れ親しんだ感覚だから すぐにわかる。


 しかし それ以外に「惹かれたけれど」
 少しだけ「検討した」もの

それは その「検討」が
「迷い」なのか それとも「吟味」なのかは
一考の余地があるが、その見極めも大分上手くなってきた。

 私の 得意「想像」その、「発展系」が。

「未知と仲良し」色ならば それは「○」だ。


「そう、   それは重要よ。」

多分、「自分のいろ」は すぐわかるんだ。
でも 「未知のいろ」は 「まだ」私の色ではない。

だから、少しだけ「検討する」。

「まあ、それもなんか。 面白いから、いいけど。」

なんだか自分の目を 自分で鍛えている
そんな感じである。

 ま なにしろ。

 とりあえず なんか「揃ってきた」な ?


そう 私がぐるり、眺め 腰に手を当て満足色の独り言を言っているのは 沢山の魔法の杖が並ぶコーナーだ。

「ふむ。」

沢山の種類の杖が並ぶ、その飾り棚の前で
「色んな私」が持つ 「色んな杖」を 眺めながら思う こと

  「必要」が 揃ってきたこと

 「これから」の 「かたち」が「取っ掛かり」が

  きっと 「想像」からの 「創造」
 この「杖を創る」も 関わって いること

 まだ見えぬ 「自分の全体像かたち」を。


  やること実行することで 探ってゆくこと 。



 「自分の中の すべてを

            繋ぎ合わせる」


そう、それは「私のかたち」を完成させる事でもあり 
「私のパーツ」「カケラ」「いろ」を集めることとも 同義だ。

「 ふむ。「必要は 持っている」って 言うけど。」

 そういうこと か。


ふと、自分の中に湧き上がってきたことば

 「必要は 既に持っている」と
 「すべてを繋ぎ合わせる」 。


私が今 やっている事は
 「実際に ものを創る」事だけれど
 それには「材料」が必要だし 時にはお金だって必要だろう。

 今のところ 森から調達したり
 魔女部屋の材料を使ったり
 書斎から貰ってきたり まじない畑で賄っているけれど。

しかし実際、私の世界だったならば材料屋さんに買いに行ったり 拾い集めたりしなければならないだろう。
そして、その為に使う「お金」と「時間」も捻出せねば ならない。


 でも。 でも きっと
  
  「本当」は。


    そう  違うんだ

 「必要」って。

  
    「自分の」 だから 
  若しくは  から賄われるんだ。



「  ふ~む。」

そう、ホントの ホントの本当の ホントに。

 例えば私が 「魔女だったなら」。


「 なんか。 素敵。 いや 違くて。 」

そう、それは「そうなる」もので
「なろうとしてなる」とか「頑張ってなる」とかでもなくて
」、それ即ち
自分の流れに 乗っていれば。


「    ふむ。カケラを集める、が 必要が揃うのと同義で、その「かたちが整っていく」に連れて。 最終的に、って、ことなんだ。 」

 
   なるほど   なんか。


    納得 である。


 今 自分が実際 やっていること
 それを 続けていくこと
見えなくとも
 惹かれる方へ 動くこと
 吟味して 
  未知をプラスし
    軽やかに 進んで行くこと。


「ふぅむ。 」

いつかどこかで聞いた言葉「必要は持っている」それだけれど
なにか私の中には違和感が あった。

しかしそれ違和感はきっと「世界」での 話で
確かに「世界」では
「必要」だからと、何でもかんでも手に入るかと言えばそれは違う。

何が違うのかと言えば それは「目的地」「行き先」が ズレているからなんだ。


だから
  そう きっと 「真の姿かたち」に

  「必要」 ならば。


「それはきっと、「揃う」。 ていうか、確かに な ??」


 「自分のいろは わかる」
 それと同じできっと自分の色は自分の中に ある。

 「含まれている」から「捻出できる」
 「その時が来れば 降りてくる」のだ。

 ただ それが 「見えるか」「まだ見えないか」だけで。


「ふぅむ? そしてそれに、「未知」をプラスすれば更に新しい創造になって それ即ち「せかい」の不思議、錬金術 10の扉であり 創造の扉、なのだな ?」

 きっと そうなんだろう。


それは 「私だけ」では 成らぬもので

 「すべての光」  「見えないものたち」

 「ひかり」と「物質」の 共同創造


 私達動ける者が 動けない
           表せないものから
 光を受け取り 「形にする」 光の連鎖

 
   「繋ぐこと」

          「繋がること」


  「本当は 

 それを。


「現す。「かたち」に、する。」

 手を 繋ぐ
 リレーをする
 上から下ろしてゆく
  その かたちは色々あろうが 
 すべては 共同作業 ということ

 「全体」の どこが欠けても。

  成らない、「すべてが必要不可欠」な 創造。


「 えっ いや   しかし 。  を  」

 創るんだ ろうか 。


真っ新な 頭の中に。

勿論、それは まだ ない。


  いや しかし

  でもきっと。

   んだ 「もの」は。


  それが 「なに」であっても

 「光を具現化したもの」ならば それきっと

 「意図していること」は 成る からだ。



「  ぇ」

   ? ?

  ふむ。  「その 意図」とは。


    如何に。



暫し、自分の思考が散歩に出かけて
 なんとなくの現実逃避を感じながらも。

齎されたカケラから「次の波」の匂いを 感じていた。


   うん。  私が「今」創って いるのは

 「魔法の杖」若しくは「錫杖」的なもの だけど

   多分 「それで終わり」「それしか創らない」
   そんな訳は ないのである。


それは 自分の事だから、重々承知なのだ。

 ただ 「なにを創るのか」を わかっていない
 だけで。


「  ふぅむ。 でも。 しかし、また。 降りてくる でしょう、うん。」

そうとしか 言い様がないけど。

「ま、悩むだけ無駄無駄。 私も最近 大分「自分マスター」に なってきたな ??」


 ふぅ 。


そうして 長く 大きく息を吐いて。

その「次はなにが」のカケラが片隅で 回っているのに 気付きながら
とりあえずは放っておく事にして。

再びの自分の作品堪能を 始めたので ある。






 

    





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