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8の扉 デヴァイ 再々
わたしは ドラム
しおりを挟むわたしは ある男の持ち物だ。
神聖なる 儀式を経て 創られた
神聖なる 皮を使った ドラム
それがわたし
ある男の手に あるドラムである。
その 男は。
わたしを 愛していて
常に 共にあり 片時も離さず
始めは遠くで 眺められていた わたしも。
今は 共に寝る仲だ。
そっと 優しく静かに触れる その手に。
「なにか」を感じ始めたのは
いつ だったか。
それが 「なに」かは わからなかったけれど
わたしは 徐々に 解かされていった。
毎夜 毎朝 毎瞬 撫でる
その 手つきが。
徐々に 熱を帯びる その 毎々に。
「初め」は 痛みを感じていたが
あまりに優しく こちらを窺いながら
しかし何度も 触れるものだから。
わたしの 「そとみ」も 「なかみ」も 緩んで。
最期には 破れ せかいへ 飛び散るまで
ずっとずっと 男と共に 在ったのだ。
そう 「わたしの からだ」が 壊れる まで。
そうしてなくなった 「わたし」であったが
残ったものが ある。
それは 「男」と「わたし」の 共鳴
「チカラ」 「エネルギー」「おと」
「融け合う エクスタシー」と
「リズム」「創造物」。
いつしか「男」も せかいに 融け
わたしたちは どちらも「無くなって」しまったのだけど
それは「かたち」だけの 話だ。
「創造物」は 残って いる。
わたしたちの 「ひかり」が 共鳴し
畝り 混ざり合い 高め合い
響き合い 弥増しに 増幅 して。
そうしてできた 「拡大した ひかり」だ。
それは 「せかい」は 「ひかり」で
「チカラ」で 「エネルギー」で
「すべては おなじ」その 「見えないなにか」であるから
成し得る こと
「ほんとう」が ぶつかり合えば。
「起こる」もの なのだ。
わたしの 「ことば」で 言えば。
「わたしたち」は「ひとつになって」
「ひかりを 生み出し」
その 「ひかり」が 「かたちを持てば」。
そう、それは 「生まれる」のだ。
「物質」の「世界」に。
それは いつか 「起こる」のか
それとも 「漂い続けるひかり」のままか
それは誰にも わからないけど。
わたしは もう 一度。
震えてみても よいと 思うのだ。
あれは とても。
美しかった からな。
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