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8の扉 デヴァイ 再々
綾の龍
しおりを挟む光の河の 中を
なにかが縫って 進むのが見える。
とんでもなく 心地良い空間
自分の「光の虚空」に似た そこは
河の様でもあり しかし 「空間全体」は。
「流れる」光の粒子で ある。
そして より 濃い「豊かさの いろ」
白金 金
白
薄桃
煌めく檸檬色
それらを導く 透明の ながれ
ひかりの ながれ
生命の ながれ 。
豊かなる粒子の河は 生きていて
脈動し 揺らぎ 流れ
その 何処までも続いてゆく 流れの中を。
空を 縫う様に 進む
「綾」の 龍
それは 組紐か 水引か
なにしろ金銀の 「繋がり」で編まれた 巨大な龍で
私の下を 優雅に泳ぐそれは
優に 列車を超える 大きさ 長さ
実際
何処まで続いているのかは わからないけど。
この 壮大な流れの中にあっても 一際目立つ
その 高い光から。
目が 離せなくて
ただその美しさに震えながら 共に 進む。
ユラリ ゆらりと からだを揺らしながら
流れて いるのか
泳いでいるのか。
なにしろ大きなその体は 「編まれている」ので
透けていて。
その 下の 光の粒子を透かして 映し
また更に下にある 光を透して。
その 自身の雄大さを 物語っている様でもある。
「雄大」という言葉では 足りない その姿
しかし私が今 持ち合わせるのはその言葉のみで
だが「綾の龍」が 「新しい私の場所」だというのは よく わかる。
この頃 どんどん変化 進化
変容 してゆく 私のなかみ
それに合わせて これが現れて。
「流れる 光の網」
そんな 風に。
きっと まだ 一処に留まらずに 流れてゆく
そんな采配なのだろう。
「最高の私」の 筋書きで言えば。
きっと そうなのだろうと わかるのだ。
なにしろこの美しい 龍
新しく現れたそれを 拒む理由はない。
とりあえず 夢なのか なんなのか
分からぬままその心地良さに身を委ねて。
ただ ただ この頃の 展開を
自分の中へ 奥へ
最奥部へと
沁み込ませて いたのだ。
「 う~ ん。なん か。 いいな。」
ゆめ なのか
私の神域で 展開していた「事実」なのか。
そう ぼんやりと思いながらもぱっちりと目を開け、感じた事を口に出す。
この頃 やはり思うけれど
「口に出す」と 「かたちになる」。
それは やっぱりそうで、「いい感じ」ならば「いい感じ」と 言った方が。
「より、いい感じになるならば それに越した事はない、のよね。 」
うむ。
そうして、自分の所在を確認しつつも
同時展開し始めた 新しいカケラ達が回るのを
ボーッと 見て いた。
「わたし 」
「なかみ」
「金色」
「いっぱい」
「龍」
「だから ?」
「あの ながれ ??」
「綾 」
「光に 委ねること」
「別の自分」 「何処かの私」
「その時の最高の私」
「最善を尽くす」
「すべて で なる」 。
その 「流れ」が 示していること
「青の本」を読んでから。
私の中に 流れている 「新しい いろ」。
それは
「過去の私」から頼まれたことを
「今の私」は やり遂げられると いうこと
せかいは わたし わたしは せかい
どの 自分も ベストを尽くし
そして「失敗」も「間違い」も ないのならば
それは 「必ず 成る」し
そういうふうに できているんだ 。
それを しっかりと わかって。
「次」へ 進むと いうこと。
そう 私が間違えてはいけないのは
「過去の私」が 「可哀想」ではないということ
足踏みをして 何度も繰り返す澱の色に惑わされずに
それを受け入れ 認め
更に言えば 祝福して。
「よく、こんな鮮やかな色、見つけたね!」って。
一緒に 喜んで 味わったことを祝福して。
そうして澱 だけを虚空へ送り
その鮮やかな「いろ」だけを持って
「すべてを含む 私」として 存在するのだ。
だから 成る。
私に まだ足りなかったものは
「理解」「飲み込み」「わかること」
それを 深めること
そして
「なにをも受け入れること」「認めること」。
そう 「夥しい数の私」は どれも「最高の私」で
「諦め」と「絶望」という、物凄く素敵な色を持って私の元へ帰ってきた 光なんだ。
それを。
世界を 見ることによって
「可哀想」「間違い」「失敗」「弱い」などと。
そう またいつの間にかしていたのは 紛れもなく「自分自身」
だからそれに気づいた今、そこから更に上がって。
その 薄く薄く しかし広大な澱を
全て 洗い流して。
進むんだ 解して。
もっと もっと 細部まで
解き 布から 糸にして 繊維にして
粒にして 粒子にして 液体にもして
幾重にも分け それぞれの方法で 浄め
洗い直して。
また 紡ぎ 織り 仕立て直して。
「新しい 今一番高い私」の 羽衣として
纏うんだ。
「 うん。」
それが いい。
そう、一つ頷いて決めると。
薄い澱が逃げぬ様、自分の中にぐるりと光の網を張り 標をつけ 魔女部屋へ向かう事にした。
とりあえず作業するのなら あそこだ。
そう、私を呼ぶ声があるから。
なにしろとりあえず、その気付きを持って しっかりと歩いて行ったんだ。
しっかり 廊下の絨毯に足をつけ
その踏み込みを確かめながらも青の流れを目に映し 進む。
魔女部屋へ向かう廊下は、創り変えたものだけれど
いつもの住居部分よりは簡素だ。
なんとなく その理由を感じつつも
少し固く 踏みしめやすい絨毯
少しずつ変わる壁の塗り まじないで創った筈だけれど、本部長と私の「違い」がわかる部分が 面白くて。
そのままそれを観察しながら、木の美しい彫りの扉を開けた。
「多分。その、なんでもないことが、大切なのよ 。」
そう 廊下を歩きながら私の中で回っていたカケラは「名もなき光」達
「夥しい数の私」が示す 「なんでもない私」
「我慢していた私」「何も言えなかった私」「諦めた私」や「絶望した私」「弱い 私」だ。
それは。
「世界」の中であれば弱き者、階層の中では底辺を彷徨う者である が
しかし。
だからこそ 多く 広く 強い
何処にでも ある ひかり
あった 光 。
それも 知っているのだ。
だから そこにヒントが ある。
そう思って、ぐるりと部屋を見渡すと 混沌の鍋に視線が止まる。
やっぱり あれかな 。
そう、自然に視点が定まった その鍋へ向かってテーブル、机の間を縫ってゆく。
そう 「縫う」それも。
「私というもの」に 付随してくるキーワード
「織る」「縫う」「紡ぐ」「解し」「洗い浄め」
「また織り直す」もの。
綾の龍を思い浮かべながら、混沌の鍋の前に立った。
「 ふむ。」
きっとこの頃の閃きは
私の新たな側面の 新しい構築 組み合わせで。
また 「新しい私」を 自分に齎すもの
それは わかる。
「さて。 それを、どう 料理するか だな。」
この頃のカケラを思いながら、とりあえずかき混ぜ棒を持ち。
腰に手を当て、ふと その棒のつくりを見る。
「 ふむ。」
それは、所謂「木の棒」で 馴染んだ滑らかさと削れた先がとても使い易い、かき混ぜ棒である。
いや しかし なにか。
こう、「工夫」? が 必要 かも。
「うん、らしいって。 大事よね。」
そう呟いて何か良い素材がないかとぐるり、部屋を見渡す。
いつもの棒でも いいのだけれど
なにか。
こう。
アイテム?
なんか 私の変化に合わせた 「特製かき混ぜ棒」
ないしは 「スティック」的な 私のやつ
欲しく ない??
私の中で「かたちから入る」のは 大事だ。
「本質」「ゴール」「こたえ」が 合っていれば
かたちはなんでも良いのだけれど
実際、今 まだ「見えないものが見えない」時に
「かたちが整っていない」ことは。
時に 誤解や 齟齬を生む。
いや、分かり難いのか。
細部に気付けない事で、折角の作品が過小評価されるに近い それ
若しくは「言い方が悪くて誤解される人」にも近い。
「うん、まあ それはいいとしてもさ。なにしろ私は「美しいもの」が、好きなのよ。」
まあ 単純に言えばそれだけなのだ。
そうして窓側の引き出しにアタリを付け、順に探って行くと 三番目の引き出しに良さそうな手触りがある。
「 ふむ?」
椅子に乗っているから、中身は見えない。
とりあえずそれを取り出して、窓の光できちんと確かめる。
あ。 これ。
「生きもの」だ。
そう 直感的に感じてまじまじと観察してみるが、きっと何かの「角」だと思うのだ。
でも、確かめる術はここには無く もしかして本部長かイストリアが知っているか それともフリジアか。
いや 元祖魔女部屋の方が
不思議なものが沢山ありそうだからな ?
そんな事をつらつらと考えつつも、椅子から降りそれを加工する事にした。
長さや形状も、丁度いい「私の為に」入っていた様な 角。
「でも。 そう、なんだろうな。」
ここに以前からあるまじないの事を考え、それもアリだと思いながらも 何か滑り止めになる材料を探す。
長さや形は問題ないのだけれど、如何せんツルリとした角は油断すると混沌の中に滑り込んで行きそうなのである。
まあ「手を離す」とも言うが、自分の間抜け加減を重々承知している私は 滑り止めの麻紐か布か、何か適切なものを。
そのままぐるぐると、物色し始めたので ある。
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