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8の扉 デヴァイ 再々
再設定
しおりを挟むいつの 間にか。
頭の中に蔓延っていた ごちゃごちゃが
一掃されて「まだ こんなにあったのか」と
少し驚きながらも 心地良さに集中 する。
私の思考は 本当に風の 様で。
フワリと直ぐにどこからか、なにかを拾って来て
くるくるとカケラを回し始めるのだ。
そう 「仕事熱心」なのは いいけれど。
隙あらば 自分の触手を伸ばし
「「世界」すべての澱を廃さなければ気が済まない」と いう程の細かさでそれをするものだから。
忙しいのだ。
基本的に いつも。
しかし、この頃「せかいと揺蕩う」のが上手くなって来た私は。
カチリと自分を切り替え
「からだは大地」「なかみは無限の星屑」
それを自分に課して 切り替えがもっと早く 上手く
できる様練習している途中だ。
今の所、まだ いちいち「視覚化」が必要だけど。
そのうち瞬時に切り替える事が可能になるだろう。
いつも「同時展開」は、ある意味無意識でやっている。
だから 多分。
それも 慣れればできると 思うのだ。
そうしてじっと 白金 無限 星屑を贅沢に流し
自分の中を心ゆくまで。
再設定 していたんだ。
ああ でも 。
この 状態が やっぱり いちばん
気持ちいい な
なんでもない 私
ただある 自分
それが「実現できている」のが
ようく わかる んだ
きっと 。
フワリ ゆらり
目を瞑り 静かに細く長い息を吐き
冬眠の様に 自分が「静止状態」であることを
側から眺めながら その 「自由」を満喫する。
静かな
静かな わたし
それを 満足そうに 眺める 「高い光」
「それでいい」と知っている
安心感。
あ ~
ありがとう いつも 。
ありがとう うん わかった
これで いいのね うん。
あ ~ 気持ちいい な
「お前が下を見るな、という事だ。」
ぇ
「 うん? はい。」
うっかり そのまま。
自分の神域へ飛びそうだった意識を捕まえ、くるりと声のする方へ戻す。
そう その突然、飛んできた声は。
?
そのままシパシパと瞬きをし しっかりと場の確認をする。
半覚醒状態のまま 顔を上げると
いつの間にか 「デデン」と本棚の前に立っている白衣
そのままぐるぐると回るのかと思いきや、本の山を一周してから「ストン」と。
私の前に座り、腕組みをして 話が始まった。
「人は誰しも役目があり、それをそれぞれが果たす事で全体が上手く回る様になっている。お前が下に降りてくれば、その力の大きさで場が狂う。今回また目の当たりにして、思ったんだが。」
えっ はい
なんで しょう ?
微細な 灰色が浮かぶテーブルの上
フワリと浮かぶ 「澱になる前の 雲」。
半分フワリとしている私の目に、よく 見えるその雲は
気になるけれど 同時に正面にあるは 少し渋い顔の本部長
しかしそこまで言われて聞かない道は ない。
手で続きを促しながら、一緒に向きも くるりと変える。
そう 眼鏡の奥の瞳が よく見える様にだ。
「お前は、まだ子供だ。いやしかし、中身は子供じゃないんだろう。それは解っていたつもりだったんだが、多分。お前が思うより、俺達が思っていたよりも。お前と俺達の距離は、遠い。………いや、「中身の距離」だがな?魂の位置、段階なのか。」
じっと、その私を伺う様に話す口調が珍しくて
しかも私に気を遣ってくれているのも、わかって。
ジワリ 胸が温かくなり 「距離」にも
澱が浮かずに済む。
そう それはきっと「事実」で
「私が受け入れなければならないこと」で。
本部長光からの 後押しでもあるからだ。
「まじない石の測定ができない様に、その他の事も同じだろう。気になる事、改善したい事、できる事は沢山あるだろうがそうではないんだ。お前自身だって、小さな事に拘っていられないだろう?位置が、場所が違うんだ。お前は全体を底上げする為に、全てを引っ張り牽引していく役目だ。その、「流れを創る」事を聞いて、また納得したが。そうなんだ。俺達もだが、お前も…いい加減、そろそろ、解れ。」
「 あっ はい。」
うん 確かに
そう だ。
言葉は強いが 思い遣りの感じられる声色に
私のハートは暖かく包まれて。
その分グッと
「もう 時間だ」という後押しの光が 熱く感じられる。
「まだ、解らないんだよ。みんな、まだまだ君の場所まで達していない。」
「そこに悪戯にお前の力を突っ込んだって、無意味なだけだ。」
「 ぐふっ」
「今のままで、いいんだよ?首を突っ込み過ぎている訳ではないんだ。けれども。もっと、自覚が必要だという事かな。」
本部長のフォローをしながらアドバイスをしてくれる、その様子が嬉しくて 直ぐに上向きになれる 現金な私。
そんな私の顔を見ながら、嬉しそうな薄茶の瞳と微笑み合う。
「きっと君は。自分に厳しいんだろう。いや、その目を、基準を持っているからそうなのだろうし同時に自他共に厳しいんだ。他を縛りはしないが、暗に認める事もしないだろう?…ああ、それはそれでいいんだ。だけど。みんな、基本的に自分に甘いから「甘くして欲しくて他人にも甘い」んだ。」
「 ああ、それはなんか。 分かります。」
「そうなんだろう。だからこそ、君独自の境界を持つし、それが有効なんだ。君は自分をもっと誇っていいし、認めて、いいんだよ。」
「 あ りがとうございます。」
ゆっくりと優しく 念を押す様に。
しっかりと私に 沁み込む様 話してくれる
その姿勢が とてつもなく 有り難い。
やはり 他の色から届く 光は。
私を外側から固めてくれる
かたちを はっきりと示してくれる
指標にも なるからだ。
「柵のない、お前だからできる事がある。こっちは俺達に任せて。上を、見ろ。」
「 はい。」
その、最後のひと押しに。
共に 上を見た 視線
天井の白 いつもの白衣
散らかっているけど綺麗好きな 山の影に
キラリと光る 玉虫色が見える。
またみんなの為に奔走してくれている、その小さな体が愛しくて 今度撫でようかと考えつつも拒否される姿が目に浮かぶ。
「 フフフ 」
確かに 「場」には 縛られていない 私
「光」や「血」、若しくは「魂」の縁は
多分にあると 思うけれど。
所謂場所や、ルール、慣習などの縛りは 確かに ここには無いんだ。
それに。
イストリアが言ってくれた「光が当たる」
それが私の中でヒントになって
「ひかりのカケラ」がくるくると 回っている。
「光を当てる」 「照らす」
「焦点」 「集まる」
「拡大」
「レンズ」
「そう 作用する」、巨大な顕微鏡の様な
わたし。
確かにそれは わかるんだ。
多分「外側から見ている」私は、エネルギーゲームからは
外れていて 「側から光を当てている」
その表現が 近い。
そうしてその「光の反射」で自分のかたちを観察し
知り、判り、みんなからは見えない場所で微細なズレを直し 澱を排して。
「自分のかたち」「自分の道」を 創造しているのだろう。
「なんか。ライトを、 当てて?影を見る?影 じゃ ないんだけど、なんだろうか。」
「シルエット」か「かたち」、それが近いかも知れない。
でもそれは「平面」ではなく「立体」で
「光の粒子」で どこまでも細かく「かたち」を
観察できるもの
あの「3Dスキャナー」に近いかも知れない。
なにしろ「ことば」は微妙で 難しく、ここまで来ると確かに朝の言う様に「依る語」を開発した方がいいかも知れないとも、思うのだ。
「ふむ。 まあ しかし。」
ちょっと 面倒 「きめる」のは。
縛りは 無い方がいいし
いつでも 自由 適当 チャランポラン?
そのくらいで いいのよ
うん。
そのうち「必要」が来たならば、そうなるのだろう。
なにしろ 「今」じゃ ないってこと
それならば。
そう 切り替えて顔を上げると 。
スイッチ代わりに 「カチリ」と浮かんだ青と 黒
懐かしい色のカケラ達。
「夜」
「星々」
「ひとり」
「窓辺」
「教会」
「あの部屋」
「みんなが 寝ている時間」
「まだ 誰も起きていない朝」
「意識されていない」
「認識されない 空間」
「ただ ある」
「そこが一番 心地良いこと」。
ああ そうか。
それは ずっとずっと 前に。
ラピスの 家 あの二階の部屋の窓から見ていた青
夜の紺と黒
朝が白んでくる色
「世界が眠っている 時間」。
確かに。
あの時も私は「この時間が好き」と、思っていたし
それはこの 扉の中へ来る前から そうで。
それはやっぱり そういうことなんだ。
「夢の時間」 「星と共に 瞬きする瞬間」
「夜が着替える前」 「見えない 時間」
「朝が起き出す 前の時間」。
その「隠れた感」「籠り具合」に思いを馳せるとやはり
ピッタリ きて。
その 誰も いない 見てない
認識できない 空間で
でも
私が見たい時は 「世界」を眺められて。
きっとそれは「世界の窓」から 覗く「世界」
そこから光達を見守りながら 私はひとりで。
「みんなの 冬の靴下を編む」
そんな生活が いい。
勿論、一つ一つはオリジナルで 色も光に合わせて「私が思う ベストカラー」で組み合わせて。
「えっ ホントに。 かなり、いいな これ。」
ひっそりと夜、寝ている間に完成品を枕元に置く
そこまで想像して その展開になんだか笑みが出る。
でも、この方法は案外使えそうである。
どうしても、まだ「世界」を覗くと澱が出るし 下降しがちだ。
しかし どの 人にも「合う色」を考えながら
「温まりたい時用の靴下を編む」、その想像を
していたならば。
「 えっ、いけそう。 ふーむ。なるほど ね。うん。やっぱり。そうなんだ。 」
そうして一人 深く頷く。
目の 前の 水色のティーセット
薄く優雅な曲線の飲み口は お茶が美味しく感じられる
あのベストの薄さ
その華奢な取手に スッと 指を入れて。
少し温くなったお茶に、やっと口を付けて
オヤツもポンと 口に放り込んで。
「 うん。」
おい しい。
その 様子を見てお代わりを用意してくれるイストリアと
顔を見合わせ笑いながら。
私の 中の カケラも。
勿論、無限に 「ポイ」と放り込んだので ある。
うむ。
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