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8の扉 デヴァイ 再々

感謝

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 ぐっと くる胸
 熱い ハート

 苦しくはないが 少し苦い気もする全体の味
 私のからだの中を巡る 「みんなの気持ち」。


「ありがとうございます。 大丈夫なんですよ。 大丈夫、でも。 ちょっと待って下さいね? 」

チラリと顔を上げた私を見ている目は、心配の色を見せてはいない。

 ふむ。

しかし、イストリアがそう言っているのなら、そうなんだろう。
なにしろ私は、「本部長の知りたいこと」と
「私達の繋がり」を探して来なければならない。

 え

    でも


        多分


             それって。


  

     「おんなじ」だよ ね ???



ジワリと胸から拡がる温かい感覚は、私の光達がいつも送ってくれる「愛」と同じ感覚だ。

なにしろそれを、胸から ずっと全身に廻らせながら。

「 ふむ。」

スポンと、自分の中へ潜って 再びかたちを観察する事に した。



 あーーー 。

 でも。


  そうか  本部長 いや ウイントフークさん、
   そうか。


私の中には「本部長色」がドカンと居座っていて、検索しようとかたちを見てみるけれど
なにしろあの水色の髪が視界を覆っていて なかなか抜け出せそうに、ない。

 ふむ。

 ならば?

  とりあえず は。

   思う  存分   浸り切って

             やろうじゃ ないの。



    「ありがとう」

  「ありがとうございます」


  「本当に いつも。」


 「ずっと ずっと ずーっと」


   「見ていてくれて」「心配?」

 「遊んでくれて?」 「気にしてくれてて」

 「興味を持ってくれて」 
        「色んなもの こと」

  「頼りにしてます」


  「本当に ありがとう」


 ま、 これからも。

  「よろしくお願いします。」だけど ね。

   うん。



ジワリ ジワリと沁み込む水色、それはきっとイストリアの分も入った 色で。

 特大の 特別な二人の いろ

そう、この二人は私にとって やはり「特別」なのだ。

 その 「特別」に 出逢えた こと

  こうして 「繋がり」「関わりあって」

 「助け合い」 「思い合うこと」

 その、ことへの

  「感謝」の 気持ち。



「 ああ だよ ね。 」

忘れがちだけれど、私達が「出会う」
それだって当たり前では ない。

 なにが 
 どうして
 どう なって

 微細な 微妙な 選択の違いで。

 「道がたがうこと」

 それを充分にわかっている 私に その「特別」は大きい。


 「細か過ぎるセンサー」にずっと引っ掛かるもの
 「見えないものを見るセンサー」にも
             きっとずっと ある
 「大切なこと」
 「間違えてはならない場面」
 「この 瞬間」

 「いつでも選択」の 時だということ。


改めて二人の色を感覚で確認して、一つ頷くと。
自分を「おもて」に戻さぬまま、再びスポンと「なか」へ潜って行く。


 なにしろお礼を言うのは「こたえ」を見つけてからだ。

それを解っている私は、そのままずっと
自分の形へ向かって小さく 細く 微細な穴が 見える様に。

 自分自身を 細かくして。

 ズンズンと 潜って行ったんだ。





 わたし の 奥の奥にある
   いや もしかしたら「裏側」なのかも知れない

  遠くにある様な
          物凄く近くにある 様な。

 そんな 不思議な感覚の「新しいカタチ蜂の巣データベース

 それはきっと「大きさ」は なくて
 ゼロで なんでかはわからないけど。

 「かたち」は あれど 「大きさ」はない

 そんな感じの 蜂の巣

しかし、今 私が向かっている「その場」は物凄く小さい。

  ミクロも ミクロ

   そのまた もっとミクロ の なにか。


その、「ことば」はわからないけれど「ことばそれ」が重要な訳じゃない。

それに、私は。

 「世界現在の 澱の着いていないもの」
 それを構築しようとしているのだから、それでいいのだろう。


「 ふむ?」

なにしろ極小の「それ」を目指して、ぐんぐん自分を小さくし 奥へ下へ上なのか 何処なのか、ぐっと深部まで 潜ってゆく。


  ふーむ ?

    して?   なに が ??

  知りたい んだ っけ ???


くるくる くるりとカケラを回し、出てきた色は「血」
赤いカケラだ。

 その 深紅は 瑞々しく 生々しく
    しかし とんでもなく 「美しくて」。


 ああ  

   きっと   だ。


その、「継いできたもの」 それが「それ」なのだと本能的に わかる。



  鮮明 に   生々しく


  未だ  「わたしたち」を 繋ぐ

  その「いろ」


それは「記録」では なく。
「自分」の「構成要素」の一部だ。

  微細な 粒子の 「ある 部分」

  「おなじ いろ 」 「その特異な いろ」。



「    「血」か 。」

それは。
いつだって 私達を縛ってきた それだけれど
しかし逆に言えば その「大地を巻き込む繋がり」を保つ
唯一の 方法
一番 確実な方法

 本来ならば 忌み嫌われる様な ものではなくて。

 「尊ばれる べきもの」「大切にされるもの」。


「特別」なんかじゃなくて。

みんなが それぞれに、持つ 「特性」「美しさ」「その 繋がりでまた 美しいなにかが生まれるもの」なんだ きっと。


きっと私の縁は「血の縁」「光の縁」「魂の縁」、それがあるけれど やはり一番「強く」「濃い」のは「血の縁」だ。

この「地球」という「物質からだ」に引っ張られる もの
そこから生まれた もの
付随している 生命、「かたち」という在り方。

きっと 光だけ 魂だけならもっと簡単なんだ。
私達の「経験」、それにくっ付く澱は「肉体があるから」、でもある。
 光と魂は 楽しむ だけ
 経験するだけ
 感心 関心 興味 好奇心だけだから。

酸いも甘いも「澱を味わう」のは、私達が肉体という「感じる器官」をからなのである。


 その 「感じる」部分が 継いてきたもの
 
 「血の縁」「私たち」「軸」「要」

  「いつもそうであった もの」。


 それは一体 何を意味して いるのだろうか。
 それとも。

 なにも。

 「意味」など。  無いのだろうか 。




  「血の 縁」

            「赤」

     「深紅」


   「ひかり」

       「一部」  「粒子」

 「構成要素」
         「おなじ」  「いろ」


    「繋がり」

  「強固」    
           「ある」

        「見える」
                「物質」


   「ヴィル」
          「ディディエライト」

  「惣介」   
         「セフィラ」


    「気焔」     「依る」



   その 金色に包まれた  淡い白

  何色をも含む  「多色の透明」

   わたしたちの いろ。


 その、「多色の透明」は 反対側である
 「金色」に包まれ 安定してくるくると私の中を
 回って いる。

           

「美しい な。 」     



 くるくる  くるくると回るカケラは
  ただその輝きを以ってして 

  私にその「美しさ」を 伝えてくるけれど

 「こたえ」を 弾き出す気配は見えない。


そうして暫く その輝きをただ目に映していると
ふと我に返ってこう呟いた。

「 えっ。これ、宿題 かもな?」

そう言って、顔を上げると。

「パチン」と合った 瞳
 キラリ 反射する眼鏡
  いつの間にかその隣に座る 似た薄茶の瞳と
  テーブルに丸くなる 朝
  その上に埋もれ気味の玉虫色。


「 ん?あれ??」

「いや、そうだろうね。いいんだ、それはいつでも。急かす様な話でもないし、君がもしそれを知って。いや、かな?………別に私達に話せなくとも。それはそれで、いい。」

「 ぇ」

「まあ、そういう事だ。」

イストリアの優しい声を、締め括ったのは 本部長で。

その、声色からは「言いたいなら言ってもいいぞ」という前のめりの色が見えたけれど、イストリアが言うのも本音だろう。
それだけ言い、さっさと奥の小部へと引っ込んだ後ろ姿を見送る。


 そう どちらでもいいのだ。

きっと 「私の いい方に」
そういうことなのだろう。


「 ありがとうございます。多分、遠からず出てくるとは思うんですけど。今は、宿題にしておきますね?」

「ああ、それでいいんだ。さあ、少し疲れたかな?お菓子もあるけれど。」

「えっ、朝ごはん食べたけど   まあ、いいのか。」

 10時のおやつと 思えばいい

そんな囁きが自分の中から聴こえてきて、何処かの光が甘いものを欲しているのが わかる。

 きっと もっと カケラを回すには
 必要 なのよね うん。


そうしてキッパリと自分の中を切り替えると。

 答えが出て来るまでは 休憩

そう、言い聞かせてイストリアが持ってきたトレーに目を輝かせたので ある。













  
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