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8の扉 デヴァイ 再々

両面性 2

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「しかし、女神となっても悩むものかね。まあ、それがお前さんの面白い所だけれど。で?お前さん自身は。どうなんだい、見えて来たのか「自分の道」が。」

「 はい。 そうですね ?」

なんとなく 疑問系に なってしまったけれど。

そう、フリジアはいつも私の方向修正をしてくれる役目なんだ。
 多分 それもこの人の「性分」なんだろうけど。
ずっと前に ここへ来た時から。
 私にとっては そう なのである。


あの時は「偽りの私」から「そのままの私」へと、道を促してくれた緑の瞳
それは今 私に「今の私が どうあるか」を問い掛けて いる。

「 今の私 か。」

今 私は「自分の変化」を適用しようとしている所でもある。

今し方 試してみた様に。

 そうして また新たにわかる 自分の側面
 持っているけど 気付いてないこと
 知ってる様で わかってないこと。


「 ふーむ。」

唸り始めた、私の前で。

じっとそれを見ていた深い瞳と 薄い唇がゆっくりと開いた。

「まあ、何にせよ。あの頃からはいたが、またより真実に近くなって。解る部分が、増えたんだろうね。角度が変わったのか。でもね、お前さんのその能力はやはり特殊な物だよ。」

「 ? 」

ハテナ顔の私に、そのまま続ける 静かな声。

「いやね、沢山の条件と要件、そして個の性質なんか、まあ色々な事が相まって。いるのは、解るが。は、やはり特異な物だ。自分自身は「みんながそうだ」と思うのだろうが、それはそうであるが、そうでは、ない。」

「それもまた、両面性  。」

「そうだね。勿論好みの問題もあるだろうが、それぞれ突き詰める物は違うし、も違う。お前さんはその範囲が広く、そして深い。そしてそれを網羅し俯瞰し、吟味して最善を叩き出す思考の力。そしてバランス。どうしたって「善」の部分が多いお前さんにその役目が降りていて良かったよ。それは反対側に使って終えば、とてつもなく危険な物にもなり得るからね。だからこそ、解らぬ部分もあるだろうがも。解るだろうさ。」

「   。」

フリジアの言っている事が とてもよくわかる。 

無言で頷く私を見つめながら、フワリと緩む 抹茶の瞳。
それはキラリと悪戯に光って。

 やはり 新しい色を齎すんだ。

が、違うんだ。なにしろ、深い。きっと私が思うよりも、お前さんは沢山のものを見て、感じて、分かっているのだろうよ。だがしかしまだ、世間の目は「軽い」。準備ができていないんだ、、準備が。だから見え方が違うのは、ある意味当然なんだよ。」


「きっとね、お前さんはだと思っていて。当たり前に、やっていて。しかし、が、沢山ある筈だ。それを突き詰めて行くと、良いだろうよ。そしてそれを自分の方法で、生かす。他には出来ない、それは仕方の無い事も、時もあるんだ。まあ何しろ、あまり考え過ぎない事だね。お前さんは「そのまま」が、一番いいんだから。」

「 はい。」

なんだか こんがらがってきた私の頭の中が
その一言で。

 ジワリと緩んで なんだか泣きそうである。


きっと 何処かで 気付かぬ間に絡まっていた
 光の糸

  また拾ってきていた「やらなければ」という古い澱
 「相手の思い」と「自分の光」
 「見えているもの」と 「真実のいろ」

 「思考」「感情」「震え」「いろ」
 どこに視点を合わせるのか どう 読み解くか
 どうそれを 伝えるのかの もどかしさと翳り。

 より微細になった澱も だから見つけるのが難しくて。

いつの間にか 足元に絡んでいた「違い」という澱
自分の影に 潜んでいた「薄い雲」
そんな風に。

きっとまた いつの間にか私の「細か過ぎるセンサー」に 引っ掛かっていたのだろう。
それが、ここに来る事によって。

きっと 具現化して 
 こうして「カタチになったフリジアとの会話」んだ。


それがわかって ホッとする。
 
 いつの間にか 持っている澱
それはやはり 「いつかはわかる」「消える」と知っていても 気持ちのいいものでは ないから。


「ありがとう ございます。」

ふっと、お礼を言った私に手を振り お茶を淹れ変えてくれる 働き者の手
愛が感じられる それに。

またジワリとして、お茶と共に涙も飲み込む。


そうして少し、落ち着いた私の前に 「ポン」と置かれた 見た事のないカード
しかしそれは私が持つそれと、同じシリーズなのは わかる。

 色違い かな?

そう思っていると、サクサクとカードを取り出して何かを探し始めたフリジアは「ああ、これだ」と。
一枚のカードをテーブルに パシリと置いた。


「あ 。」

そう、あの私が「よく出る」と言ったカードである。

「これはね。対のカードなのだけど、こちら側は隠のカードだ。お前さんが思っている様に。「表と裏」の、裏側の方さ。だから「無意識の領域」で合っているのだけど。まあ、でも。なんだろうね。」

「 ?」

 なんか さっきも 
   そんな風に言っていた けれど。

「「そっちの方」? ですか?」

そんな風に言っていた フリジア
私の考えが合っていれば それは「女性性」や「陰」、「潜在意識」を表すもので ある。

私の顔を読んだのか、頷きながら返事が返ってくる。

「いや、こう言っちゃなんだけど。お前さんが森へ行ってから、やはり暫く皆の夢に出なかったんだろう。少ししてここは目に見えて荒れ始めて、これまで出てきていなかった問題が表に出てきたんだ。まあ、無かったものではないから、ただ「見える様になった」だけなんだが。そうして沈みかけていた空気がしかし、お前さんが戻って来た事で。また、浮上し始めている。」

「  。」

「その、蜜の事なんかもあるのだろうけど。やはり「働きかける領域」が、違うんだ。なにか、「見えるもの」ではなくて。本当に「見えない領域」へ、働きかける力なのだろうね。お前さん、自身が。」

「 なんか。 それなら、嬉しいです けど 」

じっくりと噛んで話される、その言葉を 漏らさぬ様に聞きながら
ジワリと核心へ沁み込む その色にぐっと焦点を 当てる。


 もの 凄くわかる その いろ 。
 深く 深く 私の真ん中に触れる 
  「純粋な ことば のいろ」
  「私を外から 照らしてくれる それ」。

 
フリジアの言葉を聞きながらも、自分の中では青の一等光る、カケラが。
 キラキラと明晰さを伴って 勢いよく回り始めたのが わかる。


「自分が「そう動く」事で、起こるこの影響の事、それを考えてしまうのはそれもまたお前さんだから、だろう。だが、しかし。それはそれで、いいんだ。「受け取るのは向こう相手」で、何を受け取るのかも自由。結局自分がを、受け取るのだから。…そう、「自分の中に持っているもの」、即ち「見えないもの」さ。お前さんが齎す「もの」が、「見えないもの」。だからそれは「かたち」ではなくて。光だったり、香りだったり、まあ「蜜」は物かも知れないが。それは結果、いつでも本質に働きかけるものだ。見えなくとも、いつか必ず。きっと「その時」が来ると、染み込む薬の様な、もの。だから、お前さんはいつだって自由にやるのがいいのさ。」

「なんだろうね、そのお前さん自身が持つ不思議な「性質」というもの。それが、面白い。面白いんだが、やはりか………。」


 厚みのある いろ
   本質の ことば

   私を思って言ってくれる その暖かさと
   瞳の温度

  揺れる蝋燭の灯りと 響き合う この部屋の空気。


しかし、私は最後の その言葉が気になって。

きっと話してくれるだろうと、無言でお茶を飲みながら じっと 緑の瞳と 揺れる炎 
それを交互に見て 待っていた。

 なんだか 大切な 話が。

 始まる予感が したからである。


「いや、ね。お前さん達、金の家の者は。、運命………と言っちゃなんだけれど。なんと言うか繋がっていて。力を、まじないを象徴するもの、私が思うに「見えないなにか」を、齎すものだ。」

はっきりと 静かにしかし、そう言い切った声が。

 シン とした暗い部屋に響いて
 少し開きかけた口を閉じた。

多分 私は。

今 「黙っている場面」だからだ。


しかし。

「ま、それもそのうち。全て、分かるだろうさ。さあ、今日はもうお帰り?遅くなるといけない。」

「 はい。」

 区切られた話  
       繋がりの 色
 薄く流れている 紫紺の 気配 。


 しかしそれは確かに まだ。

   見えない  掴めない

だから
 きっと「今」ではない のが わかる。


その カケラが気にはなったけれど。

また、来れる事をしっかりと胸に置き ぐるりと部屋を見回す。

そうして
みんなに視線で挨拶をして、フリジアにはお礼を言って。

 「また来ます」と 元気に色を切り替えて
 この魔女部屋を後にしたので ある。





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