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8の扉 デヴァイ 再々
話すべき とき
しおりを挟むまあるい ドーム型の天井
白い壁 青い花 曲線が踊るキャンバス。
青のホールの天井は複雑な曲線の美しい、紋様だったが 今 私の目に映るのは「青い花」
そういつの間にか新しく加わっていた青い線描きの花だ。
「 うーん。 いい。」
背凭れに首を預け ダラリと見上げる天井
青に色を差すスピリット達は楽しそうに
「ほら」「遊ぼうよ」と私を誘っている。
そう 誘ってくれて いる な
うん。
しかし、いつもの様にくるくると回る気にはなれなくて とりあえず手を振りみんなの美しさを労っておく。
「いつも ありがとう。」
なんか 「労う」のも おかしな感じだけれど。
でも、「ただそこに美しくあってくれる」のは
私にとっては有り難いことだからだ。
そうして大きく息を吸い込んで、再び美しい色達をじっと 沁み込ませていた。
この頃 私は黙っている。
自分にしては 珍しいことだ。
お喋りで五月蝿い
それが これまでの「私というもの」、そんな評価だった筈だ。
これまでの 世界では
これまでの 人との関わりだったならば。
しかし。
この頃 私は気付いても いた。
「口を開くと 身構えられる」
勿論 そうでない人だって、いる。
イストリアや 本部長、所謂「身内」だ。
「私というものが どんなものか」、
解ってくれている人に それは無い。
しかし、なかなかそれ以外の人と話す機会が ある訳でも無いのだけれど
無い訳でも ないのである。
ふとした瞬間 多分 相手は「気付いてない」だろうけど。
まあ 流石に私にはわかる。
顔を 見ていなくとも
目が 見えていなくとも
こちらを向いて いないとしても。
「気配」「空気」「粒子」「空間」の
ちょっとしたズレが私に教えてくれるのだ。
「今 身構えられた」と
「壁ができた」と
「内側を見られたくない」のだと。
まあ
それもそうだろう。
誰も。
自分の内側など 覗かれたくもない。
そしてそれには
口を開く前に「閉じられる場合」と
話していてわかる時、二つの場合いがある。
話す前に身構えられるならば、私も口を閉じるのだが
話していてどんどんその人が「硬くなってくる」と。
私も 話すのを止める か
若しくは 話す内容を変える。
もっと ソフトにするか
話題を変える時もある。
その時 その人が「これ以上聞きたくない」のか
「私の話がこれ以上入らない」なのか
「迷路にはまり込んでいる」のか。
それもわかるから、こちらで様子を見ながら対応を変えるのだ。
子供達の言った「言葉の厚み」「濃さ」、それの意味が
よく わかる。
多分 私の話す内容は 濃いし 重いし
「ことば」の一つ一つが複雑な色を含んでいる。
そして 優しくあるが直球だから
覚悟が 用意が できていない人
慣れていない人には 辛いのだ。
今は「本当のこと」しか 言えないから。
それか 逆に 全くどこにも引っ掛かからず
ガッチリと ハートが閉じているか だ。
しかし、私は「どんな光もありのまま」のせかいを見たいから
少し残念でも ある。
「閉じた」という事は 「まだだ」という事でもあるからだ。
まだ その人は 準備が整っていない
それだけなのだけど。
「寂しい」と 思うのは違うだろう
けれどもふと、澱が浮くくらいは。
許して欲しい ものである。
「 ねえ?そうだよ ね ?」
そっと目を瞑り
キラキラと虚空に光る、遠くのカケラを手で呼びながら
そう話し掛ける 無限
誰もいない 私の宇宙空間。
まあ ここは プライベート空間 だけど。
でも。
美しくせかいが 整ってきた 暁には 。
「また。 あの せかいが。 見たいな。」
遠く 近く
なんにもないけど
ぜんぶある
緑と青の あの場所
山 と 湖
木々と 空
自由に舞う 鳥達と
どこまでも自由な 沢山の ひかり。
どこまで行っても 「せかい」
「調和」しかない あの 場。
「まあ。見る けどね。見れるけどね。」
そう
必ずすべてと「話せる」時は 来るのだ。
「その時」が 来れば 自ずと。
ふと、寄ってきた「構え」の色
そのカケラもまた「ポン」と 無限へ放り投げて。
「ふ う。」
宙と 繋がり
大地と 繋がって。
今日も「ひかりを透し」ある それだけなので
ある。
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