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8の扉 デヴァイ 再々
感じるということ
しおりを挟む「世界は 私の感じている様には
感じていないのかも知れない」
見る 目
視点
角度
解像度
焦点
範囲
深度
染み込むスピード。
その 違いが浮き彫りになればなるほど
感じてしまう 微細な澱
浮いてくる異色
それをパッパと手で払いながらも 思う
「執拗に 刷り込まれた認識」の こと。
「手とは」「足とは」「家とは」「服とは」
「窓とは」「空とは」「水とは」「花とは」
「青色とは」「女が好きなものとは」
「いいものとは」「悪いものとは」
「葉というものは 緑」「石は硬いもの」
所謂 ありとあらゆる「固定観念」
「そう見えるものだ」と 決められていたもの
「ここまでコントロールするか」と いう程。
綿密に組み込まれたそれ
「枠の中は安全」という 甘い遊び。
そう それは
「本当に そうであること」と
「そうあった方が都合のいいもの」のごった煮
半ば暴力的に叩き込まれてきたそれは
私達の肉体に 強く染み付いて いる。
そうして それを いつ「辞める」のかは。
「自由」なんだ。
フリジアと話してから 考えていたこと
私と 他との違い
私が勘違いしていた部分
まだ 私が「そちら側でいたかった」ところ。
でも。
これ以上 そこへ留まるのは「どちらの為にもならない」それは自分でも わかる。
でも。
気付いていなかったのだろう。
それと共に 自分が出している
その 「上がってこい」という「無言の圧」に
「光の 眩しさ」に
圧倒的な その 「違い」に。
ここまで来ると それがわかる。
「個人のペース」「目的地の違い」
「自由」
それは そう「すべて」において 自由なのだ。
その スピードも
やり方も
選ぶ道も
目的地も。
でも いつの間にか。
私は 自分の中で「こちらが正しい」と。
決めてしまって いたのだろう。
ほんのり
ほんのりとだけど、その「いろ」がある事に気付いた私は なんとなく 反省している 様な
いない 様な。
複雑な気分である。
だって。
この 「微細な澱」「ミクロの異色」
ここまで排して しまったら。
「全く以って?私 は 一体 なんなの か 。」
そう、それ即ち「不干渉」「あるだけ」「存在のみ」、ある意味そこは 目指している所だけれど。
「まだ。 はやく、ない??」
そう 私だって まだ。
みんなと 遊んだり 遊んだり
遊んだり?
美しいものを 見たり ??
「うん? 結局、私のやりたい事って。」
なんなの だろう な ?
でも。
以前の様に、「キャッキャと騒ぐ」楽しさはもう、要らないのは わかる。
「ふむ? てか、でも そうすると?」
確かに「なに」と言うのは、無いのだ。
強いて 言えば。
「えっ、好きな時に好きな場所に行けて、時間の縛りが無くて? 好きなものを見て、美しさに震えて? 謳って 舞って 遊んで?」
ん? これだとまあ 「同じ」だな???
自分が「何に悩んでいたのか」、くるくると回るカケラたちを眺めながら ボーッとする。
でも。
「ま。 悩む事じゃ ないのか。」
多分 そう。
風と共にキラキラと転がって来た、三つのカケラの色を眺め そう思う。
あお
みどり
あか
その三つが示す私の光は多分「バランス」だ。
啓示の様に「今」私の元へ現れたそれを見て
私が「受け取るもの」、それを自分の中に沁み込ませ 一息吐く。
「ふ ぅ。」
パタリと 力を抜き倒れ込んで。
目に 映すは 紫色の そら
まじない畑の定番の紫は 少し明るくなって
向こう側はピンクのグラデーションだ。
なんとなく 「そら」が見たくなって
でも「外」だと 誰かに見つかる心配もあって。
子供達は 最近鋭い。
だから 全開に気を緩められる、ここまじない畑で
グダリと寝転がる 「光の女神」
この空間は「閉じて」は いないけれど。
しかしここに 「意図した者以外」は入れないだろう。
「うーーーーーーーん。 立ち位置 なりたいもの。 行きたい場所 。」
ふむ。
とりあえず、思考を美しいグラデーションに 「ポイ」と放り投げた。
私が今 「やるべきこと」は 「考えること」ではなく
きっと 「拡がる」こと「無限である」こと
それ即ち「あたま」は必要無いのである。
「そうね 。」
なにしろ 解して 解して
解放 して。
ぜんぶ 出して 空っぽで いいんだ。
「なるほど、今 思えば。あの訳で完璧って事だね。流石 私。」
「解放」というワードが出て、自分が随分前に訳した祝詞のカケラがフワフワと遊びに 来た。
多分「あそこ」からだろう。
「ん?行っちゃう ??」
フワリと飛んできたこのカケラ達は、きっとあの子からの「お誘い」に違いない。
「フフ、それならば。」
そう、今 私を止める者は誰も いないのである。
そうしてニヤニヤした怪しい表情を浮かべた「女神」は。
そのままピョンと起き上がり、向こうに見える石窟へ向かって テクテクと歩き始めたので ある。
いつもなら、「スポン」と落ちる石窟
しかし今日は 何故だか。
「なんか。 下ってる、よね?」
ほんのりと光る、水晶の群を階段の 様に。
テクテクと 下る 底
足は痛くないし ほぼ真っ暗に近いけれど
怖くは ない。
だって ここは「揺り籠」への 道。
それを知っているからか、不安もなく進む 「未知への道」
暗いが透き通るその水晶の光と きっと母石であろう岩肌
ずっと穴倉へ進んで下る この 感じ。
「なん か。あの、冥界への入り口 とかそんな感じするな 。」
昔読んだ、神様の話で。
確か、奥さんに会いに行ったのに?
もう、「美しくなくなってたから」びっくりして
逃げ帰ってきた? なんか そんな話じゃ
なかった っけ ???
確か 死者になってしまった変わり果てた姿に驚いて
なんちゃらだった様な。
そんな 曖昧な記憶を辿りながら 進む穴
「道」という「道」でもないが、もう少し進めば
いつもの「揺り籠」へ着くのは なんとなくわかる。
「 ふーむ。」
なんか ここは グレースクアッドにも 似て。
やはり 冥界
死者の国は こうして 地下へ ?
だけど やっぱり「大切なもの」は。
こうして 「奥の奥の奥」に
隠して しまって おく よね ???
ふと なにかが私に干渉したのが わかる。
「 あ」
着いたんだ。
そう、自分の中で意識すると ブワリと繋がった「せかい」
突然晴れた視界と いつもの揺り籠の景色
落ち着く水の 様な 揺らぎと
通り抜ける ひかり
チカラ
エネルギー
大地の 血液 。
ああ やっぱり。
そう なんだ な。
やはり ここは この島の「なか」で
「からだ」で ここを巡るは「血液」の役目をする 「地中のエネルギー」で。
ずっとずっと前に 「繋がった」
ぐるりと廻った 私の光
それが共に流れた 「あの 知った感覚」。
それが 共にまだ中を巡るのが 見えて。
じっと その美しさを眺めながら
ただその色を 自分の中へと沁み込ませて いたんだ。
そうして いると。
ふと、石窟が 「反応」したのがわかって
私も自分の休んでいた意識を 表に持ってくる。
自分の 「なか」が 寝ている
起きているけどそんな感じだったのだ。
多分 きちんと起きていないと。
この子の ことばが 聴こえない から。
そう思って 意識を戻すと、やはり「こえ」が 聴こえてきたんだ。
「「 本来 「感じる」と いうことは。
すべて と 響き合う こと
謳い合う こと
共鳴し合うこと
共同している こと 。
それが わかるだろう もう 。
見ているものが 違うのだ
まだ 外側を見ている ものが 多い中
お前が見ているのは 内側の 光 。
それも 深く ふかく ある もの 。」」
確かに。
それも わかる。
私の「なかみ」を読んだ様に、そう話し掛けてくる 「大きな 存在」
そして
以前は「おと」で沁み込んできていた それは。
この 大きな石の「想い」「軸」
永い年月 あるからこそ持つ叡智
私とは違う振動の ひかり
だけれど「ぜんぶのなか」にある ひかり。
あの時は「変換されて」、私の中に届いていたけれど。
それが 今は「自分の一部として」「ぜんぶの中のどこか」が震えているのが わかる。
「感じる」と いうこと
「ぜんぶのなかの 一部」
「すべての カケラが 集まる」
「全体とは」
「まるっとぜんぶが わたし」
それはどこまで行ったら。
「本当のぜんぶ」に なるのだろうか。
「ことば」は とても難しくて
「感じる」と「わかる」は 少し違って少し同じだ。
この「感じている私」が どこまでも拡大して
「わかって」限界まで 出て行った時。
多分 私は もう「感じている私」を終えて
「わかっているだけ」に なるのだろう。
どこか は わからないけど。
きっと「自分」という光を超えて「ぜんぶ」になる境界が あると思うんだ。
多分 それが 「ぜんぶの 源」なんだと思う。
それは 私の中で「色」を持たない もの
「全部を含む白」だ。
「無色」かも 知れない。
それは 今の自分の色にとてもよく似ていて、でもまだ私の中には「ぜんぶ」が 開示されていなく、「見えていない色」が あるのだろう。
きっと それが ぜんぶ 集まれば。
「源に。還っちゃう、のかな 。」
「「 かえりたく ない のか ? 」」
「 いや 。どう なんだろうか。」
色の無いその疑問に、首を傾げ しかし考えるのを止めた。
多分 「その時が 来れば」。
「自動的に そう なる」
それが降りて来たからだ。
「まあ。 そうだよね。 」
うん。
なにしろ「今じゃない」。
それならば 心配しても無駄なのである。
フワリと浮いた澱を、そのまま流してくれる心地の良い空間
揺蕩う光に感謝しながらも、手を広げ「今の自分」を 思う。
わたし は いつ
いつか 。
うん でも。
そうね。
結局 そういうふうにできている もんな 。
流してくれた澱がすっきりとして、スッと馴染む
その感覚 「自分がいつか そうなるであろうこと」
「流れに任せていれば よいこと」。
きっと この微細な抵抗も また進めば光に変わり
自分の納得する形で。
前へ 上へ 進める筈だ。
それは もう 知っているから。
「うん。なんか。 いつも ありがとう。」
「「 いや
たのしかった また おいで。」」
「うん。 ありがとう。」
石窟にとっては、きっと この私の悩みを聴くのも。
ちょっとした 暇つぶしの様なものだろう。
なんとなくその「想い」を想像しながら、そう遠くない その位置を思い、自分の行き先に思いを馳せる。
うーーん。
でも。
まだ だな とりあえず まだよ うん。
そうして。
小さく光り合う、石達に見送られながら
えっちらおっちらと 地味に。
キラキラの出口を登り始めたので ある。
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