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8の扉 デヴァイ 再々

森のお風呂へ

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「ねっ、ね朝。反省会するから、付き合って。」

「いやよ。」
「でも、森のお風呂どうなってるか。 見たく、ない?」

「ああ、それはあるかも。」

斯くして朝と二人、お茶会の次の日。

私は気になっていた森のお風呂探検ついでに、朝を誘い恒例の漫才を経て 青縞の廊下をゆったりと歩いていた。



今回 外へ出てみて。

 一番 驚いたのは 自分の「見え方」
 「視点」というか「視界」

 その「世界の構成図」を見る レンズの
  「解像度」の変化だ。


私は今まで、世界を平面で 見ていた。

 なんか おかしな 言い方 だけど
 実際平面 というか 立体なのだけど

 多分「捉え方」が そうだった のだ。

 それが 「極小の立体である 粒子」に 見えて

 急に 「せかいが 掴めるもの」だと わかって。


 「せかいを 創っているもの」
 「微細な 極小の部分」
 「表面だけ」から 「深部へ」
 「×3」から「×10」へ
 「ズーム」「光の糸」「網羅」
 「包含」「範囲」「泳ぐ」「充満」
 「拡大」「俯瞰」
 色々なそれを
 「ただ 捉えて映すこと」。

 それが上手くなったのだろう。


あの時の夢の様に「粒子を練る」感覚が 実感としてわかる。

あのグレースクアッド深海へ 潜った時の様に
「密接」「充満している」「繋がっている」のが、感覚として「ある」のだ。

そう 今も。


 そっと 目を閉じ 「感じる」「世界デヴァイ

 確かに今 その 黒の廊下には私の蝶 鳥達が
 フワフワと舞っては、いる。

しかしきっと、まだ見える人と見えない人が
いるであろう
薄く高いスピリットの存在

帰ってきて改めて思ったけれど。
 確かにここデヴァイは 違う次元だ。

 どうなんだろうと 探っていたけれど
 見れば見るほど やはり 「違い」はあって
 
 より「詳細」が あるデヴァイ
 張り巡らされる 光の強さ 糸の密度
 本来持つ 光の高度
 空間の持つ 濃度
 存在している 物質ものの高い完成度。

しかし、チカラが減少している今は なんだか中途半端な感じだ。
「ちぐはぐ感」「どっちつかず」そんな雰囲気のデヴァイ

反してラピスは空間自体はザックリしているが、「満ちて」きている。

 エネルギーチカラ自体が 豊富なのだ。

 
 それが どう 繋がって 
 それとも逆転したりして 
 どう なるのか 分からないけど。

「ふむ。でも。光の展開自体は、ここの方がやり易いかも ?」

元々敷かれていた道が細かいのだ。

 その中を縫う 私の光

 それは 「高低沢山の色」を 拾うけれど
 それを取捨選択して 高い光の中を走るのが
 私の仕事だ。

ある意味、外に出る事で それが解ったこと


 "せかいが 私に 見せていたこと
     見せたかった こと"

 
それはきっと この事だったんだ。
それが解っただけでも、今回の収穫と言えるだろう。

「だから、本当はぜんぶが繋がって。その、中で細かく光が伸びてて、何処に存在するのかは自由なんだけど、みんなが全体的に 上れば。多分、それぞれの色で? 光れる、様になるのか な??」

「で?あんた、反省会するって言ってなかった?」

「あっ」  ごめん なさい。


きっとずっと、待っていてくれたのだろう。

しかしそれも、いつもの事と 
朝はそう言いながらも奥の木々の間を探検してきた様である。

「繋がってたわよ?普通に。」

そう言いながらも毛繕いを始め、バスマットに陣取った。

「そうなんだ、ふぅん?」

そう返しながらも、自分も奥の木々に近づいてみる。


 ふぅん?   なんか 。

 ちょっと  確かに??

以前は「絵」だった 木々それ
確かに朝や極彩色はここに前から入れた けれど。

「てか。ホントに森になってる 。」

そう、そこは正真正銘の「森」、慣れ親しんだあの空気
 私が間違う筈もない この間まで滞在していた
 あの 空気なのである。


  ふむ  しかし なかなか  どうして。

いつも私が一人で入る時は、絵だった それ
極彩色とラピスへ向かう時は。

 確かに 森に 変化したけれど。

「てか。どう なってるんだろうか。実際 。」

首を傾げて、よく見てみるけれど それは正真正銘「私のいた森」
自分で自分に証明する必要も、ないのだけれど。

 少し首を突っ込んで 一応匂いを嗅いだ。


「うん。はい、 そうですよね。 うん。」

「何やってるの?」

「あ、うん ごめん。」
「まあ、いつもの事だけど。」

「まあ、そうだね?ねえ、朝 私お風呂入っていい?」

「まあ…………いいけど。どうせ入りながら喋るつもりだったんでしょう?」

「フフ」

仕方の無さそうな溜息、しかしそのままくるりと丸くなった朝は。
きっと私がシャワーを浴びるまで、一眠りするつもりなのだろう。

 それならば。 うむ。
 久しぶりにゆっくり 浴びさせてもらいましょう か。


そうしてとりあえずは。

つらつらと その「反省会の内容」を考えつつも鼻唄を歌いながら シャワー室へ向かったので ある。



実際問題。

私が朝に相談したかったのは、あの 庭園で見えた 感じた靄のこと
フワリと流れてきた澱の事だ。

より、霧が細かくなり なんだかマッサージ効果のありそうなシャワーを堪能しつつ、思い出した澱を流しながらも その「色」を思い出す。


   あれは なんか
 そうね       でも やはり「重い」澱

 
 でも 色は  色々 あって きっと
  ジャンル違い?

  家のこと   自分のこと

    他人のこと   先のこと とか ??

 でもなあ  多分。

 は そう 「見知った色」でも
 あったから。

つらつらと中身を浚っていた私の前に すぐに「これだよ」と。

「ポン」とカケラが 弾き出されたんだ。



ああ なるほど  

 あの 微細な 靄の正体 は。


   様々な 色  澱  重さと シミ。


「サー サー」と流れる 繊細な水音
流れてゆく 澱
 排水口へと吸い込まれる 重い 色。


以前、それは「重い空気」という大雑把な概念で私に区分けされていたもの

だがしかし みて 初めて。


 それが 微細な 粒子 原子なのかなんなのか
 言葉はわからないけど「エネルギー」で。
 きっと「想い」でもある
 それが見え、わかるのだ。


  「古い それ」  「新しい それ」

   「ずっとずっと 遺っている それ」

  「今 正に発している それ」

沢山の重なるエネルギーの 中にもまた区分が見えて

  「前向き」    「後ろ向き」


     「希望」 
            「諦め」

  「不安」   
            「絶望」

    「勇気」

            「カラ元気」

 「焦燥感」
          
その それぞれの
「光っている 色」「混濁し沈んでいる色」。


 以前はきっと 全てが混在 混濁して
 混じり合っていた それらが

  分離し 棲み分けられ始め

 高低  濃度  重さか軽さか
  その 区分けは なんでも いいのだけど。


    "世界が 別れ始めている"


 その事があからさまに 実感できて。

暫くその不思議な景色に、ボーッとしてしまっていた。


多分、これは。

 私が わかる様になった こと と
 世界が 別れ始めている こと

それがきっと同時進行しているのは、解る。

以前は見えなかったけれど、「混じり合って」「気持ち悪い」感覚はあった
だが今は、「選べば高い場所を翔べる」それは解るんだ。

 なんで なんだろう か

  でも 確かに。


  せかい は 変化 変容してきては

   いるんだ 。


いつまでも、では。

なにも どこも ないのだろう。


いつの間にか、自分の前に「ピシャリ」と
 「大丈夫?」という 心配の滴が 
 落ちてくるまで

 その 渦巻く粒子がパッと 別れ散り

 私に そのさまを 


シャワーが 止まっている事にも気付かず
ヒヤリとした空気が背を撫でる。


 ああ お風呂に 入らなきゃ
 でも 光が  粒子が

   散って  美しくて  儚くて

  すべての 思いは  さて 何処へ 。


高かった光達はどこかへ散り、もう 見えない。

きっとデヴァイの何処か 持ち主の所か
黒の廊下か
馴染みのある場所へ散って、これからもチカラになってくれるに 違いない。

しかし 低きに流れた粒子は まだ
 私の足元へ揺蕩い 身体から垂れる水滴と共に
 排水口へ 向かっていて。


 ゆっくり 緩々と タイルの道筋を通り
 流れる水
  その中を泳ぐ 鈍い色の粒子 。


動かない 視点 
だが耳には同時に 優しき音も届いている。

遠くの 森の 奥奥 木々の 囁き
 バスタブへ細く流れる 水音
   微かな 朝の 寝息 。

その全てを同時に 感じながらも。

 暫く 粒子が見えなく なるまで ただ

 ボーッと して いたんだ 。






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