透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再々

反対側の わたし

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実際 私はたまに

 「自分の男バージョンがいれば1番いいのに」
 そう思うことが ある。

 自分と 同じくらい
 適度に?細かくて 綺麗好きで
 優しいけど意地悪でもあって
 気持ちを読み取るのが 上手くて
 深くて広い世界を 持っていて
 勤勉だけれど 適当に緩くて
 私が怠けたい時も 解ってくれて。


 「私に期待しない人」
 「私になにも求めない人」
 「私を全て赦しくれる人」
 「私をすべて 包み込める程 大きな ひと」。


でも「そんな人間」は存在しない 
それも 本能的に知っていて 悟ってもいて


実際 はやはり 「ひと」ではなかったのだけど。

やはり 「人間を超えた なにか」

 あの人は たまたま「石」だったけど

 結局きっと 「もの」はなんでも 良くて。


 「揺るがないもの」
 「美しいもの」
 「高い光」
 「とてつもなく純粋で澄んだ なにか」。


ずっとずっと 「人間臭い」ものが嫌いで
所謂「無機質」な雰囲気の人が 好みだった自分

 今 思えばそれも。

人間ひとというものが 溜める澱」
それに反応していたのだろう。


みんなが「好き」とか「彼氏」とか
言っている間にも どうしても「結婚とか一生無理」「どうせいつか別れるな」と自分自身を想像した時に 思っていたあの頃の私。

 それはある意味 正しかったんだ。



「まあ。だから 結果オーライ と いうことで。うん。」


隣で目を瞑っている、この人は私の考えている事など お見通しだとは思うけれど。


 やはり なにか  うむ

 なんだろうな この  

 あの  ねぇ


  広い 広い  せかい で。


  よく、うちの引き出しに 入ってた ね?



のだ。特に、お前に関しては。」

「うん?」

珍しく私の脳内独り言に、返事を返してきた 彼。

その美しく震える瞳は深く、ずっとずっと前から知っている様な いろを 醸し出していて。

 
  ああ  でも。

  んだ これは


    この いろ は。



「吾輩も初めは。まだあまり分かっていなかった。何故、そうなのか、何故お前というものが、変容を齎すのか。だがあまりにその、光が強過ぎて眠っていた光が起き出したのだ。そう、お前の「対の光」だ。」

 ぇ っ。

 
驚いて、私の動きは止まったままだが
言われていること は わかる。

彼が「説明」をしてくれるのも珍しいし、何よりその 内容が。


 えっ、それは。

 「そもそも自分は石だと 思ってた」けど
 私がめっちゃ 照らすから
 起きちゃった って こと??

 寝てたの?

 でも。


「石に?入っちゃってて、すっかり忘れてたって事なのかな  。それで私がわちゃわちゃやり出して、起きて「あれ?」ってなって あ、こいつが俺の  」

   半身 だと。

   気が付いた って  こと ???


自分で言ってる側から、全身が熱く 赤くなってきたのが わかる。


「まあ、そういう事だ。だからお前が吾輩を事は、正解であるな?」

 うっ。

 やめて?  追い討ちを かけるのは 。


とりあえず、羽衣を被りマシュマロの隙間に逃げ込んで。

金色の視線を避け、自分の中身を落ち着かせようと
「始めの気焔」を思い出してみる。


 ん? でも?

 この人なんか 江戸っ子 だったよね ??


「ププッ 」

「ほう?」

 いかん。


ここで逆に 火を付ける訳にはいかない。


「大丈夫。 なんでもないもーん。」

そうして、パッと羽衣を巻き付けピョンと飛び降りて。

とりあえずは起き出す事にした。


「さて。今日もやりますか。」

勿論「やること」は「せかいの不思議」を探検 冒険 解明する事である。

 まあ 自分なりに だけど。


「でもさ?実際みんな全部、違うんだから魔法だってみんな違うってこと だよね 。」


 ふむ?

「新しい視点、新しい 視点  。」

そうしてとりあえずは、再び捕まらない様に
視界にあの色が 入らない様に動きながら。

ブツブツと呪文の様に呟き、目をしぱしぱさせる。


 そう 私は 「見えないなにか」を

  見るのよ  うん 。

そうしてギュッと一度、目を瞑ってから。

パッチリと目を開け 支度をしに、神域を出て魔女部屋へ向かったので ある。

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