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8の扉 デヴァイ 再々

意外な展開 

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「  ♪      」


廊下を歩く私の頬に 当たる 優しい風
 柔らかな光
 
以前は無かったそれが 齎す効果
「変化」という 新しい風。


 そう

 いつだって どこにだって

  誰にも等しく 降り注ぐ チカラ

 それはきっと「流れ」で 「エネルギー」で
 「すべてからの 恵み」でもあり それが
 今はもう 「上昇気流」となって。

 勢いよく私達に吹いている、風 それそのものなんだ。


風を切り、意識と共に強く吹くそれを感じながら 青の廊下を 歩く。

それは実際、まだ「微風」なんだろう。
でも 私が そう「思って」「風を吹かせ」
 そう あの時の黎の様に わざと大きな風を起こし
 自分を「ぜんぶごと」、巻き上げて いけば。

「ふむ。そう、なのよ。 私の光に出来て、私に出来ぬ訳が ない。 多分、シンが言ってたのって そういうことだよね?」


意味不明な自信と共に、ズンズンと進む 青の廊下

 キラリと光り 回り始める カケラ達。


 でも 確かに。

 「未知」へ 「宇宙」へ

 「見えないなにか」へ って 思ったけれど

 それって。

「実際問題、私が宇宙飛行士になる、とかじゃないし。私の中に、あるんだとしたらやっぱりって こと だよね???」

そう それは「外に出る」事ではなく
私の「内に入り」「パターンを変え」「色眼鏡を外して」。

 「これまで掛かっていたヴェールを上げ」
 高い視点で 様々な角度から
 「見えなかったものを 見る」んだ。


「多分? そう、すれば「見えないなにか」ともっと ガッチリ。繋がる って ことだよね?」

 なにが どうやって
 どうして どう なるのか。

それは「今 まだ」全く、わからないけれど。


でも、そう それはある意味いつものパターンでもあるのだ。

 なにしろ兎に角、自分の真ん中に沿って
 真っ直ぐ進んで いれば。


そうして 開けた青のホールに出ると、明るく切り替わった視界。

青から白が基調の空間へ
 小さな窓から 大きな、窓へ
   拡大する景色と 吹き込む風と。


「ふむ、やはり拡大すれば。自ずと、見えてくる 道。ふむ。そう、エローラだって言ってたし「分からないまま、進んでもいい」って。」

 そうなんだ
 やっぱり 「その時」が来ないとわからないこと
 それも多い。

「えっ、エローラ様 やっぱり神だった ??」

あの時 きっと本人的には何の気無しに
言ってくれた言葉
 でもそれは ずっと私の胸の真ん中に残る
 「エローラ名ゼリフ集」に 載っていて。

「 うーーむ。」

  
  そう  でも  だが  しかし。

 きっと 「それエローラ神」は でもあるんだろう。


以前、ハーシェルにも言われた「光の言葉」
それはやはり私の光達が 私に伝えたい事でも、あって。

「うん? 結局?やっぱり、全部がまるっと 自分の中 だから?そうなる、ってこと なのかなぁ 。」

然らば なにしろ。
やってみる しか ないでしょう うん。
 
 会ってやろうじゃ ないですか
 ブラッドでも なんでも  長老達でも うん。


「なんか。大丈夫か、分かんないけど うん。なんか な。結局。」

「どうした?」

「ううん、結局。私が自分の位置を 勘違いしてて。無理に留まってたから、愚痴っぽくなっちゃってたのかなぁと 思って。」

そう 自覚はあるのだ。

 この頃の モヤモヤ 悶々とした 停滞感
 それは私がまだ 世を 憂いているから
 掴んでいるから
 「そこにいなければいけない」と。

 自分が 思っていたから それに他ならないのである。


「だから結局。ちゃんと見て、決めて、自分で出て行く、のよ。いつもそうじゃない。 いや、うん、大丈夫。」

真ん中で仁王立ちをし、ぐるりと彩りの良い景色を見渡す。

スピリット達の舞う中
いつの間にか側に立っていた美しい金髪も、青の景色の中に 入れて。
ブツクサと、自分に言い聞かせる様に呟く。

そんな私に 微妙な色を投げ掛ける 彼。

 この人は どうなんだろう か
 明日 いや
 でも まあ  うん。


きっと「反対」では、ないんだろうけど。

 なんか 「気に食わない」みたいな こと
 言ってましたよね この 人は。

「なんだ、止めて欲しいのか?」

「いやいや、うん、まあ?でも、それじゃダメだし。」

そうではない とは 言い切れないけど
そうだ とは 言えないのである。

そう、私はこの 山を超えて「成長する」って。
決めたのだから。


それに、あれから私の中で何度も反芻している「光の女神」、それが定着するに連れて。

「だから かなぁ。」

朝の言っていたこと 
私の微妙なズレが 修正され始めてきたんだ。

 やはり「気付き」だけでは 成らない それ
 練習して 反芻して 沁み込ませて
 やっと
 段々と「自分のもの」に なってゆく感覚

 「覚悟」と「自覚」の定着、そしてそれを
 歩み、固め強くしていくこと。


「いや、大丈夫。任せといて。」

「そこまで言われると逆に不安」という絶妙な色を浮かべた瞳を、読めるのが辛い。

「フフッ、いいもんね。」

 逆に そう

 予想もつかない 様な
  逆に驚かせる 様な。

「負けないわよ、宇宙くん。」

 そんな 展開 超え方 一息にふた山超える?的な?

 いやいや もっと エベレストくらい
 ん? そういや こっちに 山ってないな?


そうしていい感じに、私の思考が脱線し始めた所で。

この件は曖昧になり、次の日の朝まですっかりと
忘れ去っていたので ある。






「  ♫  」

青い廊下をスキップし、ホールでみんなに手を振り大きな扉を開け 緩りと潜る。


 確か 書斎だよ ね?

朝食には、姿を見せなかった白衣

「確か三日後って 今日の筈」
神域の時間は曖昧で、でもきっとあの色が少しだけ固かったから今日で間違いない筈だ。

約束通り、本部長が呼び付けた彼に会う為
私は一人 青縞の廊下へ入って。

まだスキップしている自分に気付き、歩を緩め
深呼吸をしながら白い扉を目指して歩く。

実際、書斎までは すぐだ。
あまり何も考えない様にしながらも「なんでいないんだろう」と、金髪をキョロキョロと探しながら進む。


 だって 前は そう
 あの背後に隠れてたから 安心だった けど
 今日に限って 起きたらいないし。

彼がどういうつもりでいないのかは、分からないけれど。

でも そう ある意味。

 大丈夫

それもわかる。

「うーん? でも な?」

そう呟きながらも白く四角い扉の前で一息吐いて、左手にあるアーチ扉へチラリと目をやった。

 あそこも 後で 行かなきゃね

そう言えばジュガに会ってないな
また 大きくなったかな?

その 茶のくりくりした大きな瞳を思い出しながら、心を和ませノックをする。

「はい。」

 えっ 珍しい。

意外にも返事が来て、首を傾げたが来客だからかと
自分の中で納得して、扉を開けた。

でも その来客が。

 そう 「私の予測」と違っていた だけで。

扉を開けると、その「返事の理由」が 解ったので ある。



「 あ、あ れ?」

 ん?髪の色が?    薄茶じゃ ない
  こんなだったっ け???


 えっ なんでなんで?

 私の中では     ん?


  でも  まあ  そう か

 そうなのか。  確かに。


 私は 本部長に 確かめた 訳じゃ ない な??


目の前に座る、緩い金茶の髪 私を観察する 明るい灰色の瞳。

扉を開けるなり、首を捻る事になった来客の正体は実は ブラッドではなくアリススプリングスだった。

頭の中は「?」でいっぱいだが、まさかこの人に「なんでですか?」と訊く訳にも いかない。

 まあ 訊いても 今更 
 怒られない だろうけど でも なんで ??

とりあえずは、口を開かないのが得策だろう。

 成る程 

金色が共に来ていない理由にも合点が入った私は一人、ひっそりと頷きながら。

とりあえずは久しぶりのこの人の視線に晒されながらも、じっと正面に座っていたので ある。









 




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