透明の「扉」を開けて

美黎

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5の扉 再びのラピス 森へ

せかいの 魔法

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 そう

 私は  ただ 。

   世界の 魔法が   見たいんだ 。



ただ ただ 不思議が見たいだけ

 世界に ある きっとまだ見たことのない

 とんでもなく美しい もの達を。

   この目に 映したい ただそれだけで。


特殊なことを したいとか
 偉くなりたい とか
  お金持ちになりたい 上に立ちたい

 そう 所謂 めんどくさいことは 
  なんにも やりたくなくて。


 ただ 「美しいものを 見たい」だけ

  それが  充分に あって

  辺りは満ちて 
 
  豊かさで充満していて

   色とりどりで  いい香りで

 いい音が聞こえて  空気が

  目に入るもの 口に入るもの

  吸うもの 全てが 美味しくて 。



そんな世界に 在りたい だけ。


 ただ それだけ なんだ。


 だって せっかく 「せかい」に生まれたんだから。


 美しいもの すべて 見て 味わって

  心を 魂を震わせて  充分 満足してから。


 「次」へ。

 行きたいんだ きっと。





「  ぅ  ん、?  だから 美味しいもの は やはり  うーん 」

 うん?

   ゆめ  か ?


この頃、よく夢を見るし 以前はあまり覚えていなかった夢の内容がよく頭の中に残る様に なった。

「うん。でも。 夢には意味があるって、言うしね?どうなんだい、「せかい」くん。」

そう、いつもの様に独り言を言いながら ゆっくりと朝の支度を始める。

 うーん 今日は ゆめ 

  そうね 紫か  魔法だからな
   なんか キラキラした 不思議色が いいな。


そう決まると、モソモソと 起き出して
着替え 顔を洗い 歯を磨いて
お気に入りを 並べ直して朝の浄めに取り掛かる。

「うん?なんか、ピカピカだね?」

昨日より 綺麗になった気がする窓枠
しかしそれは「掃除の綺麗」ではなく、「更新」「新規」の美しさで。

「?なんでだろうな? でも。そういう事も、あるか。」

 私が 日々更新しているならば
 全てだって そう あり得る。

「そうだよね。」

きっと日々「どんな些細な差異を見付け」て。
「違いをわかり」「受け入れ」「それを許すこと」
それってきっと「変化の許可」だと 思うんだ。

 
 どんな事だって あっていい 起きていい
 明日 世界が魔法の国に変わっていても
 反対に 無くなったとしても。

 「何が起きても いいんだ」その心で いれば。

 「次の未知を招く 呼び水になる」

 それがわかって きたから。


「うむ。オッケー、いい感じ。」

花の水を変え、一通り清めをして 毎日のルーチンをこなす事で見えてくる、新しいものと わかること。

「なにをしていても」「どうあるか」。

私がそれに気付いたのは、「日々 繰り返しているから」それも大きい。

毎日のこと
 面倒くさいとか くだらないとか。
 そんな小さな事を どう、やるか。
 どんな「気持ち」で やるのか 。

それはこの小さな事を積み重ねねば解らなかった事だし、そうしてまた知れる「昨日と違う私」「日々変化していること」。

それが、楽しいんだ。


さて?

自分で浄めたある意味 結界的な部屋の中
静かに「せかい」に意識を合わせ 「受け取る」事を思い描きながらサクサクとテーブルを整え カードを混ぜる。

「 うん。」

いい感じに並んだ 「魔法」を意識する石
ルシアに貰った蝋燭 マデイラ洋裁店自慢のクロス
それを眺めて至福に浸り、三つの山を並べてゆく。

そんな今日の カードは。

「ふむ?」


 "すべての 手を離し
   バランスを取りながら 魔法の力を使い

   すべての ヴェールを浄化せよ"


「ふむ。」  

       すべて すべてって
       二回言った ね ?


しかも どちらかと言えば。

 その浄化は 「全てを無くす」「澱みを消す」
 と言うよりも
 「エネルギーを浄め 再利用する」
 「変容させる」、もので。


「  ふむ?やはり 「濾過器」的な ふむ。」

でも 確かに。

 重いものを持っていては 不思議に到達できない
 それはわかる。

「まあ、確かに。まだ、もんなぁ。」

もう少し徹底的に 綺麗にしたい
 それはやはり私の性質的にも分かる内容だ。


「それをするのに、魔法を使うのかな?魔法 まじない?まあ、チカラなんだろうけど ?しかし、流石だね?誰が なにが。この新しいアドバイス を?くれてるんだ ろうか。」


 ふむ? 私の光では あるんだろう けど。


そう
 「私の 新しい担い手 導き手」と 言えば
 それは 地球と月 なんなら 太陽はいつも
 全てにチカラを 注いでいるし 。
しかし
 不思議の部分を担当するなら やはり月なのか。


でもきっと。
この頃の私に付き纏っていた「複雑さ」
「幾つもの側面を同時展開してゆく」、必要性と その疲れの様なもの。

それはきっと 頭を使おうとしているからそうなる事で
確かに「魔法なんだ」と 思えば。
「理屈じゃないんだ」と、思えば。

納得できる所も多いし、なにより複雑さが減る。

 そう 自分の中にある 自分ルールの 様なもの
 これだからこうだよね、の説明できない 部分。
 それはある意味「魔法見えない力」なんだろう。


 だからきっと このカードの指す 意味は

 自分を真っ新にして 魔法を信じ
 全てを浄め続けて 行くこと

 抱え込むのではなくて 持つのではなくて
 受け入れ全てを消化し 濾過して光に変えて
 その上で

 何も持たずに 進むこと。


消化と濾過をサポートしてくれるのは勿論「地球」、その大地に繋がる事によって得られる「浄化」
古きを再生させ生まれ変わる事ができる、その大地の恩恵の部分だ。

魔法をサポートするのは勿論 「月」
その不思議に揺らぐ動き、サイクルを利用して
更新 成長してゆく私の道
「未知」と「虚空」へ向かって進むくうへの道案内役。
 

それは きっと自分の中にある、魔法を信じることで。
あの、「生まれ直した」と思った私に 似て

"なにも持っていなくとも ぜんぶ持ってる"

それに近いんだろう。


「ふむ。やはり、意図せずして再び色々、抱え込んでいたと いうことか。」

大きく深呼吸して、その気付きにお礼を言う。


 そう 夢でも 思ったんだ

 めんどくさい 複雑 そんなのは要らなくて

 本当のこと  本質  魂が震えることだけ

 あれば いいんだって。


「そう、複雑なのとか 向いてないし。私はいつも通り。能天気で、阿呆なこと、言ってればその方が閃く筈 。」

なんだか間抜けな独り言を言いながらも、自分で納得し 深く頷く。

 フルフルと頭を振って
深呼吸し 思考を全部落としてまた一つ、自分に頷いて。

 あ。

そうして気付いた、視線の先には
キラリと光る あの指輪。

  そうよ  「あの 青」

  あれを 思い出して?

  囚われないで 不要な ものに。


目を 瞑ると。
自然に浮かんでくる、どこまでも青い 青

 いつだって私の「なか」にある
 「自分の道を 自由に進め」という みんなの光 。
 
 もう 繰り返さない
 今世は 自分だけの ために
 この 集大成を謳歌する為にここにいる 「わたし」のことを。


 「それだけを考えていれば 大丈夫」
 「そう 全力で サポートするから」


そうして背中を押してくれる幾多の光
その、私の中のみんなに、お礼を言うのだ。

「ありがとう、みんな どの光が?みんな、最近どう?更新 してる?」

そう気軽に自分の中へ 話し掛けてみたのだけど。


 むん?  なにか   ある。

無意識に目を瞑り、自分の中に入っていた。

宇宙の様な、夜の中 少し離れた遠くの空に不思議な光が、見える。

むくむくと。

  シュワシュワ その 間くらいの

 泡の様な 白い光の 粒子の ような 。


?「あれは なんだ ろう?」


 白い かたち は はっきりしないが
  
  「女性型」の なにか

  その シュワシュワとした 粒子がきっと

 浄めの役目をするのは わかる。


フワリと遠く 近くに見える、その姿は突然私の中に現れたから。
それは、私が「知っているもの」なのだと、解るんだ。


そしてきっと 「彼女」が 
 得意とするのは 「浄化」からの「創造」

 それも サナギが蝶に 変化する様な。

 想像を超える 創造
 私達 小さな光が想像できない変容を齎す
 「大きな なにか」。

目を瞑る私の中に、浮かんでくる その光
そこから受ける、大きな、思ってもみなかった印象。

そこからまた、自分の成長と進む方向性、「かたち」を創る段階が 進んでいるのが、わかる。

 未知だけど 強大だけれど
 怖くはなくて。

それはいつでも空を見上げている私に馴染みのある、雲の様な

   ひかりの 様な なにか。


「女神 的な ? なにか ??」

まだ、答えは降ってはこないけど。

 それもまた いずれ解るのだろう。


「ふむ。」

ほんのりと出てきた「新しい光」、この頃のキーワード
  「光の奉仕」と 「魔法の世界」。


して さて  はて ?

    私の魔法は どこへ ?


なんとなく だけど。

多分 「どこかの私」は 魔女的ななにかだったろう事は わかる。

ほんのり残る「迫害」の記憶
 「秘密」「魔法」「不思議」の空気。

私の周りには今世でも。
 「魔法の雰囲気」は 多いんだ。

「なんなら、も 魔法で。私の世界もそう、全部が全部、「魔法でした」って言われても。すんなり、納得できる もんな ??」

 それが きっと。

 自分のヴェールを すべて 上げれば
  「見える」 のか ?


「まあ、そうなんでしょうね 。」

なにしろ魔法好きの私に、少しも不都合はない。

「よし、じゃあ一丁 やりますかね。」

そうしてこれまで溜め込んでいた薄くも多い、澱を流す為に。

小川に向かう、支度を始めたので ある。


 

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