透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
上 下
1,025 / 1,751
5の扉 再びのラピス 森へ

昨日の私と 今日の私

しおりを挟む

「ん~  。おはよう、せかい。」

ぼんやりと、目が覚めて。

 今日の 夢は いい夢だったかな
  どうだった かな と反芻する。


「?イマイチ憶えてないけど、多分 いい夢。」

気分がいいから、きっとそうなんだろう。
とりあえずはそのままぐるりと自分の「なか」を確かめて 今日は何色にしようか、テーマを思い浮かべていく。

 パッと 浮かぶ日も あれば
 幾つか 出てきて 選ぶ日もあるのだ。


「 ふむ。 オッケー」

そうしてモソモソと起き出すが、既にあの色の気配は無い。

きっと朝早く出て行ったのだろう。
 どこに行ってるのか 最近は 本部長のところ かな

この前、自分も帰ったばかりだ。
「最近見た色」、それが彼の中にあるのは 直接伝わってくるから。

 うっ

「いかん。」

 違う 違う 今じゃ ない。
 あんまり 「反応」すると まずい。

近くにいれば、彼が気付いて戻って来ることもあるのだ。

 朝から脱線するのは ちょっと うん。


そうしてとりあえずは支度をしようと、ズルズルとマシュマロから 這い出たのである。



   
   今日は   緑

   白         透明   水

  クリアに   浄め

    リラックス    うん いい感じ。


掃除とお気に入りを並べ終わって、一人それを味わい 頷く。

 ふむ。

この時間が、大切なのだ。

 この なににも 邪魔されない クリアに
 一日を始められる そうして受け取る
 みんなからの メッセージ
 インスピレーション

  思ってもみなかった方向からの アドバイス。


「  ♪ 今日は まずは浄めからのリラックス、で。内観?」

カードをシャッフルしながら今日 受け取りたいものをくるくると思い浮かべ、自分の中で固めてゆく。

 しかし 緩く  靡かせ  柔軟に

   受け止める  多角的に  見る 目。


「ほい、 オッケー」

無言でやっている事もあるが、基本的に私は独り言を言っている。
朝や金色なんかは慣れたもので スルーというか 無視というか うん。

「ほい ホイ はい。」

カードを三つの山に分け、その導き出された答えを「すべて」受け取ると意図しながら一枚ずつ、捲ってゆく。


  「神聖な目」「洞察」「意図」


「ふむ?」

私には よく出るカードがある。

この三つもそれらの内 所謂「直感力」のカードだ。

「なんだろうな  。 まあ、なにしろ「その意図を神聖な目で見ろ」っていう事か? な?」


 ん?

ふと、空気が動いた気がして顔を上げると
入り口の側で金色が。

なんだか微妙な色で 私の事を眺めて いる。

 えっ なんだ ろう か。


なんとなく、「構えた」私
 多分それは 「いい色」では ない気がして。

直感的に「なかみ」が身構えたのが わかる。

「ふぅん?」

 えっ なに ?  なんですかね ?

その、私の反応を見て。

意味深な呟きを漏らした彼は、そのまま正面の椅子に座る。

そうしてゆっくりと、少しだけこちらに顔を近づけて 話し始めたのだ。


「お前、少しデヴァイへ戻ってあの薬を創らないか?」

「 えっ」

意外なその言葉に、頭の中は硬くなり「言い訳」がぐるぐると巡り始めたのが、わかる。


 「えっ」「なんで」  「なんか」「嫌」

  「森がいい」 「今更?」 「戻るの?」

 「でも」 「いや だって」 「なんで」

 「でもこの人が 私の嫌な事をする訳はない」
  「なにか」「事情」  「本部長」

 「お世話になってる」「フリジア」

   「薬」「足りない」  「みんなが」

 「困ってる?」 「なにか 問題」

      「いきたくない」


   「ここが」  「心地良い」

 「でも」    
         「だって」


     「ラピス」   

 「良くなってきた」   「向こう」


   「デヴァイ」   「暗い」


  「緑 ない」  「外 ない」

     「重い」 
  
   「癒しは?」    「でも」


  「この人が」   「一緒 なら」


  「どこでも」  「うん」 「そもそも」

  「何故」

 「そう まだ理由を 聞いてない」

    「焦るな」   「大丈夫」


  「絶対 彼は 無理は言わない」。



ぐるぐる ぐるぐると回った カケラの中で。

その「本当」にピタリと色が合うと、やっと彼の瞳を見た 私。

「落ち着いたか?」

「うん。大丈夫。なんか ごめん。でも うん そもそも なんで?」

纏まらない頭の中、とりあえず理由を聞こうと
それを尋ねるが 聞きたい様な 聞きたくない 様な。

 聞いて終えば 。

 行かなきゃ いけ ない

 そう  「行けない理由」 なんて

   ないし

   なんとなく 「私が 行きたくない だけ」で。


 でも。


「なんでなんだろう な ?」

あそこデヴァイだって、私の場は ある。

「人に会え」と、言われた訳でも ない。


 それなのに?  なん で

   どう

         して    


  私は    そん  なに。



 「ここから 出たくない  のか」 。


シン とする部屋の中
お天気のいい 元気な光
 機嫌のいい 花達  じっと待っている カード達
 周りは「なにも 変わっていない」、私の落ち着く
 いつもの空間、向かい側には 最強の守り
 あの色も ある。


チラリと確認した、正面の瞳は「そのまま考えてみろ」と 私に言っている。

 ならば?


  何故  なにが   どうして

    私 は。


 いきなり こう「言われた だけ」で

  こうも動揺 して 景色が 色褪せて

 楽しい時間 が 固まり 消えてしまった 様に見え

  こうも 「こころ」が。

  「閉じて」 いるんだ ろうか。


 いや でも。

 それは 「行きたくない」、その素直な気持ち
 だからじゃ ないの?


 しかし。

 「森に 永遠に居る」訳にはいかない
 それは わかる。

  
  「なにが」「嫌なのか」。


 うん?   でも。


 「なにが」「嫌なのか」は 問題じゃなくて
 だって「私が選んだ以外の場所」が 嫌なのは
 ある意味 当然 自然  それは 「それでいい」

だけど。

そう きっと 「問題がある」とすれば
「ずっと出ない」のは 違う ということで
これは 遅かれ早かれ 「直面すること」。

 ふむ?

 だから

 なにが  アレかって 言うと?


混乱してきた頭の中 
しかし私は「昨日の私」とは違う、「私」である。

 そう 「進化している私」なんだから。

 おんなじ様に ぐるぐるするんじゃなくて
 
 絶対 出口 糸口  解決策が ある筈


  、今 出てきた この問題

即ち「今日の私」は 「解決できる」ということ なのよ。


 
 この頃 ずっと思っている 「今日は昨日と違う私」。

 それ即ち 「進化」「成長」「変容」していること
 それは毎日の自分を見て実感している 事実でもある。

だから。

 できるのよ そう  

 あるのよ なんか  「原因」「ポイント」

  「ミソ」「これか!」って やつ
が。


「   うーーん。」

重苦しい、心の中をぐるぐるとカケラ達が回って いる。

しかし。
別に カケラが 悪い訳でも
色が 悪くても それは いいんだし

「結局」「なにが」。


「 ぅん?」

とりあえず、顔を上げた。

 寸分違わぬ 「現実」、なんなら 外の陽は
 元気を増して いるし
 花達はご機嫌 だし カードも「まだ?」って
 言ってるし  

  これって。

 「わたしの なか」 。


「ごちゃついてる 、って こと だよね ?」


向かいの金色は 微動だにしなく、そのまま私も自分の中に「こたえ」を求める。


 まて まて?

 えっ と   「外に出る」それは いい

 いつかは 出るんだし それなら デヴァイで
 私の場所も あるし うん。

 それで?  薬?それも いいよね?
 金の蜜創り、楽しい よね??


でも   「外に出る」  うーーん これか?

 「出ること」って 言うか
 「嫌なエネルギーに 触れたくない」が 近いか

 あそこは「閉じて」るから。

 なんか 行っただけで 「被りそう」
 それは ある。


「うーーーーーーーん。しかし 私は「無限」、それ即ち できない は辞書に無いので あって? うーん?」


そう、私が「本当に無限に居れてる」ならば
別にデヴァイへ行ったとしても影響を受ける事は、無いんだ。

それも 解るのだけど。


「ふむ?しかし ?少しでも見るのが、嫌なのか。しかし一生、見ないとかは 無理だよ ね  ?」


 うーーーーーーーん ????????


「焦点」が 行方不明に なって。

暫し ボーッとして 
だがくるりと頭を戻し「角度を変え」、それをもう一度 見てみる。


 「デヴァイへ 行く 戻る」

 「重いエネルギーを 受けるか 見る」

 「しかし 私は影響を受けない 筈」。



「 ん?  あ ?  そう か??」


 「私は 何処にいても 私」

 「世界を 赦す」「手を離す」


「おっと?」

 いかん。

自分がぐっと「世界」を掴んでいた事に気付いて、パッと手を離して みる。


    私は 何処にいても 私


「ふむ?」

でも。

「なんか。「嫌」では あるな ??」


 なんなんだ ろうか。

 この 引っかかり モヤモヤ感 。



「  ぁーーーーーーーーーーーーーーーーー」


カタリと音がして、扉から金色が出て行ったのが わかる。

きっと一人にしてくれたのだろう。

確かに。
なんか、甘い色を見せられたりしたら。

 私が 答えを強請ってしまいそう だから 。


「ふむ?じゃあ とりあえずお茶、淹れますか。」

ぐるりと見渡す ダイニングの景色は
そう、いつもの私の素敵空間なので ある。


 そう だから これは。

 私の 「なか」の 問題。


そうして一旦、頭を切り替える為に。

お気に入りのティーセットを出し、気合を入れて準備する事にしたので ある。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

『 ゆりかご 』  ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。

設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。 最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。 古い作品ですが、有難いことです。😇       - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - " 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

病弱な愛人の世話をしろと夫が言ってきたので逃げます

音爽(ネソウ)
恋愛
子が成せないまま結婚して5年後が過ぎた。 二人だけの人生でも良いと思い始めていた頃、夫が愛人を連れて帰ってきた……

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

処理中です...