透明の「扉」を開けて

美黎

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5の扉 再びのラピス 森へ

対価という マジック

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 濃紺が品の良い 店構え 
      重厚な扉のデザイン

 磨き上げられたガラスに映る 
       草花を模した 店の印章 。
 

入るのには少し、勇気がいる 高級なルシアの店の片隅には。
今 「私のハーブ」がちょこんと 置かれている。


この頃 ちまちまと作っていたそれは
教会に居た頃から作っていたポプリや、ちょっとしたおまじない用の小さなスワッグだ。

それを、小さなスペースに。
出来た分だけ 置かせてもらっている。

 あとは こっそり 「癒し石」と「金の蜜」
 金の蜜は 微量を丸薬の様にしてあり
 ちょっとした「タブレット風」だ。


きっとほぼ「女性しか来ない」だろう、この店に
私からの細やかな 贈り物 
 そう 「女性のチカラ」が上がるブースターの それ。

 でも 売れたら 私が貰うのは
 ルシアの手料理か パン 石鹸とか だけど。


実は、「自分で作る野菜」よりも「貰いもの」が多い私は何か、自分が出来ることはないかと。
いつも差し入れをしてくれるルシアには、とりあえずその方法で行く事にしたのだ。

 ちなみに お父さんは なにも
 受け取ってくれないけどね。 うん。


「ねぇ、ヨル。これはお金貰った方がいいんじゃない?」

「ん?」

「薬や蜜よ。だって、がタダだったら。他の店の立場が無いわ。」

「 ああ、それはなきにしもあらず ?」

確かに 「その視点から見れば」そうなんだろう けど。


「でも なぁ 。うーん、考えとく。タダ、って訳じゃないんだけど。」

「そうね、まあ任せるけど。」
「うん、ありがとう。」


一緒に店に来ていたエローラと そんな会話があった、次の日
私は ひとり。

窓から差し込む光の動きを ボーッと眺めながら
「対価」について 反芻していた。



エローラが 私を心配して言っているのは わかる。

 でも。


自分の「なか」へ 入ると同時に
  キラキラと 展開し  回り始める

   「固い色」の カケラ  

 光ってはいるが
  
  歪なカタチの それらは 。


 「私の 受けた いろ」


   そうなんだ

  「もの」と 「その価値」、その間にある

  「乖離」と「エネルギーのこと」

 それに気付いてから。

 私が思う 「お金」について。

 くるくると廻り始めたカケラが あったのだ。




 「お金を払ったから」 

 「対価を支払ったから」 

 その 「思い込み」

 「お金」というものに 付随する「エネルギー」

 それは時として 「本当」ではないし
 誤解を沢山 生むんだ。



お金に纏わりつくエネルギーは、それこそ多岐に渡るだろう。

 「お金」そのものに くっついて離れない 様々な「色」

 「お金を払うこと」に 付随してくる「色」。


私が今 気になっているそれ
 それはきっと「乗せる」エネルギー

 「払ったんだから」「やってもらえる」
 「自然と そうなる」「その分 そうなる筈」

 「もの」と「買う」という「こと」の 
 間にある その乖離

その「丸投げ」のチカラ。

 「自分のエネルギー」を「お金」に 変えた分で。

 その「エネルギーは 必ず自分に
       作用する」

 そう思われている 部分


「もの」を買えば それは「自分のもの」には、なるが
それもの」が 「何かをしてくれる」訳では ない。

 しかし「もの」は「エネルギー」は 持っているんだ。

「それがきっと。ややこしくなる、原因だよね 。で、変わってくるから。」


でも、それもこれも
  「私達人間が 勝手に」くっ付けている澱で。

 
 「もの」や 「こと」、「買うこと」自体に
 問題がある訳ではないし

だからこそそれが。
責任転嫁されるのが、気になるのだと思う。


「ふむ。」


そう だから 私が気になるその「澱」「乗せるエネルギー」は。

即ち
 発したものを「自分で処理しない」部分 なのだ。


「感情」でも「言葉」でも なんでも。

 そもそも「発したもの」を 放っておく
 そのままでいい
 「相手の事を考えない」エネルギーの放置

それが、気になる。

例えば乱暴な 言葉を発して。

 「明日になれば いつも通り」
 「いつの間にか 忘れてくれるだろう」
 「きっと スルーしてくれる」


散々 私が被ってきた その「エネルギー

 「見えない 澱」。

そう 「見えないもの」は 澱でもあって 
 きっと「放置された それ」は澱み、澱に変化する。

「負のエネルギー」「重さ」その表し方は様々だと 思うけど。


、かなぁ  。」



 「物を 買う」こと

 「その 裏にあるもの」「側面」

   「本質」 「本来の価値」

 「もの」 「エネルギー」

    「纏わりつくもの」  「乗せられているもの」

   「物質」 「見えない なにか」。

その関係性が 見える様になってから
元々「お金」に対してそう執着が無かった私は
余計に「その 」と思っていたのである。

 それに 「余計なエネルギー」を
  もう 「被りたくない」と  いうか。

 一緒に 「くっ付いてくる なにか」を
  貰いたくない と  いうか。


「だって、それお金が無くても、別に「今」。困ってないしな 。」

それも ある。

 食べるもの 住むところ  着るもの

   飲むもの  寝るところ

    私を満たしてくれる もの。


「ふむ。」

その「エネルギー」「チカラの循環」が 上手くいっていれば。

「ふむ。「お金」とは。如何に。」


現実問題 実際問題 きっと私の世界であれば
お金は無いと困ると思う。

 でも それは 自分が 「生産していないから」

そう、きっと。

そこ地球でも自分が自分の食べるものを作り、森に住み木で小屋を作り、川がそばにあったなら。

「うーん。」

「暑い」とか「寒い」とか  

  諸々 細かい問題は あるかも知れないけど。


「多分、「生きて」は行けるんだよな…………。」

「現代の生活」に 拘らなければ。
それは 可能だろう。

「うーん、トイレ問題とかまあ細かなところを言えば、キリがないけど。なんだろうね…。」


結局それも「視点」の問題で
 
 あれも それも どれもこれも

   「どこから 見るか」それなのだろう。


「できる」「やる」を選ぶか
「無理」「できない」を選ぶのか

そんな様な 話でもある。

「可能性  はたまた 無限に、いるかいないか。ふむ?」


  うん?  ふーむ?

 なんか  何を考えてたのか よく
  わかんなくなって きたから。


「うん、庭に行こう。」

そうして私はぐるぐるを「ポイ」と 放り投げて。

「チカラ」を貰う為に 潤いをチャージする為に
ハーブ畑へ出向くことに した。




  「花」   「蕾」


   「種」    「苗」

 「土」     「水」   「光」

       咲き
               枯れ

  収穫
            食



「ふむ。」


ここに
 私に  「今 必要」な ものは すべて揃って いる。

「ふむ?それ即ち 「幸い」で、あって?」

だから。

 「お金」は 要らない

 でも 「必要な人」も いる。


「あーーー   」

 


「別に、「同じ」じゃなくたって、いいもんね?」

  か。


そう きっと 私には今

  「そうできる環境」が あって

            

 それは別にいいのである。


 それは 私の 「自由」で

   他には 他の「自由がある」。


 ただ それだけなんだ。



「ふむ?それに、きっと、もう大丈夫な、筈 。」

そう、私達は「大きなサイクル」を 今 抜ける時なのだ。


 これまでならば 「統一」「同等」

それでなければ「不具合」が起きていた事も
きっとこれからは 「自由」でいい

そうなる   筈


 私が   

     そう   在れば。



「      成る程なのだよ、ねえ 君たち。」

 サワサワと揺れる青い草花

   まだ若いハーブの苗

 私の小さな 畑

   みんなに もらった  苗と種

 自然がくれる  土 光 水 風 大地のエネルギー


「   なんか。ありがとう。」


フワフワとした土に触れながら、出てくる感謝の言葉
 それもまたきっと 「良い循環」の「潤滑油」だ。


 「言葉には チカラがある」

それも 「本当」で。


 「想い」「祈り」「言葉」「謳」それはきっと

 みんな 「見えないもの」

 私達 「ひと」が 発することのできる 「チカラ」
 「エネルギー」 なのだ。


「ふむ。」


 「人が発するエネルギーそれ」が

   「見えないものたち」の 発するエネルギーと?

 
「共同創造、するのか、なぁ ?」

  でも きっと  

なんか。そう今、思えるから。


「そうなんだ。」



 自然の風  光

    流れる空気   土の匂い

 触れる柔らかさと  水の冷たさ

  手の中を流れる 優しい感触 緩やかな重み。


「ふむ。」

なにしろ、学ぶことは 多い。


「楽しい、けど。うん。」

 とりあえず、「お金」の件は そのまま で?


「問題が起きたら。対処すれば、いいかぁ。」

なにしろ 「何も起きていない」今
 それはやはり「幸い」「みんなの幸せ」


私が 「それ商品」に「対価」を求めないことで。

 確実に それは 安価になっているし

 私の「目的」

 「すべてに 届く」、それが。

 「透りやすい」「やりやすい」それだけは 確か。


ふと、ルシアに聞いた種や苗の流通の話を思い出す。

なんだか、各世界の雲行きが怪しくなっている所為で「もの」が回らず
その皺寄せが、細部まで届き始めて。
以前より家庭で使えるお金が減っているらしいのだ。

「もう、物々交換で。 いいんじゃ、 ないの。」

私的には そうも 思うけど。

 それも また 「まだ」なのだろう。

 「バランス」が 取れていない、うちは。


「ま、なにしろ私が「そうして」、いれば 「そうなる」かもだしね?」

実際 私がやっているのは「物々交換」
それも ピッタリ「自分の必要」との、交換なのである。

「そうなんだよねぇ………なんか、贅沢品だけ?お金、とか??いや、難しい話は私の管轄外よ。それは、あっち本部長の話。」

 
そう きっと  もしかしたら

 もしか しなくとも。

 ウイントフークならば その辺りも全て含め
 きっと「世界が廻るように」考えているに 違いないのだ。


「うん、それにラガシュがいるし?なんか、繋ぐとか、私が来る前から頑張ってたしな?」

 きっと みんなが みんな

   「その場所」で。

 今は 「光って」  

      いる   はず  よ。  うん。

 
 ポンポンと、小さなスコップで土を叩きながら
 頷いていた。

そうして、いつの間にか 無意識に掘り返していた土を
優しく畝へ戻し 固まっていた腰を解す。


「ふぅ 。」


    美しい な。


 そう  私 には  これ美しいもの

   あれ ば。


  他には  なにも
             要らない  のよ


 うん。


 あ あれ?


いつの間にか 側で私を見つめるルビーの瞳に気が付いた。
久しぶりの ナガだ。

「あれ。どこ 行ってたの?  出てないよ、多分。」

キョロキョロと自分の周りを見、澱が出ていないことを確認して
シュルリと巻きついた滑らかな鱗を 撫でる。


 うーーん    これ も。


    気持ちが いい   の だよ。


そうして、くるくると 私を回るナガに笑いながら。

土を落とす為に 家へと戻ったので ある。




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