透明の「扉」を開けて

美黎

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5の扉 再びのラピス 森へ

私の挑戦

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実際問題。

「お前の今の状態を、よく見て。考えてみろ?」

勿論「反対」は されなかった。
言って聞くとも、思っていないだろうし
そもそもこの人は無駄な反対をする人ではないし
私の事も ようく。

 解って るんだ。

 うん  そうだから  んだ ろうけど。


そう それは「今の私の状態」、その事である。

それを言われて改めて、考えてみる「自分の状態」
確かに それは「危険」でもある。

「色んな意味で」 だけど。


「ふむ?しかし、「出ない」という選択肢は無いから、そう「どうやって」という部分に集約されるのであって  ?」

「方法」とか「どこに」とか
そんな事はある意味どうとでも、なる。

そう「教会」と言われて パッと閃いたキーワード
 それは 「あれ」

 そうエローラもティラナも 言っていた「あれ」


「そう、私が「なれば」。いいのよ。ふふふ」

それ即ち「私が女神」ならぬ「人形神」作戦である。


場所が「教会」
二人から出た「人形神みたい」という 言葉
それはきっと私を「そう導く」付箋には違いない。

ピピっと。
そこにアイプの様な色が、ヒラヒラとくっ付いているのだ。

「ふむ?」

 ならば 私の「場所」は そこ で いいとして。


そう「問題」は「今の私」
彼が言っているのはきっと私が「満ちている」という、事だと思う。

それ自体は喜ばしい事だし、いい事でも、ある。


 日々 森で遊び  謳い

  木々と戯れ  泉に 浮かび

   光と追いかけっこをしながら 道なき道を

  フワフワと舞っている 私。


それに、夜は。
あの寝室で癒やされると、「無限」が私を歓迎して
また「からだ」と「なかみ」のバランスが少しずつ調整されてきていて。


 「感じる」  「感じない」 「どのくらい」

  「気持ちいい場所」 「風」「匂い」

 「感触」  「美味しい もの」


「五感」と「直感」が合ってきて
自分が欲しているものも分かるし
要らないものも分かるし
自分の「からだ」が拡がりセンサーの様な 役目をして。

「方向」が 解るのだ。

「ああ あっちだな」って。


だからきっと「嫌な色」のある場所には近付けないし、弾こうとしていなくとも弾いてしまうと思うのだけど。

「でも、「結婚式」だから。大丈夫だと、思うんだよね  うん。」

そう
無意識に「満ちている」私は、きっと大きな「保護の空気膜」の中に、いる様なもので。

 いろんな 「見えないもの」の 助け
 「護り」を 受けて

 「今 ここに ある」のが ようく 解るんだ。

だから。


「そう、普通のお出かけとは違うし。きっとみんな、「幸せオーラ」を出してると、思うのよ。」

人の集まる場所へ行けるかどうか、それもあるのだ。

しかし、「結婚式」ならば。

みんなが「祝い」のムードになっているだろうし
なにしろ「エローラの結婚式」だ。
絶対 「楽しい」「なんなら面白い」に 決まっている。


「フフフ」

も。どう、するのかだな。」

冷静に、私の事を見守っていたらしい金の瞳が
漏れ始めている星屑を見て、視線で示す。

「だよね………。」

 
 でも。 「結婚式」だから ?

  「祝福」、降っても。


「いい、んじゃ  ない ???」

「阿呆。お前は人形神に、なるのだろう?その後のハーシェルの事を考えて、やれ。」

「あ」
  
  そう か。

確かに それは きっと。

 あとで 大変になる やつ。


「 えーーー。でも。じゃあ、どう しよう。」

「自分でコントロールできる様にするしか、あるまい。若しくは良い方法を考えて、「そこまで」我慢するか。」

「成る程?」

彼が言うのは「祝福が降るタイミング」の事だろう。

確かに「そう なってもおかしくない状況」が あれば。

「「ブワッ」て、「バーー!」って、なってもいいって。事だもんね?」

やや呆れた目になっている金色は、溜息を吐いて扉に手を掛けた。

「まあ、まだ時間はある。少し練習してみる事だな。なんなら、吾輩付き合うが?」

「  ぇっ いや、大丈夫です、遠慮します、とりあえず一人でやってみるから!」

段々と楽しそうに「いけない色」を光らせ始める金の瞳
それから、目を 逸らしながら。

笑いながら家を出て行く、金色の気配を感じ大きく息を吐いた。


「もうっ。」

しかし
既にピンクに変化している、自分の姿を見て「確かに練習が 必要」と思ったのは 言うまでも ない。

「えっ これ なんとか、なる の???」

これまで特に 困る場面が、無かったから。
そのままにしていた「変色」問題と「星屑」、しかし「人形神になりきる」と なると。

些か 問題 では あるな ??


「うーーーーん?」

しかし、すぐには思い付かなそうなその「解決策」、半分「かたち」にそれを放り投げ
頭を休ませる事にした私は。

とりあえずポンとそのまま腰を下ろし、どのハーブティーを飲もうか 考え始めたのである。








 えっ   てか     でも。

どの ハーブティーにするかくるくると回るカケラ達を眺め
「色」を選び
「沢山の美しいカケラ」を 見て。

大分 スッキリした私の頭の中は「本来の位置」へどうやら戻った 様で。


「その、「瞬間的に湧き出てくる 「なにか」」に。耐える必要って ある?」

その、基本的な疑問に ぶち当たっていた。


 だって さあ    でも  ねぇ ?


 その 「湧き出る感動」 「魂の震え」が 無い
                 足りない から。

 「こうなっている」わけ で
 それを「止める」のは 
 しかも「私が それをする」のは。

 なんだか 違う 気が する。


だから 結局。


で。 いいって、ことか ?  うん。」

 あ。 でも  ハーシェルさんが  後で?

パッと戻る「枠の色」
しかしそれもまた、瞬時に翻されて。

 いいや でも。
 それもきっと 「そう なる」

 「最善」 それに 「導かれる」筈なんだ 。

  きっと 私が 「そう本当で あれば」。


きっと何らかの方法で「丸く治る」方向へ
 光が齎されるに違いない。

それは 「私の予想外」「範疇を超える なにか」

      なんだ。



それに。
そこまでカケラの色が落ち着き、また「見えてきた色」、それは金色

あの、家を出て行く時見せていた「意味深」な色

あれはきっと、また。

「くっ」

私がきちんと、「ここ」へ 辿り着くかどうか。
楽しんでいたに、違いないのである。

「なーんか。」 

  なんでも お見通し な ワケ?


「でも。まあ、うん。」

とりあえず問題は 無いのだ。

後は 実際 どうやって。

 「潜入」?  する か ??


「えっ、お父さん反対しないよね???」

それが一番微妙かも 知れない。

「なにしろ、とりあえず。「似せに」?行こう、うん。思い立ったが 、うむ。」

そうしてとりあえず。
「すり替えても判らない」程度に人形神に 擬態する為に。

いそいそと教会へ、向かう事に したのである。





「うん、いい天気。」

青い空  殆ど雲のない ラピスの青

  雲の代わりに白い石畳を眺めながら
  弾み 歩く 乾いた音

羽衣を纏っていると 殆ど足音は聞こえないけれど。

でも きちんと「耳をすませば」。

  やはり 聴こえる  銀の靴音  石の応え

 結局姫様の 靴は。
 あの時 新しく創ったから、私がこれをそのまま
 履いているのだ。


「 ♫       」

結局 あの後。
すぐに教会へ行こうとしていた私を 止めた金色

「もう、明日にしろ。普通は休息が必要だ。」

「うん?  うん。」

 「普通は」?

しかし、首を傾げ窓の外を見ると 確かに外は暗くなり始めている。

 それなら 仕方が無い。

そうして明日 教会へ向かう事にして、その日は大人しく休む事にしたのだ。



「  ふぅ。」

大きく、息を吸って 吐いて。

歩きながら、昨日 自分が嵌りかけていた「枠の色」を再び使わない様に 反芻する。

 あの 「慣れ親しんだ 色」 「既存のルール」
 「こうでないと」「まわり世間の目」という「枠」。


「そうじゃなくて、私が使うのは、「ある」のは、「いる」のは「こっち無限」なのよ。」


そう
 私 は 「無限」  

   「縛られ ない」  「自由」

 「なんにでも なれる」。


「チカラ」「エネルギー」その 意味が
段々と沁み込んできた私の「ぜんぶ」、それはやはり「からだ」と「なかみ」のバランスが取れてきたからだろう。

でも、またすぐに「枠の中」へ嵌ろうとしていた私の事を、あの色は試したに違いない。

「くっ。私もまだまだって、ことか。」

「女神」なんて 言われ始めて。
調子に乗っていたのか どうなのか。


 くるくると 周りを回り光る
  「自分のカケラ」  「光」達を眺めながら

 俯瞰して 見る 「自分の 姿」

 「あの色との 違い」。

 
しかし彼もまた、「神」的な 「なにか」
 「石」ではあるのだけれど「特別な なにか」「光」

 それは きっと

 私が ずっとずっと   あれ

   あの「金色の ひかり」なのだ きっと。


直接確かめた事はないけれど、ここへ来て
また深く繋がる様になって やって来た「実感」
それはきっと 「反対側」が齎す恩恵の一つなのだろう。

「うっ、いかん。」

今は教会へ向かう途中、白を連れテクテクと歩いている道中

 白い子虎 と ピンクの なにか

そんな見た目は、困る。

 まあ まだ「見えない」とは 思うけど。


それもこの結婚式で、みんなの感性が開けば。

また、私の事を「見える人」も増える可能性があるんだ。


「また、みんな光を見た時みたいに。感動、してくれるといいなぁ。」

チラリと私を見上げる 青い瞳

それは無言で「そうだね」と 言っていて。

この白い石畳に溶け込む白の姿を見て、「美しさ」と共に 私の胸もジンと くる。


 それならば 先ずは。

「さ、とりあえず第一の壁を扉にして開けるわよ?」

そう言って、静かに教会の扉を 叩いたのである。



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