透明の「扉」を開けて

美黎

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5の扉 再びのラピス 森へ

サイクル

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    「せかい」は 「廻っている」。

揺らぎながら 
   「成長」を 促しながら

   ただ ただ慈悲深く 私達の「歩み」を。

  「見守って」 くれているのだ。





 「育みと癒し」「再構築」のサイクル

自分の流れを 知る

  今 どこなのか

  始まりなのか  途中なのか

  終わりなのか   休んでいるのか。


 小さな サイクル 大きな サイクル

   個人のサイクル  社会のサイクル

  時代のサイクル   世界のサイクル


その どれもを加味し自分の「流れ」へ取り込み
「色」「味」「音」「匂い」「感触」を感じ
「自分の」方向性を確かめ 進んでいくこと。



 新しく発見すること

    拾い集めてゆく カケラ
 気付きの数々
            色んな いろ

    モヤモヤと渦巻く「なかみ」

   「閃き」「啓示」「惹かれる方向」

   「落ちている ヒント」。


 「学び」 「わかり」 「また補完して」

   「進み」   

 
 「しっかりと見つめ」  「それが また 落ちて」

   「更に自分で落とし込み」  「使ってみる」こと。

 日々の自分を観察し 変化の流れを
  「記憶」「記録」「留めて」おくこと。


その、私がずっと この旅で繰り返している「サイクル」。

自分でやっているからこそ、「わかる」その仕組み
進めば進むほど深まる理解
「せかい」「自分」「すべて」を知ること
その関連性と 相互補助関係。


「うーーーん。深い。」

ある日のラピス、久しぶりに白い石畳を散歩しながら唸っていた私は
ふと顔を上げると自分が「頂上」へ登っていた事に気が付いた。

「ん?あれ?  いや、美しいな。」

しかし、自然と出るそのセリフ
それはやはりこの青と白の街を上から眺める、贅沢と。

いつの間にやら迷い込んでいた、あの「青の少女像」への小道へ辿り着いていたからである。


「久しぶりに来たかったし?まあ、ゆっくり見て行こうかな…。」

気分転換も兼ね、出掛けてきた散歩だ。

 なんだか 少し澱もあるし
  なにが 気になっているのか
   それも わかって るけど。


 それは勿論 先日ハーシェルが言っていた

   「あの件」

 「エネルギー問題」 「みんなの行き詰まり」

  その澱で ある。

羽衣は 纏っているし 基本的にここにはそう、人は来ない。

 それなら 大丈夫な 筈。

誰かに出会った事があると言っても、あの。

「あ。」

「あら?久しぶりね?」

 噂をすれば  なんとやら。

そう、小道を進んで 見えて来たのは。
上品な深い青のワンピースを着た、変わらず美しい灰色髪を靡かせたソフィアであった。



美しく深い 青の装飾
 「今 見ると」そう私に似ていない 「青の少女像」。

その金彩の見事な曲線を堪能しながら、この頃の近況を話し合った 私達。
やはりフェアバンクスの容態は、あまり良くはないらしいけれど。

「でも、貴女が帰って来てからは多分、前より良くなってると思うの。」

彼女がニッコリとそう言ってくれたお陰で、私の心も靄が晴れる。

しかし、その「具合」から導かれたラピスの「具合」の話
それはやはりハーシェルが言っていた「あの事」と同じ様な、内容だった。


「どこも。同じ様な事で行き詰まってるのよね。」

「はい。でも、なんて言うか、「エネルギーの奪い合い」とか「押し付け合い」とか。「一方的な搾取」とか。「どうしてここまで」っていう、場面を見ちゃうとどうしてもぐるぐるしちゃうんですよね…。」

「まあ、それはある意味当然よ。だから貴女は、なのだし。」

「?」

ソフィアの言う 「そうなのだ」の意味
 それはきっと 私が「女神をやっている」件の
 事だろう。

「手を、出せないのは辛くもあるでしょうけど。貴女はもう、いるだろうしね。でも、解らない人は解らないし、事実「まだ」なのよ。だから、やろうとしても「できない」し「見えないから判らない」し、「解りもしない」。結局、堂々巡りになるのよね。自分のやるべき事をやってから、自分で出口に気が付かないと。」

「 はい。」

やはり、同じ様なことを思っている 青い瞳を見て頷く。


私達の話は、そこで一旦 途切れて。

フワリと吹いた なんて事のない 風
  高い位置だからこその 「色の無い風」に。

心地良く吹かれて、自分の中の澱を攫ってもらう。


そう、あれから黎がいなくとも 「重い澱」でなければ自然が 風が 光が 空気が。

いつの間にか、澱を飛ばしてくれることが あって。

 ああ やっぱり 「共に働くと 違うな」

そう、私の中に実感も齎してくれているのだ。

  
「有り難い。」

「?」

突然の私の呟きに振り向いた、青い瞳の疑問に答える。

「なんか、この間の結婚式から。森と?なんか、もっと「せかい」と仲良くなれて、楽しいんです。だから、ある意味「この状況」にも耐えられてると、いうか 。」

「ああ、成る程。そういう事だったのね。貴女が思ったより元気で、安心したけれど「どうしてだろうな」とは、思っていたの。」

「ありがとうございます。だからみんなも。気付いて、歩き出してくれると いいんですけど。」

「そう、ね…………。」


「ブワリ」と。
更にまた、強い風が吹いて 私達の髪を乱し
その「動き」がこの世界の変化を現した様で、顔に張り付いた髪を無言で 整え 直す。

すると、少し低い声で。

ソフィアがまた違う角度からの話を始めたんだ。



「流れを、知らなければ。繰り返している事、「サイクル」があるという事を知らなければ、やはり不安は募るでしょうね。」

「 確かに。」

それは 私も考えていた 「学び」の話

 私達が 進み 通り抜け 開け放たなければ
 「見えない景色」の こと。


「それに、私達は「試されてる」のかも、知れない。」

「えっ?」

  試され てる ??

思わず目を、見開いて見た その美しく青い瞳は
揺れる空の雲と 同じ色を擁して いて。

 薄く 霞んだ雲  しかしどこまでも美しく尾を引き靡く様

  その「自然と同じ」美しさが醸し出す「本当」

 「それ試されている」が 「天の意志」だと いうこと。

その「閃き」に、思わずもう一度目を大きく見開き
彼女の顔をまじまじと 見てしまった。


「えっ。」

 ソフィア さん が ?


私の頭の中で くるくると回る小さな カケラ

  「天の意志」 「試されている」

 それ即ち 彼女も「すべて」「せかい」を
 「知る者」だと いうこと。

いや、でもであっても 不思議じゃない。

この人は。 

 「繋いで」きてるんだ。
 「家系の石」を。

 きっと私もよりも 「実感」としてあるかもしれない
 その「記憶」 

 「実物」が ある事で。

 「それ記憶」はきっと 「実感」をも
 伴うものなのだと 解る。


きっとくるくると 共に変化している私の色を、真っ直ぐに見つめながら 彼女は。

静かに口を開いて 肯定の言葉を発する。


「そうよ。きっと世界は、何かの所謂「神」の様なものは。私達を見ていて。きっと確かに、試されても、いるわ。だって私達は。ずっと繰り返して、きてるのだもの。」

 それは ようく解る。
 わかり 過ぎる程に。


 ピンと張っている 青の空間 
   清く満ちて 私達以外は。

  何者も 「入り込めない」 空気。


私は「天の意志」と 口に出してはいないし
彼女は私の返事を聞いた訳でも、ない。

しかし共通する「いろ
その「含む澱」の 「波長」「響き」「波」
「相性」の様なものが、似ていてとても通りが良いのが 解る。
意思疎通が し易いのだ。

 
 私達は 殆ど  同じ様な事を 思って いるし
 きっと 同じ様な事を。

 経験 してきて るんだ。

その、瞳の色を見て そう思う。


でも、あの時金色は「あれも石の様なものだ」
そう言っていたから。

私とは「同調」し易いのだろう。
 なんか それもわかる。


「えっ、て、言うか。「なにを」試されてるんですかね?」

ふと、我に返って問う。

 
 「今」 「ここ」「これ」が 「天の試し」なのは
 なんとなく わかる。

でも 「なにを」?

 私達の 「なに」を 試したい の ???



「あ。」

「そうよ。きっと。貴女なら、解る筈。」

ソフィアに問い掛けながらも私の「なか」が、くるくると廻るカケラから
先に「こたえ」を弾き出してきた。

 だって 「それこたえ」は。

 覚えの ある   あれ


   私が  あの

   深海 で。


  「もう  繰り返さない」 そう言った それと

  「同じ」 だったからだ。


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