透明の「扉」を開けて

美黎

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5の扉 再びのラピス 森へ

色んな、いろ

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この頃、また時折 街へふらりと出掛けたり
森を彷徨いて 村を覗いてみたり、していたのだけど。

「やっぱり、色んな人が、いるねぇ。」

「なによ、そのセリフ。」


大きな泉 大きな石 大きな岩と、その上
隣同士で。

のんびりしているのは 一人の女神と 猫一匹。
そう、いつもの朝と私のコンビである。

朝はいつも森の中を巡回している様で、ぐるりと周った後は私の場所に寄ってくれる事が多い。

私が ふらりと出掛けていたり
寝坊していなければ だけど。


「なぁに?すっかり女神も板に付いて、どんな感じな、ワケ?」

「うーん、なんて言うか。別に、何をどうする、訳でも無いんだけど。色んな人が、いるなあって。それに、私 多分隠れたままだし。」

「そうなの?」

「うん。まだちょっとね…………。」

「まあね。不安があるなら、やめといた方が無難。」

朝はもしかしたら、私が慣れたら普通にみんなの前に姿を見せると思っていたのだろう。

私も 勿論「そのつもり」が 無かったとは。
言えないけれど。


「うーー  ん。」

足を泉につけ、パシャパシャと水面を靡かせて遊ぶ。

基本的に ここ、泉の側 「出掛けない」時は。
いつも裸足で過ごす様にしている。

なんだか大地が、直接感じられるし何より 気持ちいいのだ。

「ま、気の済む様に、しなさい。」

そう言って、水音に一瞬目を開けた朝は
再びお昼寝をする様だ。

 て 言ってもまだ ほぼ朝 午前中 
 ある意味 二度寝??


ヒクヒクいい始めた髭と、大人しくなった尻尾を見て微笑みが浮かぶ。

「さて?」

そう、私が「色んな 色」と 言っている それは。

 沢山の場所で 見えた

 「エネルギー」の 様な もの

 「見えない なにか」

きっと 「想い」か 「念」か 「スタンス」なのか
 「生き方」なのか。


 その 「人」が 使っているエネルギーが
 「わかる」のだ。

 
 どういう 生き方をして いるのか
 これまでの 辿ってきた 道の色
 今 いる道の色
 発している 空気。


きっと そんな様なものだ。

 「それエネルギー」は。


「エネルギーなのか、色なのか、道なのかなんなのか。」

まあ、「言葉」は重要じゃないだろう。

それを表す言葉自体は、使う人によって違うだろうし
私は まだ。

 「それ」が なんなのか、はっきりしていないから
 気になるんだ きっと。



「ふむ。」

そもそも、何故「それ」に気付いたのかと言うと
「私が会いたくない人」
それが「何故会いたくないのか」、それを考えていた時だった。



私の世界でも、私の周りには決まった人間しかいない。

「親友」と呼べるのは しのぶだけだし
愛想は良く 交友関係に問題は 無いけれど。

きっとこの「性質」が影響して、仲の良い友達が出来にくいのだ。

 その 「エネルギー」なのか
    「気配」なのか

 人が発する 「色」「匂い」、それを感じ取って しまうから。



「それ」には 沢山の色があって。

「自分の色を ところ構わず振り撒いている人」
「かまって欲しい色」
「いつでもこちらの顔色を見て決める色」
「すぐに自分の色を 他人に乗せてくる人」
「ただ 待っている色」
「自分の色で 薄い色を取り込もうとしている色」。

もっときっと 沢山あるけれど
大体はそんな感じに分けられると思う。


具体的に言えば
友達と約束したいのだけど、私を巻き込もうとする人。

それは 自分だけだと 会話が続かないかも とか
  行き先が決められない とか
  何かあった時 どうすればいいのか 分からないとか。

 そこから始まる「主導権を 誰かに渡す」ゲーム
 「持ったら 負け」なのか なんなのか
 わからないけど。

 兎に角始める「責任」の 投げ合いっこ。


その「投げ合う責任」の重さは 多岐に渡って
「友達間」で済む事もあれば、間柄や物事によっては「金銭」が発生する事すら、ある。

なにしろ自分で決めたくないから、他人にやってもらおうとするタイプだ。

 私は誰も持つ人がいなければ 持つし
 みんなが困っているところを 見たくないから。


きっとそうやって「持ちたくないけど 持つ人」「持つのが好きな人」「知らぬフリを決め込む人」色んな人が いるんだ。
「世界」には。


ラピスを見ていても、そんな人は沢山いて
優しい人が断れなかったり、引っ張ってくれるタイプに頼んで、相手も自尊心を満たされていたり
色々だ。


「人間、難しいよ…………。」

当の本人はきっと 「他人に色を乗せている」ことに
気付いていないのだろう。

それが「普通」なのだ。

それに、そういうタイプは「乗せれる人」を瞬時に見抜く。
そして頼むのも上手い。

「そうやって、何色ものを乗せてくるんだもんなぁ………。」

しかし、それにはそれで「理由」もあって
その人が「そうなった理由」と「そのままの理由」も、ある。

 だから別に それが「駄目」なわけじゃない
 
なにしろ みんな「選択」は「自由」なのだ。


 ただ 「私が」。

 もう その輪の中に 入れないだけなのである。


「結局、「ひとり」とは、的な話に行き着くな、これは。」

そう、孤独は怖いと 人を殺すと。
言われているけれど 私は そうは思わない。

「一人でもいいし みんなと居ても いい」
その状態でないと、結局チカラの奪い合いに なるからだ。


 「自分を 楽しむ」「環境を 楽しむ」
 「好奇心旺盛」「自分に責任を持っている」

そんな単純な、事だけれど。

きっと「依存」を刷り込まれた私達は それを抜け出すのが難しいのだろう。

 
 圧倒的な数の ラピス
 森に暮らす 人々

その数の差を見ても、それは明白だ。


「絶対、こっちのが楽しいのに ねえ 。」

久しぶりに見た、沢山の色 
        様々なタイプの人と 澱。


「? 成る程?」

  なんで 「今」「その気付き」なのかと

  思ったけれど。


「確かに。これも「見えない なにか」、なんだ。」

きっと みんなが乗せ合っているその色は
「エネルギー」の一種で 「見えないチカラ」

自然の チカラ 精霊やスピリットでは ないけれど。


「ふむ?色々なものに、「気付いて」って。ことなのかな?」

きっと、意味無く「気付く」ことは ない筈なんだ。

 今は 「見えない」「みんな」だけど。


「私が「受け取った」からには、何かしらの啓示って、ことだよね………。」


 「女神」を やって欲しいと言っていた
  ハーシェル

 まだ「みんなには 見えない」私。


森の住人には、「見える人」も 多い。

その、違いか なんなのか 
 でもきっと なんだろう けど。


「なんで、森の人達には見えるんだろう  意識の。違い、ってことだよね  。」

「まあ、後は。「見て終えば。」お終い、だからよ。」

「えっ」

 起きてた の ??


「そんな独り言、寝てられるわけがない」という青い目

その呆れた青を見ながら。

もう一度、確認する。

「お終い?って?どういう、こと??」

「そうねぇ。」

そう言って、少しだけ思案した朝は ムクリと起き上がって。

私の正面を向いて こう 言った。


「あんたも。覚えが、あるんじゃない?「知ったら」、「見なきゃ」いけないじゃない。「自分のやってきた事」を。それが、怖いのよ。そう、本当の事は優しくないからね。」

「あ」

 その話。  いつか した よね??


あれは、魔女部屋だったか。

朝と、二人で「世界を救う」のが なんちゃらって。

 確かに 言っていたんだ 私達は。


「あの時もあんたは、「みんなが自分を救えば、世界が救われる」って、言ってたけど。それは「真理」よ。でも、が、怖いのよ。だからなかなか、進まない。「恐怖」を克服するのは一等難しいからね。」

「   なる ほど。 確かに。」

「森にいるって事は、それだけの事を乗り越えてきた人が殆どだから。だから「見えても」なにも不思議じゃないのよ。「その目」を、もう持ってるから。」

 なるほど 流石  朝。


「ポン」と、拳を打ち鳴らして。

物凄く合点が入っている、私を見て再びくるりと丸くなる、朝。


 その 「曇りなき 眼」みたいな

   「本当」を 「見る目」みたいな。

 確かに 「ヴェールが 掛かっている状態」だと
 それを通して見える「景色」は
 「その人自身の色」、しかしそのヴェールを
 取り除いた ならば。

きっと「枚数」や「掛かっている色」「ジャンル」でも違うだろう、その「見える目」の解像度
しかし
「外れれば 外れるほど」見える のは本当で。

だからこそ、「もう 居られなく」なるのだろう。


 くるくると 回るカケラ達の光を見て

 その 「透明度」「輝き」「質」を見て 思う。


確かに「本当のこと」は 優しくないんだ。
私達の「やってきたこと」、それを余す事なく見つめ、受け入れ、理解し そして流して。

しかし流せず、「捕まって」しまったならば
また「抜け出す」のが 更に難しくなる、その檻。

「ふーーむ。」

しかし。

それもまた 「その時」「それぞれの」「自由」で

 それを「超えたならば 見える光」の 美しさ


もうそれを散々解っている 私は。


「なんか。とりあえず解決?した??」

でも。

「思い悩む」、ことでは ない。
それは はっきり、解るんだ。


「それなら、とりあえず。私の仕事を しましょうか。」

なにしろ、「満ちて」。

   「そう ある」を 「体現する」のが

  目下の 私の仕事なのだ。


「よっしゃ、じゃあ泳いじゃおっかな??冷たいかなぁ?」

「やめなさい。せめて、向こう小さい方にしなさい。」

「あ、やっぱり?」
「やっぱり?じゃないわよ、もう。」

そうして 結局三度寝に失敗した、朝と共に。

小川に掛かる ヴェールを抜け
向こう側私の場」へ 移動したので ある。










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