透明の「扉」を開けて

美黎

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5の扉 再びのラピス 森へ

光の道

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多分 その 「光の道」には
 
 沢山の 「楔」「標」が あって。


 それはきっと 「いつかの光」
 沢山の 「私」が 
  何処かに
 「置いてきた 光」  「カケラ」。

 
 あの 灰色の大地には ディーの光

 何処かは わからないけど あの 扉を移動し
 光を点在させていた
 セフィラの 光

そして
 あの 深海で拾ってきた 沢山の


 いつの「生」でも 真摯に 光り
  どの光に対しても 誠実であろうとした
  その 蒔いてきた 種
 置いてきた光。


  「消えなかった」「消せなかった」その 光は

 いつでも どこでも。

 諦める事なく 「楽しんで」「光って」
 
 「鮮やかに輝いて」。

 ある時は
 のたうち回って 蹲っていても 決して
 消すことのできなかったそれ
 「真ん中」「奥底」にあった 光
 

 
そうして振り撒かれていた 「光」が「繋がる」
         
       「光り合う」。



   「今」  「今だよ」

     「そう なんだ 」



そう

   いつかの 私   沢山の 光

 それが 全部  光り合って。


「やっと」「待っていた」と
 「せかい」を 「網」の様に 包むんだ きっと。




あの、石の光に繋がってから「実感」として「わかる」、その思い


       「光の道」 

そう、それは 私がいつか やっていた「役目」。

それは確かに。

 「光を 繋ぐ」 ただ それだけ

 美しい ものを見て 魂を震わせ

  ただ 光を溢しそして 光り合い 「繋ぐ」。


 その 役目だったんだ。


「ふむ。」

ここへ来て、深く実感する事となった この思い
それには何か、意味があるのだろうか。

今は まだわからないけど。


薄く、透明な瑞々しいガラスの向こう
緑の烟る森の様子を眺めながら、改めて深呼吸をする。

「ま、なにしろ。とりあえずここでのんびりしてれば、分かるよね………。」

そう、実は。
家は、私が魂を震わせているうちに完成していた。


「カケラに任せる」、そう思ってなにしろ空気を味わっていた 私
しかし流石にカケラ達は「私の光」でも ある。

私が想像してあった「こんな家」という、意図を的確に掴んだその森の家は実現してみると
とんでもなく素敵な住まいだった。


やはり、「実体」「具現化」すると 実感が違う。

その「想像」から「具現化」、「物質」が伴う変化と その重みが増すこと
 比重の違い 「かたち」の与える印象。

「うーーん。これは、なかなか………。」

今更だが、私はとんでもなく「細かい」。

口に出して説明するのは、難しいのだけど
「色」「形」「線の太さ」「直線と曲線のバランス」「角の処理」「設置面の結合」「家具の配置」「部屋の位置」「置いてあるものの 持ついろ」

きっと もっと沢山あるのだけれど、なにしろ置く物の拘りとバランス、物がありすぎると落ち着かない性格、掃除のし易さ、全体の調和。

それが 気に入らないと。
落ち着かないのだ。とりあえず。


しかし、やはりカケラ達は私の「なかみ」だけあって口には出せないその細かな要望を的確に叶えてくれていて。

「うーーん。なんか、インテリアコーディネーターとか、できそう。 ん?でも私がやる訳じゃないな ?」

きっとその仕事をする人が必要なのは、センスと「ニーズを読み取るチカラ」なのだろう。
口に出せない微細な感覚、それがここまで具現化すると やはりそう思う。

 うん センスは勿論
 その 「住む人」が どう ありたいか
 どう 生活したいのか、って ことだもんね


そう、一人しみじみと頷きながら、ダイニングテーブルの木目を眺めながら お茶を飲む。

私が今 居るのはダイニングキッチン
コンパクトなキッチンと、食事所が合わさった程良い広さのメインの部屋だ。

デヴァイの部屋とはガラリと変わり、所謂「ログハウス風」のその家は きっと森にある物で全てが賄われているからなのだろう。

その、テーブルからも木の呼吸が伝わってきて そう思う。

 うん みんな ありがとう。

天板を撫でながらカップを置き、周りをぐるりと見渡した。

どこも、みんな。
 森の呼吸が感じられる、美しく優しい 場所に仕上がっていたからである。



気が付いた時、既に理想の姿だったこの家に 今のところ付け足したい物は特に無い。

そもそも私の想像を超える、この家は 外観からして「森の家」そのもので。

「えっ?」

初めは思わず二度見した程、森の景色に溶け込んで いた。


 えっ なにこれ
 「面白い」。

最初の感想は、それだ。

なにしろ遠くから見ても「家」だと判らないそれは、ある意味ヴェールの役割をもするのだろう。

しかし流石に私の「いろ」を放つその場所、注意して「見よう」とすれば すぐに分かる。

近づいてみると、見た目は小さな「森の小屋」
しかし、中へ入ってみると意外と広い。

 玄関 という程の場所でもない 入り口
 そこから直接繋がるダイニングキッチン

それはきっと「只人」には辿り着けないこの家だから、そうなのだろう。

普通にお客さんが訪ねてくる家では少し落ち着かないその配置だが「私の場」という安心の空気と、絶妙な家具の配置、何もかもが「楽しく美しい」森の恵みで創られたその部屋に一目で満足した事は 言うまでもない。

 自然に 飾られた花々
 木肌を生かした 調度と家具
  木の窓枠と 揺れるガラスの薄い水色 
  それは 今はもう 「作ることができない」と
  言われていた。
  私の家にある 古いガラスと 同じ いろ。


昔、おばあちゃんに聞いた話が思い出されるそのガラスは
美しい水面をガラスにした様な瑞々しい揺らぎを保ちながら、向こう側の景色を抜群の美しさで見せてくれている。

 古い けど 古臭くは ない
 新しいけれど 温もりが ある

そんな空間に満足すると、とりあえず他の扉が気になってきた。

ダイニングを真ん中にして、左右にある 扉
それはどちらも同じ大きさで、しかし意匠が少し 違う。

 多分 あっちのシンプルな方が お風呂?
 洗面室??

 あれ 森のお風呂計画は やっぱり 駄目なの か 
   どう か。


とりあえず反対側の寝室と思しき扉から、攻める事にした。

寝室ならば、そう確認するものもあるまい。
すぐに終わるだろうと、そちらの扉に「カチリ」と 手を掛けた。

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