透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

新しい私で行く

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 そもそも なんで 「森」なのか
 それを、改めて考えて いた。


いきなり突拍子もない事を言い出すのはいつもの事だけれど、それを笑って許してくれるイストリアと渋い顔だが反対はしない本部長
ついて来てくれると言う 朝とベイルート
緊張しながらもやはり、嬉しそうだったシリー。

みんなの存在を改めて有り難く思いながら、白く小さな扉を見上げ その清さを自分の「なか」に映す。


それに そう シリーは。
元々私がここデヴァイへ来る為に、ついて来てくれたんだ。
私が一人、ふらりと「森へ行きます」 そういう訳にはいかない。

始めは「みどり」の連想から始まった この「シリー帰還作戦」
それが想像から計画 実行、もうすぐ現実に なる。


「本当、有り難い、よなぁ  」

サラサラと 流れる様に差し込む白い光
何処からか差すその光を受けた両壁が また光り合い 増した光で、浄められて。

 その 有り難さの中 更に思う こと。

シリーとザフラが また会えること
あの時 「私の中」では引き合わせることができた、二人だけど。


 それが 「本当現実」に なる

その大きさがジワリと胸に浸み込んできて、思わず胸を押さえた。

   
     「守れる」  「約束」

 「実現 できる」  「想像から」「創造へ」

 「意思」 「意図」の チカラ

   「可能性」から 外さないこと

 「無理」「諦める」「不可能」の領域へ
  放り込まなかった こと。


それを自分の中で、また改めて確認しながら
森への「色」をも確認する。

そう 私はみんなに詳細まで説明した訳じゃない。

きっとあの薄茶の瞳は、凡そ解っていただろうけど。


 何故 「今 また」「森」なのか

 「外」へ 出れるのか
 危険は無いか  女神として行くのか
 誰には 会えるのか
 実際「どう」「生活」するのか。


細かい部分は 色々あれど
私の思いは一つだ。

 「自分の変化」「真ん中」「位置」「感覚」を確かめたい
 「もっと 繋がるには」「沁み込むには」
 「大地と 自然と 」
 「きっと 秘密は 鍵は そこにある」

そう 私達を包み込んで 「生かして」くれている「せかい」

それを知りたいんだ。

次は 「新しい私」で。

きっと もっと「知れる」ことは 沢山あるし
「見えないもの」は やはり存在していて。


 「あの時始まり」には 見えなかったもの
 「拡大」した私で 改めて見る森の景色
 
それを見て。

 「せかい」と「私」の 関係性を確かめたいのかも 知れない。


それに、なんとなく だけど。

きっと「外」へ出るにはきちんと「内」の事を
知らなければいけないと思ったんだ。
何故かは 分からないけれど。


「でも、多分それ正解 だよね…………。」

ぼんやりと上を見上げ思う その思い
「あの頃の私」「今の私」「これからの私」。

それはきっと 同じ様で 違って だからきっと
面白くて。
刺激があって 新しい発見が 気付きが 
あると思うんだ。


「うむ。」

そこから始まる、また「新しい一歩」
結局「行き先」は、はっきり「かたち」にはならないけれど「方向性」だけは。

 はっきり くっきり 見え始めて いる。

だからそれを、もっとずっと細かく「なに」という
「かたち」じゃないとしても。

なんか きっと。
はっきり「知りたい」んだろう。
私 自身が。


大きく、深呼吸して光を吸い込み自分の「なか」を真っ白に塗り直して。
くるくる回っていたカケラ達を「かたち」の中に放り込むと、また改めて「必要」を考えてみる。


後は?

 金色 は まあ 一緒 だよね
 そりゃ 一人は流石に 許され ないかも
 極彩色は 分かんないな でも 多分
 ピッタリ一緒にいなくても あれは 「見てる」からなぁ
 朝は シリーとあちこち橋渡ししてくれるだろうし
 ベイルートさんは 森 ピッタリだな………

 家  家は なんだ?
 向こうって 石で家 創れるかな………??


 ん?

そう 一人計画を練っていると、いつの間にか背後になにか 光がある。

「あ」

 これは。

気付いた瞬間、またジワリと湧き出す暖かい色
少しの寂しさの澱を、ナガがパッと捕まえるのを見て。
笑顔でくるりと振り向く。

それはあの 見知った色 久しぶりの、ジュガだ。

その、久しぶりの姿を見て。
「また少し大きくなった?」と思いながらも暖かさが増す胸に、また手を当てた。

また来れる、そう思うけれど
暫くこの空間ともお別れだからだ。


その私の気配を察してか、少し微笑んだジュガはキラキラと光る茶の瞳を細め こう言った。

「大丈夫。元々あそことここは、繋がりが深い。」

「 ? 繋がり?」

「そう。ここはヨルが創ってくれた空間だけれど、元はフェアバンクスだ。向こうラピスも色は、共通の部分が多い。きっと、繋がりやすいよ。」

「 確かに?そう かも。」

ジュガがそう言うと、なんだかそんな気がしてきた。

それに、「あの扉時の鉱山」の事もある。
確かにここは、「繋がり」が 深いんだ。


しみじみと頷きながら、シュルリと顔を出したナガと目を合わせいつの間にか膝に乗っていたウンの毛並みも堪能する。

 フワフワと キラキラ  

私の前のベンチの背を渡る ナガの光
きっと「癒しの光」を出している ウン

 この子達は 森で ?

  どう なんだろう か

   私の達は  ? どう ??


しかし。
想像してみても「森の中での光」は、浮かんで来ない。

「うん???」

私が自分の「なか」でそれを展開しようとしても、パッと思い浮かばないのだ。
いつもならば。
容易に 「想像」できる のに。


「形を成すのは、難しいかも知れない。」

その、私の「?」に解答を齎したのは前のベンチでナガと戯れていたジュガだ。

「元はここも、そうだった、高かったんだ。でも色々な事があって、結局スピリットも消え僕だけになっていた。」

「えっ。」

でも 確かに。

ここへ来た当初、始めからきっと「姿形」がそのままだったのはジュガだけだ。
きっとジュガは、ここでは一番チカラがあるスピリットで練度も高く、長くこの場にいるからだろう。


 ん? でも?
 私の光が 「出ない」?「出れない」??

「「形を成す」?って………?」

首を傾げ、ぐるぐるしている私を見て少し考えているジュガ。


あの、スピリットが靄だった様に。

 光達が? うん?でも「神」でもある から?
 えっ  どうなんだ
 でも 「私の想像」に 「出ない」という ことは。


「そうだね。何と言うか、力が足りる足りないじゃなくて。場所の問題なんだと思う。」

「場所?森?」

考えあぐねているジュガは、知らないと言うより上手い言い方が分からないと言う。

確かに彼はスピリットで。
この間まで、小さな子供だったんだ。

今は 少年に近いけれど。


「僕はここから出た事が、無いから上手く言えないけれど。きっと、「森」は関係なくて扉が違うからだ。本当は、扉間は場所が違うと言うよりは、重なっているに、近い。僕は上手く説明できないけど、きっとヨルなら自分で解ると思うよ。だからヨルの世界もきっとだ。それも含めて、また森で沢山の発見があると思う。」

「なる ほど 。」

それは もしかしなくても?

 きっと 私の「場」「空間」と 同じ様に
 「全体」の中での「位置」

 「場所」「点在」  その「高低差」


 「見える」「見えない」「未だ 知れぬもの」
 「あちらからだと 見えない こちら」
そんなものに 近いのかも知れない。


「確かに。、解るのかも。て言うか、行って解るか分かんないけど、行かなきゃ分からないって事だよね………。」

「そうだね。感覚が拡がったろう?確かめてくるといい。きっとを、しに行くんだろうけど。」

「うん。ありがとう。」

頷いて、手を差し出すジュガの手を取りギュッと 握る。

あの時差し出してくれた手は、もっと小さく臆病で でも。
私を「知りたい」と思ってくれた 手だったんだ。

 今の この手は「激励」?
 いや 「励まし」「応援」 かな 。


しみじみと変化を思い、自分の手のひらを見つめていると
いつの間にかジュガの姿は、消えていて。

後には 光が ただ清廉に降り注ぐのみ だ。


「なにしろ、私は自分の変化、成長、今の位置を確かめて。うん。」

そう すればきっと また見えるんだ。

 その先  私の方向
 はっきりとした 目的地

 それは 場所なのか ものなのか かたちなのか

  それとも漠然とした 「ひかり」とかかも
                 知れないけれど。


「うん、先ずは。シリーをきちんとザフラに、送り届けないとね。…………ん?」

てか

  私  この「見た目」だったら 。

 そのまんま 「はい」って シリー、置いて行けば

    よく  ない  ???


「それでパッと飛んで貰えば万事解決、するんじゃないの………。」

て、言うか。
それ以外の方法の方が、難しく ない???


「元々「女神」がザフラと約束したんだからそれでいいんじゃないかな?うん、そうと決まれば後は行って、送り届けて。それから石で家?創って、何処に住もうかな??えっ、楽しみ!」

「 ウ ン」
「あっ、ごめん!」

いきなり立ち上がった私の膝から、ウンが落ちた。
いかん。

「女神らしく」、行かなければシリーがきっと 困る。

「とりあえず、そうと決まれば。」


そうして 私は。

言った側からウンを抱え、くるりと踵を返し
スキップしながら白の道を進んで、しかし。
扉の前で、きちんと振り返った。

「ありがとう。また、ね?」

そうして、白の礼拝室へ挨拶を済ませると。

本格的に出発に向け、支度をする事にしたので ある。


 



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