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5の扉 再びのラピス 森へ
握っていなければ 離れるもの
しおりを挟むただ 森の空気を吸って 吐いて
ただ 何も考えずに 歩く。
サクサクと落ち葉のパーカッションが 楽しい場もあれば
しっとりと私を歓迎してくれる 柔らかな土の場
みんなが「生活」に使う 踏みしめられたしっかりとした道
「地面」を「楽しむ」それだけでも 1日遊べる。
その 場所場所で少し違う空気
木の種類なのか 草花の匂いか
それ確かめながら 自分の手のひらを見る。
「なんも ない、なぁ 」
「自分」を見つめながら思う 不思議
森では私は「なにも」持っていなくて
少し借りているスペースの畑
朝が届けてくれる 少しのパン
小川や森の癒し
いつでも「そこにある」安心の「あの人」。
それが あれば。
「満ちて」いるし 「不足」はない。
ただ 「せかい」に包まれている だけ
「森」「みどり」に 浸っているだけ。
「それだけ」で いいのだ。
小さく息を吐いて「くるり」と木の周りをまわり
「自分の全体」をバンと同時展開して その場の中に ある。
繊細で 薄く 細かく 張り巡らされる「せかい」
それは重くはなく しかし複雑で
一点を集中して見ることは向いていない。
ただ「把握」するのだ。
自分の「感覚」「すべて」で。
そうして思う
「軽さ」、その中に「もの」は 殆ど無くて。
そしてそれは
増やしても 減らしても良く それは「自由」だ。
そう
握っていなければ 離れてしまうもの
それは 必要のないもの
本当に 必要なものは。
失くせない ものは。
どうしたって 最後まで残るの だから。
どこまでも澱を排して 残った わたし
それは殆ど全て「これまでのもの」を寄せ付けない私
だった。
それを はっきりと知ってしまった 今
私の持つもの それは「自分」
それしか、ない。
「光」達は 私の一部
「あの色」は「持つもの」では ない。
「そう あるもの」
「そこに あるべきもの」
自然と一つになる「なにか」。
難しいけど なんか そんな感じだ。
今の私が、表現すると。
「肉体」側を癒やされている今、あれが私の「片方」なのは、ようく 解る。
どうしたって私は一人だけれど「女」ではあって
両極のうちの一つなのだ。
「人間」としての存在
その定義は様々なのだろうけど 「肉体」「物質」「動物」「種」として「繋がる」もの
それを鑑み「ひとつ」とすれば それ即ち「あちらとこちら」
「二つで一つ」。
きっとそうなのだろう。
そうして残った「光」「わたし」「彼」
その周りを囲むすべての「せかい」
それが私の「生きる道」で。
「正解」は ない。
何処がゴール なのかも。
なんにもない 「それでいいのか?」とたまに思うけれど
きっと「道」はそれぞれ違って
「他者」のルールに嵌めて終えばそれは「間違って」いるかもしれない。
「でも 私。それしか生きれないから、なぁ…」
この頃特に思う この思い。
多分 私
他の道 生きれないんだ ろう な
ぼんやりと浮かぶ想像
それだけでフルフルと首を振る「他の世界」。
「いや、いいのよ自分の道で。何の問題も、ない。」
「違う」のは当たり前
「比較」してもいいがそこに「優劣」は無い。
「高い」から いい 「低い」のは だめ
そんなことじゃ ないんだ。
「ま、そうできないって だけだもんなぁ…。」
私の場合 寧ろ「選んですらいない」のかも知れない。
「だって こっちしかない」そんな感じなのだ
いつも。
「便利なのか、不便なのか…………いやしかし、私のなりたいものは それ 即ち 美し過ぎる光か はたまた 清廉な 「なにか」 」
うーん
いや 悩む ところじゃ ない。
そうして。
くるくると回り始めたカケラ達を、ポンと「かたち」に放り込むと外に出る事にした。
「かたち」は 雲間に繋がっているし
「可能性の場」へ 投げておけば。
それ即ち 「時が来れば」弾き出されてくる
それがようく、解っていたからである。
「「求め続ける生き方」かぁ 」
あの時 チラリと長老が言っていた言葉が、胸に沁みる。
確かに森では。
「求める」ことに「求められる」ことに疲れた人達が集っている為、それが無いのだ。
その、心地良さたるや。
「なんにもなくて、いいんだもんね…………。」
サワサワと 頬を撫でる風
耳に届く 優しい木の葉の擦れる音
足裏から感じる 地面下の息遣い。
それを感じられる「五感」「からだ」「時間」と「場所」、存分に味わえるだけの「心の余裕」。
「うむ。」
なにしろ「自分の幸せ」「満ちる」ことを当面の目的としている私には最高の環境だ。
心ゆくまで 味わおう。
なにしろまずは それからだ。
湧き上がる雲をパッと飛ばし、見えない黎に燃やしてもらう。
これも きっと そう
「見えないけれど」「確かに ある」
「まじない」「チカラ」「現象?」なの かな??
「とうとう私も、魔法使いになったか………。」
フフフ
そろそろ 心配してるといけない。
帰ろうか では。
そうして、くるりとナガの代わりに持っていた
木の枝を回して。
森の家まで、ツッコミ不在の道中は 続いて行ったのである。
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