955 / 1,684
5の扉 再びのラピス 森へ
新しい私での 森生活
しおりを挟むああ やっぱり な
目が、覚めて。
「やっぱり 夢じゃ なかったんだ」と思っていた。
朝靄 ヴェールの掛かる 光
少し冷たく しかし瑞々しい 空気
柔らかに肌に届く 光と 水分
鼻から入ってくる 「みどり」。
これ は なんだ ろう
「色」? 「水分」「匂い」だよね?
空気中に含まれる、緑の匂いと湿気 季節の香りと懐かしい「思い」。
共に連れてこられたその「思い」に感動し
「ああ 本当に香りと記憶は 繋がってる」と。
しみじみと、頷いていたら寝床が動いた。
「起きたか。」
「うん、ありがとう。」
勿論その「寝床」、私を包んで暖めていてくれたのはあの金色だ。
足元には 丸くなっている白
ナガは 姿が見えない。
初めての森に、何処かへ探索に出ているのだろうか。
「ほら。」
「あ。懐かしいね、これ。」
彼が差し出したのは、あのレシフェのジュースだ。
久しぶりに見るそれは、この頃「食事」が変化していた私に優しい気遣いだろう。
確かに お腹は 空いてる様な 空いてない 様な ?
「? うん、美味しい。」
この頃ずっと、神域に いて。
私の身体も、きっと変化しているのだろう。
その「変化」を 確かめに来たんだ。
喉から腹に落ちる、ジュースの軌道を追いながら
そう思う。
きっと「狭間の私」と「森の私」は 「からだ」も少し 違っていて。
どう、違うのかは分からないけど なんだか少し
「重い」? 「厚い」?「濃い」?
「うん ?? どう なんだろうな………?」
立ち上がり、手足を動かして確かめてみるも
そこまでの変化はまだ、感じられない。
「えっ、まさかここの食べ物を食べていると、どんどん身体が重くなるとか、太るとか??…………いや、それは 無いな。」
自分の想像がそれ以上微塵も展開しないのを見て、その方向性に終止符を打ち新たな可能性に「身体の展開」を放り投げておく。
頭の中にはチラリと、昔読んだ「神話的お話」が色を掠めたが、もしかしたらそんな話なのかも知れない。
その あの 食べ物を食べると
そっちの世界 に? なる 的な ??
でもきっと 悪い様には ならない
「 うん。」
その他色々探ってみると、感覚的には少しだけ「色」が着き 心なしか「肌色」がかっている 肌
髪の色は殆ど白いが 薄い青灰と言えなくも ない。
後で家と一緒に鏡も創って、確認してみる必要があるだろう。
しかしなにしろ「女神」として森へ来たのだから、そう困る事はない筈である。
そして、どうやら私の「場」「かたち」自体は私の「なか」にきちんと内包されていて、縮小され纏まっている様に思う。
その、頭の中の神域にカケラをポンと放り込んでくるりと振り返った。
きっと 次の展開を彼が 「持っている」と思ったからだ。
「これだ。」
そう言って彼が差し出したのは、やはり「石」で。
私の 石 ガラス
少し ウイントフークコレクション
そのキラキラ光る、石達を確認すると 改めて辺りを見渡す。
いつの間にか、朝靄は消えていて
差し込む光が明るく、爽やかな
いつもの瑞々しい、森の姿である。
「よし、じゃあ行きますか。」
「何処へ。」
「そりゃ、素敵なお家を建てる場所を探しに行くんでしょう。」
私のドヤ顔に、仕方の無い瞳をした金色。
あ 久しぶりに見たわ これ。
そうして、私達は。
戻って来たナガを連れ、姿の見えない極彩色と玉虫色をなんとなく 探しながら。
森の奥へと 進む事にしたのである。
しかし でも 私も変化する した
「戻る」のか なんなのか
とりあえず 「濃く」なるとして。
この人は どう なんだろうか 。
キョロキョロと辺りを物色しながら歩く私の、少し後ろをついてくる金色。
その金の髪が朝の木漏れ日に照らされ、キラキラと私を誘って いる。
いかん
なんだ あれは。
実は。
朝、起きた時から感じていた「違和感」、その「違和感」は嫌なものではなく寧ろ「密度」「濃さ」が増した「彼への想い」の様な もので。
だって あの なんだ
腕の感触とか 温度 とか 力強さ とか
なんだ なんだ
「以前」は
感じなかった それ
「なんなんだ ろうな ?」
なんにも考えずに彼とベッドを共にしていたあの頃、しかしその時はその時で「一番安心できる空間」だったのだ。
それは 間違いない。
うーーーーーん ?
気付かれない様に、キョロキョロと同時にチラチラと彼の様子も、窺う。
バレてるかも 知れないけど。
なにしろその「違和感」はきっと、私の中では大きいけれど彼の「見た目」は変わっていないし、他の人に分かるものではないだろう。
その 僅かな「変化」を確かめながらも。
「あ」
ここなら ?
丁度いい場所を見つけた私は、ピタリと立ち止まって細部を確認する事にした。
ここはあの泉の側だ。
「うん、「水」があるならその方がいいしね。」
そうして辺りをぐるりと見渡して。
「ポン」と背から降りたナガ、草の匂いを嗅ぎながら辺りを調べ始めた白を確認して 私も仕事に取り掛かる事にした。
「多めに入れておいたと。言っていた。」
「? うん、ありがとう。」
彼の言う、その意味がいまいち解らなかったがしかし
それは直ぐに判明した。
どんな「家」に しようかな♪
そう、「想像」して「展開」しようと した時。
「ん?」
これまでならば、展開していた筈の想像が、創造まで至れなくて。
「ああ そういうことか、流石だな」そう、気が付いて一人、頷いていた。
本部長はきっと、この展開が想像できたのだろう。
いつもより沢山石が、必要になる事を知っていたのだ。
それは「予測」なのかも 知れないけど。
「ふむ?これもまた、扉間の違いなのか、なんなのか………。」
そう呟きながらも石にガラスを追加して、目を瞑り想像を展開してゆく。
でも
以前 ラピスで なにか 創ってた時は。
どう だったっけ な ?
そんな懐かしい色も含みつつ、「ここで生活するなら」と自分の希望の家を想像しようと、泉の横にあたりをつけた。
うん?
でも? 泉って 今 みんなが 癒されに来る?
そんなこと ソフィアさん 言ってたよね ??
始めに私が創った泉は、みんなが「癒しの泉」として利用している筈だ。
それなら?
少し 「見えなく」できるかな ??
「あ、あっちの方がいいかも。」
顔を上げ目を付けたのは、大きな泉の側にある小さな泉だ。
それは、あのレシフェが開けた「黒い穴」の跡に創った
そう 小さな泉
大きな泉からの支流の様なそれは しかし、よく見ると実は「始まり」がそこからなのが、判る。
うん? なんで?
どうして なんだろう か
最初に創った方が、大きいし「始め」の筈なのに?
しかし、私の「なか」でカケラ達がくるくると動き始め
その動きを観察していると「ブラックホール」「大きな穴」「無限」という色が、見えてくる。
ああ 成る程
そういうこと ね。
理由は説明 できないけど。
きっと始めが「ブラックホール」だった それ
そちらの方が「無限」で、いつの間にか始まりが回収されて。
そちらが 始まりになったのだろう。
うーん 吸い込む んじゃなくて
湧き出す に 転換したのか な???
そんな「変容」、ありなのかと思っても みたけれど。
「いや、「私が」限定、しなければ。きっとそれは可能。そもそも吸い込むしかできなくて、吐き出せないのかは、分かんないんだし。うん。」
どの 定義を 採用するのか
あり なし
不可能を 可能 へ
可能性の 段階へ。
チカラなのか、繋がりなのか、まじないの大きさなのか
それは誰にも「本当のこと」は 分からないのだ。
そう 今は まだ。
「ま、とりあえず「事実 そう」なんだから、それでいいのよ。で、だから………。」
小さな泉と大きな泉は細い流れで繋がって、いる。
きっと今はこの小さな泉から湧き出た水が、大きな泉を満たし生き物達が楽しそうに暮らして いるんだ。
時折 光に反射して見える鱗
透明度が高く、下の揺れる水草が靡く様もよく見える。
小さな 魚 時折 謎の生き物
あれは 爬虫類? なんだ ろう
水草 藻 沈んだ木々の枝
揺れる水面が濡らす 石肌が 気持ち良さそうな 大きな石。
大きな泉は見ているだけでも、美しく楽しい。
入れたら、申し分ないのだけれど きっと生態系を崩す事になりそうだ。
私 だけ なら 大丈夫かも知れないけど。
「てか、今度試してみようかな…。」
イストリアの場所 あの美しい色 桟橋からの景色
湖の上を光達と舞い踊った 記憶が蘇って。
「うん、誰も見てない時 やってみよ。 」
チラリと振り返ったが、あの色は側には見えない。
何処か近くを調べに行ったのだろうか。
うん 内緒の独り言は 秘密にしなきゃね
そうしてとりあえず、気を取り直して。
小さな泉をきちんと調べるべく、そちらへ歩いて行った。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる