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8の扉 デヴァイ 再
新しい始まり「天空の祭祀」3
しおりを挟む「誰もいなくとも」「一人で」「けじめ」「区切り」
そんな気持ちでやってきた ここ
しかし、なんとなく。
「なんか、足りなくない?」
澱は飛ばした 雲は混ぜた。
光、星屑、粒子が降りて きっとそれは いい感じ
「あ」 そうか。
「「楽」が、足りないんじゃない??」
そう 「祭祀」と言えば
「うた」「舞」「音」
「天に」「神に」「自然に」捧げる
「感謝」、それは「供物」というより
「皆で震え」「共振」し
「世界を混ぜる」「創りだす」「生み出す」
「合図」「儀式」「祝い」だ。
あの、色と「繋がって」から。
それが、より わかる。
そしてくるりと振り返ると、ラーダが既にリュートを持っているのを見て、笑った。
「やっぱり。」
楽しそうに笑うみんな、私の背後にいたディーも
あの笛を持ってフワリと空へ舞う。
慶の手には 鈴
蘭の濃い臙脂の羽衣が 美しい尾を引き
透き通る白と薄い青の空間に ピリリと色を差して。
この空間が、緩やかに色付き 始める。
その、様子を見て 自分の両手をまじまじと 見つめると。
「えっ、なんか私も。楽器?え?なんだろう………?」
しかし、得意な楽器など思いつかない。
「指揮棒」宜しく、ナガを振ろうかとも思ったけれど
その煌めく白は既に 雲間を緩やかに泳いで いて。
うん? どう しよう か。
でもきっと「なんでも」「思えば」。
この「場」では 成る筈なんだ。
ふむ。
いや、 でも。
やっぱり。
「舞うでしょう、謳うでしょう。うん、よし!」
大人しく楽器を奏でているなんて 性に合わない。
きっと ここなら 飛べるし
羽衣で 舞える。
謳も 空を駆け 疾く 響こう。
然らば。
ポン、と白の背を撫でみんなの周りを 音に合わせて。
緩りと 優雅に歩いてくれる様 ゆっくりと背を撫でる。
耳に 届くは
繊細な 風に乗り
優しく柔らかく空気を練り上げる様な リュート
それに 細く高い 銀糸を絡め張ってゆく 笛の音
星屑を散りばめた様な 鈴の 声。
ああ 「謳う」って こういうこと
それなら私は。
「ことば」「うた」を。
乗せねば ならぬ だろうな ?
きっとみんなが奏でているのは全てに遍く降り注ぐ「祝福」の 音
それを「言祝ぎ」に するのは。
私の役目だ。
でも。
「今」の 「真ん中」 一等美しい ひかり で。
謳う うた
それは どんなだ ろうか。
ふと、「今の私」が真っ新かどうか、気になって自分の「なか」を浚う。
まだ僅かに残る 澱
これを 燃やし尽くすには?
ふと 上げた顔 目が合った 炎の鳥。
いいよ やって。
私の無言の言葉に、黎が少し 笑った様な 気がした。
次の 瞬間
小さな炎が早く静かに飛んで羽衣に 点き
私は、そのまま。
ブワリと青白い炎に包まれ、全身燃え上がって いた。
よし 燃えろ 燃えろ いけ ぜんぶ
燃やして しまえ。
勿論 熱くは、ない。
どちらかと言えば涼しく燃える、その炎に包まれ
なんだか楽しくなってきた。
炎に撫でられている様な気分なのか、気持ち良さそうな白の背を撫で ポンと雲間へ飛び降りる。
うん なんか いい感じ。
「飛ぶ」と言うより「跳ねる」が、近い。
そのまま羽衣を羽根の様に靡かせポンポンと
自由に雲間を跳んで行く。
行く当てはない ただ 心の向くまま
気の向く まま。
跳んで 遊んでいるだけだ。
ルールは 無い。 ただ 楽しく。
優雅かは 分からないけど 「その気になって」舞う。
「ふふっ」
さて。 「謳」は なにが いいかな ?
時折 紫が混じり始めた炎の中
私の周りを楽しそうに舞う 光達と共にこの場を彩ってゆく。
これから紡ぐ 私の「ことば」
それはきっと 「これから」の
「宣言」 「誓い」 の様な もので。
きっと 私の「ことば」によって「降るもの」が変わる筈だ。
それならば。
「今の 最善 最高」を 尽くさねば
ならぬだろう な?
でも。 「なか」に 浮かぶは
シンプルな 「おもい」だ。
しかしそれは 「おと」に 近くて。
飾りも ない
しかし 塵ほどの 灰汁もなく
ただ 「ひかる」。
~ 白く 震え 響く 波長 ~
私の 真ん中に ある 「ひかり」だ。
それを 「こえ」か
「おと」か なんなのか。
「今の私」に 合う
自然の 大気の
全てに満ちる「なにか」に
「変換」して 混ぜ合わせて。
この 「空気」に「大気」に 融かしてゆく。
「すべて」に 行き渡る ように。
「すべて」が 満ちる ように。
もっともっと 細かく 震える 白と 透明。
雲間の渦に滴り 混じり始めた 粒子
その
「音」「振動」「色」「光」「流れ」「風」に乗せて
「謳う」、「言葉 ではない」「広く 響く」「おと」「こえ」。
例えるなら 「一音」で 「天」から「地」まで
響き渡り 「始め」から「終わり」まで。
「含み」「成る」 そんな おと
でも。 その 「意味」「意図」は
「満ちた 光」「幸」「愛」
多分 それだけ。
「謳」に して しまえば。
「言葉」にして しまったならば。
きっと 「限定」されてしまう それ
まだ 世界に蔓延る「澱」に 捕まって しまうから。
うえ から したまで。
遍く 響き渡る おと
「満ち溢れる 愛」「慈悲」という いろが
含まれたそれだけで いいんだ。
そう
「今」は それでいい。
ただ ただ それだけを 風に乗せ 流れに乗せ
大気に乗せて
送る。
白の空間 雲間の粒子 光の渦 天には「美し過ぎる 光」 舞う色とりどりの光達の真ん中に 在って。
この皮膚 一枚隔てて ある
空気の なかみ 私の なかみ
それを 調律し 合わせ 浸透してゆく チカラ
ひかり エネルギー 「見えない なにか」。
「なにものにも 伝わる 響く 浸透する 音」
もっともっと 融け込むなにか、より微細に震え全てへ降り注ぐ音
自分の中の荒さを確かめながら せかいと同調し
一段、また一段と その浸透率を上げて いく。
それを想像していると、私の「なか」で光る「あの色」。
そうか。
確かに あの 彼の使う「倍音」の様な 「抗えない声」。
それが、近い?
そう 気が付くと「それ」は私の「なか」にあるので簡単だ。
「その色」に 意識を集中し
「それを発する」意図を しっかりと設定して。
改めて
口を 開き 「こえ」「おと」を 発する。
鼻 喉 耳
そのバランスを取り 震わせ 「すべてに 浸透」
それを意識して。
ただただ それを 静かに発し 響かせ
流して ゆく。
風に 乗せて 雲に乗せて
ただ それだけである。
何故だか 大きく口を開けて うたう気には なれなかったし
「思えば」「伝わる」「ほんとう」
そう きっと 「魂を震わす」ものは。
私の「魂の震え」だけだから。
きっと これで いい。
その 言葉にならない「おと」に 乗せ
「おもい」を「意図」を
「すべて」に拡がる 「最善 最高の 光」を。
いや 「光」ですら 強いかも知れない。
やはり「見えない 粒子」くらいの優しさ
いつでもあなたに密接している「せかい」
「空気」でもあり「風」でも 確かに「光」でもある
そう 私達は 「すべて」の中を
「せかい」の 中を 泳いでいる様な ものだから。
雲間に溶け込む「私の意図」「粒子」「星の光」「こえ」と「おと」。
サラサラ サラサラと 光の粒子が渦を巻き流れるその様はとてつもなく幻想的で 美しく 満ちていて。
ああ これで 「成る」んだな
こうして 「せかい」は 創造 されて。
混ざり 合わさり 光り合って。
胸に静かに光る、私の「なか」での実感、目に見える「創造」。
「ふむふむ。「金の蜜」、粒子バージョンよ。満ちるの。「せかい」に。」
そう、呟きながら目を閉じる。
そうして ただ ただ 思う存分、ずっと。
流れ 融け込み 揺らぎ ながら 。
「すべて」と「せかい」と。
合わさって いたのだ。
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