透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

私の中での「女性性」 2

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そうして。

暫く自分の「かたち」を眺めながらボーッとしていた私

しかし 舞うカケラ達に視点を合わせること、なく。
そのまま「場」だけを維持して いると。


 フワリ フワリとまた舞い始めた 小さな澱
 
それはきっと 私が「踏み出せない」
「ただ 受け取ること」への靄
「女性性」への澱
「下がまだ 暗いこと」。

全体的にモヤモヤしているけれど「なに」かは 解らない、それを、「相談」でもなく。
とりあえず、出てくる側からこの人に 漏らしていた。

いつもの事だけれど、イストリアならば。
私のカケラから、最適な答えを返してくれる事が分かっていたからだ。


「なにしろ、「外」の事は仕方がないよ。それはそれぞれの「その時」だからね。解っているのだろうが、まあそれもまた練習だ。また悩んだら、いつでもここへおいで?それと、君の中の、なんとなくのモヤモヤだけど。」

「それは。「与えられる」、という事によって全てが巡って行くからなのだろうね。君は、受け取る事が苦手だ。しかし、やはり自分が「満ちねば」。やはり枯渇してしまうし、「循環」にならないのだよ。でも、それももう充分。解っただろうと、思うけどね。」

無言で頷く私に、優しい色の薄茶の瞳が細まる。

「それを「受け入れることを許す」「認める」こと。それこそ「自覚」を持ち、「そうある」こと。君が君を許して、許可してあげないと。可哀想だろう?なんか、おかしな言い方かも知れないけれど。そうして、上がって行くしか、ないんだ。君はもう、降りられない。こう言うと厳しいかも知れないけど、それは全てにとって為に、ならないからね。」

「  いや、分かります。」

確かに そうなんだ。


 なんとなく つかない 踏ん切り
 「自分だけが」うえという しつこい「罪悪感」。


私の中の強い 澱
 どこまでも深く 刺さった 入り込んだ
  
 ずっと ずっと 抜けなかった棘の 様な「それ女ということ」。

複雑に 歪に 絡み合ったそれを 抜いて

    上がって 昇って ゆくこと。


 ひとつ ではなく 複数が絡んだ深い澱
 だからそれは 「抜けた」と思っても。

 まだ、奥に しつこく残って るんだ。


自分の 奥の 奥に。
チリチリと燻るそれを感じながら、小さく息を吐いた。

「 分かっては、いるんですけどね………。まあ、解って、ないんでしょうね。」

「ハハッ、そればっかりは難しいさ。私だって、思うもの。「難しいだろうな」と。しかし、これを機会に私も考えてみようかな。あまり考えた事などなかったが、きっと私がそれを紐解く事で少しは君の助けになろう。きっとは繋がっている筈だからね。」

「成る程。そうかも知れませんね?」

「そうとも。だから、共に。祈ろう。」

「はい。」

その、真っ直ぐな瞳の色を見て 確信する。

  そう

   「想い」「祈り」は 共振する。
   それも 「近い」ほど より 強く。


ならば確かに。
彼女がそれを してくれるという事は。


瞬間 「ピッ」と 走る 金色の光線

 私の「なか」で 「自分の光」と「彼女の光」が
 結ばれたのが わかる。


そう
 イストリアは 凡そ「女性らしく」ない方なのだ
 この縛られた、世界では。

やはり
 同じ女性性から「遠く」にある彼女がそれに
 「手を付ける」という事は
 私のそれ女性性にも 影響が あると。

 思っているという事なんだ、この人も。


チラリと確認した薄茶は「そうだ」、という色を示し
私に「遠慮は要らない」事を伝えている。

そう、ちょっと「失礼かも」とも 思ったけど。
きっと「これならば」と差し出してくれた助け、それを受け取らないのは何か、違う。

その「意味」が解って。
小さく頷き、胸の中にしっかりとそのカケラを仕舞った。


「うん、なんか。…………心強いです。本当に。」

「私が君に出来ることなど、もう限られているだろうからね。できるだけの事は、するさ。」

「そんな 。」


フルフルと首を振り、頭上から柔らかく降るチカラ、奥のカウンターから感じる暖かみ、薄茶の瞳からの愛を、全身からいっぱいに吸い込んで。

彩りに満ちた、この部屋全体を眺める。


 頭上を舞う 蝶達 
   それは皆  「楽しんで」「喜んで」

  「満ちて」「歓喜して」いて。

イストリアの「愛」で スピリット達の 「エネルギー」で
 「匂い」も「いろ」も 「チカラ」も満ちた
 とんでもなく 満ち足りた 空間。

それを全身で感じながらも、思う、ことは。


 自分の「なか」に まだある 深い「塊」

この、「喜びの息吹」に満たされた空間にいるだけで、アップアップしそうな 感じなのに??

「チャージできている」「している」のは 解るのに

 まだ 「満たされていない」「欠けている」

 「足りない部分」が ある と。

教えてくれているんだ、この「澱」が。


でも、確かに。
この「生命力」、「満ちたスピリットのエネルギー」「込もるもの達」では。

 「埋められない なにか」は あるんだ。


それは私の中に、ポッカリと空いた穴の様に。

これまで覆い被さっていた「小さな澱」が、徐々に剥がれ無くなることで 見えた「大きな穴それ

それは私の中で「歪んだ いろ女性性」を。

また、解きほぐし 洗い流し 織り直してゆくことで
修正できるのだろうけど。


「どう、やればいいのかが、さっぱり。分からない………。」

出しても 流しても 燃やしても
際限無く 湧く様に 見えるそれ

 私が拡大する毎に?
 それが 増える ならば??

 それは もう 「終わりのないエンドレス」事なんじゃ ない の???


落ち込んでは、いない。
しかし その長い道に 暫し固まったままの、私に。

再び明るい光が、降ってくる。


「ふむ?彼に協力してもらうのは、勿論だけど。しかし、君の思う「女性像」を修正すると言うよりは「君になれば」。いいのでは、ないかい?」

その、言葉に。

ハッとして顔を上げた私は、また忘れていたのだろう。

 「私は 私であれば いい」

 そう そのこと を。


「  確かに。、なんですよね………すぐ、忘れちゃうから嫌になっちゃう………。確かに、結局「何かになろう」とすれば「型に嵌る」ことに、なっちゃうもんなぁ………。」

そうなのだ。

イストリアに、そう言われて。
再び自分が「なにに」引っかかっていたのかに
やっと、気が付いたんだ。


 私はきっと 「女」「女性」になりたいとか
 「女性らしく」とか「女性性」なんちゃら とか。

 「そう なりたい」んじゃ なくて。

 「自分」に 戻りたいから
 「私の光」に なりたいから。

 「それ私の光」は 「そう女性」では あるのだけれど
 「そう」では なくて。

言うなれば 「私の 女性性」

 「女性 としての 十津國 依る」それなのだろう。

そう、思い付いた 瞬間。

 
 キラキラ キラキラと 自分の「なまえ」が

  カケラとして降ってきて。


 「真ん中」の「私」に。


   「ピタリ」と 重なったんだ。



「そう、か………だからなんか、落ちて来なかったんだ…。」

「………どうぞ?君はねぇ。私に言われたくないかも知れないが、まあ「女らしい」とは違うからね。これまで「女」というものに染み付いたものを、壊していく存在だろう?だから、それでいいんだよ。君がしっかり、はっきり前を向いて進む事によって。結局それが、みんなの道標になるのだから。」

そう言いながら、お代わりのカップをスッと差し出す細い指
私はその、優しく揺れる 薄茶の瞳をじっと眺め 頷いて。

差し出されたカップに 視線を落とす。


薄く、湯気が立ち上るすっきりとした白のカップは。

今の私の心を、そのまま表す様で やはり一度自分を「白紙」に戻さなくてはと。
思ったのだ。

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