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8の扉 デヴァイ 再

ウェストファリアの見解

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「まあ、お前さんは見た目はどうあれ「」ない所がいい所じゃの。そこは変わらんでいて欲しいものだが、心配なかった様だな?」


シンとした、禁書室。
いきなり現れたその背中、右から差し込む長窓の光が
やけに金髪を美しく 見せて。

私は一人 「ああ やっぱり 長い髪も いい」

 「素敵」「カッコいい」「いやいや、いかん」と。
一瞬だけぐるぐるした後、焦ってパタリと「そっちの蓋」を、閉じる。
 
 まさか ここで  漏れ…  
 いやいや いかん。

そうして以前 この、二人が。
緊迫した空気の中 睨み合っていた事がチラリと一瞬浮かんだ、けれど。


 うん?   

空気は変わらず 穏やかなままだ。

しかし。

「変わった」のは、こちら金色の方だろう。

現れた瞬間は私とウェストファリアの間に立っていたけれど、今は私の横に ただ静かに立っているのが、分かる。
そうして私が金色の表情を確かめようと、顔を上げたと同時に。
ウェストファリアが沈黙を破った。


「ふむ?さて、色の変化はやはり。お前さんの、所為か。」

「えっ」

そう、金の瞳を見上げて言う 白い魔法使い
彼は金色が突然現れてからも、驚く事なく一人掛けの椅子に座ったままである。

私が焦っているのは勿論「この色金色」が 「なか」に ある所為だ。

 えっ  まさかまさか そこまで
  解っ ちゃう  ものなの えっ いやいや

  でもな ?  違うかもだしな  ?????


ぐるぐる くるくると回るピンクのキラキラ

 しかし隣の金色は微動だに せず。

「そう。だから、を貸してやる事はならぬ。しかし吾輩と共に、恩恵を降らす事には、なるだろうがな。」

「良い良い。そうじゃろうな。ふむ、しかし、成る程………」

ホッホッホと 笑うウェストファリア

私は「通じてるのか」「通じてないのか」、解らずに。
しかし、自分からそれを訊く勇気は無くて
ただその柔らかい笑い声と、気になる視線を受け止めていた。


 
 うん?  てか   結局  ???

 私  「何色に」見えたん だろうか 。


二人は何やら私の知らぬ話を始めていて、どうやらチカラをどう回すか、話している様だ。

本部長はきっと、この人には「」が無くなった事を知らせたのだろう。
これからの事や不具合の様子、バランスの事など。
二人は扉間の色々な調整について、話している様である。
しかし私は、その馴染んだ雰囲気と金色の珍しい 様子に。

 て いうか この人  いつの間に ??

そう思って、目をパチクリさせながら眺めていた。
彼が、ここまで「この人達人間」の事に関わっているのは、私にとって随分と意外な事だったのだ。

でも。
  「嬉しいこと」には 違いない

これもまた、彼の変化の一部なのだろう。
ウェストファリアと普通に会話を続けている、その様子がなんだか感慨深く感じられて。
話の内容、そっちのけで その微かに揺れる金髪を眺めながら、チラチラと私を観察する青緑の視線を受け止めて いた。



そうして、暫く。
とうの昔に気が逸れた、私の視線の探検が一番奥の山、本丸ウェストファリアの机に 差し掛かった時。

「で、お前さんの「色」じゃが。」

「えっ  はい?」

聞きたかった話が突然始まって、くるりと身体を向け直した。

本当は、立ってこの部屋を彷徨きたかったのだけど。
心配なのか なんなのか
私の隣に座った彼が、手を握って離さなかったのだ。

 うむむ

お陰で私は「自分が何色だったのか」という疑問よりも、「今 全身ピンク」な事が、気になって青緑の視線から逃げこの部屋の探検に 出ていたのである。

「えっ、で、何色だったんですか??」

「うむ。なんと言ったらいいのか、表現が難しいのだが。………ああ、これが近いかの。」

そう言ってウェストファリアが側にある山から掘り出したのは、古い手鏡の様なもの。

「 鏡?」

「そう。以前は乳白に虹の様な色が漂っておったが、今はこれに近いな。水面、と言うよりは鏡面か。硬くはなく柔らかな銀色なのじゃが、揺れ、反射する際様々な色を、含む。」

 えっ
  それって  色 増えて る?

 それとも  ベースが 変わってる  だけ ??

私の疑問が解るのだろう。
ウェストファリアはその小さな鏡を、長窓に向け反射させて。

影になっている白壁に光を当て、黄金の虹を壁に映し出した。


「きっと彼の色が混じったからか。お前さん達はやはり、バランスが良いのだの。どちらかに偏る事はせず、そちらの色を含んで「銀」なのだろう。そちらさんの色は、「黄」なのかと思っとったが、「金」なのじゃろうな?ああ、触れはせぬ。」

「えっ  うん、はい。」

「優しかったあの白が、強さを増して光る。きっと白寄りの事もあろうが、守りが強めに出ているからなのか。銀、というか「弾く」感覚が強いの。色が多色なのは相変わらずじゃが、また変化が楽しみじゃて。」

「えっ、また変化すると思いますか?」

金色が手を引っ込め、後ろ手に組んでいるのを見ながらそう質問する。
これ以上、なにが、どう なるのか。

 て いうか  「銀」なの??

 それって どんな 感じ???


「はて。それはまあ、お前さん達次第だろうな。」

髭を撫でながら、そう言うウェストファリアに
なんだか私が恥ずかしく なってきた。


 えっ てか  「混じって」って
 なにがどこまで  そのあの  ええ うん。

私が まごまごしている間に。

パッと立ち上がり間に立った金色は、何やらさっさと話を纏め帰る事にしたらしい。

確かに私もそろそろ、お暇したい気分では、ある。
そもそもここへ来る目的は、ナガの事と外へ出てみたかっただけである。

しかしウェストファリアならば、「こうなる」事は予測できた。
そう 私が迂闊だったのである。


そうして再びピンクに戻った私の手を引き、「また。」と言って白い扉を閉めた 金色。

そのまま、挨拶もそこそこに。
私達は神域へ、撤収する事に なったのである。

うむ。

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