透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
上 下
920 / 1,700
8の扉 デヴァイ 再

澄み切った 心 2

しおりを挟む


確かに。

私は 「知っていた」んだ。


ずっとずっと 小さな頃は

 「なんでもできる」「なんでもやれる」
 「なんにでも なれる」

 「人は皆 そんな存在」
 「みんな同じ」「光の存在善いものである


でも。

成長するにつれ 教えられること
実際 やってみて できること できないこと
周りの反応 「見て」「覚える」「知る」という

 基本的な 行動から。

 「学んだ」んだ。


 「あれ? なにか 自分と 違う」 って。

 「思ってるのと 違う」って。


「自分の頭の中と 実際の自分のズレ」
「自分と 他の人の違い」
「教えられることと 実際のズレ 違い」

それを調整しながら。
「あれ?」「どうして?」「なんで違うのに 違うと言えば排除されるの?」
「なら ここまでならいいかな」「こうすれば みんな笑う」「やりたくないけど やらなきゃいけない」

そうして「自分と世界とのズレ」を調整してきたんだ。
「自分の違和感」を 無視して。


でも。  「世界」は だったし

  生きていくのは

 難しかった。


 「普通」を 装う
 「できる」ことを 隠す
 「できない」ことを 自慢する
 「嫌われない様に」「悪く 思われない様に」。


 「自分」を 塗り潰して。

「自分」を「世界」に合わせていたんだ。


でもきっと その「世界」は

 「作られた 世界」「偽りの世界」「誰かの都合のいい世界」で。


今 思えば
私はきっと深い所でそれに気付いたから
「この旅」に出たのだろう。


 「本当のこと」を 探す この旅に。





意識してる訳じゃ なかった
ただ「冒険」のつもりだったんだ。

所謂よくある「ファンタジー」、「異世界」へ行って冒険したり、恋物語なんて やっちゃったりして。

 夢が覚めれば 現実へ帰る
始めはそんな程度だったのかも、知れない。

「姫様を探す」、それは確かにうちに必要だったし「私がやらなきゃいけないこと」だとも、思ってた。

でも、それが いつの間にか「本当のこと」を
探す旅になって。

今 思えばティレニアで「何故」と問い掛けてきたディディエライト、それも「私」なのだろう。

「今」「一緒になってみて」、それがよく わかる。


 やっぱり 「ぜんぶ」は 「私の中」で

 どうしたって 「私の世界」で。

 だからこそ 「自分の全体像」を 見たいし

 見付けたいし 拡がりたいし 「ぜんぶ」を。

 「含みたい」んだ。

  「含まなければ わからない」から。



そうして始まった この旅
無意識に浮いてきた
ずっと ずっと「始めから」ある この思い

 「生きる」って  なに。


それは、この旅をしていく中で見てきた 沢山のこと
みんなのこと  でも 「その中」に。


きっと まだ「私」は いなかったんだ。



   私の 「生きる」を。

 これから 見つけて 見つめて 

 どう 進むのか

 「私の道」とは 「私」とは。

 どんな 「存在」で 

 本当は「何色の光」なのか。


これまで集めた 沢山の「他の角度からの光」を
照らし合わせ 組み合わせ 多角的に照らして。

また「新しい目」で 「今の私」を 見る。


ずっとやってきた事を
「焦点を定め」「自分に 全振りして」。

  これから また 改めて

 「見つけて」「確かめて」「創って」行くんだ。


 「どうして」「なんで」「変えたい」という思いから。
 ぐるりと 「視点」を反転し
 また 一歩ぐんと上がって 進むんだ。



何処までも拡がる雲海を目に映し、静かに深く
息を吸い込む。

 「私の世界」「今いる 場所」「空気」「風」
 「匂い」「暖かい 毛並み」

改めて始まる「これからの私」、ただ白く広大なこの場で
「行き先」は全く、分からないけど。

この背に、乗っていると不思議と不安は無い。

そうして静かにすべすべとしている背を撫でていると、再びコロコロと白が話し始めた。


 「「これまであった その 「わからないけど 解る」を

  そのまま 受け入れて いいんだ。

 「説明できないけど 」 

     それでいい んだよ  」」


頭の中を読んだ様に そう言ってくれる背中
ポンポンと。

その真っ白な毛並みを撫で、思う。

「この子は「私の光」で 「圧倒的な 味方」 で
  きっと 「この旅」を 更に奥へと進む 道のりを。

 共に 進む為に来てくれたのだ と。」
                   わかる。



 「「 まだ はっきりと見えない

  受け入れていないから 惑うのだろうよ


   それには やっぱり 「心を 澄ませる」ことが

  必要  だね 」」


「確かに。「私がなんなのか」が、はっきりしっかり、自分で「見えれば」。流石に迷う事、ないもんねぇ………。」

でも。 それって。

 「見える」んだろうか ?



 「「 。 「生まれた」と

  思った だろう?  それなら きっと

   大丈夫。 「澄んでいれば」自ずと 見えるだろう 」」


時折口調が変わる、この子は。

 きっと 「小さな光」でも 

 「大人」と「子供」が 混じり合っている 光

  なのかな??

話す音が混じり合っていて、なんでか「そう思う」。

でも、それもこれも。
「全部」、「まるっと 受け入れて」。

そうして進む事で、見えてくるんだ。
きっと。


「「 君は 「把握する」「見る」「感じる」

 能力が  たかい。

  その 「まわり」に使っていた ものを

 「自分」に すべて使えば。

  すぐに 見えてくるよ   きっと。」」


 うん?  そう かな  ??

 でも 確かに。

 私はいつも「自分を外側に拡げて いる」な??


 「「  依る は 

   どんなところに いたい の?

   どんな ことを したい?

   どんな ものが 欲しい?

  どんな 人と いて  どう 交わり たい? 」」


「ま、交わり………?!」

いきなりの質問
でも、白がで言ってないのは、わかる。

「う、うん、そうだね?…………えーーー。と?」


でも。

 こうして ずっとうえから 見ていると。


 私は 「なにものにも 侵されない」場所で

 「ただ ある」のが。

 きっと「一番心地良くて」。


 時折 「大切な人」が 訪ねてきてくれれば
 嬉しいけれど

 ずっと一緒にいたいかと 言えば
 「あの色」くらい か……… あばばば。

 でも。

 本当に。

 「誰をも 侵したくない」し「誰にも侵されたくない」

 「ひとり」でも 寂しくは ない

 ただ 自分の 「なかみ」と「そとみ」を

 綺麗にして 美しいいろを 見て。

 特別欲しい「もの」なんて 無い。


 私には もう 「あの色」が 「ある含む」って。

 「知った」のだから。


キラキラと体内を巡る、「あの色」を感じながら
心底 そう思う。


 「チカラ」「金色」  「豊か」

   「エネルギー」  「循環」「降る」

「満ち溢れる もの」  「見えない なにか」。


結局 「私」は 全てと 「みどり」と 繋がっていて。

だから、きっと 「ひとり」でも
「どこ」でも 「なに」でも いいんだ。

特に「場所」や「もの」に拘りは 無い。

ただ、「自分の領域」が 護られて いれば。



「だから、結局。あんまり、「変わってない」んだよなぁ…………。」

 あの神殿の 頃と。

そう、殆ど変わりない「それ」は 
きっと やはり。

    「私の 本質」

だからなのだろう。


「  ふむ。そうして 「みんな」、その様になれば  」


 「「 また 「みんな」の事  考えてる。


  先ずは  休んで。 止まること だね

 熱を 冷まして  すべてを 止め 空にして。

  「満ちれば」、走り出すこと それは

  知っている だろう?

    大丈夫 だ。  だから。 」」


ううっ、バレてる。

でも、この子は。

私の「小さな光」だったからこそ、見えるものがあるのだろう。

 心の片隅に 疼く 小さな「シミ」の様な もの

そんな微かな、「やらなければ」さえも。
気付いてくれる、この子がいれば
確かにいい「休息」には、なるのかも知れない。


 「「ゆっくり休んで
 「自分のいろ」だけ 見てれば いいよ。

 それなら きっと よく沁み込むだろう からね」」

「確かに。それは、あり。」

そう みんなにいつも言われているのは
「いつでも見失う」からでも、ある。


「ふむ。なんか。  ありがとうね。」

「「いいや。 僕は 「私の光」。」」

「………成る程。なんか、ありがとう。」


白は確かに「私の光」で、何がどうしてどうなって「自己再生」なのか「自家発電」なのか。

「自己発光」なのかは、わからないけど。

「まあ、また。解る、か………なにしろ私は、休んでいいんだもん、ね?」

「「そうだよ  なにしろ ぐるぐるし過ぎ。」


そう、言われると。

ぐうの音も、出ない。

 「「 とりあえず 帰ろうか

  きっと  待ってる よ  。」」


「うん、ありがとう。」

その、「待ってる」という言葉だけで。

フワリと暖かくなる胸 ジワリと滲まない様気を付けて
ぐるりと雲海を見渡した。

 うん また いつでも来れる

そう、思って。

白い背を「ポン」と叩いたのだ。









「うーん。意外だけど、でも。なのか…。納得。」

そうしてフェアバンクスに到着した私達
その中の 白く見慣れた場所で。

私は一人、頷きながら呟いていた。


白がフワリと跳んで出たのは、意外にも白い礼拝室の祭壇前だった。

「うん?」

神域へ戻ると思っていた私は、ぐるりと白い光の中を確認し「成る程な」と 納得したのだ。

そう、私達が出て きたのは。

あの、「白い扉」の中からだったのである。


「確かに、なあ………。」

この礼拝室を創る時、「祈りの対象」として「祭壇に祀るもの」として。
あの、神社にある「本殿の扉」をイメージしたものがこの「白い扉」である。

 あの中には「御神体」が ある

そう思ってはいたけれど、ここでは「光」がであった。
そして時々、私の事を助けてくれる「石」が出てきたり。
「不思議の扉」でも、あったのである。


しかし今回「御神体の場」としてあの「雲海」が現されていたのだろう。
きっと私の中の、「神の場」として
上からみんなを見守る場所として。

あそこができたに違いない。
きっと、始めは「無かった」だろうから。
成長、変化と共に「ああなった」のだろう。


「ふぅん。いつからか、分かんないけど。私も、雲海が似合う様に成長………しよう、うん。」

 「雲海が似合う私」が どんなものか
 想像は まだつかないけど。

でもきっと、白い虎と白い私、白と青の透き通る様な色合いと毛並み 羽衣の私達は。

「うん、意外とイケる。」

今でもなかなか いい感じの筈である。


そして一頻り想像を楽しんだ後、ぐるりと白き光を見渡して。

 うーん まだ かな

そう感じた私は、とりあえず神域へ帰る事にしたのであった。





しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

皇帝はダメホストだった?!物の怪を巡る世界救済劇

ならる
ライト文芸
〇帝都最大の歓楽街に出没する、新皇帝そっくりの男――問い詰めると、その正体はかつて売上最低のダメホストだった。  山奥の里で育った羽漣。彼女の里は女しかおらず、羽漣が13歳になったある日、物の怪が湧き出る鬼門、そして世界の真実を聞かされることになる。一方、雷を操る異能の一族、雷光神社に生まれながらも、ある事件から家を飛び出した昴也。だが、新皇帝の背後に潜む陰謀と、それを追う少年との出会いが、彼を国家を揺るがす戦いへと引き込む――。  中世までは歴史が同じだったけれど、それ以降は武士と異能使いが共存する世界となって歴史がずれてしまい、物の怪がはびこるようになった日本、倭国での冒険譚。 ◯本小説は、部分的にOpen AI社によるツールであるChat GPTを使用して作成されています。 本小説は、OpenAI社による利用規約に遵守して作成されており、当該規約への違反行為はありません。 https://openai.com/ja-JP/policies/terms-of-use/ ◯本小説はカクヨムにも掲載予定ですが、主戦場はアルファポリスです。皆さんの応援が励みになります!

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...