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8の扉 デヴァイ 再

澄み切った 心 2

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確かに。

私は 「知っていた」んだ。


ずっとずっと 小さな頃は

 「なんでもできる」「なんでもやれる」
 「なんにでも なれる」

 「人は皆 そんな存在」
 「みんな同じ」「光の存在善いものである


でも。

成長するにつれ 教えられること
実際 やってみて できること できないこと
周りの反応 「見て」「覚える」「知る」という

 基本的な 行動から。

 「学んだ」んだ。


 「あれ? なにか 自分と 違う」 って。

 「思ってるのと 違う」って。


「自分の頭の中と 実際の自分のズレ」
「自分と 他の人の違い」
「教えられることと 実際のズレ 違い」

それを調整しながら。
「あれ?」「どうして?」「なんで違うのに 違うと言えば排除されるの?」
「なら ここまでならいいかな」「こうすれば みんな笑う」「やりたくないけど やらなきゃいけない」

そうして「自分と世界とのズレ」を調整してきたんだ。
「自分の違和感」を 無視して。


でも。  「世界」は だったし

  生きていくのは

 難しかった。


 「普通」を 装う
 「できる」ことを 隠す
 「できない」ことを 自慢する
 「嫌われない様に」「悪く 思われない様に」。


 「自分」を 塗り潰して。

「自分」を「世界」に合わせていたんだ。


でもきっと その「世界」は

 「作られた 世界」「偽りの世界」「誰かの都合のいい世界」で。


今 思えば
私はきっと深い所でそれに気付いたから
「この旅」に出たのだろう。


 「本当のこと」を 探す この旅に。





意識してる訳じゃ なかった
ただ「冒険」のつもりだったんだ。

所謂よくある「ファンタジー」、「異世界」へ行って冒険したり、恋物語なんて やっちゃったりして。

 夢が覚めれば 現実へ帰る
始めはそんな程度だったのかも、知れない。

「姫様を探す」、それは確かにうちに必要だったし「私がやらなきゃいけないこと」だとも、思ってた。

でも、それが いつの間にか「本当のこと」を
探す旅になって。

今 思えばティレニアで「何故」と問い掛けてきたディディエライト、それも「私」なのだろう。

「今」「一緒になってみて」、それがよく わかる。


 やっぱり 「ぜんぶ」は 「私の中」で

 どうしたって 「私の世界」で。

 だからこそ 「自分の全体像」を 見たいし

 見付けたいし 拡がりたいし 「ぜんぶ」を。

 「含みたい」んだ。

  「含まなければ わからない」から。



そうして始まった この旅
無意識に浮いてきた
ずっと ずっと「始めから」ある この思い

 「生きる」って  なに。


それは、この旅をしていく中で見てきた 沢山のこと
みんなのこと  でも 「その中」に。


きっと まだ「私」は いなかったんだ。



   私の 「生きる」を。

 これから 見つけて 見つめて 

 どう 進むのか

 「私の道」とは 「私」とは。

 どんな 「存在」で 

 本当は「何色の光」なのか。


これまで集めた 沢山の「他の角度からの光」を
照らし合わせ 組み合わせ 多角的に照らして。

また「新しい目」で 「今の私」を 見る。


ずっとやってきた事を
「焦点を定め」「自分に 全振りして」。

  これから また 改めて

 「見つけて」「確かめて」「創って」行くんだ。


 「どうして」「なんで」「変えたい」という思いから。
 ぐるりと 「視点」を反転し
 また 一歩ぐんと上がって 進むんだ。



何処までも拡がる雲海を目に映し、静かに深く
息を吸い込む。

 「私の世界」「今いる 場所」「空気」「風」
 「匂い」「暖かい 毛並み」

改めて始まる「これからの私」、ただ白く広大なこの場で
「行き先」は全く、分からないけど。

この背に、乗っていると不思議と不安は無い。

そうして静かにすべすべとしている背を撫でていると、再びコロコロと白が話し始めた。


 「「これまであった その 「わからないけど 解る」を

  そのまま 受け入れて いいんだ。

 「説明できないけど 」 

     それでいい んだよ  」」


頭の中を読んだ様に そう言ってくれる背中
ポンポンと。

その真っ白な毛並みを撫で、思う。

「この子は「私の光」で 「圧倒的な 味方」 で
  きっと 「この旅」を 更に奥へと進む 道のりを。

 共に 進む為に来てくれたのだ と。」
                   わかる。



 「「 まだ はっきりと見えない

  受け入れていないから 惑うのだろうよ


   それには やっぱり 「心を 澄ませる」ことが

  必要  だね 」」


「確かに。「私がなんなのか」が、はっきりしっかり、自分で「見えれば」。流石に迷う事、ないもんねぇ………。」

でも。 それって。

 「見える」んだろうか ?



 「「 。 「生まれた」と

  思った だろう?  それなら きっと

   大丈夫。 「澄んでいれば」自ずと 見えるだろう 」」


時折口調が変わる、この子は。

 きっと 「小さな光」でも 

 「大人」と「子供」が 混じり合っている 光

  なのかな??

話す音が混じり合っていて、なんでか「そう思う」。

でも、それもこれも。
「全部」、「まるっと 受け入れて」。

そうして進む事で、見えてくるんだ。
きっと。


「「 君は 「把握する」「見る」「感じる」

 能力が  たかい。

  その 「まわり」に使っていた ものを

 「自分」に すべて使えば。

  すぐに 見えてくるよ   きっと。」」


 うん?  そう かな  ??

 でも 確かに。

 私はいつも「自分を外側に拡げて いる」な??


 「「  依る は 

   どんなところに いたい の?

   どんな ことを したい?

   どんな ものが 欲しい?

  どんな 人と いて  どう 交わり たい? 」」


「ま、交わり………?!」

いきなりの質問
でも、白がで言ってないのは、わかる。

「う、うん、そうだね?…………えーーー。と?」


でも。

 こうして ずっとうえから 見ていると。


 私は 「なにものにも 侵されない」場所で

 「ただ ある」のが。

 きっと「一番心地良くて」。


 時折 「大切な人」が 訪ねてきてくれれば
 嬉しいけれど

 ずっと一緒にいたいかと 言えば
 「あの色」くらい か……… あばばば。

 でも。

 本当に。

 「誰をも 侵したくない」し「誰にも侵されたくない」

 「ひとり」でも 寂しくは ない

 ただ 自分の 「なかみ」と「そとみ」を

 綺麗にして 美しいいろを 見て。

 特別欲しい「もの」なんて 無い。


 私には もう 「あの色」が 「ある含む」って。

 「知った」のだから。


キラキラと体内を巡る、「あの色」を感じながら
心底 そう思う。


 「チカラ」「金色」  「豊か」

   「エネルギー」  「循環」「降る」

「満ち溢れる もの」  「見えない なにか」。


結局 「私」は 全てと 「みどり」と 繋がっていて。

だから、きっと 「ひとり」でも
「どこ」でも 「なに」でも いいんだ。

特に「場所」や「もの」に拘りは 無い。

ただ、「自分の領域」が 護られて いれば。



「だから、結局。あんまり、「変わってない」んだよなぁ…………。」

 あの神殿の 頃と。

そう、殆ど変わりない「それ」は 
きっと やはり。

    「私の 本質」

だからなのだろう。


「  ふむ。そうして 「みんな」、その様になれば  」


 「「 また 「みんな」の事  考えてる。


  先ずは  休んで。 止まること だね

 熱を 冷まして  すべてを 止め 空にして。

  「満ちれば」、走り出すこと それは

  知っている だろう?

    大丈夫 だ。  だから。 」」


ううっ、バレてる。

でも、この子は。

私の「小さな光」だったからこそ、見えるものがあるのだろう。

 心の片隅に 疼く 小さな「シミ」の様な もの

そんな微かな、「やらなければ」さえも。
気付いてくれる、この子がいれば
確かにいい「休息」には、なるのかも知れない。


 「「ゆっくり休んで
 「自分のいろ」だけ 見てれば いいよ。

 それなら きっと よく沁み込むだろう からね」」

「確かに。それは、あり。」

そう みんなにいつも言われているのは
「いつでも見失う」からでも、ある。


「ふむ。なんか。  ありがとうね。」

「「いいや。 僕は 「私の光」。」」

「………成る程。なんか、ありがとう。」


白は確かに「私の光」で、何がどうしてどうなって「自己再生」なのか「自家発電」なのか。

「自己発光」なのかは、わからないけど。

「まあ、また。解る、か………なにしろ私は、休んでいいんだもん、ね?」

「「そうだよ  なにしろ ぐるぐるし過ぎ。」


そう、言われると。

ぐうの音も、出ない。

 「「 とりあえず 帰ろうか

  きっと  待ってる よ  。」」


「うん、ありがとう。」

その、「待ってる」という言葉だけで。

フワリと暖かくなる胸 ジワリと滲まない様気を付けて
ぐるりと雲海を見渡した。

 うん また いつでも来れる

そう、思って。

白い背を「ポン」と叩いたのだ。









「うーん。意外だけど、でも。なのか…。納得。」

そうしてフェアバンクスに到着した私達
その中の 白く見慣れた場所で。

私は一人、頷きながら呟いていた。


白がフワリと跳んで出たのは、意外にも白い礼拝室の祭壇前だった。

「うん?」

神域へ戻ると思っていた私は、ぐるりと白い光の中を確認し「成る程な」と 納得したのだ。

そう、私達が出て きたのは。

あの、「白い扉」の中からだったのである。


「確かに、なあ………。」

この礼拝室を創る時、「祈りの対象」として「祭壇に祀るもの」として。
あの、神社にある「本殿の扉」をイメージしたものがこの「白い扉」である。

 あの中には「御神体」が ある

そう思ってはいたけれど、ここでは「光」がであった。
そして時々、私の事を助けてくれる「石」が出てきたり。
「不思議の扉」でも、あったのである。


しかし今回「御神体の場」としてあの「雲海」が現されていたのだろう。
きっと私の中の、「神の場」として
上からみんなを見守る場所として。

あそこができたに違いない。
きっと、始めは「無かった」だろうから。
成長、変化と共に「ああなった」のだろう。


「ふぅん。いつからか、分かんないけど。私も、雲海が似合う様に成長………しよう、うん。」

 「雲海が似合う私」が どんなものか
 想像は まだつかないけど。

でもきっと、白い虎と白い私、白と青の透き通る様な色合いと毛並み 羽衣の私達は。

「うん、意外とイケる。」

今でもなかなか いい感じの筈である。


そして一頻り想像を楽しんだ後、ぐるりと白き光を見渡して。

 うーん まだ かな

そう感じた私は、とりあえず神域へ帰る事にしたのであった。





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