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8の扉 デヴァイ 再

無限の視点

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 「闇が溜まる」「天罰 が」

  「恐れ」「たたり」

 「祈りを怠ると 大変な事が起こる」


ずっと ずっと信じられていた それ

でも
それもこれも どれも。

蓋を開けてみれば
結局は 「私達みんな」が創り出したものだった。


だから結局。

それは 原因ではない
         犯人ではない

じゃあ 「何の為に」?

「祈り」が 捧げられて吸い取られて いたのか

なに が どうして ?

 祈りを 「捧げないと いけない」と 思われていたのか

結局 「世界デヴァイ」は 「なに」で

 保って いるのか。



その「チカラの源」は わからない。

でも そもそも?

 この 「世界すべて」は

 どうして 

  どこから 発生して

 「なにが」 「源」なのか と。


何が 「原因」で「始まり」で
どうして 私達が 居て 在って

 そもそも 「扉」は
 「それぞれの 世界は」「地球」は。

 なんの為に あって 私達は なにを して。
 どうして「生きて」いるのだろうか。


それを 考えると。


「えっ、「宇宙」?「根源」?「源」?そもそも論??」

色々な神話や言い伝え、伝説、記録、研究。
様々なものがあって、それには共通している部分も、多い。

でも その どれもが。

  「始めに 「神」が あった」そんな感じで
  始まるものが 多い。

「えっ、ちょっと待って。海から始まるんだっけ??でも、なんでまずそもそも生命が「ある」所から始まるんだろう………?」

 確か何処かで。
 「混沌が あった」的な神話も あったと
 思ったけれど。

「ふむ?しかし、とりあえず私は「混沌」派よ、今のところは。」

ぐるぐると掻き混ぜていた、あの鍋の事を思い出して頷く。

   「生命」とは 「進化」とは
 「魂」とは 「肉体」とは 
 「動物」「植物」「鉱物」「地球」?

 それなら ここは やっぱり 私の「頭の中」なの??

何れにせよ その どれもこれもは「私の視点」の中、全ては自分の「なか」に「点」で「瞬間」で。
存在する、とは 思ったんだ。

 そう 「全ては まるっと 私の なか」

結局
 全ては 「私の視点」からしか 見られないし
 目を 閉じれば。
 「すべて」は 消える。
 その瞬間とき  何が起こっているのか
 それは 知り様が無いし
 決して。

 その間目を閉じている間に 「起きていること」を
 限定することは できないのだから。


その 上で「どうして が あるのか」それを
考えると。


「ふむ?」


「今の私」が 一番に 思うのは。

強いて言うなら

 決まった「理由」なんて ない  ということ

 「世界」は「私達」は 「ただ ある」ということ

 もし ほんの少し「理由」が あるとすれば。
 強いて理由を 挙げるとすれば。

 きっとそれは「個々の光によって違う」筈。


そう
世界が存在する 理由なんて。

それは それぞれの「光」によって、「光の行き先」によって違うのだろうし、違うからこそ私達は
それぞれが「全部」の「一部」で。

きっとそれを探す為の「旅」をしている 筈なんだ。

 そう よく言う「自分探しの 旅」という もの
 それはある意味 「ほんとう」なのだろう。

しかしそれがいつの間にか、「道」が逸れて
寄り道が大きくなって。
迷子になってしまう
「忘れて」しまうんだ。


自分の「かたち」の中にある、鮮やかな色達を眺めながら
そう 思う。


そうして 結局 巡って 廻って
私が辿り着いたのは 「ここ
始まりスタート」は 多分あの神殿

私は思い出したけど まだまだ旅の途中を楽しむ色も多く
しかし「その時」が 来なければ
まだくるくると回り続ける 光達

それは そもそも 何故。
  そうして 巡る様に なったのだろうか。


艶々と光って見える、白く飛ばぬカラスを目に映しながら
くるくると回るカケラ達が 弾かれるのを待つ。


 そうして 「ポン」と 出てきたカケラ
 それは「好奇心」の 色だった。


「 うん?    知りたい、から?」

確かに。
私の「始まりが 」だったから、納得の色ではある。
だからすんなり、そう思うのだけど。


「ふむ?」

なんとなく「スタートした理由」は それだと思うけど。

でも 多分。

今現在 世界は 自分の光が 見つからなくて
        行き先が 分からなくて
        探す自由すら 「無い」と思われている

みんなが 「忘れてしまう」のは
それは どうして?


いつかも思った「輪廻の理由」、人は「繰り返している」ことを 知らないということ。
「忘れている」「思い出せない」ということ。

もう「止めたい」、「抜け出したい」と。
思っている人も いる筈なのに繰り返す 輪


 「原因」 「理由」「どうして」「現状」
  「きっかけ」「その時は」 「いつ」

くるくると鈍い色が舞い始める 頭上 
「好奇心」の中に混じる 歪なカケラ

でも
今になって これまでの事を振り返り 思うのは。

忘れてしまった理由
いつの間にか なにかに溺れて迷路に迷い込む理由は。


 「みんな 誰か どこか 

  任せに してるということ
  なにかの せいに しているということ」

 「他の自分以外のルールの中に
  嵌まり込んでしまって いること」

それなのだと 思う。


銀の家や長老達が言う「祈らないと まずい」、それも。
みんなが祈るのは、いい。
でも、その「理由」「何処へ吸い込まれているのか」知っていた人達は。

そもそも「自分達でなんとかできる」と、「しよう」と思わなかったという事だ。

 「無いなら 作ろう」「どうすれば 上手くいくのか」
 「みんなで やって行くには」
それを と いう事なんだ。


「軸」を据える、私を代わりにすると
考えられていた時も、思ったけど。

「みんなが。幸せになる方法、誰をも犠牲にしない方法を。考えるのが、面倒くさかったからじゃないの??結局、楽な方を取ってるって、事だよね?」


「できない」
「やれない」
「どうせ 駄目だ」って。

 「言い訳」ばかり 「できない理由」ばかりを述べて。


 そもそも「最初から諦めてる」
 「 を 選んでない」って。

 そういうこと だよね???


思わず熱くなりそうな頭を振って、大きく息を吐く。

どこまでも広く、白く静かなこの空間はざっと見渡しただけでも。
私の心を落ち着かせるのは充分で、ピョコピョコと跳ねてきたウンが見え、また更に心が和む。

「ピョン」と跳ねたフワフワを抱くと、改めて顔を上げ
白く大きな木を、目に 映した。

この、透ける様な象牙色は 本当に美しく深くて。

私の「真ん中」に戻るには、最適な「美しいもの」だからだ。


そうして くるくると忙しなく舞っていたカケラの速度も落ち、ゆっくりと回り始めたそれを ボーッと眺める。

結局。
どうしてこの世界が こうなっているのか
「搾取の仕組み」「原因」「悪者」は いるのか。

どうしても「元」を探ってしまうけど。

「誰が」「何が」じゃなくて。
きっと「視点」が そもそも論で。

 「できる」「やる」という「選択をしていない」

「問題」は なんじゃないのかな ???



「すぐに犯人を探す」「始まりはどこか」
「問題はなにか」「誰か」「どうしてこうなったのか」。

「犯人探し」や「納得させる」「解る」「解決裁く」、そんな事を 繰り返しているけれど。

何故 「そうなのか」、そこからじゃ ない??


深海で気が付いた 「軸は無くとも いい」
そんな風に。

結局 全部が。「視点を変えれば 解決する」んじゃ ないの??


ぐるぐると再び速度を上げ、回り続ける歪なカケラ達を見ながら
つい愚痴っぽく、なる。

 でも。

「てか、でもに至るまでが。簡単じゃない、ってことなのか………。」

 解っては いるんだ。

そう結局 いつも同じ様な事で悩んでしまう、私もきっと「同じ」なのだろう。

 「見ているだけ」だと もどかしくなるし
 憤っても しまうけど

「それぞれのタイミング」、確かにそれは そうなんだ。

そこ」から抜け出したと思っている、私も。
結局こうして、同じ様に「ぐるぐる」しているのだから。


 て いうか。

 あの 「繭」から 出てきた時は

 もう 「生まれ変わった」「再生」

  「全ては 私のもの」くらいの。

 感じ だった よね ???


自分の駄目さ加減に首を捻りながら、小さく溜め息を吐く。
ポンと手から離れ駆け出していったウンが、なんだかそれを象徴している気もして。

思わず後ろ向きな、発言が出た。


「私って、ホント………それに。もう「やらなきゃいけないことも ない」なんて、言ってた筈………自分を甘く見てたわ、私。逆戻りなのか。うーん。」

「お前はすぐに「感情移入」するからな。まあ、それが良いところでもあるのだが。」

「 えっ」

思わず上滑りの 声が出る。

私のぐるぐるにいきなり参加してきたのは 例の如く 金色の彼である。


「きっとその時生まれた時は。視点を定めず、全体を観れていたのだろう。まだ、癖が抜けぬのだ。だから練習だと、言ったろう?」

「ぅぅ 」

確かに。

それに、それはシンにも言われた事だ。


 「知り」「解り」「行動し」「選択し積み重ね」
 「選りすぐり」「進むこと」

そうして 「自分のものにしてゆくこと」。


「視点を「限定」すると、狭めると。「無限」には行き着かぬのだ。全ての点を一度に広く見、同時に展開して行く事。一点に絞る事から複雑さは生まれ、そうして単純な物事が複雑になってゆく。いつの、世も。だがしかし、お前が悩み、縛られているその沢山の光こそ、お前を成長させてくれるものでも、ある。」

「うん、まあ、そう、………だよね。うん、なんとなくは、分かるよ。」


  全ては 自分の光でお互いが お互いの為に
  存在している
  その 複雑な点を集約させずに 同時に見
  同時展開している せかい を。

  客観的に、見るのだ。


彼の「言っている事」は、わかる。

それを 「できるかどうか」は まだ難しいけど。


でも こうして迷いながらも進む、「自分」のことを。
「いい」と言ってくれたのは黎だ。
確かに、驕る事なく溺れる事なく。
進む私の歩みは、鈍いのかも知れないけれど
「必要」だからなのだろう。


「それもまた、細かくしつこい、「私」たる所以………  」

そう、一人黄昏ている私に齎されるは
金色の 光。

それはまた、沢山の色を含む様になった彼からの
別の角度からの、光だ。

「ふむ?しかしお主は「なんとなく」でも、解るのだろう?それはからだ。計算は出来ても、公式は使えても「わかる」と「それ使える」とは違うものだからな。「感覚」で捉えられなければ、自分の「中」に落ちていなければ。それは使えないもの。「頭」では、ないのだ。それ即ちこれまでとは全く、違う世界になるという事でも ある。」

「しかし、大分思い出してはきている様だな。」

 えっ

しかし、チラリと私を見た金の瞳はきっと「喋りすぎた」と思っているに違いない。

確かに、この人が。

こんな「核心」ぽいことを 言うのは 珍しいんだ。

 あの狐は チラチラなんか 言ってくるけどね…。


「   ふーん?」

横目で金髪を見ながら、さっきの言葉を反芻する。

 「思い出してきている」

 確かに。 私はんだ

 なんでか それはわかる。
 
「だってなんかその難しそうな「次元」やら「同時展開」やら、「無限」が、どうとか。普通に私が理解できる話だとも思えないし??でも、なんとなくの「ばっくり」感は、分かる気がする………。」


この人と「繋がってる」からかも 知れないけど。

なんとなくの「イメージ」
「点でなく全体」と言うのは この前自分で想像した
「自分の場所」の 形にも似ている。


情報と、同じ様に 時間と同じ様に。

きっと 私達それぞれの「場所」も浮いていて
でも「かたち」はあって
ピタリと しっくり くる場所が あるんだ。


 そしてそれは きっと。

 「限定」していては 見ることは できなく
 広く自分を「無限」に することで 見えてくるもの


   『解放しなければ 見えない』もの。


 
 「時間」 「距離」  「場所」
    
     「工程」    「素材」

   「要素」   「条件」

  「人間」  「物」   「自然」

 「生物」   「無機物」     「気体」

    「固体」    「霊体」

  「見える」        「見えない」

      

  そう  「関連」なんて ない

 きっと 「すべて」を 「無限」に

  「条件」など「縛り」など。

 全てを 取り払って  「自由」に。


 「創造」しなければ 「捕まる」んだ。

   その 「限定された 世界」に。



「…………ふむ?だから、やっぱり………まあ………?練習、ってこと、かな…………?」

「そうであろうな。その、道のりもまた「楽」し。」

「…………ふーん?」

なんだか「これ系」の話を すると。

この人が「最初の頃」に 戻った様な、気がする。


その、「人ではない」瞳の硬度
美しく輝く金色の虹彩と それを際立たせる睫毛
緩く伸びた、金の髪。

 結局 「どっち側に?」って 思ったけど。

  くっ  なんか  カッコよ
  違う 方向に 持ってかれ そう

 いかん 目を離すのよ  わたし。


くるりと背後を向いて、気も落ち着かせる。
ついでに遠くの黒い龍を眺め、頭の中身もポイと
放り投げると。


「まあ、いいか…………。」

「それはまた、追々だな。じっくり、も吾輩は構わぬが?」

 んっ?

嫌な予感がして、振り返ろうとしていた身体をくるりと向き直す。

 ぅぅっ  これ 見てる
  
  絶対 見てる  よ   ー


でもな。

「知りたくない」、訳じゃ ないし な ??

確かに彼が結局「どう なったのか」、気になるところでは ある。

私達の「これから」にも。
きっと 関係する 話だろうし??

「素直に認めても、良いのだぞ?」

「いや、うん、そうなんだけど、認めてないとか認めてるとか じゃなくてね??うん、単純に興味があるのよ、うん。」

 あ

   ぇっ


しかし、そのまま結局 「その色」に 背後から絡め取られた私に。

逃げ場は、無かったので ある。

うむ。


☆10



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