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8の扉 デヴァイ 再

澄み切った 心

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「う~ん。名前、は。「白」かなぁ。」

 マシロと 近いけど まあ
 でも うーん。
 「それ」しか 思い付かないということは
 そうなんでしょう うん。


真っ白な虎の背に乗り、私はから
沢山の場所を探検している。

眼下には
白と青の ラピス
橙の工業地帯 シャット
灰色の天空都市 グロッシュラー
黒く豪奢な檻 デヴァイ。

そう言えば 最初グロッシュラーを「空中都市」だと 思ってたけど。

「都市、って程でもないよね………なんだろうか、やっぱり「天空神殿」?「灰色の島」?それじゃ味気ないな…。もう緑が少しずつ増えてるからね。」


いつもの屋根裏探検の、「雲の上バージョン」の様なその光景は沢山の景色を見せてくれると共に
各所の「色の違い」「重さ」「澱の量」をもはっきりと私に示している。

ここ雲の上だからなのか
白の上だからなのか。


「そう、考えると君は雲でも、あるのかもね?」

悠然とした動きで私を導く大きな体
スルスルと撫でる背中は二本の紐でしか支えられていないがとても安定感がある。

ある意味「くっ付いている」様な感覚、「私の光」のこの子はきっと私を落とす事などあり得ないのだろう。


「雲」を思い出して、あの緑の瞳はどうしているだろうかとふと、思う。

するとパッと雲の切れ間に魔女部屋が映った。

「いた!……………寝てる。フフッ」

いつも通り、心地良い部屋の隅で背中を上下させているフワフワが見えて。
安心と共にあの子フォーレストの中にも「私」が居るのが、わかる。

きっと心のどこかで「思って」いてくれるのだろう。
「今の私」はディーと共にあるあの子の「友達」でも、あるから。

「また、帰るからね………。」

そう呟きながらも雲の下に広がる、「靄の世界」を見ていた。



「まぁ、でも。、なのかな………。」

なんとなくだけど。

私がもう、「みんなの世界」に降りられないのは、わかる。

多分「行けば」、「行ける」し
「行くこと」は 可能。

だけど。

「想像」するだけで付き纏う閉塞感、重苦しい澱。
きっと心から笑う事は出来ないだろうし、そこで繰り広げられる「仮面上」のやり取りに
私はもう耐えられないだろう。

これまで仲の良かった、友ならば
ある程度の前提があるから まだマシな筈だ。
でも、きっと小さな齟齬は ある。
それに「落胆する自分」を 感じたくない。

本当は「落胆」する事もなくて、それはただの「違い」であって
そのまま受け止めれば良いのだろうけど。
きっとまだ、私は「小さな落胆」を溜め込んでしまうのだろう。

しかし。
関わりの無かった人々との「前提」「枠組み」「ルール」の違い、きっとそれは全く噛み合わなくて。
これまでならば「合わせて」いれたと思うけど。


「行きたくない、とは………言い辛い………。でも、この「言い辛い」が、要らないのか。」

 そう きっと

 私が 「そう思う」なら 「それでいい」のだ。

 
 もっと もっと 「澄んで」から
 「見れば」「行けば」いい。

 「その時」そう したいと 思ったのならば。



「結局。それもこれも、「抑えちゃう」から駄目なんだよね…いや、駄目でもなくて??うん???」

すぐに混乱し始める頭を、ポイと投げ
フワサラの毛並みに頬を埋めた。
もうこのぐるぐるの「行き先」が「見える」からだ。

 うん 「建設的ぐるぐる」なら いいんだけどね


でも。
それぞれの世界を見ながら 「思うこと」
それはどの、世界でも。

「やっぱり………「無視」、されてるよね…いや、「見えない」「見てない」、のか?でも
「ある」のにね?無い?いや、あるよ、ある………。」

私が言っているのは、様々な場面で無視されている「人々の感情」というものである。


例えば 誰かが「嫌だな」と、思っていても。
「無視」して進められる決まりごとや、物事
その「嫌だな感情」に 気付いている人もいれば 気付いていない人も、いて。

ただ「ルール」「暗黙の了解」の上で進められて行く物事、その上滑りしている様な違和感。

明らかに「浮かんでいる異色」
しかし「無かったこと」「無いもの」と、されている「それ感情」。

それは。
どうして なのだろうか。

何故 私達人間は。

「心」は あると思っていても 「無いこと」に
しているのだろうか。


「でもそれも、みんな誰かの都合でその時々、なんだよね………。」

しかし結局のところ、皺寄せが行くのはいつも「弱きもの」「小さきもの」。


 この 「構図」は。

 いつまで経っても、変わらないの だろうか。


「いや、少しずつ変わっては、いる筈なのよ。でも………なんだろうな、まだ少ないのかな…?」

どの世界でも、そこで奮闘している人はいるし「気付いて」いる人も、いるのだ。
しかしやはり、「世界を変える」「世界が変わる」とは。

一朝一夕には、いかないと いうことか。


「ふむむ。」

全ての人が気付いて、上を見上げ「自分の」を見付けて。

進めば、変わる。

でも、「その時」は人それぞれで それを「コントロール」する事は、できない。

 これまで散々 ぐるぐるしてきて
 充分過ぎる程 解っていることだ。

その、「きっかけ」は 「いつ」「どうして」
 訪れるのか。


「まあ、全ては「タイミング」って事なんだろうけど…。でもな………辛ければ辛いで、「どうしてなんだろう」って、なるよね?そこを疑問に思わない程………まあ、渦中にいる時はそれどころじゃないのは、解る。うーーん。あ、でも「変えよう」とは、しないんだった。いや、違うのよ。「変えよう」じゃなくて、「なんでなんだろう」って。単純に、思っちゃうんだよね………。」

独り言の様な呟きに、返事が くる。


 「「  なんだろう 。

 きまっていること は 無いけれど

    ある程度の 順序は ある よ

  そうして 色々な ところを回って。

  結局は みんな   辿り着く。」」


「    確かに。」

それは私の関与するところでは無いし
それも あれも どれもこれも。

 「自由」なのだから。

私がヤキモキしてしまうのも、「持たなくてよい荷物」なのだろう。
「余計なお世話」、というものなのだ。


「なんか。………ただ、「物事」として静かに見れる時もあれば、「なんで」って感情移入しちゃう時もあって。まだまだだな、私も。」

あの時も思った
「私はまだ 人間ひとに 未練がある」
きっとそうなんだろう。

でも、それも解るんだ。
まだ、私はそう長いことを生きてはいないし、きっともっと。

「生きて」。

美しく、新しい「世界」を 見たいのだから。


「ふむ。とりあえず客観性、そしてなんか美しいものを創る?それで「新しい私のかたち」を研究すれば、いいのか………?」

改めてそう、考えて思うけど。

「私」って。

   結局 なんなんだろうか。


「えっ、「みどり」?なんか、方向性がブワッて分かんなくなってない??」

 なんで なったのかも。

 よく、わかんない し???


「えっ、でも「それをまるごと受け入れる」、って、なのかな………???」

でも。
まだ、私の中に「ストッパー」の様な、ものがあって。

白が来てくれて、大分外れた気はするけれど
「なんで」「どうしてそうなの」「本当に?」
「ただフワフワしてるだけなんじゃ」
「自分のこと ちゃんと 見れてる??」
「そんなこと あり得なく ない???」

そんな思いも。 湧いてくるんだ。


そうしてふと 切り替え顔を上げると
やはり 白い 雲の絨毯の上で。

フワフワ、キラリと 回り始めた

   鈍く光るカケラ  美しい いろ

  沢山の ピースが 「その位置」に嵌ろうと

   「かたち」「似た色」が。

 「触れ合い」「絡み合い」「交錯して」

    「また 離れ」

 「その 場所」

 「自分の場所」を探し   廻っているのが

              わかる 。

「ピタリと嵌る」場所を探し 自由に舞う「私のカケラ」
その全体を見て 「限定」しない様に静かに見守る。


そして そんな私に的確な音を投げてくれる、白。


 「「 でも 今は ある意味

  そのまま散らしたままでも いいのかも 。」」

 えっ

   そう なの ??


  「「 依るは 「理由」や「根拠」が

 ほしいのかも しれないけど。

   それはね   んだ


 「白と黒」 「善悪」「二つのもの」 には

  どちらの面にも 全てに 「理由」があり

     "そう せざるを得なかった"

                   "それを 選択 した"

 それを 「理解」して。 したならば。


  初めて 「理由」が いらなく なるんだよ 


 依るは  もう 充分 やった

    だから今は それを  また

 放り投げ 散らして  君にかたちに任せて。

  しばらく  放っておいても いいんだ 」」


とても 深い、ことを。 
可愛らしく響く音で 言うのだ。

 それはきっと 真理の 音

自分と少しもひずみの無い それを聴いて そう 思う。

白の「ことば」は私の「なか」で、フワフワと浮いたカケラの様になっていて、大事なピースがキラリと光りその「要約」を私に知らせてきている。


「「依るはもうその段階理由の要らないに 来たのだ」」と。



 「「もう あたまで ぐるぐるするのは

 一旦お休みだ。  「依るは 依る」

  その 「真実」さえ あれば。

  好きなことをして 遊んで。 笑って
  
  いれば  また  「わかる」よ 」」


 「「 「自分が    」それは

  「理由」の いらないこと

   「疑い」も 「説明」「言い訳」も 必要が ない

   ことなんだ


  だって。


        から  なのだから

  「説明」しようがない んだよ」」


その瞬間 全てのカケラが 「ピタリ」と動きを止め
それと同時に 私の「真ん中」が。

 一斉に「過去の光」を照らし始め
 私に「それ」を 見せ

「あの時」「そう」「この時も」そうなんだ と。
伝えてきているのが わかる。


  「ほら ずっと ずっと だろう」と。




 
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