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8の扉 デヴァイ 再
みどりの祝福 2
しおりを挟む濃密な ハーブの生命力
けぶる 瑞々しい みどり
香りと チカラ その いろ
それぞれの 色の違い
密度の違い
水分量の違い
大きさの違い
長さの違い
集まる 分子の違い
構成量 振動数
「 ふむ?」
私の脳みそでの 表現力が 弾き出す 限界
しかし 「それ」は。
私が 私に 「全ては 繋がっている」
そう「理解させる」には 充分な 量
そう 「見えない」けれど 「ある」
「匂い」「空気」「風」を伝い
私に伝える その「情報」
間に入る 「媒介」
それはきっと。 「世界」で「全て」で。
「濃密」「密接」な 「すべて」の 「なか」
私達は 生活して 動いて いる。
その「間にある もの」を意識しながら
「チカラが 上がった」この空間を、見ていた。
きっと これまでも。
ここ イストリアの魔女の店は、特別な場所だった。
この人自体、まじないが強いのもあるし、なにしろこの空間は心地が良い。
それだけでチカラは漲るし、「もの」も「込もったもの」ばかりだ。
そもそもの土台から更にプラスして、このハーブ達
そして全体に底上げされた「この空間」。
「あの子」から 近いし
あの子の「場」だし
それもあるとは思う けど。
「なんでしょう、やっぱり私は「人の想いの積み重ね」だと、思うんですけど………。」
ゆっくりと美しい色の紅茶を注いでいる、薄茶の瞳を見上げた。
ここは「石窟の場」では、あるけれど
長い間「イストリアの為」にあり
「この人の 想いの積み重ね」の様な、場でもある。
「生活の場を 見れば わかる」
それは大概の人に言えると思うけど。
「やっぱり。「美しく保つ」とか、「きちんと手入れする」のは大切だなあって、ここに来ると思います。どんなに豪華だって、大切にされてなければそれはチカラを失う。多分、「手に入れる所」からそれは始まってると思うんですけど「動機」からスタートして。それを、どこに置いてどう扱って、どれだけ「大切」にできるのか。「大切」って言っても、「毎日磨く」とかじゃなくて、適切に手入れして「愛情持って使う」。それも、「普通に」。そこですよね…………。あっ。」
「うん?どうした?」
「いや、私今更ですけど「自分の面倒くささ」を反省してるんだか誇りに思ってるんだか…………なんか、とりあえずちみちみ、ネチネチと細かい事を考えてるなあって。こないだ、思ったんですよ。でも、イストリアさんだとつい、出ちゃう。」
「ハハッ」
そう言って口を閉じた私を笑う、この人はきっとなにも否定しないだろう。
それも分かるから、つい言っちゃうんだけど。
「それこそ「君」じゃないか。決して失ってはならない部分の一つだと、思うけどね。それは大切な要素だよ。なんだろうな、「分析力」「注意力」…まあ、君には無粋な言葉は似合わないね。「愛の力」で、いいんじゃないか?」
「…………なんか、それなら素敵です。…………そう、なのか??」
「まあ、そうだろうね。さっきも言ったけれど。だからこそ、君達のことが「祝福」に、なる。私はそう思うよ。やはり「全てはそのまま還元される」、それを考えると「微細」「詳細」だからこそ数多の存在に降り注ぐ、祝福。濃くて、細かい、隅々にまで入り込む。それ即ち、全ての生命、いや存在まで届くだろうからね。」
ひとつ ひとつ
私の言葉を受け取り。
しっかりと受け止め、そう言ってくれるこの人の存在が
本当に尊いと 思う。
「 なんか。ありがとうございます。」
「いや、なに。私の言葉で更に祝福が降るならば、それもまた。うん?「循環」、かな?」
「それもいいですね…………。」
なんだか、言葉が ない。
濃密な生命力の空間
いつもの薄暗さはあるけれど 差し込む光の 変化
しっかり すっきり はっきりとした 陽の光
その一閃をじっと 見つめるでもなく
目に 映しながら。
静かに浮かぶ 「思い」を おもう。
いつも 私の背を押してくれる 存在
心強い 味方
いや もう 味方も 敵も なくて
みんなが大切な 存在だけど
やっぱり「特別」は あって。
「ふむ?」
なんだろう か
心に浮かぶは「熱い想い」
でも
「静か」。
いつもならば。
押し寄せる「感動」
溢れる 「涙」
いっぱいの 「胸」
それも勿論、ある。
でも 「静か」。
その「違い」を 全体で感じながら
点を一つに絞らずに 「せかい」を把握していく。
「心地良い」「気持ちいい」「寛ぎ」
「安心」「安定」「一本の ピンと張った 線」
そう 確かに。
「今」この 「場」には
一本 すっきり はっきりとした 「線」が
通って いて。
「それ」が なんなのか は
分からないけど。
「ふむ?」
私の 「神域」にも 似たそれ
「なんだろう、な??」
まあ また。 「時が来れば」解るのだろう。
私の様子を見ながら、それに合わせ 静かに。
「どうぞ」と示されたカップに手を伸ばし
頷きでお礼を言って
香りを楽しむ。
「なんでもない 最高の時間」だ。
暫し それを楽しみながら。
ただゆっくりとお茶を味わって、いた。
しかし「その質問」は。
突然 やって来た。
「しかし、君達は。「できる」事は、心配ないのかい?」
うん?
暫し頭が フリーズしたけれど。
「それって…………その、あれ 」
赤 ちゃん 的な ???
「そうだね。沢山すれば、できる確率も上がるからね?」
「 ぅっ」
うん? 確かに? でも。
しかし。
なんでか 解らないけれど。
私は「知って いる」
「それ」は 二人が 「望まなければ」
できない
多分 そう。
少なくとも 「私達の 場合」は。
理由 は わからない けど。
「…………なん、か?多分、「まだ」なんだと、思います。多分「欲しいな」って、思えば。「できる」んだろうけど………どうなんだろうな???」
私の事を興味深そうにじっと見ている薄茶の瞳は、なんだか納得の色を示して、いる。
きっと「今の世界」だと、「確率の問題」では
あると思うけど。
この人が「私の答え」を、大方予想していたのが分かる。
「まあ、そうなのだろうね。君達は。それならまあ、心配はないか。いや、あまり心配はしていないのだけど、一応ね、一応。」
「えっ、まさかあの人………」
「いやいや、流石に。直接訊かれてはいないけれど、きっと心配はしていると思う。だからそれとなく、伝えておくよ。」
「………なんか、はい。ありがとうございます?」
私が妊娠したらあの人が困るのか、少し考えてしまったけれど
確かに「いらぬ気」は、回しそうな気はする。
「なんか私達の事で悩むウイントフークさんとか、ちょっと見たいかも………。」
「ハハッ、なら少し放っておこうかね。」
「いいと思います。」
うん? でもな??
本部長には、お世話になっている。
あまり困らせるのは本意では無いが、まあこの話はデリケートな話題だ。
暫く私が黙っていても、問題は無いだろう。
「しかしなにしろ。何かしらの影響は、あるだろうね。君は「消えた」「帰って来ていない」事に、なっているけれど。………まあ、流れに任せる、か。」
「そうですね………とりあえず、なんともないかも知れないし?暫く様子見にしましょう。うん。」
「まあ、君はまず自分を安定させる所からかな?エルバに話は通してあるけれど、どうする?」
「あ、これから行ってきます。………大丈夫かな??」
今日の出立は、「羽衣姿の真っ白な私」である。
パンパンと頬を叩いて揉み、口を動かしていたけれど。
「うん?まあ、ディーのこと知ってるなら大丈夫か。」
「しかし君達はそっくりだと言うから。腰を抜かすかも、知れないよ?気を付けてお行き。」
「ですね。ありがとうございます。」
どうやらきちんとレナの店で会える様に、手配をしていてくれたらしい。
確かにこの姿で、貴石へ行くのはまずい。
「じゃあ、また来ます。」
「うん、気を付けて行っておいで。」
「はぁい。」
振り返ってもう一度手を振り、「カラン」と鳴る扉を開ける。
なんだか今日は、このベルの音もよく響きピンクの空に流れて行く様だ。
「うーーん。綺麗。」
そうして首が痛くなる程、上を眺めながら桟橋をずっと 歩いて。
少し迷ったけれど、踵を返しピンクの木立へ入って行ったのである。
うむ。
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