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8の扉 デヴァイ 再
ラエティアの話
しおりを挟むレナの店の二階、その落ち着く秘密の空間で私達の話は終盤に差し掛かっていた。
一頻り、私の恥ずかしいぐるぐるが終わり、「本題」の話を聞いた後。
ラエティアが話し始めたのは、いつかの私も思ったこと。
それは「私達 「命」の 根本的な話」だった。
「その力が強い者は、まじないも強い。これは私の経験から言う、持論だけど。」
「命を生み出す行為、それは本来欲だけに収まらない、もの。やっぱり、私達の基本的な本能だしだからこそ、力がある。ただ、その使い道が時折間違っているだけで。目的や意識が、逸らされちゃってるのよね、きっと。だからこそ、「私達」が。そこを超えて行かなければ、きっと自分は「もの」のままだしそう扱われる事を自ら許してしまう。それを続けて行く、その状況を作る一部なのよ、私達も。」
この人は。
とても「本質的なこと」を解ってるんだ。
はっきりと私を見つめ、一つ一つを確かめる様に話す彼女の姿が 眩しい。
イストリアが言っていた
「まじないが強い者は 許容範囲が広い」こと
それに共通する「視点」の多さ。
「貴石」という環境にあって
自分を悲観する事なく観察できる視点と、物事を公平に見る、チカラ。
それはこの人本来が持つ、魂の色なのだろう。
「紫」を 持つ ラエティア
あの場所の一番上にある、「いろ」。
その意味が話を聞いていくと、よく、わかる。
「だから、その力を別の方向で活かしていく必要がある。私達は、協力し合えると思うわ。」
そう言って、目の前で強く輝く金茶の瞳。
その、内側から光る輝きが 真っ直ぐ胸に入ってきて。
「金色の瞳」に見える、その人を心底「美しいな」と思う。
「美しさって 本来 こういうこと」
話を聞きながらも 感動する自分
外から自分を見ながらラエティアをも見て
「そう感じている」自分も。
沢山の 視点 沢山の わたし
やはり「変化」で「変容」して「共鳴」して。
時に「いろ」が重なり合い それが影響し合って。
私達はこうして
「光り合って」前進して ゆくんだ。
「肉体のチカラ 」を 使う こと
「まじない」だけでなく
「全ての人」が 持つ 「肉体」のエネルギー
「「創造のチカラ」「原始」「性的エネルギー」」
「生み出す」 「創り 出す」
「変化を起こす」 「利用する」
「それは。なんら、「悪いこと」では無いのよ。それは、解るわよね?」
「……………はい。」
くるくると美しく回るカケラと「ことば」
それはどれもこの美しい人と同じ輝きを持って
私の周りを回って いて。
「こころ」と「からだ」の バランス
「繋げる」「一本 線を 通す」
「想像」から
「直感」「受け取る」「行動」「実際動く」
「変化」
実際 直接的な 「創造」へ。
「多分ね。あなたの中で、「それ」を止めている部分があると思うんだけど。心当たりはあるのよね?なら、いいわ。私が思う、懸念は一つだけ。それは、「命を産む」行為だという事、それが解っていれば本来なんの問題も無い事よ。」
「それに、交わりがあなたにとっての「進む助け」にはなると思うけどね。体だって、あなたの大切な一部よ。勿論、心も必要だけれどそれはやっぱりバランスよ。」
そう言って、ポンとワンピースの膝を叩いた彼女は。
顔を上げた私を真っ直ぐ見て、ニコリと笑い
駄目押しに、こう言った。
「ま、実際やるか、やらないかは「自由」よ。いつ、なのかもね。」
「 はぃ。」
掠れた声が出た、私の目の前では
新しいカケラが幾つもキラキラと 回っている。
「知りたい」「新しい エネルギー」
「新しい 夢」「こと」「変化」
「精神的なこと」「体のこと」
「世界」「わたし」 「魂」「縁」
沢山の事柄が、ある中で。
きっと 私がやって行くのは
「全ての バランスを取り
最適な かたち で 進むこと
それでいて 見えてくるもの こと を
やること 創造する こと」
それは わかる。
「実際、「興味」はあるでしょう?それでいいのよ。初めは色々あるわ。痛かったり、怖かったり。相手の気持ちが不安な事は無いでしょうけど、色々考えてしまうなら。ある意味動機は「やってみたい」で、いいと思うけどね。」
「 なる、ほど?」
その、言葉を。
取り込んで、飲み込んで、平たくして落ち着かせて。
「やること」「やりたいこと」「全体 バランス」「きっかけ」
未だぐちゃぐちゃしている私の背中を押したのは、意外にもラエティアのその言葉だった。
「やってみたい」確かに そうなんだ。
だって 私は。
「好奇心」「楽しみ」「興味」があって。
この世界へ 出てきた、それを憶えて いるのだから。
「まぁ、とりあえず。終わったら、一度店には来なさいね?エルバも心配してるし。」
「そうね、とりあえず後は任せるから。なんか、まだ聞きたいことある?」
頬を揉みほぐしている私に、話を纏め立ち上がった二人が訊ねる。
ローブを羽織り始めたラエティアは仕事の時間があるのだろう。
「後で行くわ」と言うレナの青いフワフワをボーッと眺めながら、「今 ここ レナの店」という事を思い出し、足に力を入れ自分の場所を確かめる。
そうして感じる「癒しの白と緑の空間」、やっと「帰ってきた」感じがして大きく息を吐いた。
くるくる、ぐるぐると忙しかった私の「なかみ」は、「このこと」に関してはまだまだ修行が足りない様である。
しかしなにしろ、一度スッキリと考えを纏めたかった私は。
「ううん、大丈夫。ありがとう。………ホント、ありがとうございました。」
そう言って立ち上がり、ペコリと頭を下げて。
ラエティアを見送りに階下へ行ったレナの声を聞きながら、残っていた澱をぐっと飲み干したのである。
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