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8の扉 デヴァイ 再

チカラを 生み出す

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「やっぱり、石って。チカラ、だよね………?」

なんとなく、がして。

フラフラと私がやって来たのは、あのプラネタリウムの様な石窟の中だ。

あれから変わらずここにある、この巨大な柱は
この世界グロッシュラー全体を支えるのに相応しい美しさと大きさ、漲るチカラを、蓄えていて。


 欲しい もの 美しい こと

  光り 合う   求める いろ

 空気  質感  雰囲気   透明感

  チカラと エネルギーの こと


くるくると回るカケラ達が導き出したのは、この畑にある、島の「要」。

しかも、「揺り籠」の方ではなく「石窟」であった。
どうしてなのか、ここに来るまでは分からなかったけど。

入ってみて、理解した。

「今の 私が求めるもの」、それは確かにここに近い。

 そこに あるだけで チカラが沸いて くる様な

 瑞々しく 透明で 吸い込まれそうで
 浸れそうな その 質感 在り様  
  漲るエネルギー

そう、ずっとずっと 前から思って いた

 「石は チカラの 塊」「そのもの」

その、概念を全身で味わえる「ここ石窟」。


「ふぅむ?………だから、結局やはりエネルギー源という事になるのか………。将来は石を利用して何かやったりするのかな………。」

私の世界でも、叫ばれている「エネルギー問題」
それはいつか資源は枯渇するという、未来の話でもある。

しかし、このままならば。

確実に訪れるだろう「その未来」、それはこの世界の話にもよく似て。
やはり、「世界は 繋がっている」
そう 思わざるを得ない。


「でもさぁ、私の世界でもさ、もしよ、もし。「石がエネルギーになります」ってなって、みんなが採り始めたら。結局、またおんなじ、だよね??」

私の疑問に、ただキラキラと虹を光らせる水晶達。

そう
   やはり  「もの物質」で あるからには

  「限りが ある」という あの世界


ここは 「まじない」が あるけれど。

結局、「祈り」でチカラを溜めて長に任せていた筈だ。
黎の事もあるし、本当はどうだかどこまでが、どっちなのかは分からないけど。


 「なにか を 消費する」 それはいい

しかし?

  「なにか を 生み出す」 それが。


 足りない んじゃ ないの ???


結局堂々巡りになる問題、しかしそれは「エネルギーは何処からか持ってくる」という前提での、話だ。

それが「生み出せる」ならば。


「うむ。「問題」では、ないってことだよね………。」


 ふむ。  うぅん??


 生み出す  創り出す  それは 得意な方だ

 「なに」を 使って??


「そりゃ、「美しいもの」でしょうね………。」


あとは…………


       いやいや  いややいやいや ??

 うん  まあ  そう そろそろ 考える ときなの か ??


 「一つで 在る」「成って いる」同士

 そう 「光」と「光」で 生み出す 「なにか」。


 それは やはり 「強い チカラエネルギー」に 

  間違いは ないのだろう



 エネルギーを 混ぜる とは

 チカラが 混ざり合う とは。


ぼんやりと考える私に、漣の様に流れてくるは
この石窟の 「想い」か「いろ」か。



あらゆる 異なるものを 受け入れ

 それを赦し 解放して

普段は閉じている 扉を 開け

 「その先」へ 出て行くこと


 神聖な 二つ を 合わせて。

 その 相互作用で チカラを生み

 なにものをも 乗り越える チカラ 智慧

 その エネルギーを 生み出すもの



が きちんと 成った なら。

あらゆるものへの 理解
精神と 体の 一体化
より高い意識の 愛
超えた 創造性を 運んでくる もの



 「受け入れられない」「受け入れては ならない」

そう思っていた ものを。

 「受け入れる」という ことから生まれる

 「贈り物」が あるんだ


 「全く 違うものの 交わり」

 「全てを赦し合うことの 意味」

ぼんやりと浮かぶ それ

それはまだ 私には「実感」として、無いけれど。

知っては、いるんだ。


 だった から。



「…………ん?………ああ、ごめん。大丈夫だよ…………ありがとう。」

突然 一斉に瞬き出した虹に照らされ、驚いたけれどこの子の意図も、わかる。


 「もう 繰り返さない」

そう を 「する」にしても

 なんにしても。

は 「私の ため」

 
 「何かの為に する」のではなく
  「それ」だけは 私の ために。


「……………うん。」


 そう、結局 


 「みんな」は「私」で 「私」は 「ぜんぶ」で。

それだって紛れもない、「事実」だ。

でも、その「意図」「目的」が ずれる

 それは違う

それは わかる。


散々、繰り返して きたから。


「………ありがとう。ありがとう ね。」

少しずつ光が治まってきた星達に手を振り、改めてこの夜空の様な水晶の群生に目を凝らす。

「美しい な 」


 難しい ことも ある 
 すぐに迷ってしまう 私 だけど。

 みんなが こうして いてくれるから。

 見守って くれてる から。


ん? え?

んん?  いや?  「そこ」は 見守らなくて いい  とこよ   うん


一人 ジタジタした所で、ふと思う「目的」のこと。

私は 私が  「進化」したい 「変わりたい」

 「進みたい」「変容 したい」 から。


「…………ん?で、いいのか???」


ふと、再びの沼に嵌りそうな私に。

周囲から振動と共に 齎される心地の良い 音


  「「 難しく  かんがえ なくとも


             よい


  その とき に     なれば。



           」」



「…………っ」

 えぇ ?

え え  えぇぇぇぇ ????、?


  そういう  かん じ  ?????????



 「「また 惑うて  いるのだろう

   また 入り込もうと しているのだろう

  置いていけないもの
  味わった いろ

  様々な  おもい 

  それは 「お前のものではない いろ」

 おまえの なか には  

   持つもの が 多数ある    が しかし。


  「依る」が 「依るのからだで 感じること」

  それこそが  全て  結果 結論


  「今の おまえ」の  ほんとう だ  」」



 フッと。

 全ての瞬きが消え 真っ暗な空間になる石窟
 全てが闇に包まれたこの場は しかし暖かく
 私を全てで 包み込んで いる。


 
自分の「なか」から 迫り上がる圧

 「ああ また 少しずれていた」という思いと

 「ありがとう」という感謝

 「そうか そうなんだ」という 納得

腑に落ちる感覚
自分で「わかる」「落ちる」「深く 沁み込ませる」時


ぐっと胸に手を当て、大きく吸い込んだ息を一度止める。

そうして、ゆっくりと細く、吐き出して。

静かに目を開けるが、場はまだ黒い。

何も見えない、闇の、中だ。


でも今はそれがとても、心地良くて。
きっとこの子が解って、そうしてくれてるのだと、感謝する。

私は またこれを 充分に、沁み込ませて。

次のステップへ、進みたいからだ。



なにしろすぐに、迷い惑う私に
こうしてアドバイスをしてくれる石達、光達
寄り添ってくれる 沢山の「いろ」。

心の中に思い浮かべた光達、私の「かたち」
それに反応したのか「ポン」と ウンが飛び出てきた。


暗闇の中、薄く発光しているウンはフワリと私に寄り添い「そうだよ」と伝えてきている。

きっと みんな いる。

でも 私が独りで「沁み込ませたい」「解りたい」のを、わかって。
きっとこの暗闇が明るくなってしまうから、ここには出て来ないのだろう。


「…………なんか。やっぱり、みんな繋がってて、見守ってくれてて、応援して、くれてて。やっぱりなんだなあって、思うよ。」

フワフワのウンを撫でながら、何ともなく呟く、ずっと抱いている「想い」。


 私は ずっと ずっと

 「見られている」「見ている」「見守られている」と。
 小さい頃から 思って いて。

それが「神様」なのか、なんなのか。

分からなかったし、「神様なんていない」とも思った事が、ある。

でも。

  いつでも 「自分」は 見ていて。


 必ず 「自分」は「自分」の事を 見ていて

 忘れたくとも 忘れられず
 やったことも 覚えているし
 後悔することだって あるけれど。

 「どうしたって 超えられない 自分の線」は
 超えた事がなくて。

 それがきっと あの金色が言ってくれる
 「他の者が 折れる時でも 折れない」部分だとも 思う。


その一線は きっと「ルール」や「縛り」ではなく

 「私が 私である為の 線」で
 窮屈なものでは、なくて。

それなりにきっと広いし、他の人が「駄目」な事も、もしかしたら含まれるのかも知れない。

でもきっと、「自分ルール」で引かれた その線
それは「今の私」を創った「いろ」で
拾ってきた「カケラ」で
置いていけない「想い」で。

 今の「身体そとがわ」から「なかみ」まで
 まるっとぜんぶ の 私

それはその「一線」が あったからなのだろう。



「………ああ、あれはこういう事なのかも知れないな。」

いつだかシンが言っていた、「私の面倒くささ」
それはこのはっきりくっきりとした「一線」なのだろう。


きっと 現代社会では 酷く「曖昧」になっている
この「線引き」

それがはっきりと、細かいから。
絶対に 譲らないし 諦めないから。
きっと、面倒くさいんだ。


「もう、いいじゃない」と言われても、納得できるまでやりたい この面倒な性格
ちみちみ ねちねちと「執拗に追い求める」、私の「本当のこと」

それはこれまでは「厄介」だったのかも、知れないけど。


「でも、「それ一線」があるから、見えるし、進めるし、きっと新しい「なにか」が、見えてくるのよ。頑張れ、私。」

その、励ましに応える様にキラキラと煌めき出した水晶達、再び石窟の中はいつの間にか明るくなっていて。

「うん?………ああ、ウンありがとう。そろそろ、帰ろうか。てか、何の話だったんだっけ??」

「ああ、エネルギー問題ね」と、ポンと手を打ち鳴らしながら「よっこらしょ」と石窟を出る。
中に居る間は広く感じる石窟も、意外と実際狭いのだ。
どうなっているのか、やはりまじないの空間なのだろう。


そして「またな」と言う様に点滅した虹、
それに手を振りまじないの空を見上げて。

今日も、その美しい色を。

ジワリと沁み込ませながらも、胸一杯に 吸い込んだんだ。


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