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8の扉 デヴァイ 再

選択

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ああ

 も 「選択」だったんだ



あの時。

 消えた ディディエライト

 
あの時 

 「自分を 与えた」私


どれも これも 私のした「選択」で。


 「間違い」じゃない

 「やってみなきゃ」わからなかった


 だからこそ 今。


 わかる


 「それ」が どういうこと なのか。


 それは なんの ために

 誰が ために。



 それは  とても複雑に絡み合い

 幾重いくえにも 澱が染み付いた「こと」だけれども。

 しかし 単純な 「こと」でも あって。


 「私が 決めていい」


そうなんだ。


 だって 「からだ外側」も 私 だし

 「なかみ」も 私だ。


これまでずっと 経験してきた その 糸

 光 繋がり  いろ  縁

   沢山の 集めてきた  いろを もって。



その 「絡まり」を ほどく んだ


  今  この 最後 が。


私の したい やり方で。




 そう 「正しい」「間違い」は ない

どれもこれも 複雑に絡み合ってはいるけれど
私は私に 「言い訳」をする必要は なくて。

自分に正直で あれば良い

ただ それだけ。


 「したいか」 「したくないか」

 「どう するのか」 「どう あるのか」

それなら。

 もう 決まってる


「ううぅ…………。」


いや だが   しかし。

それとこれとは、話が違う。

「決心する」ことと、「実際する」こと。

「なんだろうな…………この恥ずかしさは………?」


黒の中、ふと目に付いた裸体の絵に
フワリと湧き出てきた「恥ずかしさ」と「重さ」、自分の「なか」に未だ残る「それ」。


まだまだ 絡れあっていた 時代とき

 私達の 「想い」「慣習」「空気」「ルール」

  縛られていた 「体」「精神」「魂」  

  縛られている と「思っていた」 沢山の私


きっと、私はまだ。

上手く切り離せては、いないのだろう。

   「そのこと

それはどの部分にも、深く絡みついた取れないシミの様で。

きっとあらゆる角度から、解し、洗い、流し浄めて。

できる事は全てやって、それでも何度も繰り返して。
徹底的に、圧倒的に。

浄め、られたならば。


「うん、とりあえずは一歩を踏み出す、のよ。」


黒い廊下、豪奢な絵画の前で静かに決意し、呟く。

 まだ、私の中に残る 澱

それが無くなっていないこと
拡大したからこそ 増える檻の量
密かに積み上がっているであろう 山
再び絵を見て感じたモヤモヤ

それもこれも どれも。

 解きほぐし 洗い流す為に 出てきたもの

 まだまだ 飛ばす 流す ものが あるという

 私の「なかみ」からの お知らせ なんだ。



   「自由」 「支配から 抜け出す」

 「摺り込みを 外す」  「自分で 選択する」


 馬鹿みたいに  鮮やか過ぎる いろを。

  体験してきたから

  経験してきたから

 何度も 何度も、 戻る

それも 大変だけれど。


でも。

私は 知っている


 「大きな 檻の山の上には 素敵な「宝物」が

                  待っていて。

 再び 何度でも、超えれば。 

 より 大きな 喜びが 待っている」と。



「そう、馬鹿みたいに楽しんできたからこそ、沢山の「いろ」を味わってきた、からこそ。見える景色が、あるのよ。まだ、誰も見たことのない「とてつもなく 美しい光」がね。うん。」

そう呟いて再び、目の前の絵に視線を戻した。

定期的に歩く黒の廊下、ここデヴァイのエネルギーチェックも兼ねて回る、私だけの、時間。

歩きながら ぐるぐるする
それはある意味私の「なか」も、ぐるぐるしているのだろうけれど。

この頃カケラを放り込んで「かたち」にお任せしている身としては、中々やり易い方法でも、ある。
私の視線は気になる方へ、自然と惹かれて向いているし「その先」には、きっとヒントになるものが必ずあるからだ。


そうして歩き始めた散歩は朝食後の運動も兼ねている。
つらつらと歩き始めて少し、何故だか「同じ問題」にぶち当たった私はそれを弾き出してきたものが、なんなのかはなんとなく分かって、いた。

この頃レナと話している「あの話題」、あれが頭の隅に。
どうしたって、デデンと「鎮座」しているからである。


そうしてじっと、絵を見ながら 思うこと

主題が裸体でも、「生きる エネルギー」が見えるもの、「神聖さ」が見えるもの、「 という意図」がこちらに伝わる、もの。

同じ「裸体」を描いていても、描き手が「その先」にテーマを持っているのか
ただ「気を惹く為の意図」をして、描いたものか。

それが、わかる。

その「意図」は、「裸体」である事によって「人の気を惹く」という事だが、その「透けて見えるもの」が気になるのだ。

だって、私達は通常服を着ている。
デッサン上の練習や、筋肉の描き方など「裸体」の方が良い場合もあるし、それで練習もするけれど。

だが、しかし。

それを「作品」として世間に出すという事は、「描きたいもの」がある、という事である。

だから同じ裸体でも、神聖さを感じる絵や自然との繋がりを描いたもの、スピリットとの調和を描いた、もの。
それらはきっと、「祈り」が込められているのがよく、解って。

 同じ 黒の廊下にあるからこそ 気になる その 「差」


    「その先描きたいもの」が見えない 絵


それは、何を意味しているのだろうか。

いや、もし私が絵を描いたとしたら「その先」までは描けないかも知れない。
技量が足りない事で、表現できない次元はある。
だがしかし、「作品」として世に出す、若しくはそれで「糧を得る」ならば。
納得できないものは出さないだろうし、出せないだろう。


「うーーむ。スタンスの、問題なのか。いや、それしか、無いな?」

何かを作るにあたって、「何を表現したいのか」それは人によって勿論違うし、違って当たり前だし違わなけばおかしくも、ある。

だから。

「まあ、私がつべこべ言う問題でも、無いんだけどね………でも、気になるんだよなぁ…。」


腕組みをして、唸る。

ここは写真も無いし、きっと公に「裸体」を見ることなど無い世界である。
女達は特に、厳しく縛られている筈だ。
まあ、私の世界もそうだけど。

 その 世界 で? 裸?
 アリなの?  アリ?

 「絵」なら いい って こと ???

 がんじがらめの「縛り」の中で ?


しかし「芸術」と言えば許される「作品」、その「主題」として何を描きたいのか。

「技巧」は素晴らしくとも 「主題」が見えない絵

きっとそれが、私の中の「引っかかり」なんだ。


 もし 私が 描くならば。

きっと人体の構造、動きを把握する為に裸体を描く画家達。
しかしその先にある「作品」としての「絵」、それが一つ一つの「意味」を持ち、きっと作品はその人の「なかみ」「子供」「生み出した もの」の筈だ。

「なか」にある 「なにかを表現したい」から 描く

だよね?


だから、「私が描く」ならばきっと裸体は描かないだろう。
なんでかは、解らない。

でも、「私は嫌」だ。

それはそれで、いい。

描きたいなら、描けばいいし、嫌なら嫌で、それもいいんだ。
どっちが「いい悪い」は、無いのだから。


ある意味「娯楽」だった時代も、あったのだろう。

絵を描くこと
「美しいもの」「女性の裸体」を描くこと

もしかしたら趣味で描いた物なのかも、知れない。
それにしては完成度の高い品々、その絵から発せられる「いろ」の違い。
あからさまに感じる、私の「好き嫌い」。

それが、ただの偶然とは思えない。

この頃特に、「色に敏感」な私の目

やはりこの「嫌な色」が見える、絵には。

そうでない美しくない意図」が紛れているのだろう。

売る為なのか
取り入る為か
見て「楽しむ」為か。

それは 解らない、けれど。



「でも、なんでなんだろうな………こないだ解決したつもりだったけど………???」

神域で流した灰汁、あれから私は「人間ひととは 恋愛できない」それに気が付いたけれど。

「それとこれって…………違う?よね??なんだろうか…?」


「同じ」様な 「違う」様な

 なにか モヤモヤ  する けど な???


でも多分 その「裸体」に「澱」をくっ付けているのは私なんだ

それも わかる。


「…………ふむ。」

が、しかし。

みんながみんな、「裸体 当たり前」ではない世界
その中で「主題が見えない 裸体」の歪さ

  「現実」と 「ルール」の 歪み


結局 「世界」が そうなって ない から?

 ちぐはぐ 感が あるの かな??


私達みんなが 個々を比べる事なく
性についての しがらみも 無い
そんな世界 ならば。

きっと この感覚は ない

 複雑に絡み合う 面

   これは素敵だけど あれは 嫌という

 同じ「裸体」に対する 矛盾

  しかしきっと。

 その「表」だけ見ても 解らない 「面」

 きっと「その裏」に隠れている 微かな 「意図」

 感じられる 微かな 「匂い」

 それは なんの

 「匂い」 なの か。


煮詰まってきた頭の中は、ぐるぐるを纏めようと言い訳がましくなってきた。

「うーーーーん。でも、「好きか嫌いか」、でいいんだもんね?私が嫌ならそれはそれで、いいのよ。別に人に強制してる訳じゃ、ないし。」


でも。

 抑えきれない  湧いてくる 想い

 私達女性は いつまで 脱がなきゃいけないの

 いつまで 晒されなくては いけないの

 
そんな思いが、どうしたって 込み上げて くるんだ。


「ああ………「搾取」になるのが、嫌なんだねきっと。でもを見抜くのは難しいし、だからと言って全てを禁止するのは違う。それだよね………。」

「禁止」は逆効果
それもこれまでの歴史が証明してきているし。

きっと「その 自由」だって、あるのだろう。

「裸体」を楽しむ 自由
「それ」が無いと 駄目

それはあの貴石の問題にも、似て。
やはり「今の世界」では、解決できない問題なのだろう。

そもそも「抜け出したい」と、思わなければ
「自分で」「選択」しなければ。


 それも 自由


「うーーーーーーーん。」

でも。

これから、みんなが「見る目」を持てば。
「見抜ける目」を 持てば きっと。

自ずと 「それ搾取」はできなくなるし
 それは「芸術」ではないことが 明るみに出る

きっと。


「だと、いいなぁ…………。」

私が悩む事じゃ ないのかも知れない
でも。
気付いたら 気になる のだ。


 まだまだ 残る「澱」

でもそれを、とんでもなく微細なものでも、細かく。
流してゆくのが「私の仕事純化」 なのだから。


「そう、が駄目な訳じゃ、なくて。それは「事実」で「こと」で私がそれにくっ付けてる灰汁を流すのよ………。」

 現実に 「あの絵」がある のは 事実

 「その色」が見える のは 私が澱を 持つから


でも。

「ある」ことは 「ある」んだ
「なくなる」訳じゃ ない

私が 「見なければ」?
「嫌じゃ なくなれば」?

 そういう 問題 なのか なぁ ???


「なんか………。こんがらがって、きたな??なんでこの話になったんだっけ??」

 ああ あれ  あの

「うっ。」

それはそれでダメージ?を受ける私、たちまち星屑が溢れ始めたけれど、いい事なのは違いない。

「まあ、なにしろ。とりあえず「この中かたち」に、放り込んどきましょ。」

うむ。


そうしてやっと、約束のレナとのお茶会へ向かったのである。




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