透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

神に 近づく

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「ねえ、ら、本当に「見える」と思う?」

「さあな。しかし、何か新しい事は解るのだろうな。」


私が相談しているのは、「神」であるシンだ。

散々ぐるぐるして、レナの言う事も解って、自分の気持ちも、ある意味解って、いて。

ただ 背中を 押して欲しかったのか
それとも 止めて 欲しかったのか


しかし、その私の「つっかえ」を解っているだろうシンも
「新しいなにか」を求めるならば、「そうすれば?」というレナと、ある意味同意見なのである。



それ合一」と「これ」は
別なのか
それとも なにか ヒントがあるのか。


ぐるぐると回るカケラ、浮かんで来たのは「神とは」をみんなで話し合っていた、あの優しい色の部屋。

あの時は確か、まだ「長が神」だったから。


「でもある意味「あれ」も、「象徴」みたいなものだから日本の「あれ」と似てる?よね………?うーん?でもやっぱり「軸」では、あるんだろうな………。」

「私達は「みんな ひかり」で、それぞれ純度を上げ「一人が一つ」であれば、それこそやはり「生まれる」のか…………。てか、別に「光を生む」為じゃないんだけどね??、更新と言うか、進化と言うか、新しい扉を開けるには、的な話であって………?」


「そもそも、「神」ってなんだ、ろうか。「自然」は、やはり神だろうし、所謂「名のある神」もきっと私達が祈るから神になる。はどうだか、分かんないけどここまで来ればもう、それは「神」として存在するよね………。「祈りにはチカラがある」しな…。」

「「人の想い」が、「なにかを創る」のはだと思うんだよね。だって黎が、だし。だからで、そうして発生した神、自然の神、後は何だ?…………あー、「人間から神」もあるよね?祀られる………その祀られるほどの力って、なんだろう?」


「ねえ、どう思う?」

いつもの様に、ウロウロと部屋を回りながらつらつらと喋って、いた。

黒い部屋、しっかりと詰まったフカフカの絨毯
変わらず薄暗い部屋には、あのカーテンの奥から漏れ出す光
その白が、私達をほんのりと照らしている、だけで。

あの奥には、まだ出番を待っているシンラが控えているのだろうか。

ふと、そんな事もカケラに加えながら「なか」のピースを眺めてみる。


その独り言は、自分の「なか」にあるピースのうちの「最善」を弾き出し「外へ」漏らして。
それを並べ提供する事でシンからの「こたえ」を貰い、私の「なか」を整理するという、なんとも素敵な方法である。


 できるだけ「美味しそうな材料」を「多胞体かたち」から弾き出し
 魅力的な「料理」を貰う

きっと私の出したピースに応じての返事が返ってくる筈だ。 

今の私に最善のヒントになる、少しだけ「今より高い視点のこたえ」
それは高過ぎると「見えない」し、低くとも「意味が無い」。

その、丁度いい塩梅で「こたえ」が返ってくるのを知っている私は、もう取り残したピースがないかを確認しながら返事を待っていた。


きっと「神」の中には、そう都合の良い神は中々いないのだろうが 彼は「私の絶対」だ。
その、意味は解っていないけど。

「なに」が 「どう」「絶対」なのか

どうして 「そう思う」のか

全く 解らない。

でも。

  きっと 絶対  「そう絶対である。」


 なんだ ろうな?

 この 信頼感 は ???


考えているのか、いないのか。
相変わらず「無」のまま、私の前にいる彼はしかし、答えてくれる気はあるのだろう。
それも分かるから、そのままじっと、待つ。


きっと「」にも色々「性質いろ」はあって、そう都合のいいものではない事は知っている。
「これまでの私」が齎すその「いろ違い」、沢山の神、国や地域による差、それがまた違って「面白い」こと。

それぞれの地に根差した「いろ」、だからこそきっと「強さひかり」を増す神、その多様性と共通項、きっと「全てはひとつ」であるというヒントにもなる、共通項それ


 私達ひとの 根本に ある もの

 全て存在の 根本に ある もの


「ぜんぶがまるっと ひとつ」の根底

私が「そう」だと感じる理由 は。
神域の根が拡張していること
「張り巡らせる」「敷き詰める」「全ての基盤としてある なにか」
きっと それは以前シンが ヒントで言ったこと

未だ、はっきりとは見えない「それ」はしかし
私の「なか」では肯定の色を晒している。


 漠然とした
   「そうだ」という 「真ん中」の「いろ」。


 「神とは」「違いとは」「光の純度」

   「いろ」「地域性」「それぞれ あること」「調和」

 「個々」「侵さないこと」 「尊重」

  「その 基盤」「全てが持つ それ」


沢山のカケラが「なか」を回り出し、「かたち」から弾け出てきたヒント達が私を刺激し煌めいている。

その、前で。

暫く私の独り言を黙って聞いていた彼は、恐ろしく美しい瞳をくるりと回して こう言った。

「我は「神」ではあるが、「人の創った神」であるからな。「全て」の事は、はっきりとは知らぬ。しかし今の依るよりは、ものは見えよう。」

「うん。」

シンが どのくらいの神で
どれだけ視点が高くて
どんな 位置にいるのか 場所にいるのか
次元に ある のか。

全くその辺りは わからないけれど。


でもきっとどの神も「違い」はあれど、「神は神」で「差」は無くて。

同じ 神の「場所次元」には いる筈なんだ。
その、神の中での「幅」は あるのかも 知れないけど。

「今の私」は、そう 思う。


くるくると回る私の「なか」が、見えているのか
優しい色を宿した赤の瞳はぬらりと金が、滑って。

再び「無」になったその色で、また静かに話し始める。

不思議な心地良い声、それは「異物」が混じらぬ「音」だから、こうして私の中にスッと馴染むのだろう。


「左様、依るの言う様に。「神」にも沢山のものがあり、それぞれの役割も形も在り方も異なるが、それは「人間ひとにとって」の在り方である。」

「私達にとって「在る」という事は「自然」に、近い。「派生」し、「在る」。それだけのこと。それに何を付随させるのかは個々や地域によって違うだろう。」

「うん…………なんとなく、それは分かるよ。」

人間ひとが「想像」できるものは、大概「創造」できる。私達「神」も、そうして「ある」ものだ。だが、お前が思う様に「大いなるなにか」、それも存在はするのだろう。何処までも純度を上げた沢山の存在達、それを統べる「なにか」。いやきっと「統べて」は、いないのだろう。ただ「ある」のだ。」

「うん………。」


 私達が 今 いる 場

それはあの扉の中だけれど
 それも どれも 私の世界と同じ

 「どこか」に 点在する 「次元」的な ことで。

同じ様に 「場」があり それが「地域」でもあり
そこに「神」が 派生して それぞれの「場」「グループ」「民族」「世界」が できる

「文化」「科学」的に 低い様に 見えても
きっとそれは 「視点」が変わればまた違っていて
「より 高度過ぎて 見えない」

そんなことも きっとある
あった筈で 
でも 「暴力」で消されたものも 多いだろう


    存在にとって 「共通」する

    「本質的なもの」


それはきっと チカラがあって でも 見え辛くて。

「見える者」「見えない者」
「時代」「経験」「越えなければならない山」

沢山の複雑 色々が 絡み合って 
時は流れ 今が あるんだ。

でも。きっと。


から、それを「わざと消した」、それもあるよね?」

ゆっくりと頷く赤い瞳、その色から読み取れるのは僅かな揺らぎの色だ。

「だからこそ、生まれた「人の創った神」、「複雑さ」と「遊び場」「経験する」という事の「面白さ」。始めは単純だった。私が生まれた頃すら、ここまでではなかった。しかしいつからか、更に混迷した世界は極化を極めて。次の段階に入ったという事なのだろうな。」


「えっ?」

 次の 段階??

チラリと私を確認した赤い瞳は再びぬらりと金に光り、納得したのかこちらへ向き直った。

これからが本番だとでも、言う様に。


「あの、予言。あれは星読みから来ているのだろうが、一種の指針でもある。」

うん? 予言の はなし ?


「言葉の種類、解釈、どう受け取るかそれを読むものが「どちらを選択するか」。それにより方向が変わる羅針盤にも、近い。皆の意識が向く方に世界が編まれるのは知っているだろう?」

「…………うん、多分。」

「初めは「滅び」の予言だった。が、しかし。お前があれを逆転させたのだ。そう、物事は、言葉は。受け取り手、受け取り方により如何様にも変化し、視点の多さと不屈の意思によって書き換える事もできる、もの。しかし「それ」をやるだけの者が、少ないというだけの事。それに気付いて欲しくはない存在が、いるという事。」

「あ。」

それって?

「そうだろう。確かにも高い光ではあるが、私達とは別のものだ。だから。」

「お前がより高い視点を持ち、世を見たいと思うならば何事も「やってみる」と、いい。やり方や在り方に問題はあれど、もうそれは筈だ。それもまた、越えねば見えぬ山でも、ある。」

「えっ」

そこ?

そこに 戻っちゃった?!????

えっ、あの「練度の高い 黒い光」の 話は??


「なに、「その話」を聞きに来たのだろう?」

一瞬だけ、ニヤリとしたシンはなんとも言えない楽しそうな色を浮かべこう言った。

あれ金の石は。な、石だ。」

えっ。

 なに が どう ??

 「特別」なん で すか  ね ??????


「まあ、帰ってからが楽しみだな。」

「えっ、ちょ、まっ」

「しかし。、今は思い付かぬだろう? 、なのだ。」

ぐっ。

ブサリと刺さったその言葉、「シンに」言われたからダメージが大きい。


いや ダメージ じゃ 
ないんだけど ないんだ けど 

   なんなんだろう
       これ は …………


「うん。………なん、か。ありがとう、とりあえず。分かった。」

胸を押さえながら、ヨロヨロと立ち上がりこの場から撤収を試みる。

なんだか「やけに本音」が出る、この暗い部屋に居ては危険かも知れない。
あらぬ事を口走る前に、退散することにしよう。

まあ お見通しかも 知れないけど。


「じゃあ、またね?」

振り返り手を振る私に頷きで返す、赤金の瞳。

姿は黒に溶け込んで。
既に瞳しか、光っていない黒の部屋。


そうして私も、そっと目を瞑ると。
フワリと迎えに来てくれた、ディーの手を取って後はお任せする事にした。

動揺を抑えないと、無事見つからずに部屋へ帰れるか、不安だったからである。

うむ。








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