透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
上 下
868 / 1,740
8の扉 デヴァイ 再

曇りなき

しおりを挟む

「ふぅ…………。」

なんだか、頭がいっぱいである。
多分「なかみ」も、いっぱいだからだけど。


そんな私に更なるカケラを降らせるシンは、いきなり気になる事を言い始めた。

ずっとずっと、昔から「私を知っている」様な、懐かしさを含む声と、色で。


「お前は。複雑で神経質で、細かく面倒で。大雑把で大胆でもあるがしかし、繊細で清い、古き力ある魂でも、ある。自分との付き合い方を学ぶのだな。」

「えっ、うん、あ、はい…………。」

褒められているのか、なんなのか。
私の「魂の解説」を述べ始めたシンは、いつから私の事を知っているのだろうか。


    私 金色     姫様 シン
 
あの時、グロッシュラーのあの部屋で。

「私達だって、対だよね?」とあの瞳に向かって言ったことが、目の前に浮かぶ。

 多分 「関係」は あるんだろう。
 まだ 「どんな関係」かは 分からないけど。


でも、シンの言っている事は、なんとなく分かる。
確かに。

私は大雑把に見られる事も勿論多いが、細かくて面倒で、神経質と言われる事も多いからだ。

「自分との付き合い方、それは他者との「違い」を知る事でもある。お前が「普通」だと思っていた事が「普通」でない事などは、よくあるだろう。」

「…………そうだね?」

「より詳細に、全てが「具体性」を持って見える目を持つお前にとって、この世界次元は生きやすいとは言えぬ。「人は 見たくないものは見えない」それは厳然たる真実で、人により持つものは違う。お前が持つ、「ちから」、もしそれを具現化して現し「もの」としてに置いたとしても。」

「信じぬ者は、信じられぬだろうよ。自分が「持たぬ」もの、「無い」色は認識できぬ。目に映らないのだ。そこに「在った」としても、否定してしまうくらいに、な。」


 「厳然たる事実」それを言葉にして言われると。

胸にズンときて、思わずグッと手を当てた。


確かに。
「見えているものが違う」事はきっと、ずっとずっと以前から。
自分でも、薄々と感じていたのだろう。

気が付かない、フリをしていただけで。

  学校で 友達の家で 自分の家
   シャット グロッシュラー デヴァイ

色んな場所で「合わせようとしていた自分」が、はっきりと分かる。

「今の私」から、見ると。
無意識に「浮かない」様にしていた自分が、よく見えるのだ。


腕に抱いた姫様を持ち上げ、目の前に掲げてじっと、見る。

「かたち」として在る、「神」。

姫様これ」を 長の代わりに「神」として 置く

それが私の、「超名案ベストな方法」だけど。


受け入れられるのか
 祈りの対象が 変わる
  神とは
   力の行く先とは
みんなの 行く先とは。

それもやはり形を変え、その時々の在り方で存続してゆくのだろう。


「…………そう、かも。新しい、神か………。」

「そう、世界は変わる、変わってゆくものなのだ。

 「流れ」は止まらぬもの。

 その上で、よく「見」「聞き」
 お前の織りたい色を織り、奏でたい音を奏で、
 「自分の」見たい世界を創るのだ。

 、して行くのかどの道を通るのかは自由。

 だが自らの「存在」全ての責任を取り、

     しかし全てを使い 自由に創造せよ。」



ブワリと目の前に迫るシンの言葉
風と共に迫る様な その勢いに、押されて
そして。

 胸の「真ん中」に ズシンとくる その「本当真実

  「想像」が「創造」に なる

   「思う」だけじゃなくて。

   「自ら行動していく」こと。


だから「ぜんぶ」は 私のもので
 どう 紡ぐのも自由だけれど
その「創造物」には全責任が ある

 "「選択」して「行動」し 「結果」を受け止め
 また「試行錯誤」し 「調整」もして
 結果を「応用」しながら 進んで行く

 そして その全てにおいて
     自分自身が  全責任を とる"

そういうこと なんだ。


くるくると回るカケラ、それは一つ一つが重要で、重いが速く、大きな、光である。

しかし拡大成長した私は、話を聞きながらもそれに一つ一つ、きちんと光のを付けていて。
スルスルと引っ張り自分の「かたち」に、収納できた。

「方法」、「やること」、具体的なことは何も 見えない。
見えないん、だけど。


「うん、解った。また、来ていい?」

「  了。」

なんか、間があったけど。

でも、これからはきっとシンに訊きたい事が増える筈だ。
私の「なかみ」はそう言っていて、やはり自分がどんどん変化していることが知れる。

ウイントフーク
 イストリア
  フリジア
   ベイルート
    

沢山の人に助けられ、ここまで来たけれど。

「うん。」

いいや。
それは「おいて行く」事では、なくて。

私に必要な成長をして、「すべて」と共に働く為に通る「過程」なのだ。


    「 私の周りにある 景色 」

それは見る角度により変わる、私の「かたち」で
みんなは仲間でもあり、景色でも、あるんだ。


    「真実 私は 独り」

それも、「本当」で。

沢山の矛盾を含む不思議な「私の道」を、目的を見失わずに進むこと。


「て、いうか。私の最終目的、って結局なんなんだろうか………?」

みんなの笑顔が、見たいって。

「本当のこと」を探す、って。
ベオ様と、約束したけど。


未だはっきりとは見えない「本当のこと」、大分道は進んだけれど
あの時私が思っていた「世界」は。

どうやら実は、もっともっと、大きな「宇宙すべて」だったのだろう。


「まあ………とりあえず柔軟に修正しながら進むのは大事よね、うん。別に目的地が変更された訳じゃなし、「更新」、かな?」

「そう、「決まっていること」など。殆ど、無いからな。」

「えっ。」

 殆ど?

て言うことは「あることは ある」って、こと???

意味深な赤い瞳はしかし、それ以上話す気は無いのだろう。
いつもの「無」に戻ったその色を見て、そろそろ時間なのだと知れる。

「あっ。」

 いや でも

  でもな?

チラリと頭を過ぎった「あの色」のこと、千里には訊けない「その理由」。

いや、訊いてもいいのだけど。
でも。なんか。ちょっと。

この人なら、知っているだろうけど?


しかし、きっとなんとなく察している「その理由」、私の変容からの不在。
それが「善きこと」なのだと本能的に解るから、訊くのはなんだか憚られるのだ。

いや、訊いてもいいのだけど。
私が恥ずかしいだけなのか。

 うーーーーーーーん
 どう  する


「御明察。今のお前を見ていると、行かぬ訳にはいくまい。」

「えっ。」


 折角 追いつこうとしてるのに???
 また 離されちゃう訳???

「ほう。そう、見えるか。」

「えっ。」

 違うの?????

「まあ、私から見ても中々眩しいからな、依るは。」

「えっ???」

神から 見ても?!????


やや混乱する私を前に、満足そうに頷いて目を細めるシン。

嬉しいやら照れ臭いやら、手が身体のあちこちを無駄に確認し始めて、自分で自分が可笑しくなってくる。

何故だか、青の鏡の「発光してる」発言が頭の中にパッと浮かんで。

「ふむ?」

素直に納得できた様な気もするが、胸の中にあるは「そうだったらいいな」と思う気持ち、「いや もっと輝くんだ」という想い。


 そう
   もっと もっと  拡大 して

  みんなを  全てを  包み込む

   照らす   誰もが見つけられる 星  

  目印   あかり


そう 

 でも 本当に 見つけて欲しいのは 

        「私」じゃ なくて

   みんな自分の 道を照らす為の 「あかり


 みんなが みんな 持ってる  「自分の光」 なんだ


静かな場、自分の真ん中から湧き上がる「想い」、それを源にジワリとチカラが身体の中を巡り始めたのが、わかる。


 そう また 「新しい私」が 始まるし

 「新しい 世界」「新しい 姫様とシン」

 きっと変容して帰ってくる「新しい 金色」


「うっ。」

その、最後の「いろ」を想像しただけで私の「なかみ」になんとも言えない「パンチ」が、来る。

「なに、これ………。」

大丈夫か、私。
帰ってきても ちゃんと迎えられる??

 いや できないこと など  うむ
 いやいや  しかし これは  
                また ええ。



なにしろ情報は、更新された。

私はまた、それを精査し解きほぐし洗い直して、織り上げて。

 何処へ 今度は 旅立つ のか


「うーーーむ。」

そうして唸っているうちに、眩い光が身体を包み送られる事を知って。

確認する手元の姫様、チラリと振り返った先に、再び黒が映ることは無かったのである。







 



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

『 ゆりかご 』  ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。

設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。 最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。 古い作品ですが、有難いことです。😇       - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - " 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...