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8の扉 デヴァイ 再
深海へ 4
しおりを挟むぼんやりと、光を見つめていた。
その、私の「なか」に 直接響いてくる 音
それは波と共に伝わる世界の震えで、とんでもなく美しく、深い音で。
私は ただ。
再びそれを沁み込ませながら、共に震えるしか
なかった。
「真実以外は 何れ消滅するだろう」
「「偽りの姿」は 存在 し得ない 世界に
なる 」
「 変革 変容 進化の 時代へ 」
青の中
その 音から伝わる波 震え
それが伝えてきているのは 紛れもない 「真実」
そんな中、チラリと過ぎる
「風に 飛ばされる者」という あの二人の言葉
でも。
私の この「祈り」が 「震え」が
「魂の行き先」の 手伝いが
「場」の 支度が
「みんな」を 送ることが。
一助に なれば。
いいや?
「なれば」じゃなくて きっと 「なる」
「する」んだ そう する
だって 「世界」は繋がっていて。
満ち 充満して 埋め尽くされて いるし
連鎖して 振動は 伝わる
光も 透る
きっと だから。
「こちら」が 成れば
「あちら」へだって。
「波及」するんだ きっと「届く」。
「 そう 」 「そうだよ 」
再び輝き始めた白き羽が、そう私の真ん中に応える。
そうして、その「黒と白」が 齎す
新しい「言葉」「音」「振動」
それは 「予言」か「託宣」か
分からないけど。
しかし 「道標」では。
あるのだろう
「精神的な 学びを終え 魂の段階に入る」
「その許可」「覚悟」「選択」
「 私達が 黒から 白を 生み出した様に
自分自身で 自分自身を 創る 」
「 ひとつで 在る 成る こと 」
その、音が入って、きて。
一番に浮かんだ「色」、それは あれ。
やっぱり
そうなんだ。
そう
私に「一人で 真ん中に 立て」と。
そういうこと なんだ。
回転する黒と白、それは一つの円を描き
辺りには私の変化を促す金色が、飛び散り始める。
そう それは。
「あの色すらも 持たぬ」決断
「覚悟」 「決意」 「手放す」
「 すべて を 解放する」こと
でも。
「それ」が 「別れ」ではないし
「失う」ことでも ない
それが 心底 「わかって」。
私を優しく包む金色の ひかり
寄り添う 馴染んだ それは 全てを包み込む
あの「源」と おんなじ 「いろ」
"やっと 「自分以外で 一番大切なもの」を 手離せる"
「執着」を
捨てる
手放す
置いて行く
いや。
「執着」すら 「転換」させ 「愛」に変え
その先の もっと 「大きなもの」へ
「変えることが できる」 それは。
私の 「本当」で 。
「事実」で 。
選びさえすれば それは 可能であること
だから ここへ来て
「すべて」を 送り 離し 解放して
私も解放して されて
「次」へ。
進むこと が できる んだ
「過去」は 置いて行く
棄てるのではなく 放置するでもなく
「光」に 変えて 飛ばして 消化して。
そうして 進んで行くのが 「私」なんだ 。
そこまで、辿り着くと共に齎された光、一筋の光線。
海底に差し込むそれが、きらり、キラリと煌めく鱗を反射して。
首を動かさなくとも、黒く長い窮が私の周りを舞っていることが分かる。
既に「ひとつ」となった白と黒の光は、再び球の様に輝いて。
そこからも溢れる光、更に明るくなった海底で私は呆然と独り、佇んでいた。
…………なん、か。
凄い な。
分かんないけど。なにが。凄いのかは。
でも。
「あの人だけは」「この人だけは」「これだけは」
「この色」だけは
そう 思っていた
強固に しがみついていた自分 も。
今なら ちゃんと「見える」から。
そうして。
また「新しい私」で 「世界を楽しむ」
「変化」「進化」「再生」
「 日々 生まれ変わる 」
そう 私達は 「楽しむ為に 生まれてきた」し。
私は「いろ」を 味わいたくて
どんな 「いろ」も 楽しくて やってみたくて。
「暗い色」の連鎖だけじゃなかった筈なんだ
もっともっと。
「美しい色」も 沢山 見た筈だから。
「視点」を変えて。
どんな、「いろ」も 愉しむ 楽しめる
「驚き」「感心して」「感動して」「喜んで」
迎え入れられるんだ
ただ 「見る」という 「純粋」な
心で。
「純粋」「無垢」 しかし「無知」とは違う
「知る者」としての「無垢」さ
「まっさら」 「白」 「ひかり」
「全ての色を 含んだ 透き通る いろ」
「 ああ そういうことか………。」
ジワリと沁み込む「いろ」は複雑で沢山の色を含むが純度が高い、特異な、「いろ」。
それは勿論 「私だけの いろ」で。
「うーーん。これは、成長、したね。」
しみじみと外側から「自分」を眺めて、そう思う。
そう、目の端に映る羽衣の色は既に変化していて。
「自分も変わった」のだと認識していたが、一体どの程度変わったのだろうか。
「私も変化する」と思って、来た海底墓地だけど。
とりあえずペタペタと身体を確認しながらも、衣装チェックである。
すぐ目に入ったのは、垂れ下がる絹地の色。
羽衣の端に輝く翡翠のみどり、それは以前の「真ん中」よりも薄く「純度」が上がった所為だと、分かる。
ほんのりと色着くそれは髪色にも、反映されて。
肩から下しか見る事はできないが、元々の白銀に影の部分は青、ほんのりみどりの艶と、なんだか派手な気がしなくも、ない。
「………鏡。」
しかし、光が当たらない部分はほぼ以前と同じ青銀。
深海へ行ってから少し濃くなっていた髪色は、きっとほぼ元に戻りまた薄くなったのだろう。
くるくると捻ると、艶の部分がやはりみどりでなんだか面白い。
「どうなってるんだ、これは………。」
ブツブツ言いながらもパラリと髪を離すと、胸元に光る首飾りにも、艶が戻っている事に気が付いて。
思わず、ピョンと跳ねた。
「………うっ、わ、これってきっと始めはこんな色だったんだね………。」
「古く チカラあるもの」、それを体現している首飾りは玉が力強く輝き、青くなっていた銅も光と艶が戻っている。
全体的に「落ち着いて」いた以前とは違い、「起きた」飾り達、腰飾りも同じく落ち着いた輝きを放っていて「チカラ」が戻った事が知れる。
多分、「本来の姿」は こうなんだ。
目の前で実現した「変化」「変容」「目醒め」、込もるもの達の本来の姿。
ああ でも 「私も」。
きっと「本来の姿」に 戻れば
こうして「目醒めて」「変化」「変容」して。
また「新しい なにか」が 始まるんだ ろう
確かに そんな風に。
起きたい 在りたい
変化 変容して いきたいな ?
具体的に、どうするのかは分からない。
けれども再び「純化」「純度を上げる」事を、続けて行けば。
進んで、流れて 止まらずにいれば、きっと。
うん 成る よ なる。
そうして。
再びくるくると回り、パタパタと自分を叩き全身を確認して、もし今、朝に見られていたならば確実に「残念」認定されそうな「進化した私」だけど。
「うん、まあ、そんな一瞬で「なかみ」まで、変わらないわな………。」
感動した、真ん中も震えて、チカラも増した気がするし、なんなら跳んで帰れそうだけど。
「さ、て?どう、するかな………?」
チラリと青を振り返り、「海底墓地」を改めて目に映す。
いつの間にか、再び鳥に変化した白と黒、もしかして「名前」をつけなければならないかと腕組みをして首を捻る。
自己紹介とか、して くんない かな
「あれ?」
そう、でも。
「私の石」で、あるならば「名」はある筈だ。
どの子も出会ったその時、自己紹介してくれた気がするんだけど………??
すると、視線を感じたのか黒の子と、目が合った。
「アンカー」
口を開かず、伝わるそれはやはり振動なのだろう。
深海に満ちる水、ゆっくりと伝わるそれは幻想的な音で私の「深部」にずっしりと、くる。
だからなのか。
その「アンカー」の意味が「最後の走者」ではなく「錨」なのだと 解った。
沁み込んできたのだ。
「でも、ある意味「最後」でも、ある…………あ。」
いやいやいやいやいや
チラリと過ぎる、10の扉
しかしなにしろ私の胸は、いっぱいだ。
とりあえずその事は、後にしてもいいと思う。
うん。
そうして気を取り直し、白の子の方へ視線を戻すと。
シュルリと「私の姿」になった、その白い鳥は
「キラル」と言い残して。
パッと、光になって散り、消えた。
「あっ? えっ??…………うん、でも。大丈夫、か。」
とりあえず、私の「なか」へ戻ったのは分かるし、同時に上げた腕には妖し気に輝く「黒い石」が既に嵌っていた。
チラリと動かした腕に、キラリと光る黒。
やはり透明感があるその黒は、不思議と「深い」匂いがして「魔法」の色を醸し出す、素敵な石である。
「なんか……………とりあえず……………。うん、帰ろう。とりあえず帰ろう。多分、忘れ物、無いよね??とりあえず終わりだよね??」
キョロキョロと辺りを確認して、深緑の岩の上にある姫様を抱き、思わず指輪を見る。
深海への道先案内人はディーで、なんとなく「ここ」に居るのだろうと、思っていたけれど。
さっき消えた、あの光は。
どうした、だろうか。
共にあって、出逢えた、だろうか。
そのままじっと、見つめていると。
代わりにフワリと出てきた慶が、私を舞い上げ送ってくれるのが分かる。
そう そうね
なら 「そういうこと」 かな ?
そうして。
ポワリと暖かくなった胸と指輪、丁度いいサイズの姫様を抱き締めて。
明るい青へ向かって、白金の光に誘われ昇って行ったのである。
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