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8の扉 デヴァイ 再
新しい場
しおりを挟むああ 朝だ。
ぼんやりと霞んだ 白い場
遠くに見える 乳白色がかかる大きな円が ふたつ
焦点が合ってくるに 連れて
青灰色の円は静かに奥で ひかり
黄金の円が チカラを増し 新しい始まりを告げている
無意識でも 自然と沁み込む気配 馴染む感覚
場の温度と私の調律が合い 主を迎え密度が増した ここ
違和感のない この場には しかし。
新しく出現している 「大きな なにか」が あった。
白く 品良く柔和に光る 肌
真ん中に 「元からそこに あった様に」鎮座する
大きな 大きな 木
古く ちから あるもの
ずっと ずっと 前から
存在する もの
それはきっと。
それこそ、この「世界」が 存在する頃から
「ある」木
そしてまた これからも 永遠
そこに 「ある」木
その色からして木肌は読めず、質感も象牙の様に穏やかな艶、その出立から「年齢」は感じられないのだけど。
わかる。
「それ」が 「古くチカラあるもの」で、私の「軸」でもあり止まり木、宿り木の様なもので。
この神域が「上がった」から、現れたのだということ。
これからも ずっとずっと 「在る」のだということ。
その、醸し出される「匂い」と「いろ」に安堵して
なにしろ全体を観察する事にした。
大きな木だが、「何の木」かはやはり判らない。
中程度の広葉樹、ここからは幾つか実がなっているのが見えるけれど、多分食べられないとは思う。
いいや?でも?
もしかしたら…………。
見た目は林檎に似た、果実である。
とりあえず後で確認しようと気になる天辺に、視線を移した。
いる。 いや、ある のか
大きな木、その頂点には一羽の鳥が ある。
多分、あれは 「白いカラス」だ。
しかし、パッと思い浮かんだ自分の「カラス」に
「なんで?」と自分でツッコミを入れる。
カラス 白い カラ ス ??
なんで ?
でも。
関係あるから 「そう」なんだろうし
パッと「思った」のは 多分 「降りてきたから」
でも。 これまた 「今 わかんない」系の
はなし だよ ね ??
とりあえずの疑問は脇に置き、ただその白く柔和に光る、木を見ていた。
その、透明感 柔らかに見える葉、溶け込めそうな幹と枝。
多分、いける。
精巧な象牙の彫刻にも見えるそれは、信じられない程細やかで、目を凝らすと葉の中に他の生き物も隠れている事が分かる。
本物か それとも彫刻か
いや 多分 チカラを通せば ??
「やってみよう」と思いつつも、まだフワリと夢の中にいる様な気分の私。
そのまま「現実」をハッキリさせようと、目の前の白を目を凝らして見る。
しかしそれをじっと見ていると。
逆にそれが、「現実」ではない様な気がするのだけど。
しかしそれはここに 今
顕現していて
しっかりと そこに在って
見えないけれど 「根」を張っているのが わかる
そう それは 沢山のことを 示唆するものでも あって。
「あり得ない現実」が 「実在」している事を示している
「巨大な象牙の木」「石に 根を張る」
「白いカラス」「白い林檎」「木に隠れる 様々な動物」
「白いリス」「白い狐」「白い兎」「白い 」
凡そ 絶対に作れなそうな「それ」
それは私の「創造」だから「可能」であることを示していて
だからこそ 「想像」が 「創造」になり得ること
日々の 美しいもの
心震わすもの それが
幾つも積み重なりこうなっていること。
"見えないものの 積み重ね
日々 どれだけ 「そう」在れるか
どれだけ 「魂」で 在れるか
どれだけ「自分のいろ」で 在れたのか"
私の「なか」に浮かぶは その「真実」
「実行」「結果」「蓄積」「層」「かたち になること」
「不可能」を「可能」にする
「想像」を「創造」にする
「見えないもの」を「見える」様に する
「顕現」すること
「実現」すること
それはきっと。
できない理由を並べ立てる事ではなく
「どう やるか」あらゆる角度から 検討し
実行していくこと
何故かは分からないけど。
多分これは、「私のこれまで」が具現化したもので、「今のかたち」で。
あの鳥は、また神使か神か。
「それとも…………?まさか、いや、飛ぶよね多分。」
それ自体も、木の一部で寧ろ彫刻の様に美しい全体を飾るものなのかと。
勘違いしてしまいそうだ。
そのくらい、綺麗な大木と白いカラス。
「てか、ここ拡がってるよね…………。」
ぐるり見渡すと、果てが無くなっている白い場。
以前あった、柱は見えなく遠くは霞、どこまでも続く果ての見えない空間に、何故だか不安は無い。
ここが、「私の場」であること
絶対的に「安全」であることを、知っているからだ。
でも、以前ならば。
このだだっ広い空間に、少し落ち着かなかっただろう気はするけれど。
じっと目を凝らして見る果て、その霞は靄にも似て動きは掴めず
しかしゆっくりと揺らぎ流れているのが分かって。
「白い宇宙」
「ポン」と頭の中に浮かんだ言葉、確かに「白い揺らぎ」「混沌」の様なそれは宇宙に近いものなのだろう。
無意識に自分の「なか」を確かめ、以前あった金の流れ、白い場と外側の宇宙が消えていることを確認する。
多分。
私が「更新」して、「新しいかたち」「場」が出来たから。
そこに全てが統合されて、今はきっとこの「かたち」になっているんだ。
目を瞑り自分の「なか」での「新しいかたち」、多胞体とその周りを囲う曼荼羅を展開して、煌めくその様子を確かめる。
馴染ませる その 「新しい 更新された かたち」
「玉」「球体」「光」「渦」「螺旋」
「新しい 光」 「 神 」
「揺らぎ」「波」「色」「音」「回転」
うん 廻って る キラキラしてるな
神が 増えて バランスがまた いいかも
光の頂点、空だった球体に新しい光が加わり、バランスが良くなった光の曼荼羅。
その光は白と黒のそれ、「アンカー」と「キラル」の光だ。
私の石はそもそも、腕輪に嵌っているだけの石もあるしあの色やあの色の様に、外に出ているものも、ある。
一体何が、違うのだろうか。
「まあ、「今」分かんないんだろうけど。」
そんなことを呟きながらも、輝く「かたち」をしっかりと描いていく。
新しく加わった光に合う様、添う形で繋がる色が幾何学紋様になり
また繊細さと奥行き、輝き、年輪の様に刻まれてゆく新しい「かたち」に
感動しながら胸に手を当てる。
「これ」が 私の「なか」から
出てきた もの
その純然たる「事実」を、また目の前にして。
光が溢れ、舞い出てきた蝶達を眺める。
「新しい、子なのかな?また、よろしくね?」
蝶は全て、深海にて光に還した筈だ。
しかし私の「なか」は拡大し、再び檻が加わった事も知っている。
新しい蝶が加わっても、なんらおかしな事は、無いのである。
そうして暫く、自分の「なか」を再調整しつつ観察し、馴染ませ染み込ませて、いた。
深海から帰って来て、ここへ辿り着いたという事はきっと少し自分を整理しろという事なのだろう。
なにしろ休息は、必要だ。
この美しいかたちを また 眺め 詳細に印し
また 更新し
混ぜ 揺らし 流し 震わせ 転換させて。
また 「更に 純度を 上げていく」。
「私のかたち」の完成形は どこなのか
うん?
でも?
チラリと腕に嵌った金のそれを、見るけれど。
うん あるね あるよ
全部 「揃ってる」よ
結局もって、この腕輪の石が揃って「なにかが起こるのか」、それは分からない。
確か?予言?
なんかウイントフークさん、言ってたっけ??
あのガラクタ屋敷で聞いた古い予言、それは「白に飲み込まれる」の後どうなっていただろうか。
案の定、私の頭にその記憶は無い。
「ま、とりあえず。後よ、それは。後。」
そうしてなにしろ休息が必要だと知っていた私は。
そのままゴロリと横になり、白く明るい空をずっと
ボーッと、眺めていたのだった。
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