透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

神々の宴 2

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ああ そうか


 みんな 全部   「私」だから

   こんなに安心して

 こんなに愛されていて

    こんなに 私に対し 慈悲深くて

  こんなに。

 思って  くれてるんだ

  それが 


    沁み込んで  くる んだ



鳴り響く 楽の音

   鈴の音   舞う風   光

  星屑    蝶       

 緩り  掛かるは

    「羽衣」か  「ヴェール」か。


 しかし それも。

 「ヴェール」ですら

 「羽衣」に 変えて。

 サラリと捲り 剥がし  纏って

 優雅に舞い  進んで行けば。


 「道」は 自ずと 開け

 どんどん 明るくなってゆく


      近づいて  いく


 
そう 何度も、 何度も。

確認してしまう「恐怖」「不安」「罪悪感」

 「これでいいのか」という思い

 「足りているのか」と 確かめる 毎瞬。

 自分で自分に かける 足枷

しかし。

足枷それすらも。

用心深く やって来た やって来れた
道を逸れない為の 「良い部分」
それがあったから やってこれたんだ

それも 認めて。


 そう これからはもっと もっと
 「自分」を 認めて。

 次の「ヴェール」を 捲る
 「ステップ」を進める

 その 「勇気」が もうある筈だから。


そう言って  みんなは 応援してくれてるんだ。


 私の「なか」に 「在る」

           「唯一の 輝き」

 「純粋さ」「神聖さ」  「無垢」

   「癒しの光」 「特異な 色」

 「観音」 「神使」  「玉座」 「神の山」



それを認め しっかり 真ん中に立ち
 
  風に靡けども ズレない ブレない。

  緩やかに しなる けれども 折れない


 そんな 「存在」に。

    「なる」

         「ある」

              「なった」


      「」なんだ。


そう それは「勝手に なる」ものでも
「自動的に なる」ものでも、なくて。

 ただ 「    認める」だけで いい もの


目の前に広がる光景、そのどれもが美しく胸に向かって響き、私の「真ん中」を揺らしているのが分かって、言葉が 無い。

一つ、ひとつの姿形、光や神々、蝶、動物達の優しい色、足元にあるほんのり暖かい石床。

その、床すらも美しく光り、視線を揺らすと共に動く反射する白。


「………なんか。もう、「感謝ありがとう」しか、無い…。」

でも。

なのだろう。


   「世界」は「全て」は 美しくて

   「感謝」しか なくて  

でも 「感謝」して 

    「感謝」するから、こそ。


「…………次へ。行ける、ってこと、なんだろうな…………。」


 「ありがとう」

心から今、そう思ったことで。
また更に自分の「なか」に沁み込み、光達が近づいたのが、解る。

元々「私の中」にある、光達だけど。

きっと、拒んでいたのは私、なんだ。


 「まだまだ」「そんな」「いや」「まさか」

「区別」していたのも 私
「まだ」と拒んでいたのも やはり私なのだ。


 他の誰をも、説得する必要は無く
  納得させる してもらう 必要は無いのだけれど。

 「自分」だけは。 「納得浄めきらし」なければ。

 やはり 「先」へは 進めないんだ。



   私 は そういうもの自分をも浄めるもの




少しずつだけれども、きっちりと整理されてゆく自分の「なかみ」、整ってきた「場」。

改めて思い浮かべる新しい「私のかたち」、それは私の「なか」にあるけれど「外側」に守りとして存在する矛盾の空間だ。

フワリと頭の中に、その形を展開する。

光の多胞体、あれは私の「なか」の家の様な物で
神域は「清めの場」で。
「源」は、溢れる光の「チャージの場」だ。

しかしそのどれもは私の「なか」に含まれ、それぞれの役割と様々な色をも含む。

自分の「なか」にある「もの」「こと」「場所」それを管理、保管している場が、きっとこの「多胞体空間」なのだろう。


そうして更に、その矛盾の「かたち」は不規則に振動・回転してもいて、その頂点にある私の「光」には、やはりまだ見えぬ場所もあって。

見つけて、知って、加えてゆけば。

より練度の高い、「かたち」になり私の魂は完成に近づくのだろう。


そしてその美しい姿を改めて見ていると、多胞体を更にぐるりと取り囲んでいる球体がある事に気が付いた。

「えっ、ちょっと、待てよ………??」

そう、キラキラと反射するその美しい面に囚われて、その外側にはまだ目を向けていなかったからだ。
いや、まだ私の頭が「認識できなかった」の方が、正しいか。


そうして、ようく見ると。
その球体には、多胞体多次元がまだ多面体三次元だった頃の頂点に対応する幾つもの小さな玉が、あって。

「うん?………なにこれ…でも、曼荼羅に近い、な………??」

他に言い表す言葉が見つからないが、「立体的な曼荼羅」が一番近いと思う。

多胞体と共にくるくると回転している球体、その外周に添いながら等間隔を保ち、共に回転しているのは私の主要な達だ。


「うん?…………なんか、とりあえずみんながポイントなのは、分かる。」

慶や黎、ラーダと窮。
ウンと蘭、六つの大きな光が囲むその球体、しかし慶は千手だからなのか、一人自由にくるくると場所を移動しているけれど。
それに、黎は正確に言えば「私の光」じゃ、ない。

ただ、「中身」が無く回るだけの球もあって、その「空座」がきっと「まだ見ぬ光」の嵌る場所なのだろう。
慶が動いているから数え辛いが、多分その球は12個あると思う。
だからまだ。
あと、六つは「」が居るということなのか。


「それとも空席?…そもそも、黎も入ってるし、なんでだろ…………?」

でも。
多分、「考えて分かる」系の、話じゃないんだろうけど。



「…………ふむ。」

なにしろ美しい、その様をゆっくりと眺め自分に馴染ませてゆく。

きっとまた、この「かたち」が馴染んだならば、「どうして」「こう」成ったのかは自ずと知れるだろうから。
まずはこの新しい「かたち」を私に馴染ませて、「使う」こと。

具体的にするのか、まだ分からないけれど、なにしろこの「真ん中」へ座していると見晴らしがいいのだ。

「落ち着いて」
「安全」「安心」
「見晴らしがいい場所」

そこが一番「寛げる」事は、私の「真ん中」が教えてくれたから。


  きっと「ここ」にいれば、わかる

そうして次第に見えてくる道、「何処へ行くのか」と思っていた自分に示される「自然な行き先」、それもまた「流れ」なのだろうけど。


「うーーーーん。私のぐるぐるが役立っているのか、全てのピース、カケラ達の仕事が優秀なのか。うむ。」

なにしろ「時」は、近い。
もう準備は出来て、後は「行く」だけなのだ。

そのきっかけが、掴めなかっただけで。


「励ましの宴、だね………。」

ポツリと呟くと、目の前を緩りと過る黒い鱗、明るい音を奏でるラーダ。

膝の上にモチモチと乗って来た、ウンを抱き上げその感触に顔を埋め空気を吸い込む。
ウンは私の光だからなのか、毛を吸い込む事なく「癒し」の香りだけが、するのだ。

「ゥン」

くすぐったそうな、ウンを解放して再び顔を上げる。

なにしろとりあえず。
出発前のチャージを、目一杯すべく目の前の美しさを堪能することにしたのである。





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