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8の扉 デヴァイ 再
聖なる 山 2
しおりを挟む少しずつ明かされる 「わたし」、繋がるピース、魂のカケラ達。
未だ見えない部分、知った部分、思い出した場所、よく解った感覚。
でも。
一番に 「思う」その「いろ」
それは いつだって「あの色」で。
「あの 色」「金色」
「太陽 月」 「ヴィル ディー」
「源」 「エネルギー」
「でも。…………なんでなんだろう、な………?」
何故か繋がる「金色」と「ヴィル」、「太陽」「エネルギー」「源」の色、「金色」という私にとってのキーワード。
それは。
やはり、なにか関係があるのだろうか。
「……………分からない………いやしかし、分からないから、うむ。」
なにしろ「敷かれたレール」など、歩く気の無い私は。
その時の惹かれる方向へ、「真ん中」で進めば良いのだろう。
それならば。
それを 持って 共に
「進む」 「変化 する」
「次 へ」
次?
うん え? あ あれ??
成る程。
そうか
こうして準備が 整って 行くんだ
そう 私は 「次」へ
セフィラを 探しに 姫様を 見付けに?
行く
て、言うか。
姫様、見付けたら結局、どうしようか………??
また、見付けたら、触れたならば。
「わかる」のだろうか。
「………成る程ね、うん。」
まあ、結局。
「行かねば」分からぬのだろうし、やはり「出たとこ勝負」なのはいつでも変わらないのだろう。
「そう、今ぐるぐる考えてたって。分かんない、って事だけは確かよ。」
そうして大きく息を吐いて、再び視線を「自分の領域」へ戻す。
その、美しい多胞体は今、私の心を映す様に緩やかに回転が治まり、ただ美しくその様を見せつけている。
不規則に回転する全体、その面其々もパタパタと風を送る様に回る、不思議な形。
キラリ、キラリとその回転する隙間から見える、「揺らぎ」の様な内部の色。
その光をただ身に受けて、ゆったりと寛いで、いると。
どうやら私の瞼は、仲良くし始めた様であった。
みどりの 蓮華座
「安心」「安全」の「真ん中」
その 場に 鎮座している私の上から
降って来る 砂の様な 金 いろ
サラサラと。
砂時計の中にいる様な、不思議な感覚。
しかしこの場所がさっきと同じ、「多胞体の内部」なのは解る。
その幻想的な景色の中、ぐるりと辺りを見渡すと何故だか大きな「階段」が、見えた。
あ あれ
知ってる
あれは、多分。
あの「黒い檻」が積み重なって出来た、月への階段の筈だ。
あれに登って?
届いた、から?
「私」は 「わかった」んじゃ なかった っけ??
「繋がった」と 「解った」と
「私」が 月へ?
「羽衣」で 「兎」?
だから 「今」が ある と。
何処から どう 繋がって?
そう なったんだっけ ??
『セレネ』
サラサラと降る金の砂の中、ぼんやりしていると
耳元で響いた、酷く懐かしい、声。
『 俺の 金の月 』
次の言葉が響いた瞬間、涙腺が崩壊して
滝の様に流れる涙、しかし理由は分からないけれど。
止める必要が無いのだけは、知っていたから。
そのまま、この景色の中、声の余韻を味わっていた。
何処へ 行っていた のか
いいや 何処にも 行っては いない
しかし、気付くと私の足は動いていて。
黒い檻を登っているし
その身から溢れる星屑は金の砂となって
長い 長い階段を流れてゆくのが わかる。
サラサラと流れ落ちる「感情」の砂を金色に変え溢し、ただ「事実」となった「出来事」の階段を登ってゆく。
きっとまだ未浄化の黒い檻を。
解し浄めて、更新しているのだろう。
自然とそうしている、自分に驚くこともなく、ただ真っ直ぐに上を見て。
まあるく光る、金色の月を目指して歩く。
そうして、あの光り輝く「月」へ辿り着いたなら。
なにが 待っているのだろうか。
静かに 静かに ただ ゆっくりと
階段を登り これまでの「出来事」を
眺めながら 砂を落としていく。
時折 雫にもなる それは 美しく階段を
滑り落ちてゆき
それもまた 新しい「糧」になり
変化に富む 美しいものに 転換するのだろう
緩り 緩りと 織られてゆく 「なにか」
いつの間にか 辺りを舞う慶の腕が。
「なにか」美しいもの を 創っているのは
わかるのだけど。
それはきっと 「月」まで 行けば
わかる
それは知っていたから。
ただ それを見上げ 昇っていた
時折 振り返り
ピンと張った 道筋 紡いだ糸 光
凪いだ 「真ん中」を確認しつつ
自分の「なかみ」も 共に落とし
サラサラと 流してゆく
階段を降りる 金の砂は まるで
空気のヴェールの様に 軽やかに
フワリと 跳ねながら落ちてゆき
その 美しさを見てまた 星屑も 溢れて。
なにやら 月への道中は。
夢の様な 瞬間なのだけど。
しかし 「私の場」「空間」「次元」「瞬間」
なのは わかっていたから
なにしろまた 「ここ」へ跳べるよう
しっかりと 楔を置きながら 足を動かしていた。
そうして 昇る うちに。
解される階段の「なかみ」、それは「暗い色」が勿論、多いのだけれど。
それだけではない事も、同時に解って きた。
そう、ゆっくりと足を運び、しっかりとその一段一段を踏み締めるに 連れて。
その 一段 ずつが
「恨み」「辛み」「悲しみ」「失望」「絶望」
沢山の 「暗い想い」
しかし その 「想い」達を 固める 基礎
間に染み込む 微細な砂の 様なものが。
「全てを 赦す 」「包み込む」
「 慈悲 」「強大な 思いやり」
そのもの なのが 解ってきた。
そう、その「黒い檻」そのものを支え、形作っているものが。
「優しさ」「慈悲」で 出来ているのだ。
どうして だろうか。
「辛い想い」ばかりの、筈なのに。
ずっとずっと、積み上がって来た「それ」を積み上げる基礎になっているものが。
「慈悲」 なのは
どうして ?
不思議な気持ちで、登っていた。
ただ、その「想い」を感じながら、自分に沁み込ませながら、それを「解り」「透して」「溢す」という、「私の」一連の作業をやりながら。
「何故」
その疑問がきっと今は、解らなくとも。
「その時」が、来れば。
解ると知っているから。
先ずは、その「想い」を透して、濾過して、私の「なか」にしまっておけば。
きっと。
そっと胸に手を当て、ただ真っ直ぐに金色の光を見て、上へと進む。
ホロホロと 自然に 湧き上がる 想い
カケラ ピース
その 震えと共に
「なか」から 齎される 「なにか」
「それ」を 感じると共に
足元から伝わる 地面の温度 柔らかさ
檻は やはり。
積み上げて来た
地面 土で 大地 でもあり
生命が芽吹く ところ
その 生命力を 馴染ませ 沁み込ませ
そしてそのまま 土に透る風に溶け込み 舞う
大きく 空まで 舞い上がった 私は
空から 光を 見つけ
その 中に 入り そして無数に散って。
星の数ほど ある 家々の 燈を 灯す
そうして また
その 全てにある 水へと 戻り
そこから 流れ 流れて 海へ また大地へ
ぐるりと 廻る
そうして 再び 舞い上がる そら
瞬く 無数の 光 星
月
「セレネ」
「月の女神」 「古い柵」
「繋がり」 「縁」
「挑戦」 「より 高い音」
「戻る」
「昇る」 「舞い上がる」
「赦し」
「啓く」 「知る」
「わかる」
「全ての」 「チカラ」「エネルギー」
「癒し」 「満たす」
「再び 揃う 時に 開く 」
「時代」
「 その 時 」
更に 昇る為に 「差し伸べられる 手」
ふと指に暖かさを感じ、視線を落とすと。
指輪から「すべて」が私の中に 侵って きた。
拡がる 宇宙
深い 深い紫紺 瞬く 幾千の 光
その 中を舞う
天の川の様な 羽衣の 光
突然の、ビロードのカーテンに包まれた様な景色に。
しかし驚きは無く、ただ目の前に映し出される「事実」を受け入れるべく、ゆっくりと自分を開く。
ああ 「セレネ」は
「私」で。
これまでの 「色」は 全て
「私の挑戦」「越えなければならない山」
「ステップ」 「次への扉」 で。
この 「羽衣」を 受け取る為に
ここまで 来たんだ
それが わかったんだ。
星の海の中 舞い泳ぐ 千手観音
その手にあるは 完成した 羽衣
これまでの「カケラ」 全てが
織り込まれ 縫い込まれた 羽衣
その美しい光沢は。
手を動かすと共に ひかる
美しい波 転がる光の粒
流れる 星の 河
「魂の旅路」「経路」 「繋がり」
「光」 「糸」 「無数の 」
「見える 光」も 「見えない ひかり」も。
どれだけの「光」を。
これまで繋いで、来たのだろうか。
全ての「私」は。
その 紡がれた 「いろ」達は 純度を上げ
それぞれが その衣を構成する 「糸」となっていて
所々に 差す「色」は 全体を引き締める アクセントになっている。
そしてその「暗色」は。
見知った「いろ」でもあり、私のよく知るあの鮮やかな色でも、ある。
きっと、この「暗色」の純度が低かったならば。
「闇」からの干渉を許し また底の無い沼へと落ちて行くことも、この「私のかたち」が崩壊することも有り得るだろう。
しかしその「沼」すら。
既に愛おしく、これまで通った幾千の私が穴を懐かしむのを、感じる。
しかし 「穴」に もう嵌まる訳には
いかないから。
再びそっと 手を離し 「穴」を
星の河に流してから
また 自分の「純度の高い闇」を そっと撫で「私」に戻し加えるのだ。
それもまた 「私の色」 だから。
そう
「闇」すら。
純度が上がれば それも「光」と 同質で。
「全てを 透す 純度の高い 闇」
そのあまりにも綺麗な艶、透き通る黒に、思わず瞼が滲む。
もうきっと、どんな闇が来ても大丈夫だと、思える自分
それはこの「純粋な闇」の持つ「美しさ」に勝るものが無いからなのだろう。
純度の低い、闇が来ても。
きっと足元すら掠めずに、通り過ぎる筈である。
それもまた 「喜ばしい」ことで。
そう、思った瞬間
いつもの優しい緑の瞳
その四つの光が瞬き ふと、頬が緩んだ。
そうして、気が緩むと共に齎された「包まれる」感覚、「安心」「安全」へと戻る私の「真ん中」。
「ああ 戻るんだ」
それだけを解っていた、私は。
「ありがとう 」
目の前を過ぎてゆく黒い艶に、感謝を呟くと同時に身体から力が抜ける。
どうやら「感じきれる」様、全開で自分を開いていた私は、少し力んでもいたのだろう。
そうして訪れた抗えない心地良さに、ふわりと身を委ねると共に。
そっと、目を瞑ったのである。
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