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8の扉 デヴァイ 再
変容
しおりを挟む闇から 光へ
黒から 白へ
全てを飲み込む 暗黒の渦から
全てを焼き尽くし浄化する 再生の 炎へ
深海の深い渦 天からの光が
白金の炎へと 変化し 場を浄化してゆく
その 「渦」を先導する 黒い蝶は
「ブワリ」と光の様な炎を放ち 燃え上がり
一瞬にして ヒラリと変容し
"燃え盛る「炎」へ 転換した"
『 今こそ 「約束」を 果たそう』
熱くは ない
その光と共に 頭に直接響く 音
蝶では ない 「炎」そのものとも 少し違う
垂直に 「今」に在り 燃え盛る
"消えることのない 炎"
とてつもなく強く美しい「炎」は
新しく生まれた「神」で
きっと また 「私を新しくするもの」
音の 意味は 分からなかったけれど。
それだけは 解っていた。
古きを焼き尽くし 転換し 再生する
その「手助けをしてくれる神」
何故だかそれは 知って いたんだ
「……………ん 」
炎 焔?
いや 焔とは 違う 炎 だった
多分
なんだ ? 綺麗 美しかった
なんだ ろうか あれ は
「……………うん?」
夢?
白く柔らかなブラウスの皺が見える、目の前。
慣れ親しんだ落ち着く匂いはいつものベッドの中だろう。
と、いう事は………。
ゆっくりとしかし、くるくると回り出す私の頭。
深海から神域へ、青から白へ、黒から白も。
それから 木が あって??
成る程。
どうやらきちんとベッドへ戻り、夢まで見て目覚めたらしい。
自分のちゃっかり具合に可笑しくなりながらも、今し方見た夢が気になって「新しい炎」を思い浮かべて、いた。
やっぱり、夢だよ ね??
でも 何の夢だろう?
なんか 黒い 黒 蝶 闇が 渦が?
なんか 深海 が??
「パッ」て 転換 変容 して?
なんか 闇が 炎になって
鳥じゃない 蝶でもない
ただ 「踊る炎」みたいだった 「それ」
あれは?
なんだったの だろう な??
くるくると廻るカケラと光、頭の中でスイスイと泳ぐ光達は一定の動きをして目的地へ向かっているのが、分かる。
多分この動きは「私は知っている」と、いう事だ。
とりあえずは光のカケラ達に成り行きを任せながら、完成形を待って、いたのだけど。
「…………えっ。そう、なの?」
でも。
まあ そう なの か ?
「…………うーーん。」
組み上げられたカタチは黒い蝶から変容した「再生の炎」、私の中の「光」だけれど。
それは。
きっと、これからの私がスムーズに「異色」を「転換」できる様 手助けしてくれる力強い神
見ているだけで 伝わる その 有り様
「 古く ちからあるもの 」
「終焉の墓地」
その 9の扉の 「要」 に相応しいかたち
ずっと ずっと
どのくらい前から あそこにあったのか
もう わからないほど 暗かった あれ
そう あの 「暗闇」「靄」「澱の塊」
「とびきりの 古くちからある 闇」
そこから派生したのは。
全てを焼き尽くし 「再生」する
「炎の神」
それは黎が変容した、新しい姿だったのだ。
私の「なか」で 燃え盛る炎
それは私に直接 その想いを 伝えてきていて。
「必ず 護る」「お前だけの お前自身の神」
「お前の 本質」「真実の光」「神性な炎」
「 守護 」
「同じ」「なか にあるもの」「光の ひとつで ある」
「ウワンウワン」と響く様に直接伝えてくる、その波長。
声でもなく、音でもない、頭に直接響いてくるそれは、水の波紋が広がるのに似て。
ジワリと順々に、ゆっくりと染み込んでくる。
温かいお湯に包まれている様な全身
心地良い 揺らぎの中 身体の中まで響く 波紋
水の様に空気が震え、伝わるその、内容、色から。
新しい姿になった黎が、なんとなくだけど「フフン」という気配も醸し出しているのが、読み取れた。
「…?なんで??」
その時。
キュッと締まった腕、その色が少し濃い橙に変化したから。
もしかして?
「同じ」「炎」だから??
「フフッ」
「可笑しくは、ない。」
その、彼のセリフもまた可笑しくて。
幸せな空気に包まれながら、一人クスクスと笑っていた。
そうして暫く、様子を伺っていても何かを尋ねる様子はない。
気にならない、訳じゃないんだろうけど。
訊かないでいてくれる、有り難さを噛み締めつつも、安心の温度にぬくぬくしながら再び「なか」の「新しい神」に視点を戻す。
そもそも、どうして黎が「私の神」に「転換」してくれたのだろうか。
その疑問のヒントを探るべく、その姿をよく見てみる事にしたのだ。
「新しい黎」は、私の中でもとても強い光を放ち、慶とはまた波長の違う「強さ」を持った神なのが、分かる。
しかしその「本質」は
意外にも「思いやり」の炎
激しく燃えるそれは
あの暗色全てを自ら焼き尽くし 包み込み
「闇」「黒い感情」「負の思い」
その全てを包含する「神の炎」と変容したのが わかる
「なんか…………凄い、な…………。」
「自分の一部」に なってくれたこと
数え切れない複雑な感情を 覆して それを
「思いやり」に転換したこと
深海での「転換」が また ここでも行われたこと
何故。
「思いやり」だったのだろうか。
「愛」とか「慈悲」とか。
そんな「暖かい もの」は他にも沢山あるのに。
それに。
「まだ 別々でもいい」と思っていた私は、黎が「私の神」に変容したのが、意外だった。
まだ、あの艶やかな蝶の姿で。
私の事を揶揄い、フワリと遊んでいると思っていたからだ。
「…………思いやり、って。なんだ、ろう…。」
煌々と燃え盛る炎を目に映しながら、つらつらと自分の「なか」を浚い、探ってみる。
すると、やはり。
「思いやり 与える」「奪われる」という思いも、まだ拭いきれていないのが、分かる。
私の中にも、この炎の中にも。
拡大した分、取り込まれた新しい「異色」が
ほんのりと隅に有るのは、分かるのだ。
それなのに。
「思いやり」?
どうして、なんだろうか。
でも、きっと。
「私の中にある」から、「そうなった」のは、わかるのだ。
「ねぇ、黎………?」
自分の中の何処かに「こたえ」があるのは、なんとなく知っているけれど応えて欲しくて、訊いてみる。
なんだか少し、甘えたい気分なのだ。
きっと黎が「自ら」「転換」してくれたことが、嬉しくもあるから。
そんな色を感じ取ったのだろう、再び頭に響くその「周波数」の様なもの。
その震えに浸る心地良さに身を任せながら、ジワリと響いてくる音をじっと染み込ませていた。
「この 「思いやり」は 「優しさ」の完成形
「言い訳」や「誤魔化し」全てを赦し 流し
しかし その重みに 倒れず
それすらを大きく包み込んで
沁み込み融かす 「チカラ」
「すべて」を 離し 「己の道」を
「真ん中」に 置くからこそ できる こと
そうして その
何者も抗えぬ 美しい光
暖かさ 温もり
それが 開く
ひと の「奥」を
そうして 雪崩れ込んでゆく
「美しい 色」「炎」「光」
その様な もの
おまえが 「変容」「進化」したから こそ
より 「純粋な もの」へ
私も 変化 する もの
より 「光」へ 自身へ
中心 へ
それには
削ぎ落とす こと が必要だった
そうして この 変容は 成された
だから 恐れることはない
『約束』は 守ろう
思う存分 光が「振り撒ける」様に
私が 計らおう 」
えっ
なん か
黎 カッコよく ないです か
しかし、私の中の「なにか」が迫り上がってきて
そんな軽口など。
叩けなくなっていた、胸の内。
「闇の神」とも思われていた「煮詰まった黒」が、
「変容」した。
それも、「自ら」。
いっぱいの胸、ジワリと溢れる涙に「どうして」「何故」「約束って なに」と。
尋く余裕は残されていなかった。
ただ。
その想いを受け止め、流す涙。
ああ 涙も。
癒し に なるんだ だから
きっと そうか
そう ね
尋ねなくとも私達の間にある「なにか」、伝わる「いろ」、「有り難い」と思うとまた溢れ出す星屑。
それももう、霧の様にそこら中拡がって。
この、フェアバンクス全体に染み込み始めたのが、わかる。
「ありがとう」
ありがとう ありがとう ね
何度も、言いたいけれど。
一言だけしか、口を開けなかった。
だけど、その「新しい いろ」から思いは伝わってきたから。
とりあえずは、そっと包んでくれる腕に、安心して身を任せていたのだ。
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